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記事 5件
  • 臆病者のための楽しい人生100年計画 第24回 橘玲「性愛編 オーガズムに愛は関係ない?」

    2019-10-10 05:00  
     前回は、「女は身体の対称性の高い男とのセックスでオーガズムを感じやすい」という研究を紹介した。衝撃的なのは、パートナーとのあいだに愛情があるかどうかは「よいセックス」に関係ないらしいことだ。
     しかし、こうした研究には限界がある。もっとも確実なのは、ランダムに選んだ女性の被験者に、(脳内の画像を撮影する)fMRIのなかで、さまざまなタイプの男とセックスしてもらうことだ。これならフェイク・オーガズム(いったふりをすること)を排除したうえで、どのような男が「いかせる」のかを客観的に測定できるだろう。
     もちろんこんなことができるわけはないから、「女のオーガズム」という未知の領域の探求は(自己申告の)質問紙調査に頼るほかなくなる。当然、条件や質問内容が異なれば結果が微妙にちがってくる。 
  • 臆病者のための楽しい人生100年計画 第23回 橘玲「性愛編 愛がなくてもいけますか?」

    2019-10-03 05:00  
     女のオーガズムは、進化論ではずっと謎だった。
     生殖のために男にオーガズムが必要な理由は誰だってわかる。射精にともなう快感がなければ、わざわざセックスなどという面倒なことをしようとは思わないだろう。
     しかしこの理屈では、女のオーガズムは説明できない。生殖システムとしては、オーガズムがあろうがなかろうが女は妊娠できるのだから、それは余計なものなのだ(多少の快感は必要かもしれないが)。
     このように考えたのは著名な進化生物学者のスティーヴン・ジェイ・グールドで、「クリトリスは男の乳首と同じ」と論じた。 
  • 臆病者のための楽しい人生100年計画 第22回 橘玲「性愛編 マジックナンバー『0・7』の正体」

    2019-09-26 05:00  
     女性の魅力は、古来さまざまにうたわれてきた。艶やかな髪、透きとおるような肌、ゆたかな胸、均整のとれた身体、などなど。
     だれもがなんとなく気づいているだろうが、こうした男の視線の背後にははっきりとした「目的」がある。それは、「若くて健康で妊娠していない女と性交すること」だ。
     ヒトも他の生き物たちと同様に、長い進化の歴史のなかで、子孫=利己的な遺伝子の複製を最大化するように「設計」されてきた。こうした主張はかつては「差別」と批判されたが、膨大な証拠(エビデンス)が積み上がったことで、いまさら目くじら立てるひとはいないだろう(たぶん)。
     それでは、さまざまな女性の魅力のなかでもっとも重視されるものは何だろう。ひとそれぞれだと思うかもしれないが、じつはこれには有力な仮説がある。それが「ウエストとヒップの比率」で、略してWHR(Waist-hip ratio)という。 
  • 臆病者のための楽しい人生100年計画 第21回 橘玲「性愛編 条件づけされる男たち」

    2019-09-19 05:00  
    「パブロフの犬」の話は誰もが学校で習っただろう。イヌにベルの音を聞かせたあとに餌を与えることを繰り返すと、ベルの音を聞いただけでよだれをたらすようになる。
     これは「条件づけ(すり込み)」と呼ばれ、中性刺激(ベルの音)と無条件で反応を引き起こす刺激(餌を与える)をセットにすると、中性刺激だけで無条件刺激と同じ反応(よだれをたらす)を得られるようになる。
     だったら、人間も同じように「条件づける」ことができるだろうか。これを実際に試してみた興味深い実験がある。
    「パブロフの犬」にされたのはノースダコタ大学で心理学を学ぶ18歳~20歳の男子学生9人で、3人ずつ3組のグループに分けられた。
     学生たちはまず、ヌードやセミヌードの写真から、もっとも興奮する5枚を選んだ。それから個室に入ると、快適なリクライニングチェアに座ってパンツを下ろし、ペニスに「プレチスモグラフ」と呼ばれるリングを装着する。これはペニスの勃起度(周囲の長さ)と血流を測定する装置だ。 
  • 臆病者のための楽しい人生100年計画 第20回 橘玲「心とからだ、どちらの浮気がより傷つく?」

    2019-09-12 05:00  
     初期の進化心理学では、男の性戦略は「乱交(短期的関係)」で、女は「純愛(長期的関係)」だとされてきた。しかしいまでは、これは男にとって都合のいいお伽噺だということがわかっている。
     男も女も、生存と生殖にとってもっともすぐれた遺伝子を後世に残すように進化してきた。これが「利己的な遺伝子」説だが、じつはこれは(わかりやすいように)因果関係を逆にしていて、正確には、「生存に適さない遺伝的形質が淘汰され消えていった結果、有利な遺伝子が残った」になる。進化論がとてつもなく強力な理由は、この身も蓋もないシンプルさにある。
     多くの子どもをつくるのは「モテる」男で、テストステロンのレベルが高い「アルファ」だ。しかしヒトは、進化の過程で脳を極端に発達させたことで、出産後も授乳や育児に多大なコストがかかる。そのため女には、自分と子どもに食料や安全などの「資源(リソース)」を提供する「ベータ」の男が必要だ。