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NHK「参院選特集 党首討論」―志位委員長の発言
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NHK「参院選特集 党首討論」―志位委員長の発言

2013-07-08 11:13

     日本共産党の志位和夫委員長は、7日放送されたNHK「参院選特集 党首討論」に出席し、各党党首と参院選の主要争点について議論しました。

    参院選で最も訴えたいこと

    自民党と対決し、「四つの転換」――共産党の躍進で国民の声が生きる政治を

     参院選で最も訴えたいことについて問われ、志位氏は次のように述べました。

     志位 私たちは自民党と対決、日本の政治の「四つの転換」をと訴えています。第一は、消費税大増税と雇用のルールを破壊するアベノミクスに反対し、国民の所得を増やして景気回復を図る政治への転換です。大企業の内部留保を活用して、賃上げを図るというのが、私たちの対案です。

     第二は、原発再稼働、輸出ストップ、「原発ゼロの日本へ」の転換です。

     第三は、憲法9条、96条改定に反対し、9条を生かした平和外交への転換です。

     第四は、環太平洋連携協定(TPP)推進、沖縄の米軍新基地建設など、アメリカいいなり政治からのチェンジです。

     首相は「ねじれ解消が最大の争点だ」と言いますが、「ねじれ」と言うんだったら、国民多数の声と自民党政治がねじれている。私たち共産党の躍進によって「ねじれ」をただして、国民の声で政治が動く、国民の声が生きる新しい政治をつくっていきたいと思います。

     これに対し安倍晋三首相が「志位さんから企業の内部留保が多すぎる(と言われた)。これについては実は私たちも同じだ」と認めざるをえませんでした。

    経済政策をめぐって

    長期の賃下げがデフレの原因――雇用のルール破壊や消費税増税では暮らしも経済も財政も総破たんする

     安倍内閣の経済政策をめぐる議論となり、安倍首相は「デフレ下では賃金は絶対に上がらない。基本的に賃金は毎年毎年下がっていく」などと述べました。志位氏は次のように批判しました。

     志位 先ほど総理がデフレが賃下げの原因であるかのように言いました。しかしこれはまったく原因と結果を取り違えていると思うんですよ。長期にわたって国民の賃金が下がってきた、労働法制の規制緩和をやってきた結果が、デフレ経済をつくっているわけですね。

     ところが今(自民党が)やろうとしていることは「成長戦略」の名のもとに解雇の自由化をもっと進める。残業代ゼロを拡大する。派遣労働を野放図に拡大する。すべて、雇用のルールを壊して、いっそう所得を奪う方向です。

     さらに消費税10%で13・5兆円の大増税をかぶせる。一方で大企業には投資減税だ、大胆な法人税減税だとやりながら、庶民には空前の大増税をかぶせるのは方向が百八十度間違っている。こんな道を進んだら暮らしも経済も財政も全部総破たんする。大転換が必要だと私たちは考えています。

    EU(欧州連合)では非正規雇用は臨時的・限定的で解雇規制のルールがある――「正社員が当たり前」の日本への転換を

     志位氏の発言を安倍首相が「共産党だから紙に書けばいいということかもしれないが」と攻撃。志位氏は次のように反論しました。

     志位 先ほど総理から共産党は紙の上での政策だと言われたので一言申し上げます。

     たとえば非正規雇用で日本は三十数%で、ヨーロッパは大体1割前後ですよ。やはり非正規は臨時的・一時的な仕事に限るという厳格なルールがあり、低く抑えられているわけですね。

     それから解雇規制についても、日本は解雇規制の法律がありませんが、EUでは解雇規制についてのEUのルールがあります。たとえばドイツのシーメンスなどでは無制限の企業都合の解雇はしないという労使協約が結ばれる。

     EUでやっていることが日本でやられていない。これは自民党政治の異常なんですよ。グローバル、グローバルと言うけれども世界のスタンダードが日本でやられていないことを私たちは問題にしたい。「正社員が当たり前の社会」にしていく、解雇規制もしっかりやっていく。そういう方向への転換が必要だと思います。

