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記事 15件
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第15回「どうも声の調子が」

    2024-12-12 05:00  
    11月8日(金)
     朝ニッポン放送『あなたとハッピー!』から、浅草演芸ホールで『桃太郎』。新幹線で京都へ。夜は京都芸術大学内の春秋座にて上方の桂二葉さんと二人会。演芸写真家の橘蓮二氏のプロデュースで去年に続き二回目。京都芸大の宮信明先生が駅まで迎えに来てくれる。宮さんは芸能史研究家でこの秋からTBS『落語研究会』の解説者に就任された。43歳。前任者の京須偕充先生が82歳なので圧倒的に若いのだが、博識でひとあたりが良くて、かつおしゃべり。タクシーのなかでひとしきりご機嫌に宮トークを楽しんだ。会のほうは二葉の華におされつつ、『粗忽の釘』と『新聞記事』の頭のおかしい噺でご機嫌をうかがう。打ち上げでは上方のお囃子のTさんがいいかんじの酔っ払い。途中からワイングラスを頭に乗せてバランスを取ったり、「イチノスケシショウヲ、オミコシデカツギタイデスワー!」と言い出し、二葉と二人で腕を組んで私を担ごうとし
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第14回「くれぐれもお大事に」

    2024-11-28 05:00  
    10月27日(日)
     朝JFN『サンデーフリッカーズ』生放送。ゲストはロカビリー研究家・ミュージシャンのビリー諸川さん。昼千歳烏山の妙壽寺にて能と落語の会。2013年から続いている会だ。日が落ちると庭、回廊、本堂に配置した竹灯籠が実に幻想的。今日はあとがあるのでお先に失礼し、東京駅16時40分発の上越新幹線で新潟へ。新潟りゅーとぴあにて「虹色寄席」。この会は同じ敷地内の三会場で落語会を開催し、お客さんはフリーで回れるといういわば「落語フェス」だ。私は最終公演のトリ。18時50分に楽屋に入るとこの会の仕切り役、三遊亭白鳥師匠が「一之輔がいないあいだ、大変だったんだぜー!」と。なんでも昼の開演前に柳家喬太郎師匠が倒れたとのこと。 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第13回「政治・宗教・野球・芋煮」

    2024-11-14 05:00  
    10月7日(月)
     私の父の誕生日。朝食が済み、家族が出かける前に実家に電話。受話器を順ぐりに回して「おめでとー」とプラス一言ずつ会話をかわす。毎度それくらいのお祝いなのが申し訳ない、正月には顔を出せるだろうか。午前中、小学館で取材。今年から「自分の落語の持ちネタについて真面目に振り返る」という趣旨で語りだめしている。いつ書籍になるかわからないがとにかく真面目に喋る。神保町から大手町へ徒歩移動。読売新聞本社で、11月末にある「一之輔春秋三夜」についての取材。毎年恒例のネタおろし(初演)の会だ。まもなく私の不機嫌な季節がやってくる。 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第12回「落語家らしい一日」

    2024-10-31 05:00  
    9月22日(日)
     朝、JFN『サンデーフリッカーズ』生放送。ゲストは女優の大西結花さん。当然のように『スケバン刑事Ⅲ』の話になる。風間三姉妹の長女「折り鶴の結花」。当時「折り鶴で敵を倒す」という役にかなり疑問を感じていたとのこと。金属製の折り鶴ってどうやって折るのだろう。放送後、名古屋駅経由でタクシーで稲沢市へ。桂宮治くんのプロデュースで蝶花楼桃花、春風亭一花、私の四人会。宮治が昔からお付き合いのある会館だそうで、楽屋の冷蔵庫にはビール、酎ハイ、ハイボール、ソフトドリンクなどがギッシリ。どういうこと? アイツは酒飲みながら仕事してるのか? 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第11回「家内同伴」

    2024-10-17 05:00  
    9月8日(日)
     朝6時からJFN『サンデーフリッカーズ』生放送。7時30分放送終了後、スタジオで浴衣に着替える。今日は湯島天神にて落語協会のファン感謝デー的イベント「謝楽祭(しゃらくさい)」だ。芸人が飲食や物販の屋台を出したり、ステージで歌ったり、余芸を披露したりのお客さんと触れ合う魅惑の祭典。昨年は私も出店した。落語に因んでお客さんとマンツーマンで行う「あくび指南所」。けっこう儲かったのだがかなり一生懸命やったので疲れ方が半端なく今年はなし。灼熱のテントの下で午前中はひたすらにサインさせていただきました。 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第10回「上野も寂しくなるね」

