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記事 48件
  • 川柳のらりくらり 第1031回 選・柳家喬太郎 お題「シャワー」

    2024-12-19 05:00  
     あー、またシャワー浴びず寝ちまった……。
     地方で泊まりの仕事だと、打ち上げで酔っ払ってホテルに戻って、そのままシャワーも浴びず、歯も磨かずにバタンキュー、なんて事がよくあります。で、翌朝後悔する。もっとも、酔っ払ってシャワー浴びる方が危ないんだから、いいっちゃいいんだけどさ。
     今も地方のビジネスホテルにおりまして、ゆうべシャワーも浴びず寝ちまって、起きたら朝でした。胃潰瘍の入院から娑婆に戻って、一ヶ月経ったけどまだ酒は控えてて、だからゆうべもノンアルだったんだけど。シャワー浴びないクセがついちまったのかな。仕方ない、のらりくらりと朝シャワー浴びますか。 
  • 川柳のらりくらり 第1030回 選・柳家喬太郎 お題「交番」

    2024-12-12 05:00  
     町を歩いてて交番があると、なんとなくホッとしますね。あ、いま何か事件が起こっても、とりあえず大丈夫、って思えるから。
     その交番にお巡りさんがいないと、なんとなく不安になりますね。やべ、いま何か事件が起こったら一大事、って思うから。
     今週のお題は、交番、であります。
     ずいぶん昔、『派出所ビーナス』って噺、創ったなあ。派出所なんて言い方、とっくにしてませんけどね。婦人警官ばかりの交番で起こる騒動を描いた新作で、見事に何の中身もない、ただくだらないだけの噺でしたっけ。一度だけ、うちの師匠が演(や)ってくれました。
     さ、では今週も、のらりくらりと。 
  • 川柳のらりくらり 第1029回 選・柳家喬太郎 お題「屋根」

    2024-12-05 05:00  
     数年前、山口県は宇部での独演会の打ち上げで、楽しく飲んだ宴の〆に、瓦そばってのを頂きました。恥ずかしながら、あたしゃそれまで、瓦そばっての、知らなかった。山口の名物なんだそうですな。熱した屋根瓦で茶そばを焼いて頂くという料理。実際は、瓦そば用の瓦を使うようですが。これが美味しいんですわ。すっかりファンになっちまいました。
     今週のお題は瓦……じゃない、そば……じゃないよ、屋根、であります。
     木久扇師匠の「やーねー」ってギャグが、もう笑点で聞けないのが淋しい……って投句が多かったです。みんな、好きなんですねぇ。
     では、のらりくらりと始めますよ。 
  • 川柳のらりくらり 第1028回 選・柳家喬太郎 お題「定食」

    2024-11-28 05:00  
     ずいぶん前の話、居酒屋のランチタイムに入りました。日替りのAが焼き魚、Bが握り寿司……たしかそんなだったと思います。僕はA、焼き魚の定食を頼みました。コロナ流行よりはるか以前、その店はご飯食べ放題で、大きなジャーから客は勝手におまんまをよそうシステム。気の早い人はメインのおかずが来る前に、味噌汁とお新香でご飯を食べ始めてました。僕の斜め前にいたサラリーマン風の男性もそうでした。味噌汁とお新香で、ご飯。やがてその人のメインが来ましたよ。何気なく見るとね、そのメインがね……。
     握り寿司だったんです。
     あれは一体、何だったんでしょう……。 
  • 川柳のらりくらり 第1027回 選・柳家喬太郎 お題「キッチン」

    2024-11-21 05:00  
     料理はねぇ、得意じゃないんですよ。ただ、決して嫌いじゃないんです。簡単なものしか作れませんけどね。二ツ目の頃はね、暇だったって事もあって、たまーに台所に立つ事もありましたよ。唐揚げとか、豚肉のそぼろとか作った記憶がありますわ。今はもう、まるっきりやりませんからね。作り方も忘れちゃった。旅先の楽屋のケータリングで、カップ麺に湯を注ぐぐらいのもんですわ。料理とは言えませんわな、その程度じゃ。
     久々に何か作りたくなってきたな。とても人様には食べさせらんないから、自分用に。胃の不調が治ったら、台所に立ちましょうか。
     では今週も、のらりくらりと。 
  • 川柳のらりくらり 第1026回 選・柳家喬太郎 お題「団地」

