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記事 32件
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第31回「町田康さん『しらふで生きる』のリアル」

    2024-12-19 05:00  
    「50歳を超えたら、アルコールを半分にして、運動を倍にせよ。あなたが何をするにせよ、健康は人生の基盤である」。GMOインターネットグループの創業者、熊谷正寿社長のお言葉である。以前、ワインの回で書いたけど、熊谷さんは私にワインの美味しさを教えてくれた人で、BARやクラブでの立ち振る舞いも背中で教えてくれた。つまりお酒はたくさん飲む人だ。去年還暦を迎えたけど、非常に若々しく、いつもバイタリティに溢れている。益々、若返っていっているようにさえ見える。ちなみに私の10歳年上である。
     そんな熊谷さんの言葉だから、説得力が違う。私もかくありたい。昨年、自分が50歳を迎えた時にこの言葉を聞いて、「まさに我が意を得たり!」そう思った。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第30回「酒が好き過ぎて困っている」

    2024-12-12 05:00  
     最近の若い子は酒を飲まなくなってきている。私の周りでもよく聞くようになった話である。実際、うちの若い社員と飲んでいても感じるし、彼らに「みんな飲まなくなっているの?」と聞くと、「そう思います」と答えてくる。ある調査では、Z世代の20歳~24歳でほぼ毎日酒を飲むのはわずかに4%しかいないらしい。それが良いことなのかは分からない。でも、若い頃から酒を飲みすぎる人生を送り、いまだその真っ最中にいる自分にしてみれば、酒は悩みの種だ。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第29回「『集団運』という言葉にハッとした」

    2024-12-05 05:00  
    「1993 恋をした oh 君に夢中 普通の女と思っていたけど Love 人違い oh そうじゃないよ」
     バイトをしていた雀荘の有線放送からいつもこの曲が流れていた1993年の夏の日、正社員の先輩から、「お前はいいよな、大学に行けば可愛い女の子いっぱいいるんだろ?」と言われた。それが、私にはどうもピンと来なかった。
     なぜなら、学校に行ってキャンパスを見渡してみても、化粧もろくにしないでジャージみたいな服を着ている女子学生ばかりだったから。私は神奈川県の本厚木にある「森の里」という、駅からバスに乗り換え、更に30分も行った先にある、自然に囲まれた青山学院の教養キャンパス(現在は移転済み)に通っていた。都心の学校に通う女子と比較すると、当時の私には芋っぽく見えていた。
     ところが、である。3年生に進級し、ようやく大学名の通り青山キャンパスに通うようになったある日のこと、私はひとり学食に座り、何気なく行き交う人たちを眺めていて驚いた。キョロキョロと目移りしてしまうほど、美女がたくさんいたのだ。なんでなんだろう。いや、考えるまでもない。登場人物は同じはずである。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第28回「町田ゼルビアの勝負どころ」

    2024-11-28 05:00  
     先日、「スポーツ観戦するだけで、運動するのと同程度の効果」という趣旨のニュース記事が目に飛び込んできた。見ているだけの人間も、試合中に血圧や心拍数、ホルモン値などが変化して、あたかも自分がやっているように体が反応しているというこの話、ものすごく心当たりがあった。
     馬主を始めてみて分かったのだけど、自分の馬が走るレースを見ると、スタート前から心臓がドキドキし、手に汗を握り、最後の直線では思わず歓声を上げ、ゴール板を過ぎると、まるで自分が広い競馬場を一周回ってきたかのようにドッと疲れる。競馬はまだいい。スタートから終わりまで2~3分程度の話だから。これがサッカーになると、90分間ずっとその状態が続くようなものだ。観戦しただけで、試合が終わると異様に疲れる。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第27回「小川社長を見てタイミーに投資を決めた」

    2024-11-21 05:00  
     7月26日に、出資先であるタイミーが上場した。社長の小川嶺氏は、立教大学在学中に起業した27歳の若者だ。時価総額1000億円を超える大型のIPOで、彼は若くして巨額の個人資産を築いた。サイバーエージェントは創業間もない頃に投資していて、日刊ゲンダイに「スキマバイトアプリ『タイミー』上場でサイバーエージェント藤田晋氏は71億円を手に」という見出しの記事を書かれたけど、もちろん私の手に入ったのではなく、会社がとても儲かった。
     先日、そのお礼を兼ねて、小川くんとお祝いの食事会を開催した。二人だけの場でゆっくり話すのは初めてだった。まだ27歳で、独身で、金持ちで、経営者の中では割とイケメンで、勢いのあるスタートアップ。彼にこれから待ち受けるであろう、恐ろしい試練は、私には手に取るようにイメージできた。なぜなら、私もまた、26歳で上場し、若くして巨額の個人資産を手にしたからだ。もう24年も前の話だけど。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第26回「配慮の店選び、極上の手土産」

