プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回のテーマは新生NOAHは何が変わったのか?です。
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――今回のテーマは新体制発足後、勢いを取り戻しているNOAHです。
――新日本プロレスとのパートナーシップを切った以降はインディ化していたところはありましたね。
小佐野 結局お金がなかったんだろうね。あのときは「ノア・ザ・リボーン」をテーマに掲げて、最初は中嶋勝彦がトップで始まって、そのうち拳王がのし上がってきて、そして清宮海斗がGHCヘビー級王者になった。あの過渡期が今の新体制に繋がってるところはあるね。
――リデット体制後はロゴやリングマットも一新してビッグマッチのプロモーションも力を入れていますね。
小佐野 リデット体制最初のビッグマッチは3月の横浜文体だった。あの文体は以前の運営会社が会場を押さえていたはずだから、体制が変わらなかったらあの文体はやれなかったかもしれないよね。文体のビッグマッチが打てるかどうかすら危うかったはずだから。
――瀬戸際も瀬戸際だったんですね……。
小佐野 今回の両国国技館も旧体制のときに会場は押さえていたらしい。 DDTや大日本と両国3連戦の興行戦争になってしまったけど、NOAHの武田(有弘)代表は「他団体にケンカを売ってるわけじゃなくて、前から押さえていたものをやったんです」と。いくら旧体制のスケジュールだったとはいえ、あまりお客さんが入らなかったら団体のイメージはよくない。そういった大きな課題を背負っての出発だったわけだよね。
――小佐野さんの目から見て、リデット体制になってからのNOAHは何が変わりましたか?
小佐野 やっぱり発信力だよね。武田社長はもともとは新日本プロレスのフロントの人間で、武藤(敬司)と一緒に全日本プロレスに移籍して、そのあとまた新日本プロレスに復帰。しばらくしてフリーになってW-1を手伝ったりしていて、いろんな団体の運営にタッチしていた。武田代表のスタンスは「いかに話題を作るか」という新日本プロレス的なもので。たとえば来年1月4日&5日の新日本東京ドームの裏に後楽園ホール2連戦をぶつけたのは、あえて仕掛けたわけですからね。
――両国とは違って、明確な意思を持ってぶつけたわけですね。
小佐野 武田代表が全日本プロレスにいた頃、新日本プロレスの東京ドームに対抗してゼロワンが後楽園ホールをぶつけたんですよ。全日本から武藤や川田利明が出場して後楽園ホールは超満員。ドームの裏でやることは決してマイナスではないという経験があるから今回もあえてやった。 実際に話題にもなって切符の売り上げもいいらしい。5日に関しては時間帯が被らないから新日本もNOAHも見れるからね。
――リング上のクオリティーを高めるのとは別に、何が起きているかを伝えていく作業に力を入れていくわけですね。
小佐野 リングのことでいえば拳王が素晴らしいですよね。拳王がN-1 VICTORY(旧グローバル・リーグ戦)で優勝して、 両国でGHC王者の清宮に挑戦する流れになったけど、 それだけの図式だけではここまで話題にはならなかった。拳王がずっ~~と清宮と会社の批判を繰り広げながら、N-1も優勝して、そして挑戦する。優勝したから挑戦というわけでなく話が繋がっていたから面白かった。
――ちゃんと下地があったわけですね。
小佐野 そこは拳王が誰に噛み付いて、どう発信していけばいいのか理解しているからだよね。彼は、当初はみちのくプロレス所属のままNOAHにレギュラー参戦したんだけど、最初は第1試合だったからね。イチからやらされて、森嶋猛と大原はじめの超危暴軍に参加したことがきっかけで徐々に注目されるようになって。
小佐野 その頃から彼は今のNOAHにないものを常に考えていた。超危暴軍の森嶋劇場も拳王がリードしていたようなものだから。 大原が前振りをして拳王が言葉を挟んで森嶋が締める。大原もインディで活躍してきたからセルフプロデュース能力に長けていて、森嶋がこの2人に乗っかったところはあるんだよね。
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