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記事 10件
  • 革命前夜のトリックスターたち 野口健と剣の舞

    2013-02-27 18:00  
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    久しぶりに野口健さんに会った。最後に会ったのが『ニュースの深層』(朝日ニュースター)に出演してもらった時のことだから、かれこれ5年にもなるのだろうか。野口さんは、7大陸最高峰最年少登頂の世界記録保持者とは思えないほど重厚感のないアルピニストだ。もちろんそれはいい意味で言っている。なにより正直で素敵なトリックスターなのだ。とにかくよくしゃべる。私もしゃべりだすと止まらない方だがその比ではない。まるで「剣の舞」がBGMで流れているような勢いで話し続けるのである。初めて彼と会ったのは議員秘書時代だった。エベレスト登山のゴミ拾いか何かの陳情だったと記憶している。その時の印象もやはり同じだった。初対面(だった?)の鳩山邦夫代議士に食ってかかるように話し続けていたことしか印象に残っていない。その彼と『週刊SPA!』の私の連載(「革命前夜のトリスタたち」)で再会できるとあって、私は心から愉しみにその日を待っていた。ところが当日、直前にあった自由報道協会の理事会で大きな問題が発生し、私は心から疲弊し、重い足取りで彼の事務所に向かうことになったのだ。 
  • 上杉隆の夜のズバッ!と生ステーション 「アベノミクスは救世主なのか?」全文書き起こしPART2

    2013-02-22 08:00  
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    ■生放送告知http://live.nicovideo.jp/watch/lv1278886652/28(木)21:00~上杉隆の夜のズバッ!と生ステーション 「ネット選挙解禁で日本が変わる!?」
    PART1からの続き・・・薬師寺 今の発言で、消費税の軽減税率をどうする、ということとは別にして、日本の言論の歴史を振り返ったときに、それが自由や民主主義に貢献をあまりしてこなかったという部分は、ちょっと言い過ぎなような気が僕はしましたけど。 というのは、要するに戦前は、その自由が法律的に国家権力から認められなくて、新聞も弾圧の対象になっていたわけです。だから、それに対して闘った言論人もいるし、戦後もさまざまな形で多様性のある言論が存在しているからこそ、ほかの国、中東の国や、例えば中国やロシアに比べてもいい国になっている部分はある。ただ、おっしゃったように、行き過ぎた商業主義という現実も今ありますから、それは当事者が心して構えないと、自分たちが自分たちを滅ぼすことになることはあるかもしれない。
    藤本 僕は、でも軽減税率そのものに反対なんです、実は。税制というのはやっぱりまず単純化して、単純化したところから進めないと、施工する前にこれは外してくれ、などと言いだしてしまうと・・・
    高木 難しいところです。
