• このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年12月の記事 8件

2014年のトレンド振り返り(5)「スマートフォン」

前回分はこちら。 デザイン セキュリティ HTML5 仮想 今回はスマートフォンについて振り返ります。 iOS 8/Lollipop iOSはiOS 8、Androidは5.0系であるLollipopがリリースされています。NexusのようなGoogle公式のデバイスは既にバージョンアップが可能ですが(とはいえ怖くてアップデートできないのですが…)、キャリアから出されている端末についてはこの限りではありません。この問題はAndroid端末に常につきまとう問題と言えます。 iOSはiOS7に比べると8にする速度は遅いようです。実際、既にiOS 7で安定していたり、欲しいと思っている機能がそこまで多くないのであればアップデートしないという選択肢も今後は出てきそうです。 第3のOS サムスンが推していたTizenは話にあがらなくなってきました。docomoも若干絡んでいたはずですが、おそらくこのまま端末は出ずじまいでしょう。Firefox OSについてはauが推しつつもなかなか発表に至っていませんでした。12月23日にFirefox OSのイベントを行うとされています。個人的にはeBayで個人輸入しました。 Windows Phoneについてもノキアが撤退、なくなったこともあって販売されるのかどうか不透明な状態です。ビジネス用途で考えれば一定の需要はあると思われますが、日本においては既にAndroid、iOSの寡占化が進んでいますので今更販売しても遅いかも知れませんね。 時計 Android WearやiWatchが登場しています。9月のイベントでiWatchは発表されたものの、実際の販売は2015年春と言われています。ただし既にWatchKitもリリースされていますので春までには多数のiWatch対応アプリが登場しそうです。Androidについては各社の機能も異なるのが厳しいところです。 一説によるとGoogle Glassは失敗プロダクトと言う話も聞かれる中、次は時計がウェアラブルを担っていくかも知れません。個人的にはPebbleがウェアラブルデバイスとしては十分完成度が高いと考えています。 SIMロックフリー iPhoneはiPhone 5sからSIMフリー版が日本でも販売されるようになりました。iPhone 6/6 Plusについては当初中国で販売されなかったこともあり、大量の中国人がApple Storeに押しかけたのが問題になりました。結果として税関で没収されたり、すぐに中国での発売も発表されて暴落したと言われています。 総務省のガイドラインもあり、SIMフリーの流れはますます強まっていくでしょう。しかしSIMフリーであってもmineoのようにiOS 8が使えないネットワークもあり、SIMフリー化したとしても何らかのトラップが待ち受けている可能性はありそうです。  

2014年のトレンド振り返り(4)「仮想」

前回分はこちら。 デザイン セキュリティ HTML5 今回は仮想について振り返ります。 Docker サーバ環境の仮想化技術はDockerによって一変しています。これまでchrootやjailのような類似技術はあった訳ですが、それでも仮想化をシェアするという点においてDockerは一気に伸びています。Google、Amazonが後押ししているのも大きいでしょう。 今年はDockerはMicrosoftと提携し、今後Windows Serverが仮想化するという噂もあります。一応MSからはテストできるものがリリースされているのですが、筆者が試した限りはうまく動きませんでした…。 VR 仮想現実のデバイスと言えばOculus Riftが最も有名で、今年はDK2がリリースされました。HDMIに対応し、さらに没入感がえられます。Unityとの提携も発表され、3D開発においてUnity × Oculus Riftというのは鉄板の組み合わせになりそうです。 他のデバイスとしてはGoogleが発表したGoogle Cardboard、ハコスコなどがあります。どちらも簡易的ではあるもののスマートフォンだけで使えるというのは大きな利点です。実際試すとどちらも十分な没入感があり、面白いです。GoogleはCardboard向けのSDKやアプリコーナーを新設しました。それだけ魅力的な市場なのでしょう。なおCardboardもまたUnityをサポートしています。 開発環境 こちらは元々ではありますがVagrantを使って開発環境を仮想化する流れが一般化しています。それに伴ってVagrantを簡単に扱うツール、環境をあらかじめ構築しておくソフトウェアが出始めています。 仮想通貨 Bitcoinは様々な問題を抱えつつも浸透し始めています。Zyngaがゲームの支払いに採用したり、AmazonがAmazon Coinを発表(これは2013年ですが)しています。貨幣の価値をどう担保するかという命題は残っていますが、それでもゲームをはじめ少額課金に対して重要な存在になっていくのではないでしょうか。 仮想デスクトップ Amazonは3月にAmazon WorkSpacesを発表しました。クラウドベースの仮想デスクトップサービスになります。クラウドが当たり前になる中で、タブレットなどからデスクトップを操作できるようになるのは魅力があります。 マシンパワーというのはマックス値に対して設定されることが多いのですが(デザイナーならグラフィックス系がさくさく動くようになど)、クラウドを使うことで普段はChromebook並の性能で、必要な時だけマシンパワーを活用すると言った区分けができるようになるでしょう。  