    2024-10-03 05:00  
    8月30日(金)
     朝、ニッポン放送『あなたとハッピー!』。金曜は生放送があるので『虎に翼』をリアルタイムで観られない。スタジオ内のテレビはNHKが映ってるので、ネタバレを回避して画面を見ないよう細心の注意を払う。今週、ラジオ業界はスペシャルウィーク。ようは聴取率調査週間でゲストやプレゼントに力を入れたりするのだが、『あなたとハッピー!』金曜日はリスナーの子どもと電話を繋いでごきげんにくっちゃべる……というまったく金のかからない工夫で乗り切る腹づもり。結果はどうなることか。 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第9回「もうええでしょう~」

    2024-09-19 05:00  
    8月9日(金)
     毎晩熱帯夜が続く。が、私の寝室では今年冷房を一度もつけていない。寝室が半地下なので一階の娘の部屋の冷房をつけ戸を開けておくと、冷気が下までおりてくる。寒過ぎずちょうどいい。ようするに娘のおこぼれで涼しく寝ている。5時50分起床。金曜と日曜は早起きだ。ニッポン放送『あなたとハッピー!』放送終了後、同じく『黒木瞳のあさナビ』5本分収録。私がゲスト週。3本目の冒頭で、黒木さん飽きてきたのか「ではなにか面白いことを言ってください(笑)」と黒柳徹子ばりの無茶振り。 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第8回「ようやく夏休み」

    2024-09-05 05:00  
    7月25日(木)
     毎日暑い。地球ももってあと4、5年だろう。それくらいの気持ちで毎日を大切に生きたい。昨日は神戸新開地の喜楽館で独演会。一泊ののち、昼過ぎに帰京。品川駅の駅構内のインド料理屋でラビオリを食す。違う、ビリヤニだ。紛らわしい。興味はあるのだが、どうしてもいつも無難にカレーセットになってしまう。勇気を出して初めてのビリヤニ。食ってみると、まあなんだ……正解がわからない味だ。もう一度どこかでチャレンジしたい。ゲリラ雷雨の心配があったので早めにタクシー移動。 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第7回「ファイナルアンサー?」

    2024-08-28 08:00  
    7月8日(月)
     たまーに空いた時間を見計らって映画に行く。もっと行ければよいのだが。午前中、新宿武蔵野館にて入江悠監督の『あんのこと』を観る。河合優実主演。[薬物と売春で逮捕された杏。刑事の多々羅(佐藤二朗)は杏を立ち直らせようと自分が主催する薬物更生グループに誘う。仕事も見つけ新たな一歩を踏み出す杏だったが、コロナ禍が始まり……]と、ざっとこんな筋です。映画が終わるといつもはすぐにスマホの電源を入れるのだが、今日はカバンからスマホを取り出してちょっと考えてまたカバンに戻す。映画館を出て山手線に乗り、寄席に行くまでの間、しばらく『あんのこと』について考えた。 
  • 春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第6回「理事のお仕事」

    2024-08-28 07:00  
    6月21日(金)
     朝、ニッポン放送『あなたとハッピー!』生放送。そのあと寄席のかけもちで上野鈴本→新宿末廣亭。21日は10日興行の初日、縁起を担いで『狸の札』を口演。「興行の客入りが良くなる」「芸人が面白くなり売れる」のを、俗に「化ける」という。ということで狸や狐のような化ける動物の噺は縁起が良い。あと泥棒の噺ね。「財布を狙う」=「実入りが多くなる」ということで縁起良し。『ガマの油』はサゲ間際で「腕を刀で切ってしまう」=「金が身に入る」ということで縁起良し。コジツケですけどね。夕方の新幹線で静岡、在来線で清水へ。この秋に真打昇進予定の弟弟子、朝之助改め春風亭梅朝(ばいちょう)と「しみず寄席」なる地域寄席に出演。満員御礼。終演後、梅朝の母上とご姉兄様が楽屋に挨拶に来てくれた。兄上が梅朝そっくり過ぎて驚く。打ち上げを失礼して静岡へ戻るタクシーの車内で、落語会も開いている寿し鐵さんへ電話。にぎ