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上杉隆の「ニッポンの問題点」【連載終了とスクープ】
2023-01-30 22:00385ptこんなことは書きたくないのだが、未来のジャーナリストとこの国の将来のために、書き残したい。7年ぶりに『週刊SPA!』での連載を再開した。五輪汚職と五輪談合。自画自賛するようでかっこ悪いが、再開当初からスクープの連発だった。検察の狙い、家宅捜索、逮捕者、企業の動き、さらには政治の反応。面白いほど報道の通りに進行し、同時進行ドキュメントとしては、最高の出来となった。スクープ連発の理由は簡単だった。筆者は20年近く同テーマで取材を続けており、当時からの情報源が改めて教えてくれたり、部下を紹介してくれたり、取り調べ内容を漏らしてくれたりしたからだ。当時と違うのは、ソースらが、実名のコメントを許してくれたこと、それは連載するにあたり、きわめて大きな力となった。
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上杉隆の「ニッポンの問題点」【みんなの哲学】いまこそ鴨長明を読む。800年前のしくじりジャーナリストはいかに生きたか?
2023-01-26 09:00385pt大地震、津波、悪政、パンデミック、噴火、戦争……。
この10年余り、日本は多くの災害に見舞われた。時代の変わり目なのか、あ
るいは「終わりの始まり」なのか、それは誰にもわからない。ただ、不幸な
時代の事象を反映するように、いま日本では終末論が蔓延り、予言や都市伝
説の類が溢れている。
こんな時代だからこそ鴨長明である。
鴨長明?誰それ?と思うかもしれない。また、『枕草子』(清少納言)、
『徒然草』(吉田兼好)と並ぶ日本三大随筆のひとつ『方丈記』の作者だと
とまでは知っているが、どのような人物かまでは知らないという方もいるの
ではないだろうか。
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上杉隆の「ニッポンの問題点」【大坂なおみさんの妊娠と出産女性への迫害~いのちよりも大切な制度など ない】
2023-01-13 14:00385pt四度のグランドスラマーでもあるテニス選手の大坂なおみさんが自身のインスタグラムで妊娠を発表した。素晴らしいことだ。誰であれ、幸せになる権利はある。新しい命と美しい決断にまずは祝福を贈りたい。Can't wait to get back on the court but here's a little life updatefor 2023.(また試合に戻るのが待ちきれないんだけど、実は、今年、小さな命が誕生するの)発表した文面によれば、今年いっぱい競技を休み、出産と育児に専念するという。かつて二勝している全豪オープンへの欠場については、来年の出場を約束し、批判的な報道を繰り返しているマスコミの口を一瞬で封じ込めた。アスリートのみならず、有名人の妊娠や出産については興味本位の報道が少なくない。これまでのように母となる彼女がそのターゲットとならないことを祈る。とりわけ、いまだ古い慣習を引きずる日本社会の対応が心配だ。戸籍制度という世界でも類を見ない前近代的な管理システムで、個人(とくに女性)を管理する日本においては、自由な妊娠や出産は「悪」であるという認識がまかり通っている。
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上杉隆の「ニッポンの問題点」【私の出会った悪徳弁護士たち】
2023-01-10 18:00385pt約2か月ぶりに上洛した。正月の京都とは思えないほどうららかな陽気で、
散策している鴨川の岸辺では、上着を脱いでも汗ばむほどであった。
年末に移譲の決まった京都の会社、その後継者である20歳代の若いN君
と、案内とあいさつを兼ねて古都を歩いた。
祇園でのお箸紙とりに、聖護院の寒中托鉢と、短時間ではあったが、すでに
京都の街は私にとって懐かしき場所になっていた。
5年前に立ち上げた新会社は、京都の大学講師で初代社長のIの不正に遭
い、いきなり売り上げの半分を失った。すぐに大阪のH弁護士に相談し、法
的な対応を行うも、出鼻をくじかれて、私の精神はズタズタになった。
京都は相性が悪いのではないか?祈祷やお祓いを繰り返したが、結果は変わ
らない。それはそうだ。京都が悪いのではなく、私が悪かったのだから。会
社経営をするにあたって、決めなければならないことをせずに、Iを完全に
信用し、彼に全権を委譲した私が甘かったのだ。結局、解任し、新しい経営
者を探すことになった。
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