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記事 20件
  • 最後のテレビ論 第20回 鈴木おさむ「『ほこ×たて』ヤラセ事件」

    2024-02-29 05:00  
     これまで作ってきた中で好きな番組を3つ挙げろと言われたら入るのが、フジテレビで放送されていた「ほこ×たて」だろう。
     相反する「絶対に○○なもの」同士を戦わせてはっきり決着をつけようという番組で、最初は深夜番組でスタートして、2011年1月から23時台のレギュラー番組になり、それから9か月後には日曜19時のゴールデンタイムでの放送になった。かなり早いスピードだった。
     僕はこの番組にチーフ作家として入った。プロデューサーから最初に数枚の企画書を見せてもらった時に「ほこ×たて」と仮でタイトルが入っていて、その企画書にはすでに、のちの人気企画となる「絶対に穴の開かない金属vsどんな金属にも穴を開けられるドリル」の対決が書いてあった。書いてはあったが、やってくれる業者が見つかっていたわけではない。
     僕はその企画書を見て「そりゃ出来たらおもしろい」と思ったし「これやってくれる人いるの?」とも思った。
     だけど、「作りたい」と思った。 
  • 最後のテレビ論 第19回 鈴木おさむ「ゴールデン昇格後のピンチ」

    2024-02-22 05:00  
     2004年に始まったテレビ朝日「クイズプレゼンバラエティーQさま!!」。
     この番組が始まった時、僕は32歳。企画の発想はここから30代後半までが一番キレていたかもしれない。
     クイズというパッケージはあるが、とにかく芸人さんに様々な形で体を張ってもらう番組だった。木曜23時台で始まり、高視聴率を記録した。
     番組に火が付いたのは「チキンNo.1決定戦」という、芸人が様々な度胸試しに挑戦する企画で、特に「10m高飛び込み」は人気となった。
     芸人さんが目隠しをされ、とある場所に移動する。目隠しを取ると、そこは10mの高飛び込み台の上。飛び込もうとするが、高さにひるんでなかなか飛び込めない。その飛び込むまでの時間を競うものだった。最後に何とかして飛び込むという「絶対に見たい映像」があるので、とても分かりやすかった。 
  • 最後のテレビ論 第18回 鈴木おさむ「想像のつかない企画書」

    2024-02-15 05:00  
     32年の放送作家人生で、企画書を見て一番ワクワクしたのは何かと聞かれたら2001年に始まった「¥マネーの虎」になるだろう。
     日本テレビの栗原甚さんと放送作家の堀江利幸さんが二人で考えたこの企画。一般人の起業家が、自分自身も激しい人生を生き抜いてきた「虎」と呼ばれる社長たちに事業計画をプレゼンテーションし、交渉が成立すれば、社長=投資家はすぐに目の前で自分の持ってきた札束、何百万円もの現金を渡していくというもので、それまでのテレビ界には存在しなかった「投資バラエティー」企画だった。
     僕は栗原さんから誘われて構成に入った。企画書を見た時に、「なんだ、これ?」と思いながら、かなりワクワクしたことを覚えている。 
  • 最後のテレビ論 第17回 鈴木おさむ「最後の地上波連続ドラマ」

    2024-02-08 05:00  
     これまで放送作家人生32年の中で、おかげさまで連続ドラマの脚本に挑戦させて頂くチャンスが何度かありましたが、正直、苦手意識は否めませんでした。
     2017年、テレビ朝日「奪い愛、冬」というドラマはドロドロ不倫ドラマだったのですが、その作品で初めて自分のドラマの世界観が「開眼」した気がしたのです。水野美紀さんは怪演女優の芽を出し始めていました。そのドラマで夫が不倫して狂っていく、中々あり得ない濃すぎのキャラを見事に演じてくれました。水野美紀さんのおかげで、僕が書くべきドラマの方向性が見えたと言っても過言ではありません。本当に感謝しています。
     自分のドラマは女優さんが今までやったことのない役を振りきって演じて貰った時に、ヒットしやすいのではないかと気づけました。
     そして、2024年1月に始まったドラマ「離婚しない男―サレ夫と悪嫁(およめ)の騙し愛―」。これは美人妻の綾香に浮気された男・渉が娘の親権を取り離婚しようと奮闘する漫画原作をもとに、僕が脚本を書きました。 
  • 最後のテレビ論 第16回 鈴木おさむ「常識を壊して伝説を作る土屋敏男さんと飯島三智さん 後編」

    2024-02-01 05:00  
     日本テレビ「24時間テレビ」は1992年にダウンタウンさんが番組パーソナリティーをしたときに、大きな変化を遂げます。この年に始まったのがチャリティーマラソン企画。初代走者は間寛平さんでした。そしてもう一つが「サライ」。この年、加山雄三さんと谷村新司さんが番組放送時間内で「愛の歌」を作るという挑戦で出来た曲が「サライ」。この曲が毎年、「24時間テレビ」のエンディングで歌われることになります。いわば一番のシンボルでもあるのです。
     2005年、草彅剛さんと香取慎吾さんをメインパーソナリティーにして行われることになった「24時間テレビ」ですが、今まで黄色だけだったTシャツを5色作るという提案のあとに、飯島三智さんからいまだかつてない大きなオーダーがありました。 
  • 最後のテレビ論 第15回 鈴木おさむ「常識を壊して伝説を作る土屋敏男さんと飯島三智さん 前編」

