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記事 5件
  • 町山智浩の言霊USA 第484回 「Charm Offensive(魅力攻勢)」

    2019-06-13 05:00  
     チャーム・オフェンシブ(魅力攻勢)――
     コロンビア大学の日米関係の専門家ジェラルド・カーティス教授は、トランプ大統領に対する安倍総理の外交姿勢をそう呼んだ。
    「魅力攻勢」とは本来、政治家が有権者の喜ぶことばかり言って票を得ようとすることだが、安倍総理はトランプを誰よりも手厚くもてなして、交渉を日本にとって有利に導こうとするということ。さすが、「外交の安倍」。
     今回も改元後、初めて新天皇に挨拶する国賓という名誉をトランプに授けようと、日本に招いた。その名誉に今ひとつピンとこないトランプを「200年以上で初めての機会です」「スーパーボウルの100倍大きなイベントです」と口説いて。目的のためなら天皇陛下すら利用する、安倍総理の素晴らしいガッツがにじみ出た殺し文句だ。 
  • 町山智浩の言霊USA 第483回 「Good story behind this(この写真の背景には、いい話があるんだ)by エドワード・ギャラガー」

    2019-06-06 05:00  
     アメリカ海軍特殊部隊SEALs(シールズ)は、世界最強の兵士たちと呼ばれる。手足を縛った状態でプールに投げ落とされるなど、厳しすぎる訓練に耐え抜いた男たちが集まった精鋭中の精鋭部隊だからだ。
     なかでもエドワード・ギャラガー(39歳)は数々の勲章に輝く歴戦の勇士だった。2017年2月、彼が率いるチームに配属された隊員たちも「隊長は伝説の男」と興奮していた。
     残念なことに、その期待は裏切られた。
     あるとき、ギャラガーが率いる小隊は、IS(イスラム国)に占領された街モスルを奪回しようとするイラク正規軍のサポートをしていた。だが、現場に着くと、川を挟んだ向こう岸に並ぶ民家に向かって、ギャラガーはロケット砲を発射させ、さらに自ら重機関銃を乱射した。そこに誰がいるのかも確認せずに。 
  • 町山智浩の言霊USA 第482回 「#YouKnowMe(私を知ってるわよね)by ビジー・フィリップス」

    2019-05-30 05:00  
     BS朝日の『町山智浩のアメリカの今を知るTV』の取材で南部アラバマ州に行った。1965年にキング牧師が、黒人参政権を求めて州都モンゴメリーまで行進した、その足跡を辿りに行ったのだ。で、州庁舎前にあるキング牧師が勤めていた教会の前でディレクターと2人で撮影していたら、「何撮ってるんだ?」と60代の白人男性に声をかけられた。
    「日本のテレビでキング牧師について取材してるんです」
    「私はあの頃、研修生として州庁舎で働いてたよ。今は、スティーヴ・フラワーズという政治コラムニストだがね。ついておいで」と州庁舎に向かってスタスタ歩いていった。なんだかよくわからないのでボーッとしてたら、こっちを振り向いて「早くおいで」と手招きするではないか。 
  • 町山智浩の言霊USA 第481回 「Emotional Gold Digger(相手に感情的な重荷を負わせる者)by メラニー・ハムレット」

    2019-05-23 05:00  
    「男たちには友達がいないから、女たちがその役割を負っている」というタイトルの、「ハーパーズ・バザー」に載った記事がバズっている。書いたのはメラニー・ハムレットという女性。
     記事の内容は、最近のアメリカの男性は、悩みを相談できる男友達がいない人が多く、その代わりに妻や恋人に対して自分の気持ちを垂れ流している、というもの。扉のイラストでは、無人島に一人取り残されたスーツ姿の男性が「HELP」と書いた板を掲げている。
     ハムレットは何人かの女性たちの体験を紹介する。彼女たちは夫や恋人といると、いつも彼の愚痴を聞かされ、うんうんと頷き、ひどいわねえと怒ってあげて、あなたのせいじゃないわとなぐさめ、大丈夫、うまくいくよとはげましてばかり。高校の野球部のマネージャーか、ZARDの歌詞か、お母さんみたいな役割をやらされていると嘆く。
     なぜ、そんな事態になるのか? 
  • 町山智浩の言霊USA 第480回 「The believability stuck at about 15 to 18 percent.(信じてくれる人は全体の15~18%だね) by ジェイコブ・ウォール」

    2019-05-16 05:00  
     2018年11月1日、首都ワシントンの近くのホテル、ホリデイ・インで奇妙な記者会見が開かれた。トランプ大統領とロシアの癒着を捜査しているロバート・モラー特別検察官から性的暴行を受けた女性が告発するというのだ。数日後に迫った中間選挙に影響を与えるかもしれないとあって、ワシントン・ポスト紙をはじめとする有力メディアが集まった。
     女性は顔を出せないから電話で告発するという。記者会見を仕切るのはジャック・バークマン。右翼コメンテイターとして保守系TV局FOXニュースに時々出演し「2016年に民主党の職員セス・リッチが強盗に殺された事件は、強盗に見せかけたDEA(麻薬取締局)の仕業だ!」などの陰謀論を披露している男。2014年にテキサスのプロ・フットボール・チーム、ダラス・カウボーイズがゲイを公表している選手マイケル・サムと契約した際もボイコットを呼びかけていた。しかし、時間になっても告発者の電話はなかった。しどろもどろで言い訳するバークマン。失笑する記者たち。
     後に、告発者となるよう頼まれた女性キャロライン・キャス(34歳)がマスコミに事の次第を明かした。