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春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第23回「しっかりしろ、俺!」
2025-04-10 05:003月10日(月)
朝から快晴。昼、ニッポン放送『あなたとハッピー!』内の「いちのすけっとがいく!」という、一之輔がいろんな所に行っていろいろ手伝うというコーナー(ざっくり)のロケで葛飾区立東柴又小学校へうかがう。「給食の時間に落語を上手に喋りたい」という放送委員ゆうのすけ君の依頼で『時そば』の指導。その前に学校内をインタビューして回る。副校長(昔の教頭)先生が同い年でした。教頭先生といえば『金八先生』の早崎文司さんや『熱中時代』の小松方正さんのイメージだが、もうそんな歳になったのか、俺! ゆうのすけ君の落語もバッチリ決まり、私も校内放送で小噺を披露。盛り上がった……かどうかは放送室にいたのでよくわからないが、帰りがけ、昇降口に大谷翔平選手が配ったグローブが「自由に使ってね」と置いてあったので、手に嵌めて記念撮影する。ひさびさに乗った新京成線が4月から京成松戸線と改名するらしい。余談。 -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第22回「喜ぶと思います」
2025-03-27 05:002月23日(日)
朝、JFN『サンデーフリッカーズ』終了後、タクシーで浜松町、モノレールで羽田空港。福岡へ。八女市で独演会。二ツ目の三遊亭ふう丈と。福岡空港から八女のホールまで、行きも帰りもタクシー移動で運転手は高橋さん(仮)。高橋「今日の一之輔さんのチケット、取れなかったんですわ」私「すいません」高橋「だから今日こうやって働いてるんですわ」私「……すいません。あ、じゃあ行き帰りの間になにも用がなければ席用意しますよ」高橋「えー! いいんですか!?」なんてやりとりをして、いざ私が高座に上がると舞台の向こう袖の薄暗いところで拍手しているおじさん。帽子被って制服姿なので軍人の亡霊かと思ったら高橋さんじゃねえか。スタッフ、舞台袖に席を用意したのかよ。高橋さん、笑ってた。よかった。高橋さん、三席目はちょい寝てた。帰り道、高橋「いやー、面白かったなぁ。ありがとうございました。一之輔さんによろしくお伝えください!」私「はい、喜ぶと思います」。福岡空港に着くまで、車中の私が一之輔であることに気づいていなかった高橋さん。 -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第21回「Tくんのこと」
2025-03-13 05:002月7日(金)
朝、ニッポン放送『あなたとハッピー!』生放送。ゲストは大沢悠里さん。ご存知、ラジオレジェンド。スタッフから緊急LINE「悠里さん、6時5分にスタジオにお入りです!」。8時スタートの番組のゲストの入り時間としては早すぎるので、放送開始まで上柳昌彦アナとお話をうかがう。悠里さんは拙著『人生のBGMはラジオがちょうどいい』を読み込んできてくださったという。ありがたい。上柳さんしかり、本に思い出を綴ったパーソナリティとお会いできるのは嬉しいが、憧れを回収していくテンポが早すぎてちょっと怖いな。昼、池袋演芸場と上野鈴本を回り、またニッポン放送に戻り、夕方は有働由美子さんの『うどうのらじお』。こちらはゲストが私。夜は稲城で独演会。『子ほめ』『雛鍔』『二番煎じ』。 -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第20回「いい顔しても、いーだろ」
2025-02-27 05:00 -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第19回「無口な私」
2025-02-13 05:001月8日(水)
相変わらず正月の寄席興行はつづく。上野鈴本と浅草演芸ホールの掛け持ちのあいだが3時間半空く。昼飯をどうするか。一昨日は稲荷町の交差点そばにある中華屋「一番太鼓」。噺家がよく打ち上げで使う麻婆豆腐が絶品の店。カウンターでコソコソ食べてたらご主人に見つかり焼売をおまけしてもらった。結果的にお返しの態になってしまったが新年のご挨拶に手拭いを渡す。ご馳走様です。今日は田原町駅近くのそば処「甲州屋」。湯豆腐と紅生姜天と……生ビール1杯、だけで終わらずホッピー1セット。女将さんに挨拶をして「これくらいなら問題ないのだ」と自分に言い聞かせ酔い覚ましの散歩。浅草を終えて夜は練馬でたい平師匠と二人会。蔵前から練馬まで大江戸線で一眠りしたら酔いが覚めた。 -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第18回「お尻につらら?」
2025-01-30 05:0012月24日(火)