    藤本 これはやっぱり、ここも、公明党の悪いところだと僕は思います。どこかで自分の存在感を見せたいがために、弱者に対しておもねった軽減税率みたいなことをして、われわれはこんな要求を通したぞ、というようなことをいつも言うんです。だけど、最初はフラットに・・・だって、間接税では消費税が一番公平だということで始めようとしているのに、そこに差異を付けて制度を先にいじってしまったら、意味がないじゃないですか。
    高木 この軽減税率って、去年の6月に自民、公明、民主で3党合意をしたときに、消費税というのはフラットに税金を取る、だから安定的な財源になる、という前提なんだけれども、一方で、逆進性という形があって低所得者の負担感が高いから、低所得者対策はやらなきゃいけませんね、ということは合意したわけです。
    藤本 いや、だけど、自民党は景気を良くすると言っているんです。国民の所得を上げると言っているんです。上げた時点で、なおかつそこからこぼれている人たちの手当を考えるのはいいけれども、所得を上げると言っていて、弱者をどうするか、というようなことっておかしいでしょう、やっぱり。
    高木 ちょっと待って。そういうような中にあって、じゃあどうしようか、と言ったときに、8%段階では軽減税率か簡易な給付措置、10%段階では軽減税率か給付付き税額控除。これは減税ですね。減税で、税金を納めていない人はその分だけお金を渡す。給付をする。
    藤本 なんで僕が言っているかというのは、アベノミクスというのは、基本的には金持ちに金を使わせる政策なんです。そこに、金を使えない人たちは福祉でフォローしますよ、だからそれはギリギリのところの人たちですよ、という・・・アベノミクスでしょう、これは。金を持っている人に・・・
    高木 大ざっぱに言うとそうだけど、じゃあその困っている人は、どこからが困っている人で・・・この線引きだって難しいですよね。そうなってきたときに、この軽減税率というのは、食料品だとか日用品で、一番負担感が多いところがいわゆるおさまる・・・
    高木 さあ、じゃあどこの段階でやるか、こういう話になっているわけです。
    上杉 延長失敗? 終わっちゃった? 止まってる、止まっていない?
    -- ちょっと待ってください。止まっています。
    上杉 戻った?
    -- 再開しました。
    上杉 今、止まってしまいましたが・・・
    藤本 何か質問を受けたらアベノミクスに戻さないと(笑)
    高木 アベノミクスの話だったんですね、すみません。私が入ったことによって変な方向にいっちゃったかな。
    藤本 いいえ、とんでもないです。
    上杉 先ほど話の途中だったんですけど、報道の自由度のランキングが発表されました、きょう。日本は53位、31ポイント下がりました。
    薬師寺 それはどこが発表したかを教えなきゃ。
    上杉 国境なき記者団の・・・
    藤本 アベノミクスと報道の自由と、どこでどうつながっているの。
    薬師寺 アベノミクスでお伺いしたいことは・・・
    上杉 アンケートを採ろうと。
    三橋 アンケート、きょうはやっていない・・・
    藤本 アンケートをするほど素材を与えていないから(笑)
    上杉 質問を募集しますか。質問、そちらに来ています?
    上杉 募集していないんですよね。じゃあ、その前にアベノミクスで回しましょう。
     
