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2013年5月の記事 7件

NO BORDER社長のある一日

きょうも騒がしい朝だった。ここ数か月間、私の朝はいつもこんな調子で始まる。昨年7月、メディアカンパニー「NOBORDER」を立ち上げ、とくに今年4月、本格的に事業をスタートさせてからは連日こんな調子である。昨夜ベッドに入ったのも午前3時を過ぎていた。その前の日は車の中で寝ていた。その前も車の中だ。首から背中にかけて走る鈍痛はこのためだろうか。さて、きのうは日曜日だというのに、朝8時からからスタッフの自宅を訪れ、奥さんの作ったサラダとパンを頬張りながら、先週の「失敗」の洗い出し、お互いの作業確認、そして、今週すべきウェブ統合などの事業の打ち合わせを行っていたのだ。2時間の予定だった打ち合わせが4時間近くにも及んでいることに気付いたのは、私の次の予定を知らせるアラームが鳴ったからだった。前日、電話で1時間18分も怒鳴りあったからだろうか、スタッフとの話し合いそのものは静かに進んだ。そしてそのスタッフの家からさほど遠くない鮫洲の免許センターに更新手続きに向かった。右折禁止の反則があったため、2時間の講習である。講習の中で、福岡でこども3人が亡くなった橋の上の飲酒追突事故で、20年の実刑判決が下り、服役中であることを初めて知った。飲酒運転の罰則が強化され、行政や社会が違反者に厳しい対応で臨むことに異論はない。愛しいわが子をいっぺんに3人も失った父母の気持ちを思えば、数億円という示談金も頷ける。そんなことを考えながら教官の話を聞いていて浮かんだのは、若くしてバイク事故で命を落とした同級生Hの顔だった。 

NO BORDER社長のある一日

トマトスープ理論 ハフポスト日本版の問題点(3)

ハフポスト日本版がジャーナリズムではなく、単なるメディアを目指しているのならば、私たちは何も言うべきことはないだろう。 5月7日のトップ記事をみると、ハフポスト日本版の哀しい方針が見える。 〈安倍首相、ハフィントンポスト参加へ 安倍晋三首相がハフィントンポスト日本版にブロガーとして参加することが5月9日、決まりました。 安倍首相は同日午後、ハフィントンポスト米国本国版の創立者のアリアナ・ハフィントンと首相官邸で会談。日本が抱える様々な問題について議論を重ねた結果、ブロガー参加を快諾しました〉 安倍首相がブロガーとして寄稿する。そのことが問題とするのではない。元祖ハフポストも確かにそうやって大きくなってきた。 だが、まだカテゴリータグが4つしか存在せず(政治・経済・国際・社会)、執筆者も「ブロゴス」や「ヤフーニュース」と変わり映えのない人々を並べているだけの新鮮なはずのニュースサイトが、現職の最高権力者の投稿を嬉々として喧伝しているセンスを、私はどうしても理解できない。 ハフポストは、その設立からしてすでにジャーナリズム精神を捨ててしまったと誤解されてもいいのだろうか。

トマトスープ理論 ハフポスト日本版の問題点(3)

ハフポスト日本版に待ち受ける問題点(1)

5月7日、予定通りハフィントンポスト日本版がローンチイベントを行なってスタートした。 最近多用されているローンチという言葉を使うあたり、新しさを感じる向きもあるかもしれないが、私はそうは思わない。 というのも、ハフポスト日本版のスタートがあまりに予想通りの問題点を孕んだまま、なんらそれらを解決せずに船出したことで、初めから暗雲の立ち込めているのが明らかだからである。 別に産まれたばかりのハフポストをくさそうというわけではない。新しいメディアの誕生は、閉塞した日本の言論空間に変化をもたらす意味で少なからず貢献するはずだ。 ただ、指摘しておきたいのは、今回の朝日新聞との提携自体はあまりプラスにはならないだろうということだ。 せっかくならば、ハフィントンの精神を活かした日本進出を行えばよかったのにとつくづく思う。きっとそれは、米国のメディア事情を知っている者であるならば共通した意見であろう。 ひとつの結論を言えば、今回のハフポスト日本版の誕生の裏には、朝日新聞幹部による、朝日新聞幹部のためのどうでもいい面子争いがある。 前社長の吉田慎一氏時代に決まったこの無意味で、古びた提携戦略は、木村伊量社長になっても見直されることなく、生煮えのまま突っ込んでいってしまった。 確かに朝日新聞はここ数年、ネットメディアへの進出を目論み、ツイッターやネットに詳しいという専門家やジャーナリストを呼んでアドバイスを受けていたのだが、まさしく今回はそれが問題の遠因となってしまったようだ。 仮に日本のネット界ではなく、米国のメディア事情に詳しい者ならば、ハフィントンポストが特定のメディア(朝日新聞)と組んだ時点で疑問を抱くことだろう。つまり、それは、多様性を重視するはずのハフポストの存在意義を、自ら否定することにつながるからに他ならない。 だが、その最初の具体的な矛盾すら乗り越えられずにハフポスト日本版はローンチしてしまった。

ハフポスト日本版に待ち受ける問題点(1)

安倍政権、誰がスピンをかけているのか?

昨夜(5月8日)「日本構想フォーラム」波頭亮・主宰)があった。 ゲストは慶応大学ビジネススクール准教授の小幡績氏。キーノートスピーチのテーマは「アベノミクスからクロダノミクスへ 異次元の世界」、政府の金融政策を「アベノミクス」と「クロダノミクス」に分けている点が興味深い。 といいつつも、実は、私自身は東京FM『タイムライン』の出演があったため遅刻、小幡さんの話を聞いていない。その後の質疑応答の中で探り得たものだ。 すべてを超越したクロダノミクスによる市場の制圧は国債市場を混乱させ、不安定するだろうという指摘は納得のいくものだった。 私は鎮痛剤にも抗する痛みと闘いながらも、中央銀行による市場の制圧は歴史的にあったのだろうか、などと考えていた。 それを小幡さんに質問するのを忘れさせてしまったのは、フォーラムメンバーで新著『不格好経営 チームDeNAの挑戦』(日本経済新聞社)を出したばかりの南場智子さんの次の発言だった。 「安倍政権の戦略(スピン)は誰が考えているのかしら?」 政権のメディア戦略(スピンコントロール)は私の追ってきたテーマでもある。だが、南場さんの質問に答えられない。 その理由は二つある。

安倍政権、誰がスピンをかけているのか?
上杉隆のニッポンの問題点

メディアカンパニーNO BORDER代表 上杉隆が政治からゴルフまで大手メディアが取り上げることのできないニュースを続々配信します。他メディアでは絶対に知りえないスクープも、権力からの圧力に屈することなく、真相をお伝えします。

著者イメージ

上杉隆

株式会社NO BORDER 社主。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局・衆議院公設秘書・「ニューヨークタイムズ」東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。政治・メディア・ゴルフなどをテーマに活躍中。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『ジャーナリズム崩壊』 『続・上杉隆の40字で答えなさい』『オプエド』『失敗から人生はゼロになる』などがある。

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