政府の辺野古埋め立て申請
米国の要求を最優先
県民との矛盾は激化
「政府が県に辺野古の埋め立てを申請」
22日午後4時すぎにニュースが流れると、辺野古の新基地建設に反対して座り込みを続けている「ヘリ基地反対協」のテント内は騒然となりました。
政府が22日、米海兵隊普天間基地「移設」に伴う沖縄県名護市辺野古沿岸部の埋め立て申請書類を“抜き打ち”的に提出した背景にあるのは、米国からの強い要求です。
当初から
オバマ米政権は安倍政権発足当初から、日米同盟の最重要課題として、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加と並び、辺野古新基地建設の「具体的な進展」を求めていました。
米政府は在沖縄海兵隊のグアム移転・基地増強をアジア太平洋戦略のかなめと位置付けています。しかし、米議会は辺野古新基地建設が進展していないことなどを理由に、グアム増強に伴う経費支出(設計費を除く)を認めていません。このため、何としても日本側に辺野古への「移設」の「進展」を演出させる必要があったのです。
強硬姿勢
安倍晋三首相は当初「沖縄との信頼関係構築」を優先する姿勢を示していましたが、2月の日米首脳会談で「具体的に対応する」と公約して以後、強硬姿勢に転じました。
一方で安倍政権は当初、来年1月の名護市長選で「辺野古の海にも陸にも新基地を造らせない」と主張する稲嶺進市長の対抗馬を立て、新基地容認の市政を打ち立てようともくろんでいました。しかし、現時点で容認派の候補者擁立は迷走しています。
仮に容認派が選挙で敗れた場合、埋め立ての許認可権を持つ仲井真弘多知事は「地元の意向」に基づき、埋め立てを許可しないのは確実です。
このため、来年1月の名護市長選前に決着をつける作戦に出たとみられます。基地建設と沖縄振興を一体にした「沖縄政策協議会」を19日に立ち上げたのも、“アメとムチ”で仲井真県政を揺さぶる狙いからです。
ただ、沖縄県内では41全市町村が辺野古新基地建設に反対しています。普天間基地に海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが配備されたことで、反対の声はいっそう強まっています。
日米両政府が強圧な姿勢で迫れば迫るほど、県民の怒りと矛盾は高まるばかりです。(竹下岳)
辺野古新基地 2006年5月の在日米軍再編「ロードマップ」で基本合意。名護市辺野古に計画された新基地は、V字形の滑走路2本(1200メートル、オーバーランを含めて1800メートル)を有し、普天間基地(宜野湾市)に配備されている75機の運用が想定されています。このなかには、MV22オスプレイも含まれます。海兵隊地上戦闘部隊の拠点であるキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンと接しており、地上・航空部隊を一体化した出撃拠点とする狙いです。