2014年のトレンド振り返り(3)「HTML5」

前回分はこちら。 デザイン セキュリティ 今回はHTML5について振り返ります。 2014年10月についに勧告へ HTML5の仕様策定がはじまって10年以上経ってようやく勧告となりました。これほど時間がかかったのは、おそらくiPhoneの登場によってWeb技術で実装して欲しい機能が大幅に増えたからと思われます。しかしその甲斐あって、スマートフォンのHTML5でも多くのAPIが実装され、Webアプリケーションの幅が大きく広がっています。 仕様が固まったこともあって、今後各ブラウザで機能の充実化がはかられることでしょう。Google Chromeはかなり上位ですが、IE11はまだまだ実装範囲が狭いこともあって、HTML5を活かしきる機能を実装できるのは今しばらくかかるかも知れません(IE 11を切れば状況は変わるでしょう)。 スマートフォン そのスマートフォンもiOS 8がWebViewで使われるJavaScriptエンジンを高速化したことや、Android 4.4以降ではWebViewからChromeViewに変わったこともあって、高速化、多機能化が進んでいます。どちらもWebKit(Blink)ベースのレンダリングなので大きな差異なく動作するのが利点でしょう。 iOS 8ではWebGLやIndexedDBのサポートが追加されています。今後こうした機能を使ったWebアプリケーションが登場してくるはずです。 Single Page Application 最近流行のSPA(Single Page Application)ですが、基本的な仕組みとしてはURL単位でのページ遷移をなくし、コンテキストを継続させるのに向いた方法です。またスマートフォンアプリでは上下左右から新しいコンテンツを表示することで連続性をもたせています。 一つのHTML内にすべての情報を入れるというのが多いようですが、これでは管理が煩雑化したり、最初に受信される情報量がとても多くなってしまいます。Ajaxでページテンプレートを非同期で読み込んだりする手もあるので、手法を変えればもっと快適に操作できるようになるのではないでしょうか。 HTML5 Japan Cup 夏から秋にかけて行われたのがHTML5 Japan Cupです。多くの作品が生まれ、その中にはオープンソース・ソフトウェアも数多く存在しました。この手のイベントでよくある通り、ここからビジネス的に成り立っていくものは多くないようですが、jThreeは商用化の道を模索しているようです。 JavaScriptフレームワーク 今のところ大きいのはAngularJS、Backbone、Ember、Knockoutjsでしょうか。HTML5タグの拡張を善とするものと、そうでないものとに分かれているように見えます。またUIフレームワーク含めて提供されるものと、純粋にJavaScriptだけ提供するものとがあります。特にスマートフォン対応を考えると画面遷移やアニメーション含めたUI + JavaScriptフレームワークのパターンが多いようです。 学習コストの大きさで考えるとAngularJSは相当大きいように思いますが、一旦慣れてしまえば苦しみは少なくなります。ただしフレームワークが巨大化するとブラックボックス化する部分も増えるので、不具合が起きた時にその解決をスムーズに行えるのは薄いフレームワークかも知れません。ということで個人的にはBackbone推しではあります。  

