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自由報道協会 公益法人化の狙い
2012-09-29 08:00398pt自由報道協会は公益社団法人に移行することが決まった。 昨年2011年1月の発足から約1年半、フェアな言論空間の構築を目指して、公平な記者会見の開催、政府や議会への申し入れ等を行ってきた非営利団体は、これで新しいフェーズに入ることになる。 今回の変更にともなって、代表である私の肩書も「理事長」に変更される。だが、もちろん、それが今回の公益法人化の目的ではない。 自由報道協会にとって、いや日本の言論界にとって公益法人化の意味は小さくない。 それは、多様な価値観を認め、フェアな言論空間を創るためには極めて重要なステップとなる。換言すれば、長年、記者クラブというカルテルがもたらしてきた、公的な情報が国民に正しく届かないという不健全な状態からの脱却の時期がやってきたことに他ならない。 -
さよなら夏の日 山下達郎の傷心時代
2012-09-27 00:00398pt待ちに待った9月26日がやってきた。夏から待ち望んでいた水曜日――。 何の日か。そう、私の著書、『メディアと原発の不都合な真実』(技術評論社)の発売日――、と宣伝したいところだが、実はそれではない。 きょうは『OPUS』のリリース日、あの山下達郎さんの17年ぶりのベスト盤に会える日なのだ。〈SUGAR BABEで22歳の時にデビューしたんですけど、あの時作ったアルバム『SONGS』は、オルタナティヴ・シーンでのポップ・ミュージックという、ヘンテコなミクスチャーでした。今でも作品自体はもちろん好きだけれども、活動していた音楽シーンでの屈折した人間関係や、野外イベントに出演すると野次られるというような、あの時代のロックシーンのあり方に傷ついた思い出も共にあります〉(TOKYO FM タイムテーブル9月号) 35年前の野外イベントでは野次られていた達郎さんだが、今年の夏、山中湖畔での「夏フェス」では圧倒的な聴衆の歓声が待っていた -
春琴抄と戦後史の正体 ベストセラーの秘密
2012-09-26 08:00398ptけさ、孫崎享さんと久しぶりに会った。「U3W」(NOBORDER)の番組の中で、じっくり話したのだが、そういえば鳩山政権以来のことではないだろうか。 番組冒頭、私は驚異的な売り上げを記録している『戦後史の正体』(創元社)について触れた。2か月で20万部超、この種の堅い本では異例の売り上げだ。 「これだけの売り上げは、創元社にとっては谷﨑潤一郎の『春琴抄』以来だそうです」 こう言って笑う孫崎さんだが、驚くべきはほとんど大きな宣伝をしていないにもかかわらず、しかも、決して易しくないこの本がこれほど売れていることだ。 果たして、その秘密は何か? 打ち合わせの席上、早速、聞いてみた。 「ツイッターですよ」 簡単にタネ明かしをしてそう言う孫崎さんだが、ツイッターならば私もやっている。 しかも、フォロワーの数だけでいえば孫崎さんの5倍以上の約28万人、にもかかわらず、20万部も本が売れたことはない。 「3か月かかって仕込むんです。わたしは基本、ヒマですから」 そう言って笑う孫崎さん、いったい何をやったのだろうか。 「少しずつ少しずつ、関心が広がるように本の中身をつぶやいていくんです。いっぺんにツイートしてはいけません。一日に少しだけです。それを継続していたら、発売前にはアマゾンの予約だけで6000冊になりました。わたし、ヒマですから」 なんということだろう。ツイッターのつぶやきが谷﨑潤一郎を捉えたのだろうか。 ※この記事は上杉隆氏のブロマガから一部抜粋したものです(ニコニコニュース編集部) -
文筆生活と講演活動 30番目の本
2012-09-25 00:00398pt経団連会館で講演した。大手町の一等地に立つ新しく見事な建物、そこでの講演は私自身初めてのことだ。 今回はその講演のことを書きたいわけではない。書こうと思うのはそこで再発見した自分自身に関することだ。 最初に経歴の紹介があった。幹事役の安藤英義・一橋大学名誉教授(商学博士)の述べる私自身の経歴はこんな具合だった。 「上杉さんはすでに29冊の本を世に出しております。最初は『石原慎太郎「五人の参謀」』、その後、『田中真紀子の恩讐』や『小泉の勝利 メディアの敗北』、安倍政権を描いた『官邸崩壊』『世襲議員のからくり』など政治家についてのご著書、その後は『ジャーナリズム崩壊』や『上杉隆の40字で答えなさい』などメディアについて。最新著は――」 そうか、もう、そんなに本を出版しているのか。安藤教授の紹介を聴きながら、私はある種の感慨に耽っていた。 そういえば、最初、本を出版するたびに訪れていたあの期待と不安の入り混じった独特の感覚が宿ることは今はまったくなってしまった。 -
