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記事 5件
  • ツチヤの口車 第1101回 土屋賢二「旅行の収穫」

    2019-06-20 05:00  
     妻と弟を連れて近江に旅行した。近江には城や寺院など史跡が多数あるが、妻も弟も史跡に関心がない。二人の旅行の目的はトランプをすることだ。こんな低俗な連中と一緒にいて低俗にならないのがわれながら不思議だ。このメンバーでは、史跡をいくつも見ようと提案しても、多数決をとれば、トランプの方がいいという意見が勝つだろう。三対ゼロでだ。
     やむなく見学先を天台寺門宗の総本山、三井寺に絞った。 
  • ツチヤの口車 第1100回 土屋賢二 「仕事に関する七つの法則」

    2019-06-13 05:00  
     小学校では、仕事算や植木算などの問題を解かされる。たとえばこうだ。
    「半径八十メートルの池のまわりに木を二人が五メートルおきに植えようとしています。Aさんは一日に五本植えますが、五日に一日サボり、Bさんは一日に四本植えますが、三日に一度は病欠し、五年に一回忌引きをとります。二人が同時に逆回りに植えて行くと、池の水を全部抜くのに何日かかるでしょうか」
     こういう問題のせいで算数が嫌いになった人も多いだろう。わたしは植木と仕事が嫌いになった。 
  • ツチヤの口車 第1099回 土屋賢二 「もし退職代行を頼んだら」

    2019-06-06 05:00  
     最近、退職代行業者を利用して退職する人が増えた。代行に頼る風潮を嘆く人もいるが、わたしなら迷わず代行に頼むだろう。できることなら、歯磨き、入浴をはじめ、弁明する、妻の機嫌をとる、頭痛に耐える、歯の治療を受ける、健康診断や手術を受ける、死ぬ、地獄の責め苦を受けるなどをだれか代行してくれないものかと思っている。
     わたしと同じ考えの人が多いのか、世の中には代行や代理があふれている。 
  • ツチヤの口車 第1098回 土屋賢二「新しい娯楽」

    2019-05-30 05:00  
     ある集まりで、教え子に会うと、恩師への尊敬の念は芽生えていなかった。わたしの顔を見るなり背を向けて逃げようとしたからだ。もしかしたら尊敬の念が強すぎて近寄りがたいと思ったためかもしれないが、それならなぜ顔をしかめたのか説明がつかない。
     わたしは教え子をつかまえて言った。
    「待ちなさい。君に会ったら言おうと思っていたんだ。何だったかな……喉まで出かかってるんだが」
    「わたしが貸したお金を返してくださるんですか?」
    「えっ、金を借りてた?」 
  • ツチヤの口車 第1097回 土屋賢二 「個人情報の不可解な扱い方」

    2019-05-23 05:00  
     最近、個人情報の保護が叫ばれるようになった。本当は顔もさらすべきではない。顔を見られたら、本人が特定され、美醜、体型から運勢まで知られてしまう。そのうち本人特定につながる顔、体型、歩き方、指紋、DNAなどを隠すため、箱の中に入って移動するようになるかもしれない。
     十年前にはすでに、大学入試の合格者を受験番号で発表する大学が増えていたから、そのうち面接もついたて越しに行い、学生名簿も記号化し、学生は匿名で単位を取って卒業し、だれが入学してだれが卒業したのか、だれにも分からないということになるかもしれないと思っていた。