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【新連載】 津田直士エッセイ 『想いのすべて』 006 〜 他のアーティストにはないYOSHIKIの凄さ ②
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【新連載】 津田直士エッセイ 『想いのすべて』 006 〜 他のアーティストにはないYOSHIKIの凄さ ②

2016-10-01 19:40

    さて、早速前回からのつづきです。


    アーティストとしての姿勢と、僕がニコ生やブロマガでよく使う『都合』との間で判断を迫られる際、一般的な他のアーティストと、YOSHIKIが決定的に違うところ。

    それは、YOSHIKIの場合、最終的にそれが大切だ、と判断したら何があろうと『都合』よりもアーティストとしての姿勢を優先させることができる、というところだ。

    なぜYOSHIKIはそれができるのか。

    多くのメディアや事業体、協賛企業などに対する専門的な知識、人脈、あらゆる慣習などへの理解や経験などを跳び越えて、YOSHIKIは彼自身が最高責任者として協力してくれる外部と接するからだ。

    例えれば、専門家である外交筋に任せず、大統領同士が直接対話をして物事を決定する、トップ外交のようなものだ。

    そして状況によっては最終的に、協力してくれる外部の『都合』よりもアーティストとしての姿勢を貫くことを、YOSHIKIは相手側に一切の『借り』がないから、実現させてしまうことができる。

    僕が言い切れるのは、あくまで国内に限ったことではあるけれど、そもそも今のYOSHIKIに対して、協力してくれる外部が数あるアーティストの中からYOSHIKIを選んで希望する根拠のほとんどは、YOSHIKIとX JAPANというバンドへのリスペクトだ。

    相手がリスペクトからYOSHIKIを選び、しかも相手から見たとき、YOSHIKI側に一切の『貸し』がない。

    この関係は、とてもシンプルだ。

    相手が望むのは、結局、無事YOSHIKIの生み出す『何か』がスケジュール通り完成さえすれば、満足だし、万が一、YOSHIKIがそのアーティストとしての姿勢から、『何か』が条件付きだったり、内容に多少の変更があっても、致し方ない。

    大切なのは、それが紛れもなくYOSHIKIの手によるものであるかどうか、ということに尽きる。



    ところで、どうしてYOSHIKIは他のアーティストと違って『トップ外交』ができ、どんな相手にも『借り』がないのか。

    それはすべて、YOSHIKIがリーダーを務めるX JAPANというバンドがインディーズの頃から貫き通した姿勢から生まれたものだ。

    X JAPANというバンドは、開拓者だ。

    その姿勢とスタイルがそれまでの音楽業界には全くない、オリジナルな存在だったから、道なき道を切り開いて前に進んでいくしかなかった。

    それはとても厳しい闘いの連続だった。

    けれど、その姿勢とスタイルを貫き通した結果、熱く深くバンドを理解する無数のファンが生まれ、X JAPANというバンドが切り開いた道に続いていく、多くのフォロワーバンドが登場し、いつしかX JAPANは成功者の場所にいた。


    ただ・・・。

    そんな風に、輝かしい成功者となるプロセスで、他のアーティストと全く違う点がひとつ、X JAPANにはあった。

    X JAPANは、成功するために、どんな大人の手も借りなかったのだ。

    音楽業界の中の『誰か』の力というものを一切借りずに、成功したのだ。

    その結果、YOSHIKIは2つの大切なものを手に入れた。

    まず一つは、少なくとも日本において、自分が音楽業界の実力者や実績のある会社などと、対等に会話できるようになったこと。

    そしてもう一つ、これはあくまで僕の推測になってしまうのだけれど、この日本で成功した姿勢を、いよいよ自分が本当に目指す『全世界展開』という舞台に向けても、同じように貫いていく覚悟を持てたことだ。

    おそらく1992年の渡米後、HIDEをはじめメンバー全員と共に夢見たX JAPANの全世界展開のために、YOSHIKIは必死の想いでその準備を進めていたのだろう。

    1999年頃、僕はYOSHIKIの側にいたことがあるのだけれど、僕が再びYOSHIKIの元に赴くと、残念ながらX JAPANというバンドの針は止まっていたけれど、もう既にYOSHIKIはアメリカという音楽の本場で、単身新たな活動の拠点をアメリカで築きあげていた。


    それを見たとき、僕はYOSHIKIが日本と同じように、自力で成功する道を歩み始めているのではないか、と驚きつつ、期待したのだった。




    2014年の秋以降、僕はYOSHIKI自身がXになったと感じている。

    そして映画「We Are X」が世界的に展開し始め、ライブもアルバムも完全に全世界展開になっている今、YOSHIKIは大切な日本のファンに向けて、ニコ生というメディアを使ってその素顔を見せながら、自然体で活動の様子を伝えている。