  • 上杉隆の夜のズバッ!と生ステーション 「アベノミクスは救世主なのか?」全文書き起こしPART1

    2013-02-21 08:00  
    398pt
    上杉 ということで、第6回目となる『夜のズバッ!と生ステーション』ニコニコ生放送でございます。 今回のテーマは「アベノミクスは救世主なのか」、この真面目なテーマ、このニコズバ、夜ズバ初の経済財政問題等のテーマということで・・・誰も詳しい人、いないんじゃないかという気がしないでもないんですが。
    三橋 そうですね。
    上杉 安倍政権に関しては、新しい経済政策を打つことによって株価も上がり、そして日本復活か、再生か、という期待もありますが、朝日新聞などではその逆のような感じの記事も出ています。 ということで、今回も三橋さん。
    三橋 はい。『AERA』の三橋です。よろしくお願いします。
    上杉 三橋麻子さんとお送りしていきますが、ゲストコメンテーター、レギュラーコメンテーター、元朝日新聞政治部長、現東洋大学社会学部教授、薬師寺克行さんです。よろしくお願いします。
    薬師寺 よろしく。
    上杉 「WEBRONZA」に何か寄稿しているんですね。
    薬師寺 時々ね。
    上杉 もう1人のレギュラーコメンテーターの藤本順一さんが、きょうはこの時間になってもまだ来ていないということで・・・実はこちらに向かって間もなく到着するということなんですが、スペシャルゲストをお連れするということで・・・藤本さんが到着次第加わってもらいますが、一体誰が来るんですかね。
    三橋 どなたでしょう。
    上杉 薬師寺さんには情報が入っていて、さっきヒントを出していたような感じです。
    三橋 永田町のホープの方。
    薬師寺 そんなことを言っていました。
    上杉 本当ですか。
    薬師寺 うん。
    上杉 さすがですね。与党か野党か、あるいは全く違うところか、非常に気になるんですが・・・それではアベノミクス・・・その前にこれがありました。
    三橋 そうですね。いつもの棒読みが(笑) 「上杉隆の東京脱力チャンネル」は、ニコニコチャンネルの新しいサービスであるブロマガ機能、つまりブログとメールマガジンが一体になった新サービスを利用した、メールマガジン連動型のメディア報道番組です。「上杉隆の東京脱力チャンネル」有料会員になっていただければ、有料、無料、全ての動画が閲覧できますし、過去のメルマガを含め、全てのメールマガジンを読むことができます。「上杉隆の東京脱力チャンネル」ページ、一番下の右に登録ボタンがございますので、そちらからご登録ください。すみません、失礼しました。
    上杉 三橋さんのこの棒読みの感じも、ここ5回目ぐらいというと、すごく居心地良くなってきますね。
    三橋 すみません。次、いきましょう。
    上杉 ということですね。まずアベノミクスについて、薬師寺さん、これ、よく分からないんですけど。そもそも何がアベノミクスなんですか。
    薬師寺 言葉の定義は、私ももちろん経済が専門じゃないから間違っているかもしれませんが、日本の経済は、バブル経済崩壊後、約20年間低迷を続けているわけです。最近はデフレが続いていますよね。それをなんとかしようと、いろんな政権は、財政出動することによって景気を回復しようとしてきたんですが、財政を積極的にやればやるほど、借金が増えるんです。借金は増えるけど、景気は良くならないでデフレが続いている。 じゃあどうすればいいのかということで、新しい考えというか、前から言われていたんですけど、金融政策のほうをもっと緩和しよう、そうすることで市中にお金が出て経済が活性化したり、インフレが起きて日本経済が発展するんじゃないか、という考え方です。そういうものが中心にあるということだと思います。 だから、2%のインフレを決めましょう、目標にしましょう、というインフレターゲットというものを最初に安倍さんは言いだしまして、日銀と合意をして、政府、日銀でやりましょうということで打ち出した。それが大きな柱の1つですよね。
    上杉 アベノミクスを解説している間に、藤本さんが到着された・・・
    藤本 すみません、大変遅くなりまして。
    上杉 あら! おっ!
    藤本 ごめんなさい。連れてきちゃいました。大丈夫? 座る席、あります?
    上杉 ええ。これは驚きですね・・・と言いつつ何か用意している。「誰?」って、今来ているんですけど、今映ります。藤本さんの到着と同時に、藤本さん・・・
     
  • ツイッターは終わったか?(2) 津田大介もオワタ?

    2013-02-20 08:00  
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    ツイッターはオワタ?前々回のメルマガ「ツイッターは終わったか?」(連載1回目)の掲載後、すぐさま大きな反響があった。「2ちゃんねる化したツイッターは終わったも同然だ。もう利用していない」という政治家もいれば、「いや終わっていません。それどころかどんどん健全になっていると思います」(乙武洋匡氏/週刊SPA!連載『革命期のトリスタたち』の筆者との対談の中で)という識者もいる。どちらにせよ、日本語版の登場から現在に至るまで、ツイッターが日本の言論空間に与えた影響は小さくない。その日本版ツイッターの登場から3年余、役割は細分化され、利用者の個人個人で使い方も、重要度も違ってきている。それはある意味、乙武さんの言うように、ツイッターが健全なメディアになってきた証ともいえる。さて、今回の連載の意図を告白すれば、登場から3年を経て、情報流通のひとつのインフラに成長したツイッターを改めて考えてみようということであり、ツイッターの是非も含めて議論のきっかけにしようという目論みに他ならない。きっかけとして同テーマでの連載を開始し、さらにはNOBORDER全体での共通テーマまで広げていけば、新しい発見もあるのではないかというのが私の狙いだ。もちろん、そのゴールは言論の多様性に他ならない。ところが、いやその黎明期からではあるのだが、ツイッターの世界にも短絡的思考に陥る人が少なからず存在するのが残念だ。 
  • 【追悼】鳩山安子さんとピコットのパン

