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記事 5件
  • 春日太一の木曜邦画劇場 第341回「吹雪の中、行者・夏八木 劔岳の化身の如き威容!」『劔岳 点の記』

    2019-06-13 05:00  
     先日、個人的な取材で富山に行った。宿泊したのは安いビジネスホテルだったのだが、なんとその窓からは立山連峰が一望できた。そして、その端にひときわ高くそびえる山があった。劔岳(つるぎだけ)である。
     その威容を眺めながら、ふと思った。ああ、ここに夏八木勲がいたんだなあ――。
     というわけで夏八木勲七回忌特集の最後となる今回は『劔岳 点の記』を取り上げる。
     舞台は明治時代。測量のための国家プロジェクトとして公式には未踏峰だった劔岳の登頂に挑んだ人々の苦難が描かれている。しかも、撮影は実際の劔岳で行われた。 
  • 春日太一の木曜邦画劇場 第340回「知性と狂気を併せ持つ眼 夏八木勲の悪役は恐い!」『必殺仕掛人 春雪仕掛針』

    2019-06-06 05:00  
     今回も引き続き、七回忌となる夏八木勲の特集である。
     厳(いか)つい面相に隆々たる肉体、そして知性と狂気を併せ持つギラギラしつつも鋭い眼差し――そうした夏八木の魅力は、人間としての頼もしさを役柄に与えてきた。が、それだけに悪役を演じると厄介なことになる。その特徴のまま敵に回るため、強大な相手として映し出されるからだ。
     だからこそ、夏八木が悪役で出てくる作品には、いつもスリリングな迫力がもたらされることになるのである。
     今回取り上げる時代劇『必殺仕掛人 春雪仕掛針』は、夏八木の悪役としての恐ろしさを堪能できる一本である。 
  • 春日太一の木曜邦画劇場 第339回「夏八木勲の高い身体能力 見惚れてしまう肉体美!」『牙狼之介 地獄斬り』

    2019-05-30 05:00  

     今回も七回忌となる夏八木勲を偲んで、その魅力について改めて検証していく。
     一九六六年に東映京都の『骨までしゃぶる』で映画デビューした夏八木は、同年初主演も果たしている。それを導いたのが五社英雄。当時、フジテレビのディレクターでありながら、映画も監督していた。
     型にはまらない激しいアクションを時代劇に求めていた五社にとって、野性味あふれる荒々しさを放つ若き日の夏八木は格好の素材であった。そして撮られた作品が『牙狼之介』。夏八木扮する正体不明の浪人が豪剣を振るいながら大活躍をする時代劇だ。

     
  • 春日太一の木曜邦画劇場 第338回「夏八木勲の映画デビュー すでに圧倒的『男臭さ』!」『骨までしゃぶる』

    2019-05-23 05:00  
     夏八木勲が亡くなり、早いもので七回忌を迎えた。
     間違いなく、筆者が最も愛した役者の一人であり、スクリーンやテレビ画面に映し出される彼の姿、そして一挙手一投足の全てに対して、役柄を越えて心酔していた。
     夏八木勲の魅力。それはなんといっても、隙がないまでに充満し、そして放たれている、その圧倒的な「男臭さ」である。厳(いか)つい面相、ギラつく眼差し、鍛え抜かれた肉体、そして熱い魂がほとばしる芝居――「全身これ、男性ホルモン」とすら表現できる様は、爽やかさばかりが尊ばれる昨今の風潮に対して居心地の悪さを感じていた身には、憧れの存在だったのだ。そのため、映画やドラマの内容、出来不出来に関係なく、夏八木がそこに映るだけで満足だった。
     そこで。本連載ではそれなりに夏八木のことは書いてきたが、この機会にまた改めて何週かにわたって夏八木出演作品を取り上げていきたい。
     今回は『骨までしゃぶる』。夏八木が二十六歳で出演した、映画デビュー作である。 
  • 春日太一の木曜邦画劇場 第337回「石橋蓮司が演じる平凡なサラリーマンの大絶叫!」『出張』

    2019-05-16 05:00  
     出身高校の最寄り駅は新大久保だったのだが、新宿や渋谷の映画館に行く時を除くと、下校時にはあえてその反対方向に歩き、一つ隣の高田馬場駅から帰っていた。駅の近くにあったレンタルビデオ店に寄るためだ。この店、とにかくマニアックな品揃えに定評があり、洋邦を問わず、毎日のように借りまくっていた。
     今回取り上げる『出張』も、そこで出くわした一本だ。なぜか棚で大きくレコメンドされていたのだ。おそらく、この店に通わなければ出会うことのない作品だったと思う。