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安倍首相の「未来」は鬼が笑うか。
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安倍首相の「未来」は鬼が笑うか。

2016-09-26 21:45

     今日の安倍首相の所信表明演説。びっくりしました。

     安倍首相、「未来」を18回=「世界一」もキーワード―所信表明演説(時事通信) - Yahoo!ニュース 

     なんと「未来」がキーワード!!

     でも「未来」ってキーワードは一般的には受けが悪いです。長年「未来の普通」やってるから身にしみてますが、みんな「未来じゃなくて今が大変なんだよ!!!」ってわけで、なので「今でしょ」が爆発的に受けたりしたわけです。

     政治家は未来を見据えた活動をしたいといくら志しても、選挙で落ちてはただの人ですから、どうしても今効果のある施策に陥りがちです。

     ですから、演説でも「明るい未来」など心地よいフレーズとして使うことはあっても、演説全体のキーワードにするというのはなかなかできないことです。

     あまりに絵空事をうそぶいては失笑を買ってしまうでしょう。

     今回の所信表明演説の中で、安倍首相の「未来」は鬼が笑うようなないようなのか、分析してみようと思います。

     第192国会における安倍内閣総理大臣 所信表明演説(全文)「憲法はどうあるべきか。それを決めるのは国民だ」 - 産経ニュース  

     1. 東北の未来

     「未来」がまず出てくるのは「はじめに」のところですが、これは「心地よいフレーズ」であって、誰でも使うやり方です。

     具体的に「未来」が語られるのはまず東北に対して。

     新しい東北の未来を切り開くために、二つあって、一つ目は観光の促進です。観光に関する「新しいチャレンジ」を支援するとあります。これは予算をつけるということでしょうから、未来の話をしつつ、今補助金出すよという、目の前ニンジンです。鬼は笑いません。

     もう一つはぼやかしていますが、「未来のエネルギー社会」に向けて福島で新しい産業の集積をめざすとあります。ぴんとくる人には内容がわかるのかもしれませんが、わたしにはさっぱりです。「中間貯蔵施設の建設、除染など住民の帰還に向けた環境整備、廃炉・汚染水対策」をしっかりしますのが本題のようで、この部分はとってくっつけたように見えます。鬼は笑うというか、「?」って感じでしょうか。

     2. 経済対策

     次に「未来」が語られるのは、経済対策についてです。

     冒頭
    経済対策のキーワードは「未来への投資」
    と出てきますが、「投資」はすべて未来の結果に向けて行われますので、この未来に意味はありません。心地よいフレーズの代表格です。

     と軽く鞘当てしながら、ここで目指しているのは、
    2020年、そしてその先の未来に向かって、誰もがその能力を存分に発揮できる社会を創る。
    という社会です。そのために「未来」と「1億総活躍」のキーワードを使って進められていますが、具体的に語られているのは労働待遇改善です。介護・保育・非正規などに触れられています。これは今の問題であり、鬼も笑うどころか、真剣にうなづいていることでしょう。

     さらには「未来」である若者への投資の拡大に触れられています。未来といえば若者、若者といえば未来。若者支援では「未来」を使わないことはありません。

     3. 地方創生

     地方創生でも未来が語られますが、ここは直球目の前ニンジンです。未来の内容は地方に丸投げで触れません。
    それぞれの地方が、自らのアイデアで、自らの未来を切り拓く。自治体による地方創生への挑戦を、新しい交付金によって応援します。(赤字筆者)
     鬼も満足でしょう。

     4. 農林水産業

     夢や情熱を持って、農林水産業の「未来」に挑戦する。そうした皆さんを、全力で応援してまいります。
     農林水産業でも「未来」が語られました。ここでの「未来」は目下絶賛承認を目指している TPP です。TPPこそ日本農林水産業の未来! わかりやすい。あと構造改革も謳われていますが、おまけです。

     鬼に有無を言わせない。

     ちなみにミラフツ的にはTPPは時代遅れですが、それはまた別のお話。

     5. 沖縄

     沖縄の未来を切り拓くため、ヘリパッド推進とのこと。ばりばり今の課題。

     6. 韓国

     韓国との外交に触れ、「未来志向」といういつものフレーズが使われています。外交で今の問題をとりあえず棚上げにするために使われる大人の事情ってやつです。

     このあと締めくくりに、「未来への架け橋」という心地よいフレーズが使われています。

     18回も「未来」が使われるということで、まさか鬼が笑う話をしたのかと思いましたが、さすが現役首相、ちゃんと今の話につなげていました。

     つまり「1億総活躍」と同じく、受けそうな言葉を使って、普段推進している政策の説明をしたことになります。

     この「未来」という言葉は受けるのでしょうか。ブログ「未来の普通」を通して経験したことは、「未来」という言葉は受けが悪いという体感の連続であり、従って安倍首相の所信表明演説も受けないのではないのかなあと不安です。

     もし、受けが良いなら、「未来の普通」での「未来」の扱い方がへったクソということであり、安倍首相の「未来」の使い方に多いに学ぶべきなのでしょう。

     安倍首相の「未来」が国民に受けるのか、今後が気になります。



    《ワンポイントミライ》(

    ミライ: でも、ここでは「鬼が笑う話」をするんですよね!!

    フツクロウ: ホウじゃな。安倍さんは鬼の笑う話はせんかったが、ここは鬼の笑う話をする場所じゃな。

    ミライ: とはいいつつ、「鬼が笑う話」でもなるべく受けたいですよね。

    フツクロウ: ホの通りじゃ。そういう点で今回の安倍さんの「未来」の使い方にははっきりとした特徴があるの。

     
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