    原発・エネルギー政策は

    再稼働は論外――穴だらけの「新規制基準」。原発輸出をやめ、原発ゼロの政治決断を

     原発再稼働をめぐって、安倍首相は「安定的なエネルギーを供給していく責任がある」と、推進する考えを強調。これに対し、志位氏は次のように述べました。

     志位 再稼働の是非が選挙戦の大争点になってきたと思うんです。ただ、(福島第1原発)事故の収束ができていない。事故の原因の究明もできていない。いまもなお15万人の方々が先の見えない避難生活を強いられている。こういうもとでの再稼働は論外だと(思います)。

     「新規制基準」というものがつくられました。しかし、穴だらけですね。たとえば、重大事故が起こる可能性を認めながら、重大事故が起こったときの住民の方々の避難計画、防災計画がなくても再稼働オーケーという仕掛けになっている。これは、住民の命よりも再稼働先にありきのとんでもないものだと思います。

     それからもう一点、原発の問題では、原発輸出ですね、これは恥ずかしいと思います。日本の国内では、ともかく「原発に絶対安全なし」といいながら、国外では「世界一安全な原発を提供できる」と。これは一種の二枚舌外交で、こんなやり方はやめるべきだと強くいいたいと思います。やはり、原発ゼロの決断が必要だと思います。

     公明、民主、維新の各党は「慎重に判断して、一つ一つ結論を出さなければならない」(公明・山口那津男氏)「安全基準もかなり厳格なものになった」(維新・橋下徹氏)「2030年代にゼロを目指す方向」(民主・海江田万里氏)と再稼働を容認。みんなの党の渡辺喜美氏は原発再稼働を認めながら、言及は避けました。

     一方、安倍首相は「先ほど(志位氏から)避難計画の話があったが、これは地方自治体がつくるものだ」などと無責任に言い放ち、原発輸出についても「(日本は)事故を経験して高い水準の安全を確保できる。これを私は世界と共有していくべきだ」などと主張しました。

    外交・安全保障政策は

    尖閣は日本の領土――外交交渉で中国論破を
    外交の基軸は日米安保から憲法9条へ転換

     外交・安全保障政策では、尖閣諸島をめぐる日中間の緊張や日米同盟を基軸とする外交姿勢が議論になり、志位氏は次のように述べました。

     志位 中国との関係についていいますと、日中首脳会談に向けてのいきさつについては、私たちは知る立場にありませんが、尖閣諸島については、日本の領有の正当性は、国際法上も歴史的にも明らかであって、「盗みとった」などとする中国側の主張はまったく成り立たない。

     ですから、日本政府が外交交渉でそういうことを徹底的に明らかにして、中国を論破するという腹をすえた対応が必要だと思います。これまでのように、まともな主張もしない、反論もしない、抗議もしない、そういうことをずっと続けてきたことが、今の事態を招いている。そういうことをきちんとする必要がある。

     それからもう一つ、外交の基軸ということをいうのなら、私は日米安保条約基軸から憲法9条を基軸にした平和外交への転換こそ必要だと思います。アメリカいいなりという枠組みから脱して、9条を生かして世界の国々と平和的な外交をとりむすぶ、その発想が必要です。東南アジアでおこっているような平和の流れを北東アジアでもつくっていくという発想が必要だと思っております。

     安倍首相は尖閣問題について、国有化したのは失敗でなかったと強調する一方、長年にわたって領有の正当性を中国にも国際社会にも訴えてこなかったにもかかわらず、「しっかりと反論していかなければいけないし、反論しています」と言い訳をしました。

    TPP交渉、沖縄米軍基地問題――こんな米国言いなりでいいのか

     日米関係についてさらに各党の姿勢が問われ、安倍首相は「日米の同盟関係が日本の外交・安全保障の基軸」と述べ、日米同盟を基軸としていく立場を述べました。公明、民主、維新、みんなが同様の認識を示したなか、司会者が「共産党は土台から日米基軸を変えるべきだという立場でしたね」と指摘。志位氏は、次のように述べました。

