家計冷やし不況加速
安倍政権の負担増 佐々木氏追及
「家計を直接、温める政策に転換すべきだ」―。2日の衆院予算委員会で、デフレ不況打開を取り上げた日本共産党の佐々木憲昭議員。デフレ不況打開に逆行する増税・負担増と「金融緩和」路線の誤りが浮かび上がりました。
消費支出が57万円減 佐々木氏
増税の絶対額は戦後一番 財務相
なぜデフレ不況が長期化したのか。
国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費は10年間で6兆円以上も落ち込んでいます。労働者の賃金が10年で22兆円も減少する一方、税・社会保障改悪による給付減や負担増で合計12・7兆円も国民の負担が増えたからです。
相次ぐ負担増・給費減を示し、佐々木氏はただしました。
佐々木 長期にわたり需要が弱い状況をつくり出したのは、小泉・安倍内閣にも大きな責任がある。
安倍晋三首相 負担増は社会保障の給付と負担のバランスをとるため適切なものだった。
佐々木 給付は減り負担は増える。バランスを欠いている。
旧自公政権後の民主党政権も負担増を続け、2000年と2011年を比べると賃金収入は約46万円減少、負担は16万9000円も増えました。
佐々木 (サラリーマン世帯では)消費支出は実に57万9000円も減った。これは大変な事態だ。
首相 デフレの負のスパイラルの中での現象だ。
佐々木 スパイラルを加速させたのが国民の負担増だ。
さらに自公民3党は、消費税を13・5兆円も増税する一方、年金など負担増・給付減6・5兆円も押し付けようとしています。
佐々木 戦後の日本で、これだけの多額の増税が実施された例はあるか。
麻生太郎財務相 絶対額では一番高い。
佐々木氏は「こんなに家計に負担を負わせたら、消費をいっそう冷やして、デフレを加速させることになるのではないか」と批判しました。
金融緩和で需要増えぬ 佐々木氏
需要がないから資金回らない 財務相
相次ぐ負担増で、子育て世帯の家計はどうなるのか。政府は5年前と比べて36万9000円の負担増になると試算しています。
高齢者世帯の負担増も深刻。「国保料・介護保険料が高すぎて生活できない。これ以上、年金が下がったら生活できません」(愛知県)、「貯金を取り崩して生活しているが、すぐに底をついてしまうので、先が心配です」(埼玉県)との声を佐々木氏は突きつけました。
佐々木 どう受け止めるか。
首相 低所得者、年金生活者への対応を十分勘案する。
佐々木 低所得者への給付を考えているようだが、スズメの涙、焼け石に水だ。
さらに“金融緩和すれば景気は良くなる”というアベノミクスの誤りをただしました。
政府・日銀の物価目標2%は消費税引き上げを含まず、合わせれば物価上昇は10%近くになります。日銀・岩田規久男副総裁は、「賃金はインフレと生産性の上昇で上がっていく」から問題ないと答弁。佐々木氏は「机上の空論だ。物価を上げればうまくいくなど誰も理解できない」と批判しました。
この間の金融緩和で日銀供給の貨幣は約47%増えたのに対し、金融機関から先の貨幣供給は約10%増です。
佐々木氏は「大事なことは金融機関から先の経済活動をいかに活発化するかだ」と述べ、麻生財務相も資金が銀行から先に回らなかったのは「需要がないから」と認めました。
物価のほうはすでにガソリンに灯油、電気料金や輸入食料品の価格が上がり、生活を直撃しています。
佐々木 不況と物価上昇が同時に進む「スタグフレーション」への道を歩むことにならないか。
財務相 (経済の)ベースを大きくしないと景気はよくならない。
これに対し、「政府の政策では経済のベースは大きくならない」と佐々木氏。「消費税増税を中止し、社会保障を充実させ、大企業の内部留保を還元させることだ。家計を直接、温める政治に根本的に改めるべきだ」と求めました。