プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回のテーマは年末年始のプロレス界です!
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全日本プロレスを二度は裏切れない……」秋山準
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――小佐野さん、あけましておめでとうございます!
――新年早々プロレス界は新型コロナウイルスで再び大変なことになっちゃってますけど……。
小佐野 ホントにね。これからいったいどうなるのか。関東近郊の興行はいまのところ大丈夫なのかもしれないけど、地方がどうなるのかわからないもんね。
――聞くところによると、今年の新日本プロレスは例年以上に後楽園ホールを多めに抑えているみたいですね。
小佐野 地方だと県や市の施設だったりすると、情勢によっては貸してくれないことも出てくるだろうし。
――今回の緊急事態宣言は2月7日までですけど、その直後のNOAHや3月のスターダムの日本武道館の先行きも……。
小佐野 3月にはZERO1の両国国技館もあるし。国技館は相撲協会の持ち物だから大相撲の開催状況にもよるだろうし。
小佐野 いまはまた外国人の入国がダメになってるわけでしょ。それこそ外国人をたくさん呼んでいる新日本なんかはまた困っちゃうだろうし。いつルールが変わるかわからないから使い方も難しくなってるよね。
――ビッグマッチに起用するはずが入国できずに……ってケースですね。
小佐野 KENTAなんかはまたアメリカに戻ってるけど、またしばらく来れないんじゃないかなあ。
――新日本プロレス正月の東京ドーム2連戦は、大会直前に入場制限がかかってしまって。当日券の販売ができなくなってしまいました。
小佐野 12月29日の段階で前売りをストップすることになってしまった。こういうビッグマッチは当日になってフラッと見に行ったり、前日が面白かったから翌日も行こう……となるんだけどね。ひじょうにタイミングが悪かったんだけど、会場はスッカスカという感じではなく。 4日のほうがお客さんは入っていたんだけど、5日も入場制限のわりには……という。
――今年も連日開催してよかったですよね。これで1日だけだったら収益が……。
小佐野 ホントにそう。2日開催されるということで試合数も例年と比べて減らしていたんだけど、 大会時間は長かった。試合数を減らしたぶん1試合1試合のボリュームは凄かったんだよね。
――試合数のわりに、お腹いっぱいですよね(笑)。最近は歳のせいかロングタイムの試合を続けて見るのが重くて……。
小佐野 2時間から2時間半を過ぎちゃうと、見てるほうも疲れちゃうよね。 1月4日のセミだったオカダ・カズチカvsオスプレイが35分近い激闘だったから、メインの内藤哲也vs飯伏幸太のときにお客さんは疲れていたし、メインのハードルが高くなったと思うよ。
――メインの内藤哲也vs飯伏幸太も30分超えの死闘になって。
小佐野 翌日1月5日も後ろ4試合は全部シングルマッチでしょ。見る側も腰を入れないと集中力が切れちゃうし、やるほうだって大変だけど。 新日本プロレスとしては4試合シングルを並べても充分に楽しませる自信があったということだよね。マッチメイクする側とすればリスキーですよ。
――マッチメーカーの掲げる高いハードルを越えられる選手たちが新日本に揃っているってことですね。
小佐野 選手たちもずいぶんプレッシャーはかかっていたとは思うんだけど。初日で印象に残ってるのはセミだね。
――オカダvsオスプレイ。
――メイン前にこんな凄い試合をやりやがって!と(笑)。
小佐野 古い話になっちゃうけど、 NOAHで力皇が小橋(建太)に勝ってGHC のチャンピオンになったときって、外敵として天龍源一郎、高山善廣、鈴木みのるがメイン前に暴れていたから、力皇は「俺はいったいどうすればいいんだ!?」って(笑)。
――メインまで盛り上がり過ぎてしまう(笑)。
小佐野 「お客さんが満足しちゃうんですよ。その場に最後に出て行ったって……」という話を後年になって聞いたよ。
――メインまでに盛り上がりすぎる現在の新日本プロレスで、メインを張ることがどれだけ凄いことかって話ですね。
小佐野 そういう意味では2日連続メインを張った飯伏は凄いと思いますよ。初日も大変だったけど、2日目も長い試合をして。
――2日目はジェイ・ホワイト相手に50分近くやりましたもんね(笑)。
小佐野 飯伏がもの凄い頑張ったと思う。 内藤とジェイ・ホワイト相手だと試合も全然違ってくるから。とくにジェイ・ホワイトは大技をやるタイプの選手じゃないから。ジェイ・ホワイトがまたうまいんだよね。あれはうまい(しみじみと)。本当にいいヒールだなぁと思って。敗戦後のコメントでは心が折れていたから心配なんだけど(笑)。
――「ニュージーランドを出て、もう3年半、両親にも会ってない」「明日だってどうなるか分からない。契約上は出場することになっているが」「8年間頑張ってきたがもう無理だ」とか……WWE移籍も噂されているので、あのコメントは謎掛けになってますよね。
小佐野 そこには彼の本音も入ってるんだと思うんだけどね。
―― 新日本プロレスって完全なキャラクタープロレスじゃないのが面白いですね。
小佐野 やっぱりにじみ出てくるものがあるから。変な話、ファンはそこが見たいわけでしょ。「作られた世界なのか……」と思わせつつも、ポロって飛び出してくる本音。今回のドーム2連戦で今年の“種蒔き”は充分にできたんじゃない。コロナによって情勢も変わってくるから、どうなるかはわからないけど……。
――いまの新日本プロレスは、どこからか飛び道具を持ってきて埋め合わせができるプロレスでもなくなっちゃってますしね。
小佐野 急に呼ばれたゲストができるプロレスではなくなっちゃってるからね。新日本プロレスというひとつの世界観の中でやってくものだから、新日本の流れに入ってこれる人じゃないと。
――NOAHはどうでした?
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