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  • 【善意のやらかし】巻き添えでキャンセルされた偉人:亜留間次郎

    2025-04-10 05:00  
    ナチスの医学薬学は世界一ィィィィーーーーッ!
    と言っていましたが、歯科医学は先進国最底辺でした。
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    ナチスが政権を取るまでは世界的にも進んでいたのに、なんでそんなことになったのでしょう。
    今日はそんな、ナチスに巻き添えを食った偉人のお話です。
    皆さんは、虫歯になって歯医者さんに行き、レントゲンを撮って貰ったことがあるでしょうか。
    この歯科医療でのレントゲン診断、それを最初に行ったのは、
    ドイツの歯科医師フリードリヒ・オットー・ヴァルコフ先生です。
    日本の歯科放射線学の教科書にも載っているほどのドイツが誇る偉人でした。
    レントゲン写真が最初に撮影されたのは、1895年11月8日。
    その直後と言える1896年1月に、ヴァルコフ先生は、自分の歯のレントゲン写真を撮りました。
    ヴァルコフ先生の研究により、歯科医療の分野でもレントゲンは一般的になり、口の中を目視する事に頼っていた歯科診断は大きく進歩したのです。
    功績を認められたヴァルコフ先生は1906年から1926年までドイツ歯科医師中央協会(CVdZ)の会長を務めました。
    そして、21世紀になるまでヴァルコフ賞という賞がありましたが……
    ドイツが誇る偉人だったヴァルコフ先生は死後になって周囲の善意からキャンセル・カルチャーに遭いました。
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  • 【小説の史実ネタ】ソビエトの住宅事情と合法昔話:亜留間次郎

    2025-03-10 05:00  
    70pt
    ワシのなろう小説は主人公の部屋から始まります。
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    ワシのなろう小説の史実ネタの話、三回目ですが、まだまだ続きます。
    ●ソビエトが無くなったので資本主義の国で政治指導員メイドになりました
    https://ncode.syosetu.com/n6789ht/
    ソビエトは、女性を家事労働から解放すると言い、集合住宅に共同食堂を設けて住民全員に給食することで、各家庭で料理をしなくてもいいようにしようと考えました。
    味も栄養バランスも理想的な建前です。
    主人公が暮らしている集合住宅は、そんな時代に建てられた古い建物で、住民全員が共同食堂で同じものを食べています。
    主人公の母親は集合住宅の共同食堂で働いており、そして、高校に進学出来なくなって中卒無職になってしまった主人公も、お母さんと一緒に働いています。
    今回はそんな、ソビエトの住宅事情のお話です。
    ちなみに、ソビエトの住宅事情に関しては詳しい日本語の本が出ています。
    ●「革命と住宅」本田晃子著
    https://www.amazon.co.jp/dp/490718851X
    ◆◇◆ソビエト住宅事情・不評な集合住宅◆◇◆
    ソビエトは住宅事情が悪かったことでも有名です。
    不動産は全て国有財産で、個人の私邸は存在しない建前でした。
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  • 【小説の史実ネタ】ソビエトの食糧事情:亜留間次郎

    2025-02-08 05:00  
    70pt
    最近のラノベは飯テロがないとダメみたいです。
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    前回から引き続き、ワシのなろう小説に出てくる史実ネタを絡めたソビエトの話をしていこうと思います。
    さて、飯テロ、つまりグルメ描写というものが重要視されるようで、作中に美味い物が出てこないと人気が出ないようです。
    作中ではソビエト料理を文化祭で出す話を書いています。
    ●ソビエトが無くなったので資本主義の国で政治指導員メイドになりました
    https://ncode.syosetu.com/n6789ht/
    ソビエトで貧しい食べ物の代表格がカーシャ(каша)と呼ばれる蕎麦粥です。
    単純に蕎麦の実を煮ただけです。
    蕎麦は救荒作物と言われるほど寒冷な荒れ地でも育つので、ソビエトでは大量の蕎麦が栽培されていました。
    日本でも昭和二十年前後の食糧難時代を経験した人達は芋を食べるのを忌避するように、ソビエト末期を経験した人達は蕎麦を忌避します。
    そして、ウラジオストックは沿岸部なので魚も手に入ります。
    魚の切り身を塩水で茹でただけのスープがウハー(уха)です。
    主人公の日常的な食生活はそんな物ばかりでした。
    作中では日本で売られているロシア料理の本と違い過ぎることもネタにしています。
    ソビエトで食料が不足した原因は、生産量不足や流通機能の不足以上に、
    自滅的な飢餓輸出を行っていた
    ことが挙げられます。
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  • 【小説の史実ネタ】メイドみたいなソビエト女学生:亜留間次郎

