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2015年4月の記事 4件

【夢と夕陽】50. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.17 【ART OF LIFE -14】

   【 ART OF LIFE ⑭】   Piano Solo(15:06 〜)   前半が終わり、いよいよピアノソロが始まる。    このセクションのベースにあるのは、坦々と続くピアノのリフレインだ。    基調となるメロディーを音階で表すと、  『ミーファーソーファ』    実にシンプルだ。    メロディーを支えるコードも、Am - Fの繰り返し、と、これもまたシンプル。    けれど、そのシンプルな中に、YOSHIKIが表現したい微妙な感情や、心の温度感のようなものがちゃんと息づいていて、聴く人にしっかりと伝わってくる。    僕にはそれが、YOSHIKIが自分自身を見つめている状態のように感じられるのだ。    そのベースとなるリフレインに、少しずつ音が重なっていく。    このピアノソロを聴くと、やはり二人でスタジオに籠ったデモテープ創りの、あの時を思い出す。 前半が完成すると、次はピアノソロだ、とYOSHIKIから知らされる。 譜面を見せてもらうと、かなりシンプルに見える。    まずベースとなるリフレインをレコーディングしていくことにする。 時々オクターブが変わったり、リフの代わりに上へ上っていく8分音符のフレーズになったりしながら、ソロの世界が構築されていく。 いつものように、時々首を傾げたり譜面を確認したりしながら、ベースとなる部分が出来上がっていく。 やがてそれが終わると、今度はそのフレーズに重ねるパートを弾いていくのだ、とYOSHIKIが説明する。 (ピアノにピアノを重ねるのか・・・) 漠然とそんなことを考えながら、その作業のためにトラックを整理する。 準備が整うと、YOSHIKIはそのベースとなるトラックを聴きながら、時々ピアノを弾く。    いつもと違って、そのための譜面はないようだ。    少し弾いては、YOSHIKIが(なるほど・・・)という表情を浮かべたり(おかしいな・・・)という表情を浮かべたりするのだが、僕にはどんな演奏が正解なのか、さっぱり分からない。    でも、YOSHIKIにはきちんと表現したいイメージがあるのだろう、慌てることなく、試行錯誤をしながら、音を重ねるための演奏を続ける。    そのうちに、僕は少し不安になってきた。  

【夢と夕陽】50. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.17  【ART OF LIFE -14】

【夢と夕陽】49. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.16 【ART OF LIFE -13】

   【 ART OF LIFE ⑬】  前回触れたシューベルトセクションから、引き続き詳細な音楽解説をしていきたい。  28.〜30.Shubert(11:49 〜)   Shubertというセクション名だが、28.つまり譜面でいうと最初の一段(11:49 〜)は、実際のところ、Shubertのフレーズは用いていない、オリジナルなものだ。    デモ音源制作で最初にこのセクションを記録し始めた時、僕はここもシューベルトのフレーズだと勘違いしていた。 それくらいにメロディーはクラシカルだし、展開も芸術的だ。 ただ、確かに和声(コード進行)はYOSHIKIらしい世界ではある。 このセクションの最初のコード進行を、そのままGのキーに置き換えると、C-D-B/D♯-Emとなり、ちょうど「Week End」のサビ、(手首を流れる血を・・・)の、(絡みつけると一瞬のうちに・・・から、・・・おまえの姿を)までの部分のコード進行と同じになる。  そのオリジナル部分からごく自然に、シューベルトのフレーズを用いた部分へと移っていく。 29.〜30.Shubert(12:07 〜)がそうだ。「未完成」の第一楽章のクライマックスのところに登場するフレーズだ。テンポは実際の「未完成」ではもう少し早めだ。   この28.〜30.Shubert のセクション中、厳密に言えば、キーはCm〜Gm〜Dm〜Gm〜Cmとめまぐるしく転調しているのだが、必然性があるからだろう、転調していることをまったく意識させない。 ちなみに、ここで演奏されるシューベルトのフレーズは、ピアノソロ後の後半、43.Shubert(26:27 〜)にも登場するのだが、そこでは「未完成」の第二楽章でクライマックスの際に登場するフレーズも立て続けに展開する。(26:43〜)  つまり「未完成」の第一楽章と第二楽章両方から、クライマックスの美しいフレーズを抜き出し、キーを変え、巧みに「ART OF LIFE」の音楽世界に昇華させる、という、非常に音楽的にレベルの高いことをYOSHIKIはしているのだ。 そこには、大好きな「未完成」と自らの半生を重ね合わせるという、深い芸術性の発露が見てとれる。 

【夢と夕陽】49. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.16  【ART OF LIFE -13】

【夢と夕陽】48. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.15 【ART OF LIFE -12】