バカとデブと放射能 イタリア料理の法悦
2012-09-21 13:00398pt〈うまい。一言で表現するなら、法悦〉(浅田次郎「つばさよ つばさ」JAL機内誌) 法悦? この場合の「法悦」ってなんだろう。 飛行機の中で浅田次郎さんのエッセーを呼んでいたら、こんな表現にぶつかった。 浅田次郎さんや出久根達郎さんなどの作品に触れていると、時々こうした意外な表現に出くわす。その時の驚きと語句使用の理由が判明した際の喜びは、なにより文学的な愉しみのひとつである。 早速、前方の座席の下に潜らせているカバンから電子辞書を取り出し、広辞苑を引いた。 〈1、 仏法を聴き、または味わって起る、この上ない喜び。法喜〉 〈2、 恍惚とするような歓喜の状態。エクスタシー。「―にひたる」「―の境地」〉 エッセーは旅と食に関するものだから、後者の意味だろう。 -
神の目と天の声 先行き不透明な「新聞」よ
2012-09-19 08:00398pt「――と見られる」「――と思われる」 これらは、日本の新聞のみで確認される珍奇な表現の一例だ。まず主語がない。いったい誰が見るのか、思うのか、わからないところがいっぱいで、そうした意味で読者の好奇心を脱力的に刺激してくれる。 「見られる」「思われる」という受身形の表現からも、「見て」、「思っている」のが記者でないことだけは確かだ。では、いったい誰が……? 深まる謎の中、いつものように私はこう考えた。 ひとりの記者が万人の意見を代表できるわけはないし、ましてや新聞にそのような全知全能の能力があるわけでもない。そもそも、日本国がそんな大きな仕事を新聞に負託した覚えはないはずだ。では、いったい…。 そう、これは「神の視点」に違いない。思えば、日本の有名な新聞には「天声人語」という神をも恐れぬコラムだってあるではないか。やはり、だからだろうか、日本の新聞はいつもそうした「神の技」によって書かれているのだろう。 -
放射能と鮎 福島の安全専門家たち
2012-09-15 08:00398pt今週号の『週刊SPA!』(9月18/25日)の人気コーナー「ニュースディープスロート」は、現在の私の関心に、ど真ん中ストライクの記事が2本並んでいる。 自由報道協会枠(おしどりマコ&ケン)の「福島での原子力ムラの広報活動」とエコノミストの吉崎達彦さんの米国大統領選挙の分析評がそれだ。 とくに前者の記事は冒頭から素敵な脱力感を与えてくれる。 〈「鮎が2万ベクレル/kg。(中略)実は、食べ物に関して言えば、何を食べても大丈夫!」 一か月以上も前、福島県の高校での講演の様子を報じたラジオ福島の放送が、ここのところネット上で物議を醸している――。 -
大統領とマスターズ 女性の時代
2012-09-14 10:00398pt大統領選真っ只中の米国から戻ってきた。いきなりの展開だが、米国大統領といえば、やはりあのスポーツである。 ホワイトハウス横にアプローチ練習場を作ってしまったJFK、伝説のゴルファー、ベン・ホーガンとラウンドしたい一心で「エアフォース1」をテキサスまで飛ばしてしまったフォード大統領、繰り返しの打ち直しで有名なクリントン大統領、そして現職のオバマ大統領もその例に漏れずゴルフ好きである。 4年前(2008年)の大統領選直前、ハワイの祖母の見舞いに訪れたオバマ候補のまず向かった先はゴルフ場だった。この一貫した政治姿勢、いやゴルフ姿勢は大統領に就任してからも変わらなかった。 -
『 北朝鮮の障害者 パラリンピックとオリンピック 』
2012-09-13 01:00398pt -
今更「発覚」と言われても・・・ 3・11東電中国接待旅行
2012-09-12 12:00398pt米国からのJAL帰国便、日本の新聞にざっと目を通した。 相変わらずの四角四面で教科書のような文体、果たして読者に読ませようという気持ちはあるのか…。そんなことを考えるのは、きまって米国の自由なメディアの空気に触れた後である。 そこで目に留まったのは朝日新聞(9月7日付) の連載記事(原発とメディア)のひとつだった。 ほとんど目につかない社会面中面の一番下、見出しには「3・11中国ツアーの発覚」とある。 まさかと思いながら読んでみると、やはりそのまさかだった。
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