2014年のトレンド振り返り(2)「セキュリティ」

前回分はこちら。 デザイン 今回はセキュリティについて振り返ります。 インシデント 今年はOSS周りのインシデントが目立った気がします。特に大きかったのはOpenSSL、Shellshock、SSLではないでしょうか。とはいえ、OpenSSLについては運営資金も乏しく、開発体制も少なかったため、起こるべくして起こった問題と言えます。これはネットに関わる企業、個人全員の問題です。 Shellshockもずっと昔からあった脆弱性にも関わらず放置されていたわけで、誰が悪いというわけではありません。オープンソースに対するコントビュートについて考えさせられますね。 Fingerprint Canvasタグを使って生成された署名はブラウザ固有のコードを生成します。そのためCookieと同じようにブラウザ追跡に利用ができます。しかもCookieと異なり、拒否もできません。 シークレットモードにしてもコードが変わらないのがすごいことですが、近い将来ブラウザ側で対応されるのではないでしょうか。 サンドボックス 特にJavaScriptを安全に実行するためのサンドボックスがいくつも登場しています。信頼できる仕組みができあがるとユーザが作成したJavaScriptを安全に実行できるようになりそうです。現在はiframeで括る、ドメインを変更するなどといった形で対応しているところが多いでしょう。 WAF WAFはWeb Application Firewallの略です。これまではネットワークのパケットに注目していたファイアウォールですが、WAFではXSSをはじめとするWebアプリケーションレイヤーでのデータの送受信について監視を行うようになっています。 とは言いつつもShellshockに元々対応していたWAFはないようで、その意味ではウィルス探知ソフトウェアに近いものがあります。発見された脆弱性については同じ仕組みではやられないと考えれば、徐々に精度があがっていくものと思われます。 情報漏洩 2014年で大きかったのはベネッセの情報漏洩ではないでしょうか。漏洩経路としては内部犯行であり、実は一番ポピュラーな方法です。 インシデントが起きたのはもちろんのこと、その後の杜撰な対抗もあって炎上した案件になりました。ブランドイメージは大きく毀損したと思われます。  

2014年のトレンド振り返り(1)「デザイン」

さてついに12月になりました。今月は2014年の振り返りネタをメインにしていこうと思います。まずはデザインをテーマにします。 フラットUI iOS 7あたりから普及がはじまったフラットUIですが、2014年になってさらに多彩なスタイルシートフレームワークが登場しています。AndroidもフラットUIが使われていること、モバイルファーストの流れもあって、今後もさらにフラットUI化が進んでいくと思われます。 特徴としては空間を広めに使ったデザインで、情報の構造設計に重点を置いているところにあると思います。日本のWebサイト、アプリデザインはごちゃっとしたイメージが強いのでゼロからフラットUIで作るのは困難かも知れません。その点においてもフレームワークを取り入れる価値は大きいと思われます。 マテリアルデザイン フラットUIの進化形としてGoogleが提唱したのがマテリアルデザインです。現実世界にヒントを得て、ユーザの感じるストレスを極限まで低くしていくことが求められています。押した時の跳ね返りやフォーカスが当たった時のハイライトなど、ユーザが行ったアクションに対して適切なレスポンスを返すことで操作していく中で迷うポイントをなくしていきます。 フラットUIの場合、どこがタップできるのか、タップした時のエフェクトがなかったりする場合が多かったので取り入れるとユーザビリティが高まるでしょう。ただしエフェクトやアニメーションは簡単に実装できるものではないのでゼロから作るのは相当敷居が高くなったと言えます。 管理画面 Bootstrapを使った管理画面デザインも数多く登場しました。Bootstrapを使うといわゆるBootstrap臭が強く出てしまうのでユーザ向けの画面に使うのをはばかられる場合があります。それに対して社内的な管理画面であればそれなりの見栄えであれば十分なのでBootstrapを導入できる余地はとても大きいです。 使いやすい管理画面はシステム管理者にとっても嬉しいものです。作り方が統一されるのは後々のメンテナンスを考えてもメリットがあります。 スタイルガイド 複数人でWeb、アプリデザインを行う上でそのコンセプトや部品の使い方を共通化するためにスタイルガイドはとても大事な存在です。今年はそうしたスタイルガイドライブラリもたくさん登場しました。大きく分けてスタイルシートに直接記述するものと別ファイルに分けるものがあります。 JavaDocやRDocなどの流れを考えるとスタイルシート上にある方が分かりやすいかも知れません。ただし仕様書のようなドキュメントにまとめることを考えると別ファイルの方が柔軟性があることもあります。前者は現場向き、後者は管理者向きかも知れません。 Web Font Webサイトやアプリをデザインする上でアイコンの存在は欠かせません。従来は画像でしたが、今はWeb Fontを使ってアイコンを提供するケースが増えています。TrueTypeフォントの場合、拡大しても綺麗なままなのでSVG代わりに使うこともできます。基本単色ですが、合字することでカラーリングを表現する試みもあります。 使う際の注意点としては読み込まれない場合にアイコンがトウフになってしまうことでしょうか。そのため万一そうなったとしてもそれなりの表示が保たれるようにする必要があります。完全にアイコン頼りにせず、ラベルと組み合わせて使う必要があるでしょう。  

MOONGIFTニコニコ出張所

MOONGIFTのニコニコ動画向け出張所です。

著者イメージ

MOONGIFT中津川篤司

1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。

http://www.moongift.jp/
メール配信:ありサンプル記事更新頻度:毎日※メール配信はチャンネルの月額会員限定です

月別アーカイブ