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  • 「メディアフレンジー(狂乱)」に沸く被害者取材

    2013-02-13 08:00  
    元ジャーナリスト上杉隆氏のブロマガを担当しているライターの斎藤です。前回の更新では、先日アルジェリアで起きたテロ事件を機に問題となった実名報道と取材方法の是非について、上杉氏への直接インタビューをお届けしました。今回は同様に、同事件で同じく問題となったメディアスクラムによる被害について、上杉氏に語っていただきました。以下はその内容です。
    ――アルジェリアのテロ事件が日本で報道された際、一部の関係者のところへ一斉にマスコミが集中したことが問題になりました。いわゆる「メディアスクラム」を上杉さんはどうお考えですか。
    上杉:まず、言葉の使い方として、今回問題になっている一部の取材対象に大勢のマスコミが集中してしまうことを「メディアスクラム」とは呼びません。本来の「メディアスクラム」とは、国家権力や巨大企業など、一報道機関では立ち向かうことが難しい相手に対し、複数のマスコミが一体となってキャンペーンを張ったり、糾弾することを指す言葉です。つまり強い相手に対して、一致団結して対決していこうというもので、決して立場が弱い被害者などに一斉に押し寄せて、感情を逆なでするような取材を行うことではないんです。そうした報道について、イギリスでは「メディアフレンジー(狂乱)」と呼んでいます。
    ――日本ではメディアスクラムの使い方が別の意味で使われているんですね。
    上杉:そうですね。それも報道のあり方というところが問題になってくると思います。何度も「記者クラブ」の批判をしているのですが、本来ならこういう時の取材にこそ、記者クラブで行っているような、幹事や代表を決めた取材方法が取られるべきなんですよ。被害者取材が必要な一面もあるとは思いますが、各社同じ映像やコメントを使っているんだから、大勢で詰めかけて、「今、どんなお気持ちですか」なんて質問はするべきではない。代表が一社だけ行って、それで得た情報を他の社も使えばいい。政治家や社長相手の取材に気を遣い、傷ついている人に容赦なく押し寄せるよう取材方法は、間違っている。
    ――今回のような問題を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか。
    上杉:今回の事件では、ほとんどの関係者が取材を拒否している状況だったと聞いています。そのなかで、一部の関係者のところに取材が集中してしまった原因の一つは、その関係者の人が一度取材を受けてしまっていたことが挙げられるでしょう。取材が出来ない中で、一件取材を受けてくれたところがあるという情報はまたたくまに広まり、同じ取材先へ集中することになったのでしょう。全マスコミが一斉に集中するようなあり方は、関係者にとって相当な負担になる。被害者報道の意義という言葉を信じるなら、それが自社だけのスクープでなくてもいいわけですから、先ほども言ったように取材の方法そのものを見直していくべきだと思います。