    そんな中、YOSHIKIは、東京フィルと共演するクラシカルツアーの発表にまつわる情報を、いち早くファンに届けるため、ニコ生を使った。

    それは何よりもファンを大事にするYOSHIKIの姿勢と、なるべく生に近い状態でファンに情報を届けたい、というYOSHIKIの人間らしさが滲み出る試みだった。

    その時、たまたま回線の不具合がきっかけで、その試みに支障が生じてしまった。

    さて、このハプニングと、2回にわたって僕が書いてきた『他のアーティストにはないYOSHIKIの凄さ』つまり『アーティストの姿勢』を『都合』に振り回されない、という活動の姿勢が、どう繋がるのか。


    これは、今回のような試みが、もしYOSHIKI以外のアーティストで行われていたらどうなるか、と考えてみるとすぐ理解できる。

    混乱しないように、ものすごく要約して、単純化してしまうと・・・。

    YOSHIKIではないアーティストであれば、その場が例えどんなに身近なニコ生というメディアであろうが、あらゆる面でスタッフがそのプロセスを進めている。

    その理由は、これまで書いてきた通りだ。

    その状況で、今回YOSHIKIが遭遇したようなトラブルに遭遇すると、どうなるか。

    そう。

    トラブルであればなおさらのこと、すべてはアーティスト本人ではなく、スタッフがすべてを主導していくことになる。
    どんな些細な判断も、たとえアーティストと確認していくにしても、あくまでスタッフの責任とスタッフのコントロールで行われることになるのだ。


    だから、アーティストは感情的になる必要がない。
    イメージだけを保っておけば、あとはスタッフが何とかしてくれるわけだ。

    ところが、YOSHIKIの場合は全く違う。

    今回のような些細なトラブルでも、その責任も、そのトラブルをどう解決していくのか、も、YOSHIKIの判断にかかっている。

    YOSHIKIともなると、そのために動くスタッフのボリュームや責任の重さ、そしてその能力も、他のアーティストの比ではないクオリティが要求されるから、そういう意味でスタッフは優秀だ。

    にもかかわらず、他のアーティストと違ってYOSHIKIにはそのスタッフすべての動きに関する責任が生じてしまう。

    つまり、YOSHIKIは誰にもいいわけができないのだ。

    さらに、多くのスタッフがきちんとその仕事を全うする一番のモチベーションは、YOSHIKIの人間的な凄さに対するリスペクトである場合がほとんどだ。

    ここでもYOSHIKIの『人間』が関わってくる。

    YOSHIKIの『人間的な能力と判断』に全責任がある活動のしかたで、YOSHIKIの『人間的な魅力』に集まるファンに向けて、YOSHIKIという『人間』をリスペクトしているスタッフが一丸となって事にあたっている現場で、トラブルが生じた。

    すべてが自分にかかっているYOSHIKIは『人間』の限界に近いスケジュールの中でファンに向けてギリギリの試みをしている時に起きたトラブルに対して、瞬時にあらゆる判断を迫られる状況の中、自らの『人間らしさ』そのものをありのまま正直にファンに見せながら、時々自分にツッコミさえ入れながら、その場でできるベストを尽くした上で、次の重要な現場へ向った・・・。

    僕には、そのように見えたのだ。

    だから僕の目に映ったものは、全責任を人間として引き受けながら、人間らしさを隠す事なく正直にファンに見せながら、何よりもファンを大切にする姿勢を貫き通し、そのようなYOSHIKIの姿勢を理解しているファンの声が飛び交う中、無事終了した、YOSHIKIらしい映像だったのだ。


    僕の考えでは、YOSHIKIのやっていることは、YOSHIKIという人間のすべて、だ。

    それは一見当たり前のようだけれど、この2回の連載で伝えた通り、普通は決してアーティストのすべてではないのだ。

    だから・・・。

    YOSHIKIのやっていることがYOSHIKIのすべてである以上、YOSHIKIの、そしてX JAPANファンは世界で一番幸せなものを持っているのだ。

    僕が今回の一件で伝えたかったことはそれだったのだ。

    そう。

    YOSHIKIは

    決して嘘をつかない。

    世界で一番幸せなファンは、大好きなアーティストを、いつも信じていられるのだ。

    人を信じることの幸せを、ファンでいることで感じることができるのだ。

    少なくとも僕は

    だからこそ、幸せなのだ。

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