    2013-02-14 08:00  
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    〈夜9時15分、母安子が亡くなりました。九十歳でした。〉飛行機の中で受信していたメールで鳩山安子さんの逝去を知った。昨夜のことである。安子さんは90歳だった。金曜日に一度容態が変わったが、昨日はいったん元気になり会話もしていたという。それが夜になって再度急変、結局、還らぬ人となった。いま新幹線の中で、鳩山邦夫さんから送られてきた冒頭のメールを再読しながら、安子奥様(鳩山事務所ではみなこう呼んでいた)のことを想い出している。新聞やテレビは、早速「ゴッドマザー」などという呼称を使って、彼女の死を報じている。相変わらずいい加減なものである。確かに、鳩山威一郎元外相(元大蔵事務次官)の妻で、由紀夫元首相、邦夫元総務相の母で、ブリヂストン創業者の石橋正二郎氏の長女となれば、そうした印象を受けるのも仕方がないのかもしれない。だが、安子奥様を本当に知っている者ならば、安子さんがそんな呼称がまったく相容れない人物であることをわかっているはずだ。いや、むしろ安子さんは、「ゴッドマザー」などとは正反対の慎ましく優しい女性であった。安子奥様と最初に会ったのは今から約20年も前のことだった。 
  • 「メディアフレンジー(狂乱)」に沸く被害者取材

    2013-02-13 08:00  
    元ジャーナリスト上杉隆氏のブロマガを担当しているライターの斎藤です。前回の更新では、先日アルジェリアで起きたテロ事件を機に問題となった実名報道と取材方法の是非について、上杉氏への直接インタビューをお届けしました。今回は同様に、同事件で同じく問題となったメディアスクラムによる被害について、上杉氏に語っていただきました。以下はその内容です。
    ――アルジェリアのテロ事件が日本で報道された際、一部の関係者のところへ一斉にマスコミが集中したことが問題になりました。いわゆる「メディアスクラム」を上杉さんはどうお考えですか。
    上杉:まず、言葉の使い方として、今回問題になっている一部の取材対象に大勢のマスコミが集中してしまうことを「メディアスクラム」とは呼びません。本来の「メディアスクラム」とは、国家権力や巨大企業など、一報道機関では立ち向かうことが難しい相手に対し、複数のマスコミが一体となってキャンペーンを張ったり、糾弾することを指す言葉です。つまり強い相手に対して、一致団結して対決していこうというもので、決して立場が弱い被害者などに一斉に押し寄せて、感情を逆なでするような取材を行うことではないんです。そうした報道について、イギリスでは「メディアフレンジー(狂乱)」と呼んでいます。
    ――日本ではメディアスクラムの使い方が別の意味で使われているんですね。
    上杉:そうですね。それも報道のあり方というところが問題になってくると思います。何度も「記者クラブ」の批判をしているのですが、本来ならこういう時の取材にこそ、記者クラブで行っているような、幹事や代表を決めた取材方法が取られるべきなんですよ。被害者取材が必要な一面もあるとは思いますが、各社同じ映像やコメントを使っているんだから、大勢で詰めかけて、「今、どんなお気持ちですか」なんて質問はするべきではない。代表が一社だけ行って、それで得た情報を他の社も使えばいい。政治家や社長相手の取材に気を遣い、傷ついている人に容赦なく押し寄せるよう取材方法は、間違っている。
    ――今回のような問題を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか。
    上杉:今回の事件では、ほとんどの関係者が取材を拒否している状況だったと聞いています。そのなかで、一部の関係者のところに取材が集中してしまった原因の一つは、その関係者の人が一度取材を受けてしまっていたことが挙げられるでしょう。取材が出来ない中で、一件取材を受けてくれたところがあるという情報はまたたくまに広まり、同じ取材先へ集中することになったのでしょう。全マスコミが一斉に集中するようなあり方は、関係者にとって相当な負担になる。被害者報道の意義という言葉を信じるなら、それが自社だけのスクープでなくてもいいわけですから、先ほども言ったように取材の方法そのものを見直していくべきだと思います。
  • 恋愛は罪か? AKB48のスキャンダル

