• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 49件
  • 人生エロエロ 第617回 みうらじゅん「クッチョンさん」

    2025-02-13 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     最近、よく耳にする“紐付け”って言葉。
     マイナンバーカードに紐付けする健康保険証や、運転免許とか、そんなの。
     でも、アウト老(ロー)の頭には当然、あの紐付けが浮んでくる。
     それは、昭和生れには馴染み深い、天井から吊られた和風の傘が付いた照明器具。その中央から垂れ下がった紐のことである。 
  • 人生エロエロ 第616回 みうらじゅん「ムード音楽との出会い」

    2025-02-06 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     T・REXのアルバム『電気の武者』(原題“Electric Warrior”)が発売されたのは1971年。僕が中学生の時だった。ヒット曲『ゲット・イット・オン』や『ジープスター』が収録されてるLPレコードだ。
     当然、欲しかったが、その2曲はよく深夜ラジオでかかっていたので、ラジカセに録音し、我慢することにした。
     当時、LPレコードは2000円。僕が親から貰ってた月々のお小遣いと同額だった。中古盤屋やレンタルレコード屋はまだない時代。勢いで買って何度か失敗したことがあったから、おのず慎重にもなる。
     それは僕に限ったことではなかった。 
  • 人生エロエロ 第615回 みうらじゅん「お爺さんの特権」

    2025-01-30 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
    『老いるショック・セミナー(5)“4G”』
     おはようございます。早速ですが、みなさんはパートナーからこんな指摘を受けたことはありませんか?
    “ねぇ! 私の話、ちゃんと聞いてる?”
     または、
    “それ、前にも言ったじゃない。もう忘れてんの!?”
    「先生!」
     じゃ、そこのベレー帽をおかぶりになってる方。 
  • 人生エロエロ 第614回 みうらじゅん「初◯ッ◯◯の思い出」

    2025-01-23 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     ま、それはさておき“三十三年後の約束”が迫っているのである。
     下の写真は右が、いとうせいこう氏(当時31才)で左が、僕(当時34才)。共著である『見仏記(けんぶつき)』、その本のラストで二人はおかしな待ち合わせをしていた。
    “三十三年後の三月三日、午後三時三十三分に三十三間堂の前で会いましょう”
     この気の遠くなるような約束は半ば冗談であった。 
  • 人生エロエロ 第613回 みうらじゅん「へべれけめぇ」

    2025-01-16 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     コロナ禍に柳家喬太郎さんの落語を聴き、すっかりハマッてしまった。
     理由は明快、面白いからである。
     それまで上方落語専門だった僕は、喬太郎さんをきっかけに、いわゆる江戸の落語も今ではよく聴く。
     上京してから半世紀近くになる。もはや、そっちの方が馴染み深いのかも知れない。
     いや、そうかな?
     やっぱ、江戸っ子のべらんめぇ口調で捲し立てられるとちと、怖い。
     先日、こんな現場に遭遇したのだった。 
  • 人生エロエロ 第612回 みうらじゅん「孤独とチャンスは背中合わせ」

    2025-01-08 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
    “孤独をいつの間にか 淋しがり屋とかんちがいして”
     これは吉田拓郎さんの『イメージの詩(うた)』のワンフレーズ。
     上京して間もない頃、淋しくなるとよく口ずさんでた。
     友達も出来なくて唯一の話し相手は定食屋のおじさん。年齢までは聞かなかったけど、30代半ばだったように思う。
     カウンターしかない狭い店で、たまにおじさんが暖簾を引っ込めた後も居残っていたことがある。
    「オレにはよく分かんないけど、美術の世界ってのも大変そうだね」
     もちろん僕が美大を目指していることは知っている。
     ある日、おじさんは店の常連で絵本の出版社に勤めているという人を紹介してくれたんだ。 
  • 《『男はつらいよ』映画公開55周年記念》人生エロエロ《特別編》みうらじゅん「寅さんはキープオン・トンチンカン」

    2024-12-26 05:00  
     人生の3分の2は寅さんのことを考えてきた。
     と、いうのは嘘だけど、折りに触れ考えることが多かったことは本当。
    『男はつらいよ』を初めて映画館で観たのは、シリーズ8作目の『男はつらいよ 寅次郎恋歌』だった。併映は『春だドリフだ 全員集合!!』と、当時つけていた“映画ノート”にはそう書いてある。中学生になり、いろんな映画を観始めた頃だ。それに思春期、いわゆる青春ノイローゼ。男子校に通う冴えない中学生としては、街の映画館が現実逃避のシェルターでもあった。
    「あんた、彼女はまだ出来ひんのか?」
     休日、家でゴロゴロしてるとオカンが聞いてくる。そこが、ひとり息子のつれぇところよ。 
  • 人生エロエロ 第611回 みうらじゅん『SNOW LIGHT LOVE』

    2024-12-19 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     クリスマスが近づくと思い出す歌がある。
    “雪が降る/寂しい街/君の姿/見つけられず/君の名前/銀世界に/静かに響いてる/僕はひとり/彷徨う街/ひとこと愛を告げたくて♬”
     タイトルは『SNOW LIGHT LOVE』。
     たぶん、ほとんどの人は知らないと思う。
     だって、僕が19歳の時に作った歌だから。 
  • 人生エロエロ 第610回 みうらじゅん「二人の思い出」

    2024-12-12 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     何年か前、『ワイドナショー』という番組に出演した際、楽屋でアンケート用紙を渡された。
    「今回取り上げるネタのひとつ“ストレス調査”に関するもので、出演者のみな様にもお願いしてます」と、テレビ局の人は言った。
     どんな時にストレスを感じるかYES・NOで答えるアンケートで20項目ぐらいあったと思う。
     本番中、それが公表された時、どうやら僕の回答は予想通りだったみたいで「やっぱ、みうらさんはほとんどストレスがないんや」と、司会者が言って、スタジオ内に笑いが起った。
    「『ストレス』は、森高千里さんの歌ぐらいしか知らないもんで」
     仕方なくそう返したが、僕にだってストレスはある。 
  • 人生エロエロ 第609回 みうらじゅん「アウト老日記:ブツゾーとか筆ペンとか」

    2024-12-05 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     11月13日 晴
     ここ何年かはYouTubeで発表を行っている『みうらじゅん賞』。今年、27回目を迎える。
     途中、4年間ブランクがあったが、リリー・フランキー氏の一声「あれ、復活して下さいよ」で、2005年から再開。
     ちなみにその年の受賞者は、熊田曜子さん、リチャード・ギアさん、井筒和幸さん、峯田和伸さん、ジャガーさん、猫ひろしさん、そしてリリーさんだった。
     今年もその選考で大わらわ(と、いうのは嘘だけど)。発表はクリスマス・イヴに予定している。