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記事 10件
  • 遠心力とは何か・よくある誤解を解きほぐす:シラノ

    2024-03-07 05:00  
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    遠心力って具体的に何なのか、正確に説明できますか?
    こんにちは、シラノです。
    日常でもしばしば使う機会のある「遠心力」という言葉。
    これは、当たり前にわかっているようなつもりで、しかし、いざしっかりと理解しようとすると、よくわからない概念です。
    ましてや物理学の授業で
    「遠心力という言葉は、本当は存在しない力なのです」
    などと言われようものなら、もう訳がわかりません。
    今回は、この遠心力について一度見直してみましょう。
    ◆◇◆意外とふわふわしている「遠心力」という言葉◆◇◆
    皆さんは、糸や布を使って重りを回した経験がおありでしょうか。
    重りをぐるぐると回すと、重りの回転が速くなるにつれて手が強張り、ぐっと握力を強くしていかないと重りがすっぽ抜けて飛んでいってしまうようになります。
    この時に手でかけている力、もしくはかかっている力を、
    我々はしばしば日常言語として「遠心力」と呼んでいます。
    ほかにも、洗濯機の中の服が槽に張り付くように運動したり、回転テーブルをゆっくり加速していくと、テーブルの中心から離れる方向(動径方向)にものが移動することなど、これらも遠心力と「呼んで」います。
    そう、呼んでいるだけです。我々は「力」という言葉を何となく用いる事が多いので、これらの現象を大雑把に「遠心力がかかっている」という表現に押し込めてしまっています。
    改めて考えると、この表現はふわふわとしていて、どこか変なのです。
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  • 力とは何か・ニュートンの法則について:シラノ

    2024-02-08 05:00  
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    力が欲しいか?
    欲しいのなら「知識」をくれてやる!
    こんにちは、シラノです。
    学校で理科、特に物理の勉強をしていると「力」という概念が出てきます。
    力というものは具体的に知っていたつもりなのに、いざ概念を学ぼうとすると、実は非常に曖昧でよく分からない。
    物理という厳密性を背負う学問でこんな曖昧なものが出てくる事に驚かされ、どうしたものかと悩む事になります。
    この力という概念、現代の物理学の枠組みでは、実際のところはわざわざ考えずとも良いものです。
    そして、高校の教科書でさえ、この「力」を明確に定義することを避けているほど、非常に厄介な概念でもあります。
    ですが、今回はあえてこの「力」という概念について、有名な「ニュートンの法則」を交えて考える事にしましょう。
    ◆◇◆「力という概念」の曖昧さ◆◇◆
    さて、今回の記事を書くにあたって高校の教科書を見返してみました。
    すると
    「力とはものを動かしたり、変形したりする要因となるものである」
    といった内容でした。もう少し平易な書かれ方をしていましたが、いずれにしてもかなり曖昧な説明ですね。
    ちなみに有名なニュートンの第三法則でさえ、

    第一法則:物体は力を受けない限りは静止、または同じ速さで動き続ける。
    第二法則:物体の加速度は物体にかかる力に比例し、質量に反比例する。
    第三法則:物体同士が力を及ぼしあう時、その力は同じ大きさで逆向きである。

    というのみで、力が何かというのには触れていません。
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  • 怪人シラノの「物理のオススメ教科書」:本を選ぶのも勉強!

    2024-01-18 05:00  
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    物理を勉強するための本の選び方をお教えしましょう。
    こんにちは、シラノです。
    今回は、物理を勉強するための本との付き合い方についてご紹介していこうと思います。
    知識を得るための手段も近年は多様化していますが、依然として「本」と向き合う事は物事を学ぶ上で極めて重要ですしね。
    ということで、まずは個人的にオススメしたい物理の教科書をと思うのですが、その前に。
    今回オススメする教科書は個人的な評価もさることながら、どちらかといえば王道と言われているものです。
    インターネットで調べると王道な教科書がたくさん出てきますが、
    評価の高さよりも、個人個人に合っているのかどうかという事が重要です。
    万人に向く良い教科書は存在しないということを、まずは理解しておくことが大事と思います。
    ◆◇◆オススメの物理の教科書◆◇◆
    前置きはここまでにして、改めてオススメの教科書をご紹介していきます。
    まずは最も無難に、基礎を修めるためのシリーズとなっているものから。
    ●講談社基礎物理シリーズ
    https://www.kspub.co.jp/book/series/S067.html
    全12巻で一通りまとまっています。
    一方で、それぞれの分野ごとに買うのだとしたら、最初は……
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  • 怪人シラノの「物理学の素朴な疑問」:位置エネルギーの概念