    2013-02-09 08:00  
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    AKBの指原莉乃と峯岸みなみの二人と『週刊プレイボーイ』(集英社)誌上で連載を始めて3年が経つ。最初に二人に出会ったころの印象は「賢い少女たちだな」という程度のものだった。当時、二人とも高校生だったということもあって、まだまだ幼なさの抜け切れなかった。だが、その内奥には輝くような賢明さを小さく放っていた。それが何かは一緒に仕事を続けていく中で判明してくる。指原は、その率直な好奇心が彼女の成長と相まって生来からのクレバーさを際立たせていく。社会の疑問には黙っていられず、少女特有の不安定さを抱えながらも、挑戦する意欲を決して失わない大人になっていく。私は彼女に向かって「ジャーナリスト向きだ」と伝えたことがある。峯岸は、誰もが認める率直さの中に独特の強さを滲ませていた。メンバーの誰とも同心円で付き合い、一期生の責任感と後輩に対しての面倒見の良さを発揮していた。どんな時でも笑顔を絶やさず、スタッフや周囲の人間に優しい反面、自らに対してはとても厳しかった。講談社の企画で、私がAKBメンバーのランキングをつける特集のあった時のことだ。 
  • アルジェリア実名報道問題は「記者クラブ」が原因

    2013-02-06 09:00  
    元ジャーナリスト上杉隆氏のブロマガを担当しているライターの斎藤です。先日アルジェリアで起きたテロ事件では、日本人を含む人質多数が死亡する痛ましい結果となりました。その際、政府が公表を控えている段階で、朝日新聞が人質となった可能性のある人物の実名を報道したことは、この人物の親族を名乗る方がネット上で強く抗議したこともあり、大きな波紋を巻き起こしました。その影響は朝日新聞だけでなく、他の報道機関にも及び、実名報道の是非についての議論が活発に交わされることになりました。この事件について上杉氏に直撃インタビューを実施してきました。以下は、そのやり取りの内容です。
    ――大前提として実名報道そのものに関する上杉氏の考えをお聞かせください。賛成ですか?反対ですか?
    上杉:実名報道自体は賛成です。実名を出すこと自体を責めている人もいるが、実名でなければわからないことはある。もちろん報道される一部には、載せる必要のない情報もあります。しかし、「名前」そのものは載せるのがむしろ当たり前だという認識です。海外で危険のあるなかでも、仕事をしている人がいる。そこで働いている人を記号にしないためには、「名前」というものが必要だと考えます。
    ――ですが、政府も襲撃されたプラントを開設し、多数の社員が人質となった日揮も、氏名は公表しない意向を示していました。それでも実名報道はするべきなのでしょうか。
    上杉:もし仮に、私が政府担当者であったなら、実名を公表していたと思います。ですが同時に、今回の政府や日揮側の対応に関しては、批判されるべきものではないと思っています。政府はきちんと情報が確定するまでは、情報を明らかにしないという立場だったと思いますし、日揮側は他の従業員の安全面を考慮した上での非公表という結論だったのでしょうから。私は賛同できないけれども、政治的判断、そして経営的判断として尊重するべきものだと思います。
    ――ということは、今回の実名報道自体は間違っていないと?
    上杉:それは違います。みなさん問題を混同してしまいがちですが、人質の関係者の話が事実だとすると、今回、朝日新聞の記者が実名を報道したのは間違っています。ただ、問題は実名報道そのものではなく、その情報を入手した取材方法にあるんです。朝日の記者は関係者に「実名を公表しない」という約束で情報を入手しました。にも関わらず、同意なしに公表してしまった。しかも、誰から情報を得たのかがわかってしまうようなやり方で。これは情報源の秘匿というジャーナリズムの根底に関わる問題。報道には実名が必要だ、という主張は私も同意しますが、そのために取材した人との約束を反故にするというのでは、守るべきポイントを間違えている。ウォーターゲート事件を思い出してください。記者は情報提供者の名前を本人が名乗り出るまで、30年も守り通している。私自身もさまざまな取材活動を行っていますし、その中でいろんな批判にさらされることもあります。そんな時、情報源を明らかにすることで批判をかわせるとしても、それをしてはいけないし、やったことは一度もありません。ジャーナリズムとはそういうものです。
    ――ジャーナリズムの根底にあるものが、なぜ今回は守られなかったのでしょう。
    上杉:いつも指摘していることですが、一番大きな要因は「記者クラブ」というシステムにあります。海外では「自らの名前」で取材をし、記事にするときも署名することで内容に対する責任を明確にしています。しかし、日本のマスコミは会社の名前で取材活動し、「記者クラブ」で横並びに情報を得ることに慣れている。記事に対して、自ら責任を取ると言う意識がないし、その権限もありません。今回朝日の記者は当初実名を伏せる方針だったところ、上司に言われて出さざるを得なかったという話も聞いています。そういう組織になっている時点で、起こるべくして起こった事件と言える。今回の事件は特に目立っていますが、こうしたやり取りはマスコミでは日常的に起こっています。これを無くすためにも、記者個人の責任を明確にし、「記者クラブ」を廃止して、新しい組織を構築していく必要があるでしょう。
  • ツイッターは終わったか?(1)