    2024-01-25 05:00  
     今回は「常識」について、僕がリスペクトする二人の話から考えていきたいと思います。
     一人目は、元日本テレビの土屋敏男さんです。1992年に始まった「電波少年」を作った人です。番組にもTプロデューサーとして出演し恐れられていました。
     僕は土屋さんと一緒に番組作りをしたことはありません。が、僕が放送作家になった年に始まったこの番組は刺激的で新しく、まだ若造の僕を焦らせおおいに嫉妬させてくれました。
     アポなしという言葉を流行らせ、初期の「渋谷のチーマーを更生させたい!」などの危険な体当たり企画、そして「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」の大ヒット企画以降もヒット企画を連発。間違いなくテレビの歴史を塗り替えた。
     中でも僕が一番嫉妬した企画と言えば「電波少年的懸賞生活」で、芸人のなすびが、都内の某アパートへ連れていかれ、全裸になって「人は懸賞だけで生きていけるか?」ということを検証する企画。すべてが見たことない映像。シンプルに「このあとどうなるの?」の連続。まさに、これぞテレビ。 
  • 最後のテレビ論 第14回 鈴木おさむ「タレントに汗をかかせる鶴瓶さんのマネージャー」

    2024-01-18 05:00  
     僕がこの業界で最も尊敬するマネージャーさんは、SMAPのマネジメントをされていた飯島三智さんと、もう一人、笑福亭鶴瓶さんのマネジメントをされているデンナーシステムズ社長の千佐隆智さんだ。
     千佐さんは松竹芸能時代から鶴瓶さんのマネジメントを行い、独立し、会社を立ち上げ、ずっと鶴瓶さんのマネジメントをしている。
     鶴瓶さんが芸能界で独特のポジションを確立し、その才能を発揮し続けているのは、千佐さんのマネジメントによるところがとても大きいと思っている。
     2009年にTBSで始まった「A-Studio」は、笑福亭鶴瓶さんがMCとなり、毎回スタジオに来るゲストの素顔に迫る番組である。
     僕はこの番組を、立ち上げから6年近く担当させてもらった。 
  • 最後のテレビ論 第13回 鈴木おさむ「業界ナンバーワンのナチュラルクレイジー(後編)」

    2024-01-10 05:00  
     テレビ朝日「いきなり!黄金伝説。」終了後、テレビ朝日の友寄隆英が作る「陸海空 こんな時間に地球征服するなんて」が始まった。
     友寄は取材班の出演者としても出始め、世界各国に行くようになる。
     彼は誰よりも体を張った。どんな場所のどの部族と出会っても、嫌がることなくその文化を受け入れる。嫌がるリアクションなどしない。
     アマゾンの部族のもとに行った時には、現地の川の水も平気で飲むし、巨大カタツムリを何の疑いもなく生で食べて粘液を顔に塗りまくる。「部族の人たちが昔から好んで食べているものは不味いわけがない」と感謝して食べる。
     彼はどこに行っても、その土地に住む人たちがやってることと同じようなことを普通にやる。彼のこの行動を見た部族たちは彼のことを認める。まるで仲間のように。認めるから、それまで絶対に撮影させなかったところも撮影させてくれたりするのだ。 
  • 最後のテレビ論 第12回 鈴木おさむ「業界ナンバーワンのナチュラルクレイジー(前編)」

    2023-12-27 05:00  
     この業界では「クレイジー」と言われることが褒め言葉になっている。そう言われる人の中にも「クレイジーを演じている人」と、「ナチュラルクレイジーな人」の2種類がいる。
     テレビ朝日に友寄隆英という人がいる。彼は、僕がこの業界で見てきた中で、ナンバー1のナチュラルクレイジーな人だ。
     僕より3歳年下の友寄は、テレビ朝日の「いきなり!黄金伝説。」に最初はフリーのディレクターとして入ってきた。僕の「年上」だったので「友寄さん」と呼んでいた。
     僕が最初に「あれ? こいつやばいな!」と思ったこと。番組内の人気企画で「1ヶ月1万円生活」があった。色んな芸能人が1ヶ月を1万円で生活する企画なのだが、友寄が担当するようになってからその企画の雰囲気が変わってきた。
     あるとき、朝の4時に携帯が鳴った。相手は友寄。 
  • 最後のテレビ論 第11回 鈴木おさむ「スターとの駆け引き」

    2023-12-21 05:00  
     芸能界には沢山の歌手・俳優・芸人・タレントがいるが、その中で「スター」と言われる人はごく一部。浜崎あゆみさんは、ブレイクしてから今までずっとスターである。
     僕はフジテレビ「FNS歌謡祭」の現場で浜崎さんをお見かけしたことがある。自分の出番が近づき、とんでもないロングドレスを着て廊下を歩いていたのだが、浜崎さんのドレスのスカートを持って歩いていた人が浜崎さんばかりに気を遣い、近くのとある有名アーティストにぶつかったにもかかわらず、一言も謝らずに去っていき、そのアーティストがめちゃくちゃ怒っていた。もちろん浜崎さんは気づいてない。
     あのドレスを着て歩く姿を見て、スターだなーと思った。