   【 ART OF LIFE ⑫】    2回にわたって「ART OF LIFE」のデモテープを創るために籠っていたスタジオ作業の記憶を描いた。 懐かしくて幸せな記憶だ。 ちょうど前々回、【 ART OF LIFE ⑩ 】の最後に描かれているのが、前日に24. 3/4(10:46 〜)までが終わり、25. Dm(11:06 〜)からの作業を始める日の様子だ。  この辺りのセクションを解説するために25年前の記憶を描いたのは、デモ音源創りの中で、そのセクションの作業が、ある衝撃と共に僕の心に強く残っているからだ。    まずお伝えしたいのが、上にある僕の譜面は、そのデモテープ制作当時には存在しなかった、ということだ。    当時あったのはYOSHIKI直筆の譜面で、そこにはコード進行もセクションの名前も書いてないから、クラシック音楽経験のない僕にはそれを見ても何が何だかさっぱりわからない。    とにかく、YOSHIKIが譜面を見ながら演奏する音を、根気よくシーケンサーに記録していく作業をひたすら続ける。    だから、ある程度進んだところでシーケンサーを再生し、音を聴く瞬間の感動は凄かった。    (なるほど、こうなっているのか・・・!)    そんなことを繰り返し、最初のサビが終わった頃、つまりちょうど上の譜面の辺りから、デモ音源創りをしている僕の驚きと感動はどんどん加速していった。   それまでは通常の曲と同じようにAメロ、Bメロ、サビ、といった要素で成り立っていたからある意味、想定内だったのだけれど、21-22.3/4 & 4/4(9:38 〜)以降の展開は、全く未知の世界だった。   そして、今回解説する辺りに差しかかると、僕の驚きと感動は頂点に達した。    (何とレベルの高い音楽性だろう!信じられない・・・。まさに芸術だ・・・)    作業をしながら、僕は震える心を抑えきれなかった。   

【夢と夕陽】48. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.15  【ART OF LIFE -12】

【夢と夕陽】47. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.14 【ART OF LIFE -11】

   【 ART OF LIFE ⑪ 】    二人でスタジオに篭(こも)ってデモテープを創る、というやり方は、このART OF LIFEが初めてだった。 Xはバンドなのだから新しく生まれた曲をレコーディングするのにあたり、まずはバンドメンバーで音を出して演奏し、それを基にアレンジを練り上げていく・・・そんな段取りでレコーディングへ向かうのは当然のことだ。 でも「ART OF LIFE」は違った。 他のメンバーがその作品をほぼ聴いたことのないまま、僕たち二人はスタジオに籠った。 無理もなかった。 30分に及ぶ大作は当時まだYOSHIKIの心の中だけにあって、唯一、音として聴けるのは最初に生まれたサビの部分をYOSHIKI自身がピアノで弾くときだけ。 それ以外の、複雑に絡み合い、息つく暇もなく展開し最後まで辿り着くはずのとてつもない、そして壮大な作品の全貌は、YOSHIKIにしか分らない。 その心の中の音楽を、音として聴ける状態にするには、デモ音源を制作するしかない。 YOSHIKIと僕がデモ音源を形にすべく、小さなスタジオで今後の段取りを話し合った時、僕たち二人の目の前にあったのは、何冊ものノート。 ページをめくると、音符が並んでいる。 そう、それは手書きの譜面をコピーして、ノートに貼付けたものだった。 

【夢と夕陽】47. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.14  【ART OF LIFE -11】
音楽プロデューサー 津田直士の 「人生は映画 主人公はあなた」

音楽プロデューサー/作曲家の 津田直士が、その経験から得た、「主人公という生きかた」をもとに、① 人生の悩みや迷いへの答えを分りやすく答える『その答えは』 ② 世間の話題や素晴らしい作品、アーティストプロデュースや音楽制作などあらゆるテーマで自由に綴る『本能が吠えるまま』 ③ 伝説のバンド X JAPANと共に過ごした記憶が瑞々しくリアルに綴られた著書「すべての始まり」に記されなかった舞台裏とプロデュースの原点を新たな視点で描く『夢と夕陽』 ④ 自分らしい人生を積極的に生きている人にインタビューをして、生きかたのヒントを見つける『ある人生 』といったブログを定期的に展開します。

著者イメージ

津田直士

小4の時バッハの「ロンドBWV.1067」を聴き音楽の本質に目覚め、14歳の頃、ピアノを触っているうちに “音の謎” が解けて突然ピアノが弾けるようになり、作曲を始める。早稲田大学在学中よりプロ・ミュージシャン活動を始め、卒業と同時にSony Musicに入社。‘03年、フリーランスの作曲家/音楽プロデューサーとしての活動を開始、作曲家としてSony Music Publisherに所属。’11年からは、音楽業界の現状に危機感を覚え、出身母体のソニーミュージックをベースとして、新しい才能の育成とプロデュースを本格的にスタート。今後その才能が順次世の中に登場していく。

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