今日から30日まで長めの休暇(レギュラーのラジオ以外)。「俺は休む!」と気合いを入れて午前中マッサージへ。ネット予約の要望欄に「なるべく強めに」と書いたら物凄いカイナヂカラ。「あのー、もうちょい弱くしてください」……なんて言えないよ。てめえが言ったんだろ! と思われるのがイヤなので我慢する。一時間まったく休まらず。昼、歌舞伎座へ。七之助丈の『鷺娘』美しい。「オラ、生まれ変わったら『鷺娘』を踊るだよ!」と同行の妻に宣言するもスルーされる。夜、池袋演芸場へ「二ツ目勉強会」に。二つ目さんの噺を真打が客席で聴いて終演後に講評するという伝統ある会。自分は普段感覚でやってるので、他人の落語を聴いてその演者にわかりやすくアドバイスする作業はとても難しくくたびれたが、自分の勉強になる。そういえば今日はクリスマスイブ。しかも俺は休みじゃなかったっけ? -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第17回「大喜利で泣く人」
2025-01-16 05:0012月7日(土)
笑点の収録がバラシになったので8月8日以来の完全オフ。午前中、お弟子さんたちが御歳暮に来て高級干し柿をもらった。ひとつ食べたらまぁ甘い。弟子の与いちが「バターのせてレンジチンすると美味しいですよ」なんてハレンチな提案をしてきた。そんな神をも恐れぬ所業、いまだに出来ずにいる。昼、最寄りのデパートに行き果物売り場をふらつくと、さっきもらった柿があった!……ついつい値札を見て、額を弟子の数で割ってしまった。とにかくありがとう、弟子たち。夜、品川インターシティホールにてミュージシャン谷村有美さんのクリスマスライブへ。私は中学時代から谷村さんが大好きなのだ。JFNラジオ『サンデーフリッカーズ(サンフリ)』ではスタッフが仕掛けた私へのドッキリゲストとして、たびたび谷村さんに電話出演していただいている。 -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第16回「 打ち上げばっかり」
2024-12-26 05:0011月27日(水)
声の不調がかなりよくなってきた。毎晩飲んでた酒を、二週間あまりピタリと控えている。自分で自分を褒めてあげたい(©有森裕子)。寄席を二軒早上がりして、横須賀にある防衛大学校での古典芸能鑑賞会。同行は前座の柳家小きちさん。小きちは元自衛官で三尉までいったそうだ。なんでまた落語家になったのか。防衛大は自衛隊の幹部候補生を育成する学校だ。威厳のある校舎が見えてくると、校門で迷彩柄の制服姿の小柄な女性が迎えてくれた。「学生さんですか?」「いえ、職員です」……す、すいません。開演前に学校長先生に挨拶。「魁!!男塾」の江田島平八塾長のようなおっかない人かと思ったら、物凄く柔和でちょっとおしゃべりな紳士でした。案内してくれた二年生の男子は「私、校長先生にあんなに近づいたの初めてです……とても緊張しました」と固まっていた。やっぱりそういうものだろう。 -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第15回「どうも声の調子が」
2024-12-12 05:0011月8日(金)
朝ニッポン放送『あなたとハッピー!』から、浅草演芸ホールで『桃太郎』。新幹線で京都へ。夜は京都芸術大学内の春秋座にて上方の桂二葉さんと二人会。演芸写真家の橘蓮二氏のプロデュースで去年に続き二回目。京都芸大の宮信明先生が駅まで迎えに来てくれる。宮さんは芸能史研究家でこの秋からTBS『落語研究会』の解説者に就任された。43歳。前任者の京須偕充先生が82歳なので圧倒的に若いのだが、博識でひとあたりが良くて、かつおしゃべり。タクシーのなかでひとしきりご機嫌に宮トークを楽しんだ。会のほうは二葉の華におされつつ、『粗忽の釘』と『新聞記事』の頭のおかしい噺でご機嫌をうかがう。打ち上げでは上方のお囃子のTさんがいいかんじの酔っ払い。途中からワイングラスを頭に乗せてバランスを取ったり、「イチノスケシショウヲ、オミコシデカツギタイデスワー!」と言い出し、二葉と二人で腕を組んで私を担ごうとし -
春風亭一之輔の噺はんぶん日記 第14回「くれぐれもお大事に」
2024-11-28 05:0010月27日(日)
朝JFN『サンデーフリッカーズ』生放送。ゲストはロカビリー研究家・ミュージシャンのビリー諸川さん。昼千歳烏山の妙壽寺にて能と落語の会。2013年から続いている会だ。日が落ちると庭、回廊、本堂に配置した竹灯籠が実に幻想的。今日はあとがあるのでお先に失礼し、東京駅16時40分発の上越新幹線で新潟へ。新潟りゅーとぴあにて「虹色寄席」。この会は同じ敷地内の三会場で落語会を開催し、お客さんはフリーで回れるといういわば「落語フェス」だ。私は最終公演のトリ。18時50分に楽屋に入るとこの会の仕切り役、三遊亭白鳥師匠が「一之輔がいないあいだ、大変だったんだぜー!」と。なんでも昼の開演前に柳家喬太郎師匠が倒れたとのこと。
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