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2015年2月の記事 4件

【夢と夕陽】40. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.7 【ART OF LIFE -4】

 【 ART OF LIFE ④ 】    ******************  8. A Melo ①  いよいよ速いテンポでのAメロがスタートする。    YOSHIKIはこの「ART OF LIFE」をサビから創り始めた。  僕が最初に聴かせてもらったのも、サビだった。 だからこのセクションは、後ほど登場するサビに対する、通常の曲でいうAメロという位置づけということになる。実際、アレンジやレコーディングなどでのやり取りで、僕とYOSHIKIはこのセクションをAメロと呼んでいた。 一見何でもないようだが、実はこのAメロとサビの関係に、それまでの作品にはなかった「ART OF LIFE」の独自性、特殊性が見えてくる。 Xの作品に関していえば、通常、速い曲の場合、サビも速いリズムが基本となる。展開としてバラードリズムのサビがあるケース(Silent Jealousyなど)もあるが、あくまで基本のサビは速いリズムだ。 同じように、サビがバラードリズムであれば、その曲はバラードであり、他のセクションに速いリズムは基本的には存在しない。だからもちろんAメロが速いリズムということは、ない。 しかし、この「ART OF LIFE」はサビがバラードリズム、Aメロが速いリズムだ。 つまり、譜面を見て分る通り歌のパートだけを見ると、Aメロ①〜Bメロ①〜Aメロ②〜Bメロ②〜サビ・・・ という流れになってはいるけれど、おそらく通常の曲でいうAメロ、Bメロ、サビ、というとらえ方だけでは解釈しきれない、この曲独特の意味合いが、Aメロ、Bメロ、サビのそれぞれにはあるのだ。  そもそもこの「ART OF LIFE」では、歌のパートだけを取り出してみても、曲を把握することはできない。 前回書いた「テーマリフ」から展開していくパートは、歌のパートと同様に重要な役割を担っていて、通常の曲におけるバンプや間奏とは意味合いが全く異なるからだ。 つまり、「ART OF LIFE」という曲は、30分という長さにも関わらず、いや、むしろ30分という長さだからこそ、いくつかのパートの組み合わせで成り立っているのではなく、曲全体がひとつの流れによって成立しているのだ。 こういった性質は、クラシックの交響曲にとても近いといえる。 実は1990年初頭、初めてYOSHIKIに30分の曲が出来そうだ、と聞かされたとき、僕が真っ先にイメージしたのは「ROSE OF PAIN」だった。   しかしその後、「ART OF LIFE」のサビの部分をYOSHIKIから聴かせてもらった時点で、既に僕はその新しい30分の曲が「ROSE OF PAIN」とは全く異なるものになるだろう、と感じた。 それはサビの名曲度がすでに「ENDLESS RAIN」や、同じ頃に聴かせてもらっていた「Say Anything」と同じレベルだったからだ。 これはきっと、単なる組曲ではない・・・。 

【夢と夕陽】40. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.7  【ART OF LIFE -4】

【夢と夕陽】39. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.6 【ART OF LIFE -3】

 【 ART OF LIFE ③ 】     前回に引き続き、さらに「ART OF LIFE」の音楽的な解説を続けたいと思うが、この解説を書き始めて改めて強く感じたのは、音楽的な解説をしていくと、その背景には常に、YOSHIKIの生きかたや音楽に対する姿勢が色濃く存在している、ということだった。 そしてそれらが皆、圧倒的なオリジナリティや100年残る作品だという大きな根拠になっていたりする。 だからここでは、単なる音楽的な解説だけではなく、その背景となっているYOSHIKIの姿も同時に描いていくことが重要だと思った。 そういったわけで、今回は速いリズムが始まるところから「ART OF LIFE」の音楽的な解説を始めつつ、同時にYOSHIKIが名曲を生むことのできる大きな理由のひとつ、「イメージの重要性」についても書いていきたいと思う。      ******************   7. RIFF バラードテンポだった「6.RYTHM in」から一転して速いテンポの「7.RIFF」が始まる。  テンポは速いけれど、まだDrumsは全開の速いリズムパターンではなく、Kick(Bass Drums)が4つ打ち、ハイハットが16(16Beat)を刻むリズムだ。僕の譜面で「7.RIFF」の横にリズム譜状の絵が書いてあるのは、このDrumsのリズムのことだ。   このリズムは、本格的な全開の「速いリズムパターン」が始まる前に演奏されることで、いよいよ速いビートが炸裂する、という期待感を煽る効果が大きい、YOSHIKIが得意とするドラミングだ。 「Silent Jealousy」ならバラードリズムのサビの後でYOSHIKIの語りが流れる部分、あるいは「Stab Me In The Back」ならイントロでツーバスパターンのリフに続いて30秒あたりから登場する部分、そして「JADE」なら1番のAメロなどが、まさにこのリズムパターンだ。 メロディーやコード進行と同じように、リズムでも、YOSHIKIはそれぞれのリズムパターンが醸し出す雰囲気を、適宜ベストなタイミングと配置で使い分ける。  その基本となるリズムパターンはある程度決まっており、大まかに次の6つのどれかとなる。 

