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春日太一の木曜邦画劇場 第575回「倒錯する純愛。その乱歩作品を加藤泰監督は見事に描き切った!」『江戸川乱歩の陰獣』
2024-03-14 05:00 -
春日太一の木曜邦画劇場 第574回「チャンスに飢えた役者たち。その熱気が強烈な任侠作品!」『懲役三兄弟』
2024-03-07 05:00 -
春日太一の木曜邦画劇場 第573回「気軽にサクッと小気味よい切れ味。深作欣二の小規模アクション劇!」『白昼の無頼漢』
2024-02-29 05:00 -
春日太一の木曜邦画劇場 第572回「2時間超えが標準の当世だからこそ凝縮された短時間の娯楽作を希望!」『拳銃0号』
2024-02-22 05:00近年、国の内外を問わず、映画の上映時間が長くなりがちな傾向にある。二時間オーバーが当たり前になっている現状は、少し考えものだ。
特に娯楽映画に関しては、よほどの超大作でない限りは最低でも二時間以内、百分前後が最も適しているというのが、筆者の持論だ。
そこで嬉しいのが旧作邦画、特に一九七五年前後より以前に作られた作品だ。当時は二本立て上映がメインだったため、巨匠の撮るような大作を除いては、たいてい九十分前後の上映時間。そのため、無駄なくテンポよく終わることが多かった。さらに、二本立てのメインでない添え物的な「二本目」の作品はさらに短く、一時間前後もざらだった。
それで内容的に物足りないかというと、そのようなことはない。むしろ凝縮され、引き締まった構成になっていることも少なくなかった。
今回取り上げる『拳銃0号』も、そんな一本だ。上映時間はわずか五十三分。 -
春日太一の木曜邦画劇場 第571回「原作小説から妄想した配役。ドラフト1位の面々がズラリ!!」『宮本武蔵』
2024-02-15 05:00歴史上の人物を扱った小説を原作にした時代劇を観る楽しみの一つに、それぞれの人物がどれだけ原作小説や史実から受けるイメージの通りに配役されているか――がある。
そういう点で満点なのが、今回取り上げる松竹=加藤泰監督版『宮本武蔵』だ。
映画の『宮本武蔵』といえば、内田吐夢監督=中村錦之助主演による東映の五部作が決定版だ。が、配役という点では、吉川英治の原作のイメージからは大きく離れている意外性も少なくない。たとえば、ニヒルな佐々木小次郎に剛直な高倉健が配されていたり、武蔵を導く沢庵和尚に俗っ気の強い三國連太郎が配されていたり。そこは、違和感のあるキャスティングをあえてすることで人物に幅をもたらせようとする内田吐夢ならではの狙いもあるのだが。 -
春日太一の木曜邦画劇場 第570回「厭な現実を吹っ飛ばしたい……。そんな時は新東宝の娯楽作品!」『花嫁吸血魔』
2024-02-08 05:00近年は意識の高い映画人が多くなり、作品を通して現代の問題点を訴えかけようというのが、かなり目立つようになってきた。もちろん、そうした意識を持つことも、そうした作品自体も尊いものであることは大前提としてある。
ただ、そうした作品ばかりになっては、どうも息苦しくもなる。映画の効能として、現実逃避というのも大きい。せめて映画を観ている間くらいは、つらい現実を忘れることができる――。それもまた、映画の重要な役割だ。
そんな時は旧作、中でも新東宝の映画はありがたい。徹底して現実離れした娯楽を作り続けてくれたので、その作品を観ていると心が和むのだ。
今回取り上げる『花嫁吸血魔』も、そんな一本だ。タイトルからして意識が低い感が強いが、さすがは新東宝、我が期待を裏切らない。 -
春日太一の木曜邦画劇場 第569回「凜とした鈴木瑞穂の美声が見せる、知で変革を説く剣豪の凜々しさよ!」『座頭市牢破り』
2024-02-01 05:00取材を希望していながら、結果として間に合わなかった方は少なからずいる。昨年十一月に亡くなった鈴木瑞穂も、そのような一人だった。
今から数年前にインタビューを依頼、お受けいただいていたのだが体調が悪化してしまう。そして、回復をお待ちしているところだったのだ。
鈴木の大きな魅力は、その声だ。重厚でいて温かみのある、そのよく通る美声は役者だけでなくナレーターとしても魅力的。特に『白虎隊』などの日本テレビの年末時代劇では、歴史的事実を読み上げているだけなのに、切ない心情が染み入ってきた。
役者としては前回の『無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ』のような憎々しい敵役も少なくなかったが、やはり真骨頂はインテリ系の役柄だ。正義と理想に燃える新聞記者などを演じる時は特にハマっており、そこに現れただけで揺るがない信念を背後に感じさせてくれた。 -
春日太一の木曜邦画劇場 第568回「丈吉を狙う夏八木勲の惨めな最期。シリーズは未完でも印象的な終焉だ」『無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ』
2024-01-25 05:00今回取り上げる作品は『無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ』だ。前回、前々回と紹介してきたシリーズの三作目にして、最終作である。
このシリーズは、妻子を惨殺された丈吉(原田芳雄)の復讐の旅を追いかけてきた。そうなると、最終作では最後の仇敵である国定忠治との決着が描かれるはず――と思う人も多いだろう。ところが、本作にはこれまで忠治を演じてきた峰岸徹がクレジットされていないのだ。
ただ、一作目で内田良平の演じた同じく仇敵の長五郎を二作目では井上昭文が演じていることから、本作も忠治のキャスティングが変更になったと考えられないこともない。だが結論から言うと、忠治は登場しない。本シリーズは完結せずに、途中で終わってしまっているということだ。
だからといって、肩透かしの内容かというと、全くそのようなことはない。むしろシリーズ最高の見応えで、忠治の存在を忘れてしまうほどだ。 -
春日太一の木曜邦画劇場 第567回「失態を犯す丈吉の情けなさの一方で内田朝雄、市原悦子の姿が際立つ」『無宿人御子神の丈吉 川風に過去は流れた』
2024-01-18 05:00 -
春日太一の木曜邦画劇場 第566回「原田芳雄演じる主人公だけでなく脇役悪役までキャラ立ちしている」『無宿人御子神の丈吉 牙は引き裂いた』
2024-01-10 05:00
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