12年 トヨタ・キヤノン…補助金交付先から
東日本大震災の復興予算流用が問題化した国の補助金をめぐり、補助金交付先のトヨタやキヤノン、東芝などの大企業が2012年、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)に計2億3千万円を超える巨額献金をしていたことが分かりました。国の補助金交付決定から1年以内の献金は法律で原則禁じられています。被災者のための復興予算が、大企業優遇を強める政権党に還流していたことになります。
トヨタなど国政協に献金する企業が受けていたのは、経済産業省所管の「国内立地推進事業費補助金」です。
復興予算から約3千億円を流用し、被災の有無を問わず最大150億円を設備投資の支援金として、ばらまきました。
本紙は、国政協の12年分政治資金収支報告書から、トヨタなど補助金の交付先に選ばれた企業の献金を調査。
その結果、交付先のうち37社が、12年に計2億4214万円を献金していました。
このうち補助金の辞退後や交付決定前の献金などを除いた33社の計2億3224万円が、政治資金規正法が禁じる、補助金の交付決定から1年以内の寄付でした。
トヨタは、被災地から遠く離れた愛知県内の工場でのエコカー生産で補助金を申請しました。12年2月3日に第1次の交付先に選ばれ、その2カ月半後の同4月20日、5140万円を献金しました。
本紙の取材にトヨタは補助金受給と献金の事実を認め、「この補助金は公益性が高い。献金規制の例外となる、利益をともなわない補助金に当たる」(本社広報部)と主張。復興予算の返還に応じず、「適切に使う」とします。
キヤノンは期限までに回答せず、東芝はトヨタと同じく「規制の例外」と弁明します。
献金する各社がいう、規制の例外になる補助金について、規正法は「試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの」とします。問題の補助金は、製造ラインの新規増設など企業の生産活動に直接かかわる設備投資を支援するため、企業が利益をあげるのを前提とし、例外にはあたりません。
国内立地推進事業費補助金 2011年度3次補正予算で、財界要望にこたえて復興予算から2950億円を計上。交付決定を受けた510件のうち、大震災の被害がとくに甚大だった岩手、宮城、福島3県内は約6%の31件。総額の8割がトヨタ、キヤノン、東芝などの大企業に配られることが日本共産党の国会質問などで明らかになっています。