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【第399号】K
2022-07-28 00:00220ptKの訃報が届いたのは、彼が死んでから9日後のことだった。
軽自動車専門の中古車販売店の副店長をしていたNは、その報せを仕事の休憩時間に受け取った。
7月の海の日の連休の中日、うだるような暑い日の夕刻だった。
その1週間後の日曜、NやKの大学のサークルの同期たちは久しぶりに連絡を取り合い、彼らが過ごした大学のある町の、思い出の飲み屋で集まることになった。
同期とはいえKとそこまで親しくもなかったNだが、なぜだか行かなくては気持ち悪い気がしたのと、普段から休む理由もないので働き続けてしまう自分を裏切りたくなって、その日は午前だけ出勤して半休を取り、行くことにした。 -
【第398号】新しい神様
2022-07-18 07:00220pt -
【第397号】喫茶去
2022-07-11 07:00220pt -
【第396号】「いい子」とは何か?
2022-07-04 07:00220pt「いい子になんかなるなよ」
これが僕の育った時代のスローガンだった。
「大人は嘘つきだ」「奴らに服従したら終わりだ」・・なんて。
当時の漫画やドラマや歌謡曲にはそんなメッセージで溢れていた。
80年代後期にはそんな若者の抵抗も薄れていくのだけど、僕と同世代の尾崎豊は最後まで「大人」に抵抗していた。
彼は「学生運動の最後の花火」みたいに僕には見えた。
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