    2024-11-14 05:00  
     申し訳ありません!!
     先週は本当に申し訳ありませんでした……二十一年近くやってきて、初めてでした、連載休んじまうなんて。いえ、胃をやられちまいましてね、地方の仕事先で、もうどうにもいけなくなって、その土地の病院に即入院!って事になってしまって……。いえもう、本当に御迷惑をおかけ致しました。
     今週のお題は、団地であります。私、小学校三年生の二学期まで、都内の団地に住んでおりましたんでね、団地って言葉の響きが、懐かしく胸に沁みるんでさ。今にして思えば、いくら子供とはいえ、よくまぁ毎日、五階まで階段で昇り降りしたもんです……。 
  • 川柳のらりくらり 選・柳家喬太郎 お題「柿」

    2024-11-07 05:00  
    今号は2016年11月3日号の記事を一部編集して再録します。
     ども、柳家喬太郎です。毎度おなじみ川柳のらりくらり、今週のお題は柿であります。
     年とって口が変わった、なんて言いますが、若い頃好きじゃなかったけど、年齢を重ねて食べられるようになった、好きになったなんてのはよくある事(こ)って。僕にもそういう食べ物が幾つかありますが、そのうちの一つが、まさに柿であります。
    「ガキの頃よそん家(ち)の柿ィ盗んで」
     なんて台詞ぐらいで、落語にもあんまり柿は出てきません。秋を感じさせてくれる、身近な果物なんですけどね。そもそも落語には、秋の噺って少ないんですわ。柿が出てくる、秋が舞台の新作でもこしらえてみようかな。 
  • 川柳のらりくらり 第1025回 選・柳家喬太郎 お題「ギリギリ」

    2024-10-31 05:00  
     十月初旬、札幌を拠点に三泊四日、北海道で学校公演の仕事がありました。初日が苫小牧で、生徒さん達の前で一席演(や)ってから札幌に移動。一行の他の仲間はそのままホテルにチェックインなんですが、僕だけは別件の仕事で、夜は札幌市内で落語会の出番を頂いておりました。ところが大雨の影響とかで、特急北斗が三十分遅れてるってぇじゃありませんか! 焦りましたねぇ。でも焦ったってどうしようもない。いろいろ調べたんですが、遅れてる特急に乗るしか手がない。仕方ないから落ち着きましたよ。焦りながら落ち着くって難しいもんですな。幸いそれ以上の遅れはなく、落語会にはギリギリ間に合いました。 
  • 川柳のらりくらり 第1024回 選・柳家喬太郎 お題「運転」

    2024-10-24 05:00  
     移動の時、タクシーを利用する事がちょいちょいあるんですが、個性的な運転手さんってのが、たまにいらっしゃいますな。
     どれくらい昔になりますか、もう二十年くらい前になるかな。都内で、ドライバー歴五十年という、大ベテランの運転手さんの車に乗りました。ご高齢でしわがれ声で、でも元気な、チャキチャキの江戸っ子という風情の、気持ちのいい方でした。真夏の猛暑日、暑いですねぇ……なんて話をしてたら、その運転手さんがカラッと一言、
    「近頃のお天道様は情が無ぇから」
     うわ、カッコいい……! 真似したいけど、腹にないと、ああいう言葉は出ませんや。 
  • 川柳のらりくらり 第1023回 選・柳家喬太郎 お題「空港」

    2024-10-17 05:00  
     商売柄ほうぼうに伺います。今は交通の便が良いから、地方に行っても日帰りって事も多いんですが、泊まりって事もよくあります。
     数年前、九泊十日って長旅の仕事がありまして、沖縄、高知、太宰府、霧島、長崎県の長与町、長崎市、佐世保、大分県は豊後大野、佐賀、長崎県大村市の順に回りました。土地の方々の御希望で日程が決まるので、スムーズじゃない行程は仕方ありません。ただね、沖縄から高知の移動がね……乗り継ぎの空港が、羽田だったんですよ。那覇で朝メシ食って、羽田で昼メシ食って、晩メシは高知でした。長旅の二日目で、早くも里心がついちまいましたよ。あれは気持ちが疲れたなぁ……。