    2025-01-09 05:00  
    70pt
    ワシのなろう小説はソビエトの史実ネタが大量に混ざっています。
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    前回、ドイツの遺産相続に巻き込まれてひどい目にあったのを元に小説を書いた話をしましたが、他の小説でもソビエトの史実を元にしているものがあるので、不定期連載として紹介していきたいと思います。
    ●ソビエトが無くなったので資本主義の国で政治指導員メイドになりました
    https://ncode.syosetu.com/n6789ht/
    この小説は、政治指導員になる事が出来なくなってメイドになった少女が主人公です。
    ソビエトの女子中学生の制服は、メイドとは無関係なのに、日本人から見るとメイド服みたいに見えます。
    このメイド服みたいな制服は、ロシア帝国時代、1746年に女帝エカチェリーナ二世が設立した名門女学校の制服に起源があります。
    貴族の御令嬢しか通えない、高貴な乙女の学校です。
    日本人が想像するメイドといえば、身の回りの世話をしてくれる人で、その大元は、イギリスやフランスのメイドでしょう。
    つまり、底辺層の女性労働者なのですが、それとは真逆の存在だと言えます。
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  • 【後編】遺産相続の揉め事を小説のネタにした話:亜留間次郎

    2024-12-09 05:00  
    70pt
    今回は「遺言執行者」にされたワシの話です
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    引き続き、遺産相続の話をしましょう。
    前回は、国によって違う遺産相続事情と、現実とフィクションの違いなどが主体でした。
    今回は、ワシが他人の遺産相続にモロに首を突っ込むハメになり、ひどい目に遭った、ドイツの「遺言執行者」の話をします。
    この件で振り回されて、慌てて勉強することになったので、それをネタになろう小説も書きました。
    ●スットコドイチェラント
    https://ncode.syosetu.com/n5072hq/
    ※作中ではワシが巻き込まれた当時の法律に基づいており、現行法は改正されているため、一部異なります。
    前置きはこの辺にして、さっそく解説に移りたいと思います。
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  • 【前編】遺産相続の揉め事を小説のネタにした話:亜留間次郎

    2024-12-07 05:00  
    70pt
    遺産相続のゴタゴタは国が違っても面倒臭いです
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    今日は遺産相続のお話をしましょう。
    ワシはいつ精肉加工所に出荷されて殺処分されるか分からないので、遺言状はしっかり作って公正証書にしてあります。
    作家の場合は遺産相続した遺族が出版に同意しなかったせいで本が絶版なんて事態もあるので……
    ちなみに、薬理凶室が関わる著作の権利に関してはくられ所長に権利を譲渡するように公正証書に書いてあります。
    なので、ワシの遺族が反対して「アリエナイ理科」シリーズが絶版なんて事は起きないのでご安心ください。
    遺言状はこうした問題に備えるためにも作っておく必要があります。
    自分自身の事はこうして事前に処理してある訳ですが、実のところ、ワシは他人の遺産相続にモロに首を突っ込むハメになり、ひどい目に遭いました。
    そして、そのネタを元に書いたなろう小説が「スットコドイチェラント」です。
    ●スットコドイチェラント
    https://ncode.syosetu.com/n5072hq/
    ※作中ではワシが巻き込まれた当時の法律に基づいており、現行法は改正されているため、一部異なります。
    なろう小説なのにドイツの法律についても細かく第何条の規定がどうこうまで書いています。
    遺産相続に巻き込まれてから慌てて勉強したんですよ……
    ということで、今回はそんな、各国でだいぶ異なる遺産相続にまつわる話をしていきましょう。
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  • 【大きなカブ】三歳児になって学ぶロシア語:亜留間次郎

    2024-11-07 05:00  
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    ロシア語を学ぶのに最適な民話が「大きなカブ」です
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    もし、小さなうちから子どもに外国語を習わせるなら、絵本の読み聞かせからはじめましょう。
    いきなり単語や文法の暗記から始めると小さい子供ほど駄目になります。
    大人が初めて学ぶ時でも同じかもしれません。
    今日は三歳児になってロシア語を学ぶお話です。
    皆さんは「大きなカブ」という絵本をご存じでしょうか?
    「それでもカブは抜けません」と、みんなで頑張って大きなカブを抜く話ですね。
    実はこれ、もともとはロシアの民話で、原題は「Репка(リェプカ)」。
    訳すとタダのカブになります。
    「大きな」と付いているのは本文に出てくる「大きな大きなカブ」からの意訳です。
    この民話には7つのキャラクターが登場します。

