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記事 4件
  • 夜ふけのなわとび 第1613回 林真理子「吉本と参院選」

    2019-08-01 05:00  
     吉本興業の社長といったら、日本一のお笑い王国のトップである。さぞかし面白いことを言ってくれるのではないか。あるいは人情の方にうまく持っていかれるか。日本中が注目していたのに、このていたらくである。心底がっかりしてしまった。
     そして思った。あの日大アメフト事件とまるっきり同じではないか。
     あの時も監督や学長が出て、事態はさらに不味いことに。どちらも危機管理がまるで出来ていないのだ。
     吉本だったら、腕っききの弁護士も、喋くり名人のタレントも待機していたことであろう。どうしてこんなに危機管理が出来ていないんだろうか。
     違っていることといえば、吉本の方にはキレる司会者がいなかったということ。だから五時間半もだらだらと続いてしまった。これに失望した所属大物タレントが、吉本訣別を口にし世間はえらい騒ぎに。おかげで参議院選がどこかに吹っとんでしまった。 
  • 夜ふけのなわとび 第1612回 林真理子「プリズンレジャー」

    2019-07-25 05:00  
     網走の信用金庫さんから、講演の依頼をいただいたのは今年の春のこと。
     全く迷うことなく、
    「行く、行く!」
     と叫んだ私。なぜなら私は網走というところに一度も行ったことがなかったからである。
     ふだんなら講演会に出かけても、行ってすぐに帰ってくるのであるが、今回はこちらからお願いした。
    「網走監獄行ってみたいので、ご案内いただけますか」
     そのため、夕方からの講演会であるが、午前中に羽田を立った。
     女満別(めまんべつ)空港には、信用金庫のまだ若い男性が立っていた。今日一日、私のアテンドをしてくれるのだ。後に聞いたら四十歳だという。この日のために一生懸命準備をしてくれていたらしい。
    「ハヤシさん、監獄の後は世界一おいしいジェラートを食べましょう」
     とても人懐っこくていい感じだ。 
  • 夜ふけのなわとび 第1611回 林真理子 「岩手の居酒屋」

    2019-07-18 05:00  
     文化人の団体、エンジン01の事務局に、ある日一通の手紙が届けられた。
    「私は岩手の田舎で、高校の校長をやっています。週刊文春で林さんの、地元の本屋さんを守ろうとするいきさつを読み、感銘を受けました。私どもの町にも、一軒だけ小さな本屋さんがあります。この本屋さんを応援すると同時に、わが校の生徒に、読書の楽しさを教えてやってくれませんか」
     そういうことなら、ぜひうかがいたい。エンジンには「出張授業」というシステムがあり、お呼びがかかれば日本全国どこにでもいく。年に三回か四回、実施しているが、大変に好評である。交通費さえ出していただければ、一流の文化人、スポーツ選手がボランティアで授業を受け持つのだ。 
  • 夜ふけのなわとび 第1610回 林真理子「二十年後」

    2019-07-11 05:00  
     このページを長年担当してくださっている、イラストレーターの平松昭子さんは、着物愛好家として知られ著書も何冊かある。
     先週のイラストを見てびっくりしてしまった。お店の人が勧める八重山上布が、私の買ったものとよく似ている。シンプルなラインで、八重山上布特有の模様を表している。さすがだ。
     ところでその八重山上布であるが、羽田からの帰りのこと。女友だちと食事をした。そこでキャリーケースから取り出し、みんなに見せびらかした。
    「ね、ね、すごいでしょう。こんな凝ったものはもうめったに織られることはないのよ」
     そうしているうち、友人が譲ってほしいと言い出したのである。