     志位 こんなアメリカいいなりの政治を続けていいのかということが問われるべきだと思っています。

     たとえば、TPPの問題でも「強い交渉力」があるというが、アメリカとの事前協議では、アメリカの要求、自動車、保険、牛肉、丸のみしました。一方、日本の重要農産物については関税の保証を何一つ得ることができなかった。もう、日本をアメリカに丸ごと売り渡す話になっています。

     沖縄の米軍基地の問題でも、沖縄の41の市町村長と議会の議長が連名で「建白書」を総理にあてて、オスプレイの配備中止、県内移設反対と島ぐるみでいっているのに、その声を無視して、どんどん進めるというやり方を変えていかなければいけません。

     アメリカとの関係は、今の従属関係を改めて対等平等の日米友好条約を結ぶと提唱していますが、そういう関係に発展させていく必要があります。そして、外交の基軸というのなら、日米同盟基軸から9条基軸の平和外交に転換する必要があります。

    憲法改正をめぐって

    自民党改憲草案には二つの危険――日本が米国と海外で戦争できる国に。基本的人権を「公益」の範囲でしか認めず

     憲法問題にテーマが移り、民主、維新、みんな、公明の各党は「国の統治機構を抜本的に変えていくためには憲法改正しかない」(橋下氏)、「抑制された自衛権、そういうものを基軸にして憲法を構想していく」(海江田氏)「公務員制度改革は、憲法改正の前に絶対必要」(渡辺氏)「新しい価値観を憲法に取り込む」(山口氏)などと、改憲で足並みをそろえました。安倍首相も「まず自民党の考え方を示した」と述べ、自民党の改憲草案を軸にした改憲の発議を主張。これに対し、司会者から「憲法を擁護する立場も歴史的に継続している」と紹介されて、志位氏は次のように述べました。

     志位 私は、自民党の改憲案、大変危険な内容が二つあると思います。

     一つは、憲法9条を改定して「国防軍」をつくることです。結局、こういう方向になると、たとえばアフガン戦争、イラク戦争が起こったときに、戦闘地域まで出て行って日本の自衛隊が米軍と一緒に戦闘行為を行うことになる。「殺し殺される国」に変えてしまっていいのか。私たちは断じてノーです。

     もう一点は、基本的人権の問題で、自民党の改憲案は「公益、および公の秩序」の範囲内でしか認めないという制限条項をつけています。そして、基本的人権の永久不可侵をうたった憲法97条を全文削除しています。たとえば憲法21条の表現の自由にも、こういう制限がかかってくることになると大日本帝国憲法下の「法律の範囲内」でしか、人権が認められなかったことへの逆行になります。とんでもないことです。

     志位氏の指摘に、司会者も「真っ向からの議論が飛び出した」と受け、安倍首相に認識を問いました。ところが、安倍首相は「志位さんの話を聞くと、わが党の改憲案を誤解される方が多いと思うが、まったく違う」というだけ。「公益および公の秩序」で基本的人権を制約することについても、「あれは『公共の福祉』をわかりやすく書き換えただけ」とごまかしました。

    96条改憲阻止の一点で力をあわせる――「国民投票があるからいい」は立憲主義の否定になる

     さらに、改憲の発議要件を3分の2から過半数に引き下げる憲法96条改定が議論になり、維新が「96条の先行改正は必要」と主張。公明、民主、みんなも条件つきながら容認の姿勢を示しました。また、安倍首相は「国会議員は発議するだけで、決めるのは国民」などと述べ、国民投票を理由に96条改定を正当化しようとしました。これに対し、志位氏は次のように批判しました。

     志位 私たちは憲法9条に対する立場の違いはあっても、まずは、96条の改定阻止と、この一点で、選挙後の国会では力を合わせたいと思っております。先ほど国民投票があるからいいじゃないかと、いうふうにおっしゃったけれども、国民投票でできるのは、国会で発議された改憲案に対して、○か×かをいうことだけなのです。与党が多数をしめるという状況のなかで、国民世論もそういう状況のなかで変えられてしまう危険がある。(96条改定は)立憲主義の否定になると考えております。

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