    2013-02-06 08:00  
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    日本のメディア環境の劣化が著しい。日本人が、記者クラブシステムなど一元的な情報受信に慣れてしまっているためだろうか、自ら考え情報の是非を判断することを不得意とする人々が社会全体に蔓延しているようだ。それは情報リテラシーの欠如による思考停止を招き、社会全体の硬直化につながっている。悲惨なことに、そうした傾向は知識人などのエリート層において顕著だ。また、ネットに慣れ親しむ若年層なども「2ちゃんねる:のような匿名での情報の受発信に慣れてしまっているため、責任ある情報社会を築くことをさらに難しくしている。そうした社会的な要因も影響しているのだろう、先日、国境なき記者団の発表した報道の自由度で、日本のそれは世界53位にまで急降下してしまっている。確かにツイッターやフェイスブックなど日本人のSNSの使い方を、海外との比較で眺めていてもそう感じる。何を食べた、犬猫と遊んだ、という他愛もない平和な会話が延々とSNSの大半を占めている(もちろん海外のSNSもそうした傾向がないわけではないし、私自身もそれを否定しているわけではない。ただ、日本の場合は極端すぎるのだ)。 
  • 死者への詫び状 日隅一雄賞の真相

    2013-02-01 08:00  
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    先週の土曜日(1月26日)、第二回自由報道協会賞の授賞式が無事終わった。大賞はジャーナリストの大先輩である広瀬隆さん。取材ヘリを寄付で飛ばし、デモの空撮を行ったことが主な受賞理由だが、それ以外にも3.11以降の週刊朝日での連載、あるいはチェルノブイリ原発事故以降の長い原発報道などが受賞理由にあがっていた。私、個人としてもとても嬉しいし、昨年まで大賞に名前の冠のついていた日隅一雄さんも、あの世で喜んでいるに違いない。自由報道協会賞は、前回の反省を活かして、各賞選考において第三者も入った選考委員会を立ち上げ、長い時間をかけてノミネートを選び、さらにその中からもっと長時間かけて受賞者(作品)を選ぶというスタイルに変更した。仮に、日隅一雄さんが生きていれば、きっと選考委員会に進んで参加していただろう。「上杉さん、私にやらせてください」という声がいまにも聞こえそうなくらいだ。実際、第一回目の「選考」にも日隅さんは関わっていた。それもあったのだろう、一年前の第一回目の自由報道協会賞授賞式で、プレゼンターとして壇上に上がった日隅さんの嬉しそうな笑顔がいまなお忘れられない。「こんな無名の私の名前が、自由報道協会の賞、しかも大賞に残るなんて本当に申し訳ない限りです。もっと立派な諸先輩方がいらっしゃるのに――。とても名誉なことで嬉しく感じています。心からありがとう」その日隅さんとの約束をまさか反故にしなくてはならなくなる日が早く訪れるとは夢にも思わなかった。今回、自由報道協会はその大賞から日隅さんの名前を外した。その代わり、故人ではあるが特別賞を授与し、日隅さんとの関係を協会として清算することにしたのだ。協会内部では誰一人望んでいない結論だった。にもかかわらず、自由報道協会は日隅さんの名前を使うことを放棄せざるを得なかった。いったいなぜか?これから書くことは、いまでもなお私自身、明らかにすべきかどうか悩んでいることだ。