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記事 50件
  • 夜ふけのなわとび 第1893回 林真理子「長嶋さんの奥さん」

    2025-06-12 05:00  
      長嶋茂雄さんが亡くなられた。

     偉大なヒーローの死は、私たち世代を中心に深い喪失感を残した。私より少し上の友人は、

    「朝から涙が止まらない」

     と言って寄こした。

     長嶋さんがいなくなるということは、自分の幸せな少年時代の思い出もなくなるということらしい。

     父親に連れていってもらった後楽園。そして白黒テレビで見たジャイアンツの試合。あの頃、いろいろな少年雑誌の表紙を長嶋さんが飾っていた。それが悲しいものになってしまう。

     今考えると大変に幸運なことであるが、私は長嶋さんとおめにかかったことがある。 
  • 夜ふけのなわとび 第1892回 林真理子「老妓抄」

    2025-06-05 05:00  
     年をとってくると、嗜好は次第にジャパネスクになっていく。

     フランス料理なんて、もう何年も食べていない。焼肉もそう。

    「何を食べたい?」

     と聞かれたら、和食がいいと答える。出来たらコースではなく、好きなものを選べる居酒屋風なところがいいな。

     このあいだまでは、お鮨屋さんのカウンターに白ワインを持ち込んだりしたが、みんなあまりやらなくなった。無理にブルゴーニュのなんたらを合わせるより、ふつうに日本酒を飲めばいいこと。梅雨寒の日だったら熱燗にしてもらう。 
  • 夜ふけのなわとび 第1891回 林真理子「並びました」

    2025-05-29 05:00  
     先週号のこのページで、

    「永野芽郁さんの不倫騒動が沈静化しそう」

     と書いた。確かにあの時はCMの方も、半分はスポンサー側が慎重にとらえていたようであった。しかし文春が第2弾を出してからというもの、あれよあれよ、という間に大ごとになった。せっかく決まっていた大河ドラマも、出演辞退ということになったようだ。

     不倫に関しての考え方は先週書いたので、もうあれこれ言うつもりはないが、芸能人というのは本当に大変だ。仕事とは別のところで評価され、それが命取りになったりする。

     今度の一件で非常に迷惑をかけられたのは、騒動直後に公開された、芽郁さんの主演映画『かくかくしかじか』の原作者の東村アキコさんだろう。 
  • 夜ふけのなわとび 第1890回 林真理子「有名人と不倫」

    2025-05-22 05:00  
     永野芽郁さんの件であるが、第2弾の報道も出て、もっと大変なことになるのではないかと心配していたのであるが、なんだか沈静化しそうである。

     いくつかのスポンサー企業も、

    「事務所が否定したのだから」

     ということでお咎めなしということだ。

     私が考えるに、旦那さんや子どもがいる女性が恋に走ると非常に糾弾されるが、独身の女性の場合、ぐっと世間は寛大である。

     私の知り合い(女性)も、

    「いろいろ言う人がいるけど、あんたら、メイちゃんみたいに可愛いコに、好き、と言われたら断われるのか」

     という優しい意見だった。

     私はある女優さんが対談で言っていたことが深く心に残っている。 
  • 夜ふけのなわとび 第1889回 林真理子「テレビは『リカバリー』」

    2025-05-15 05:00  
     そのパジャマのことを教えてくれたのは、同い齢の男性だ。

    「それを着て寝たら、次の日の午後の2時まで寝てしまったんですよ」

    「えー、そんなことが」

    「本当にぐっすり眠れるんです」

     話題のリカバリーパジャマというやつだ。いくつかの種類があるらしいが、まずアマゾンで探してみた。すると2万円台という、とてもパジャマとは思えないものが並べられているではないか。

    「こんな高いものがあるのか」

     いぶかしく思いながら1枚購入してみた。 
  • 夜ふけのなわとび 第1888回 林真理子「依存症って」

    2025-05-08 05:00  
     園遊会で、女性の皇族方が和服姿で一列に並ばれる。そのお綺麗で見事なことといったらない。

    「着物って本当にいいなあ」

     ため息が出てしまう。

     皇后さまの気品ある美しさ、愛子さまや佳子さまの若さや愛らしさを着物はひきたててくれる。特に愛子さまの振袖姿の素敵なこと。振袖というのはこういう風に着なさいと、お手本を示してくださっているようだ。品よく華やかで本当にお美しい。