    2023-12-21 05:00  
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    位置エネルギーって存在するの?
    こんにちは、シラノです。
    最近は割と落ち着きましたが、位置エネルギーが存在するだとかしないだとかが議論になったことがありました。
    今回はこの「位置エネルギーが存在するのか」を考えていきます。
    ◆◇◆位置エネルギーという「概念」は確実に存在する◆◇◆
    まず、位置エネルギーという「概念」は少なくともあります。
    存在するのかしないのか、という話はさておき、これだけは最初に断言しておきましょう。
    概念は確実に存在するのです。
    そしてこれは物理学において非常に有力な道具となっています。
    後述しますが、この位置エネルギーというものを考えることで、力学的エネルギーの保存則という、非常に便利な法則が導かれるのです。
    これは何の疑問の余地もありません。
    エネルギーの保存則や永久機関の非存在がここまで広く知れ渡った現代で、位置エネルギーが存在しないと思うのはあまりに荒唐無稽です。
    仮に、位置エネルギーがないとしましょう。
    そうしたら、物体を高いところから落とした時に出てくる運動エネルギーは、どこから出てくるの?
    無からエネルギーが出てくるんだとしたら、永久機関作れるじゃん! やったね!
    そんな気持ちになりますが、まあ、それはさておき、
    「位置エネルギーって本当に存在するの?」という疑問そのものは非常に大事です。
    今回はそれを基準に「エネルギーという概念」と「存在する」という意味について少し考えていきましょう。
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  • あなたも騙される? 意外にやっかいなニセ科学:シラノ

    2023-10-05 05:00  
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    ニセ科学なんて子供騙しだと侮っていませんか?
    こんにちは、シラノです。
    今回は、科学的に誤った事を主張する「似非(エセ)科学」とか「ニセ科学」と呼ばれるものの話をしていこうと思います。
    ニセ科学というと、反ワクチンや水からの伝言、永久機関に地球平面説などが有名ですね。
    こういったものは大抵の場合、
    誰かの自己顕示欲を満たしたり、金儲けを目的として使われるので、百害あって一利なし
    と言えます。
    しかし、このようなニセ科学としてあまりに有名なものは、少しでも知識があれば誤りだと判断できますが(できない人もいますが)、意外と判断に悩むニセ科学も世の中にはたくさん存在します。
    特に、あまりにも身近になっているようなものだと、理系の人間でも、それこそ修士号、博士号を持っているような人でさえ、なんとなく信じてしまっていることがあるのです。
    有名なニセ科学に騙されてる人を小馬鹿にしていたら、自分自身も別のニセ科学に騙されていた、なんて笑い話にもなりません。
    騙される時は騙されるもの。今回は、自分や自分の身近な人達が、うっかり信じてしまったり、判断に手こずったものをいくつか紹介しようと思います。
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  • 間違えるのは仕方ないが自信満々だと恥ずかしくなる話:シラノ

    2023-09-02 05:00  
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    知らないことが多すぎる!!!
    こんにちは、シラノです。
    皆さん、自信満々に知識を披露したものの、実は間違ってた……という経験、ありませんか?
    自分は割と短絡的な思考で判断した事を口にしてしまう方なので、後で
    「うわー、めっちゃ素人みたいな事言ってもうた!」
    と後悔する事がよくあります。
    自分ももうこの世に生を受けて数十年、その間に色々な知識を得て、その中でも特に真実に近いだろう物理学に出会ってからも長い時間が過ぎているのですが、未だに「嘘だろ!?」となる事が数多くあります。
    故に、今なお間違った事を言ってしまう事もしばしば。恥ずかしく感じる事もありますが、もう諦めました。
    神でない限り恥はかくものです。
    とはいえ、自分が「知らない」という事を棚上げして偉そうな顔をしていると、様々なところから反感を買うのも事実。
    ですので、間違ってしまう事は仕方ない、恥ずかしく感じる必要もないと思いますが、しかしながら、少なくとも
    誰かに質問をする時は、失礼にならないようにしよう
    と常に意識をしているつもりです。素人質問で恐縮ですが、は大事なのです。
    まあ、それでも、疲れていたり、ヒートアップしていると、つい要らない事を言ってしまって後悔する事もあるのですが……
    さておき、今回は実体験ベースで「自信満々に間違った事を言った人」の話をしようと思います。
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  • 世の中の「不思議」を紐解いて「納得」を導く方法:シラノ

    2023-08-10 05:00  
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    電車の中でジャンプしたら、なぜその場に着地するんだろう?
    こんにちは、シラノです。
    子供の頃に思う素朴な疑問、世の中の不思議って、たくさんあると思います。
    この「電車とジャンプ」の話なんか、典型的ですよね。
    動いている電車の中でジャンプしても、電車だけが先に進んだりはせず、その場で着地するのはなんで?
    そう疑問に思う人は多いでしょうし、自分もそうでした。
    こういった疑問を先生に聞いてみると
    「この世には慣性の法則っていうのがあってね……」
    と教えてもらえます。
    しかし、そんな法則の話を聞いても、どこか「起きるものは起きる、そうなるようになってるんだよ」みたいな、あまり回答になっていない、堂々巡りの話をされているようで、いまいち納得できずにモヤモヤしたものです。
    今にして考えればそれもそのはず、実際に起こっている物理現象に対して「なぜそんな事が起こるのか」という疑問は、あまりにも抽象的で答えの無い、哲学的な疑問だったからです。
    疑問の立て方が抽象的だと答えも抽象的になる、といえばわかりやすいでしょうか。
    その上、当時の自分は「納得する」とはどういうことなのか、その終着点もなかったように思います。
    これでは全体的にモヤモヤしてしまうのも仕方がないでしょう。
    今回はこの「疑問と納得」について、物理学的な視点を主軸におき、電車の例を使いながら紹介しようと思います。
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  • 物理屋シラノの「モノのコトワリ」の学び方:後編