【夢と夕陽】39. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.6  【ART OF LIFE -3】

【夢と夕陽】38. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.5 【ART OF LIFE -2】

 【 ART OF LIFE ② 】     前回に引き続き、「ART OF LIFE」の音楽的な解説をしたいと思う。      ******************    1. 序章としての歌(譜面では「I Melo」)    静かなイントロに続いて、序章としての歌が始まる。 前回解説したように、イントロの和声がこのキーのホームグラウンドである「Em」というコードに落ち着こうとしつつも、そこへ落ち着かずにCとBを繰り返していた後、このEmが始まるため、心はとても安心しながら歌を迎えることになる。 そして、YOSHIKIがとても素直な心で曲を生んでいる証である、聴いた瞬間、心にそのまま溶け込むようなメロディーの切ない歌が始まり、聴いている人はどんどん「ART OF LIFE」という曲の世界に引き込まれていく。  半音でベースラインが下がっていく下降進行という、哀しみが引き立つマイナーキーのコード進行に包まれながら、時々少し明るいトーンになりかけつつ、切ない世界が展開する。 実は、サビなど中心的な存在ではない、このような場所のメロディーをじっくり見ても、YOSHIKIがそのメロディーと和声を、心の震えに沿って究極まで研ぎ澄ませて生んでいることが、よくわかる。 そのあたりを解説してみたい。(メロディーは「移動ド」での表記。この連載では、全てこのスタイルで表記する ) 〜「I Melo ①」〜  最初のメロディーは「ラミレミ〜ミレドレミミ〜」だ。 続くメロディーは「ソレドレ〜レドシシドド〜(シ〜)」と、最初のメロディーと同じようなメロディーの抑揚とリズムのまま、少し下に下がった感じのメロディーとなる。  そして、再び同じ「ラミレミ〜ミレドレミミ〜」というメロディーが繰り返されるけれど、そのメロディーを支える和声は、微妙に最初の時とは違っている。 譜面を見て頂くと分るが、最初のメロディーの時は【Em-B/D♯】、そして2回目の時は【Em-D】となっている。(「I Melo ①」の1段目 2:12〜と2:24〜)  これらはいったい、どういうことなのか。 まず、「ラミレミ〜ミレドレミミ〜」というメロディーが、ちゃんとYOSHIKIの心から生まれた、命のあるオリジナルなメロディーであること、そしてそのメロディーが他のメロディーには代わり得ない、唯一無二な存在であることがポイントだ。 つまり「究極まで研ぎ澄まされたメロディー」だ。 だから、続くメロディーは、そのまま少し低くなったような「ソレドレ〜レドシシドド〜(シ〜)」というメロディーとなって、自然につながっていく。  そしてその後、再び「ラミレミ〜ミレドレミミ〜」というメロディーが来るけれど、心から生まれているからこそ、単なる繰り返しではなく、僅かに違ったニュアンスが必要になる。  それを表現しているのが、メロディーを支える和声の変化なのだ。 【Em-B/D♯】と【Em-D】の違いは、【Em-B/D♯】の方が若干濡れた感じ、【Em-D】の方が若干乾いた感じ、というものだ。微妙だけど、誰もが必ず同じように感じる、和声の不思議だ。 

【夢と夕陽】38. 『100年残る音楽』 を生み続けるYOSHIKI.5  【ART OF LIFE -2】
音楽プロデューサー 津田直士の 「人生は映画 主人公はあなた」

音楽プロデューサー/作曲家の 津田直士が、その経験から得た、「主人公という生きかた」をもとに、① 人生の悩みや迷いへの答えを分りやすく答える『その答えは』 ② 世間の話題や素晴らしい作品、アーティストプロデュースや音楽制作などあらゆるテーマで自由に綴る『本能が吠えるまま』 ③ 伝説のバンド X JAPANと共に過ごした記憶が瑞々しくリアルに綴られた著書「すべての始まり」に記されなかった舞台裏とプロデュースの原点を新たな視点で描く『夢と夕陽』 ④ 自分らしい人生を積極的に生きている人にインタビューをして、生きかたのヒントを見つける『ある人生 』といったブログを定期的に展開します。

著者イメージ

津田直士

小4の時バッハの「ロンドBWV.1067」を聴き音楽の本質に目覚め、14歳の頃、ピアノを触っているうちに “音の謎” が解けて突然ピアノが弾けるようになり、作曲を始める。早稲田大学在学中よりプロ・ミュージシャン活動を始め、卒業と同時にSony Musicに入社。‘03年、フリーランスの作曲家/音楽プロデューサーとしての活動を開始、作曲家としてSony Music Publisherに所属。’11年からは、音楽業界の現状に危機感を覚え、出身母体のソニーミュージックをベースとして、新しい才能の育成とプロデュースを本格的にスタート。今後その才能が順次世の中に登場していく。

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