    ●登場キャラクター
    Репка  カブ 
    дедка  お爺さん
    бабак  お婆さん
    внучка 孫娘
    жучка  犬
    кошка  猫
    мышка  ネズミ

    全員でやっとカブが抜ける短いお話ですが、子どもにわかりやすい、というだけでなく、
    ロシア語を勉強する人達が真っ先に挫折する複雑な単語変化、
    それを学ぶのに、この民話の独特な言い回しが、教材として最適だと言えるのです。
    三歳児が学ぶのにちょうどよく、だからこそ、幼児並のロシア語能力しか無い初等学習者に向いています。
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  • 時代によって変わる言葉・翻訳家が必要な理由:亜留間次郎

    2024-10-10 05:00  
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    言葉は時代と共に意味が変わります。
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    同じ言葉なのに、年代によって意味が変わるとなると、翻訳したい場合が大変です。
    AIによる機械翻訳が苦手とする部分であり、そして人間の翻訳家でも難しくなります。
    一例として、アルセーヌ・ルパンのフランス語原文の翻訳を挙げましょう。
    1874年ごろ産まれ、1923年ごろに50歳近くなり最終章を迎えたアルセーヌ・ルパンの時代を見ると、現代では見慣れない単語が沢山あります。
    例えば、ハートの7(原題:Le Sept de cœur)と斧をもつ貴婦人(原題:La Dame à la hache)を見るとpneumatiqueという単語があります。
    コレをネットの機械翻訳にかけるとタイヤと訳されます。
    フランス語の『pneumatiques』はタイヤですが、圧縮空気から生まれた単語で作中年代は二つの意味がありますが、現代ではもう一つの意味が失われ、タイヤだけになっています。
    失われたもう一つの意味は『エアシューター』です。
    エアシューターが何かはウィキペディアの記事でもみてください。
    ●気送管 - Wikipedia
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E9%80%81%E7%AE%A1
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  • サメ映画とアメリカ史上最大のサメ事件:亜留間次郎

    2024-09-14 20:00  
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    今日はサメ映画のお話です。
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    サメ映画といえば超有名な名作『ジョーズ』から始まったと言っても過言ではないでしょう。
    この映画のせいでサメ被害の恐怖は実態以上に膨らんだと言えますが、映画よりも先にサメの恐怖を広めたアメリカ史上最大のサメ被害と言われている事件がありました。
    1945年7月30日、米国海軍の重巡洋艦インディアナポリスが日本の潜水艦から魚雷攻撃をうけて轟沈、600~800人がサメに食われたと言われた事件です。
    史実の客観的事実として、乗員1199名のうち883名が死んでいます。
    インディアナポリスは第二次世界大戦で撃沈された最後の米国軍の軍艦であり、救助が致命的に遅れたことから多くの死者を出しました。
    艦長のマクベイ大佐が撃沈の責任を問われて軍法会議にかけられたことも異例です。
    ですが、アメリカ史上最大のサメ事件で死んだ人達はサメに食われたワケではないようでした。
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  • スパイ映画から再評価されたゾルゲのお話:亜留間次郎

    2024-09-09 05:00  
    70pt
    今日は映画とスパイの話をしましょう
    どうも、薬理凶室のケダモノ、亜留間次郎です。
    先日はサメ映画が意外な歴史の再評価を起こしたお話をしましたが、今日も映画が意外な歴史の再評価を起こしたお話です。
    今日、取りあげるのはスパイ映画です。
    日本でソビエトのスパイといえばリヒャルト・ゾルゲが有名です。
    ソビエトでも英雄として扱われゾルゲを記念した物が沢山あります。
    だけど、ソビエトでゾルゲが知られたのは、意外にも戦後かなり経った1964年以降の話です。
    機密だから公表されていなかったわけではなく、本気でソビエトの人達は知らなかったのです。
    ◆◇◆ゾルゲの偉業◆◇◆
    ゾルゲの偉業として語られている話は二つあります。
    一つ目はドイツによるソ連侵攻の正確な日付を伝えた、しかし、スターリンは信じなかった。
    二つ目は1941年に日本は極東のソ連を攻撃しない、この情報によりソ連軍は極東の戦力をドイツ戦に振り向けることが出来たから勝利した。
    だけど、こうした話に歴史的事実として裏付けはありません。
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