    2023-07-22 05:00  
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    モノのコトワリと書いて「物理」、その学び方を更に追求します。
    こんにちはシラノです。
    前編から引き続き、物理の勉強法について書いていこうと思います。
    後編である今回は、前置きは終わったという感じで、より物理の勉強に特化した内容に……ああいえ、それでもわかりやすくご紹介するよう心掛けますから、出来れば最後までお付き合いください。
    ◆◇◆物理量は観測可能なものである◆◇◆
    意外に意識されていないように思うのは、物理量というものは観測可能なものである、ということです。
    当たり前といえば当たり前なんですが、物理では観測不可能なものについては考えません。
    「オッカムの剃刀」という考え方があります。これは「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針なんですが、物理もそういう側面があります。
    例えば「質点の状態はその位置と速度(運動量)だけで決まる」といった文言に、最初はどぎまぎするかもしれませんね。
    なんとなく「もっとこう、なんかないの?」的な。
    しかし「動く物体から観測できるもの」という点で考えると、確かに「位置」と「速度」くらいしかありません。
    このように、物理量は「実験的に観測可能である」事を意識し「どういった方法で観測できるのか」を常に意識しておくと良い場合がしばしばあるのです。
    ◆◇◆数式(公式)だけで満足しない◆◇◆
    「物理って数式が多くて分かりづらいんだよ~」とよく言われますよね。これはある側面では間違いで、ある側面では正しいです。
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  • 物理屋シラノの「モノのコトワリ」の学び方:前編

    2023-07-20 05:00  
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    モノのコトワリと書いて「物理」、その学び方をお教えします。
    こんにちは、シラノです。物理の勉強、難しいですよね。
    たくさん数式は出てくるし、よくわからない言葉や法則がやっぱりたくさん出てきて、何が大事なのかとてもわかりにくいです。
    ドツボにハマると「自分はいったい何をしてるんだ!?」みたいな気分になってきます。
    そして徐々に、目の前の教科書が、未知の言語で記された魔導書のように、意味不明な怪しい本に見えてくるのです……。
    そんな物理に対しての、自分なりの勉強方法について、今回と次回の前後編という形でご紹介していこうと思います。
    もちろん、物理以外の勉強にも応用できる内容ですので、物理と聞いただけで「そっ閉じ」しないで、お付き合い頂ければ幸いです。
    ◆◇◆単語の意味である「定義」をまず確かめる◆◇◆
    まず一番最初に最重要だと言えるのが「定義を必死に身に付ける」事でしょう。
    なんだかこう書くと当たり前のような気がしますが、だからこそ、一つ一つの単語の意味である「定義」をきちんと理解する事は極めて大事です。
    そして、初期段階において、一番難しいポイントでもあると、私は思っています。
    例えば電気の分野だと、
    電池、電荷、電界、電流、電圧、電気量、電源、電子、電力、電〇、電✖、電□……
    このように、似たような単語が大量に出てきます。
    初めて電気の本を読んだ人だと「これって全部電気??」みたいな気持ちになってしまうでしょう。
    しかし、これらの単語の意味があやふやなままでは、書いてある事を理解することもままなりません。
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  • ごあいさつ:怪人シラノの物理学探究への道

    2023-06-15 05:00  
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    皆さん、科学って好きですか?
    こんにちは。薬理凶室で工作・物理を担当しているシラノです。
    主にテスラコイルを作ったり、最近では半導体成膜装置を作ったりしています。
    薬理凶室としての活動では、どちらかというと科学監修のお手伝いなどをさせてもらう事が多いです。
    今回はブロマガの初回のご挨拶ということなので、自分の来歴や薬理凶室の面々との出会い、そして好きな学問について、お話させていただこうかと思います。
    ◆◇◆ア理科との出会い◆◇◆
    ア理科をはじめて読んだのは、おそらく小学生の頃です。
    当時は今よりやんちゃで、気になる事があったら、とりあえず試さずにはいられない、みたいな感じでした。
    例えば、小学校に「底なし沼」と呼ばれる池があって、「底がないわけがないだろう」と思ったので、
    池の水を全部抜いたりとか。
    そんな小学生の頃にア理科と出会った訳ですが、実はきっかけらしいきっかけは、昔過ぎてあまり思い出せません(笑)。
    古本屋さんを回ったりして、科学書を買うのが趣味だったので、たぶんその時に出会ったんじゃないかなぁ、と思います。
    ただ、出会いはともかく、ア理科の、その内容については
    「こんな事が普通の家で出来るのか!?」
    みたいな実験が盛りだくさんで衝撃を受けたものです。
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