    2024-11-14 05:00  
     最近は直接お会いした方に、「連載、いつも読んでますよ」「面白いですね」「文章うまいね」なんて、褒められることが増えた。本人と面と向かったら、褒めるしかないんだろうけど、自分なりに頑張って書いてるので、嬉しい。ただ、いい気分で思いの丈をここに吐き出しているので、自分の内面を見られたようで、気恥ずかしさもある。嬉し恥ずかしで、連載について何か言われると体が火照る。紙媒体なのでネットのように瞬く間に拡散されることはないけれど、ジワジワと反響が拡がっていくのも、なかなか良いものだ。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第25回「エロを起爆剤に、その後は地道に」

    2024-11-07 05:00  
     インスタグラムは最初から今のように流行っていた訳ではない。私がインスタに初めて投稿したのは2011年3月。それから2年間くらい、わりと頻繁に投稿していた。当時は、うちの会社でも、インスタに負けまいと写真投稿アプリを複数立ち上げていたので、私が使っていたのは競合サービスの偵察がてら、という意味合いでもあった。
     似たようなサービスが乱立していた時期だったこともあるのだろう。インスタも思ったほどは流行らなかった。私も次第に更新頻度が落ちていき、アカウントを放置して、そのまま忘れていた。
     ところが、2017~18年くらいからだろうか。著名人も一般の人もみんながインスタという言葉を使い始め、普及率が一気に跳ね上がってきた。それで、久しぶりにアプリを開き、どのように盛り上がっているのか、何故また急に流行り始めたのか、それを知るためにあちこち見て回った。その数日後、アプリ画面の下部に位置する検索タブを開くと、そこは一面、美女の写真とエロで埋め尽くされていた。“なるほどね”、私はすぐに状況をこう理解した。やっぱりエロで伸びていたんだな。まぁそういうものだよな、と。
     違う。しばらく経って気がついた。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第24回「不本意な映画鑑賞は新発見の連続」

    2024-10-31 05:00  
    「ノーモア映画泥棒」のCMはもう、本当に見たくない。私に何回これを見せれば気が済むのだろうか。いや、回数はわかっている。この10年で300回くらい見た。こんなに足繁く映画館に通っているのに、「不審な行為を見つけたら、お近くの劇場スタッフまでお知らせください」と言われても、そんな人見たことないし、怪しげな人すらいない。ほぼ全員このCMと無関係だと思う。
     そんな愚痴はともかくとして、私がなぜ自信満々に10年で300回くらい映画館に行ったと言い切れるのかというと、手元のiPhoneのメモに、映画を観た日付、自分の採点、簡単な感想を、全て記録として残しているからだ。
     私はその年に公開された新作の映画を年間60本以上、観ている。そのうち、30~40本は映画館に足を運んで観る。残りは配信されているものか、サンプルDVDなどで観る。試写会にも誘われるが、朝昼晩問わず、空いた時間にすかさず映画館の席を予約して、ポップコーンを食べながら気軽に観るのが大好きなので、基本は公開日以降に観ている。
     なぜこんなに新作映画を観ているのか、それは、私が報知映画賞の選考委員を務めているからだ。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第23回「総力を結集した凱旋門賞で」

    2024-10-24 05:00  
     一泊三日の弾丸スケジュールで、フランス凱旋門賞へ行ってきた。私の愛馬、シンエンペラーが出走したからである。馬主4年目にして、もう凱旋門賞なんてすごいとみんなに言われるけど、ほんとにそうだと思う。だから私としても、なんとか現地で観戦したかった。
     シンエンペラーは2年前にフランスの競りで、日本を代表する調教師、矢作(やはぎ)芳人氏が見つけた。全兄が凱旋門賞を勝っている世界的な良血馬で、競り当日は矢作先生に任せて私は日本から中継で見守っていた。価格はみるみる上昇し、210万ユーロ(日本円で3億円超え)で落札、なんとか予算ギリギリだった。この時、現地メディアの取材に対し、矢作先生は「凱旋門賞にこの馬を連れて帰ってくる」と語っている。私は期待を込めて、シンゴジラの「シン」と皇帝の「エンペラー」から、世界的な名馬になっても良さそうな名前を付けたつもりだ。
     デビュー戦を楽勝し、昨年秋にGⅢ京都2歳ステークスを勝ち、暮れのGⅠホープフルステークスでは2着、今年の日本ダービーでは3着だった。それでも凱旋門賞参戦を決めたのは、私としては来年を見据えた記念受験のような感覚もあった。 
  • サイバーエージェント社長 藤田晋のリーチ・ツモ・ドラ1 第22回「團十郎さんが頷いた『シンプル思考』」

    2024-10-17 05:00  
     また感じの悪い話になってしまうのだけど、別荘を大きく作り過ぎた。学生時代から会社員を経て起業して上場を果たすまで、ずっと狭いワンルームマンションに住んでいたからだと思う。己の成功の証が目に見える形で欲しくて、住んでいる家を引っ越すたびに、毎回さらに広い部屋へと移り住んでいった。別荘も、大きければ大きいほどいいと思い込んでいた。遊びにきた友人が感嘆の声をあげてくれるのが嬉しかった。
     だけど、ある時期から、家というものは広ければ広いほど良いという訳ではないことに気がついた。家の中の移動に何歩も歩かなければならなくて不便だし、家族とも物理的な距離ができてしまう。自然と顔を合わせられるくらいの広さがちょうど良い。