     さて皇族の方々の後に、私の話をするのは恐縮であるが、大学に勤めていると着物を着ることが案外多い。卒業式、入学式があり、お正月には、職員向けの年賀の会でおめでたい柄の訪問着を着る。

     が、残念なことにまわりを見渡しても、着物をわかってくれる人は誰もいない。 
  • 夜ふけのなわとび 第1887回 林真理子「職業婦人」

    2025-04-24 05:00  
     先日の「阿川対談」のゲストは、女優の佐久間良子さんであった。

     ちょうど半生を綴った著書を読んだばかり。対談の中でもお話しになっていたが、佐久間さんの「美少女伝説」はすごかったらしい。

     お嬢さま学校の制服を着た佐久間さんが、朝、通学のために電車に乗ると、近隣の男子校生がわっと同じ車輛に詰めかけて大変な騒ぎになった。それどころか、駅員までがうちまでついてきたというのだ。

     私は自分とはかけ離れた、こういう美女の逸話が大好き。20年以上前、山本富士子さんが日経新聞「私の履歴書」をお書きになっていたことがある。

     それによると、女学校時代の男性教師から歌を贈られたということだ。すごいなあ。

     山本さんには、おめにかかったことがないが、佐久間さんとは何度かある。大女優のオーラときたら、それこそ目がくらむようであった。

     ところで「阿川対談」の中で、佐久間さんは「細雪」を撮った時の思い出を語っている。 
  • 夜ふけのなわとび 第1886回 林真理子「隣家の情勢」

    2025-04-17 05:00  
     リーダーになったり、“長”がついたりすると持ち出しは凄く増える。
     自前で若い者たちにおごらなきゃならないし、何かの会食でも、ワリカンではなく、
    「あ、今日はこちらで持たせてください」
     と言わなければならない。
     トランプ大統領は、もうそういうことをする気は全くないようだ。
    「もう世界のリーダーやーめた」
     と宣言した。
     私はニュースを見るたびに、
    「トランプさん、年とってついにヤキが回ったのでは」
     と考えていたが、その後専門家の話を聞いていると、この計画は何年も前から周到に準備されていたらしい。有名な学者が論文を出し、トランプさんはそれにのっとり実行しているとも。 
  • 夜ふけのなわとび 第1885回 林真理子「春の日」

    2025-04-10 05:00  
     恒例の桃見バスツアーの頃になると、いつもお天気が心配になる。
     桃の満開の時を、皆に見てもらいたい、満足して帰ってもらいたい、と3月の末ぐらいから、ドキドキして天気予報を見ているが、この何年かはもう匙を投げた。真冬の次の日が初夏になったり、もうめちゃくちゃだ。
     今年もいい感じで桃が咲き始めたと思ったら、急に冬に戻り冷たい雨が続いた。バスツアーの前の日もその前の日もずっと雨。当日も朝からずっと東京は冷たいものが降っている。
    「だけどハヤシさんは、究極の“晴れ女”だから大丈夫ですよ」
     秘書の言葉に励まされたが、私も全く期待していなかった。 
  • 夜ふけのなわとび 第1884回 林真理子「忙しい週末」

    2025-04-03 05:00  
     母校日大の理事長になって3年め。
     そろそろこの質問をやめていただきたい。
    「大学には週3回ぐらいは行ってるの?」
    「春休みとか夏休み、1ケ月ぐらいとれるんでしょ」
     このあいだも親しい編集者に、
    「ハヤシさんが毎日大学通ってるなんて、誰も思ってないんじゃないですか」
     と言われ、とてもショックを受けた。
     あのね、毎日朝の9時半に迎えの車が来ます。10時の時もあるけれど、毎日出勤して夕方までいる。それどころか土日も半分ぐらいは、地方の校友会や学内のイベントに出かけている。