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橋下氏「慰安婦」発言―「必要だった」は撤回してない
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橋下氏「慰安婦」発言―「必要だった」は撤回してない

2013-05-19 10:23

    主張

    橋下氏「慰安婦」発言

    「必要だった」は撤回してない

     「日本維新の会」の共同代表で大阪市長でもある橋下徹氏の、日本軍「慰安婦」は「必要だった」という発言への批判が広がり続けています。橋下氏や「維新の会」は言い訳に懸命ですが、橋下氏は「必要だった」との主張を撤回していません。それどころか、自分が批判されるのは「日本人の読解力不足」が原因だと開き直り、日本だけが批判されるのは強制的に連行したと思われているからだと、「強制連行の誤解を解く」と言い出しています。「慰安婦は必要だった」という考えを変えない以上、「誤解を解く」などといってもそれは不可能です。

    国際的には「性奴隷」

     日本軍「慰安婦」問題は、国連などの報告では「戦時性奴隷」と呼ぶのが常識になりつつあるもので、女性の人権を徹底的に破壊し、人間の尊厳そのものを冒涜(ぼうとく)する国際的な戦争犯罪です。その「慰安婦」が「必要だった」という橋下氏の発言は、公人の発言とは思えない異常なもので、橋下氏に市長や政党代表としての資格はもちろん、人間としての姿勢が問われているのは当然です。

     現に国内外の女性団体だけでなく、ほとんどのマスメディアや侵略戦争問題では見解を異にすると見られる与野党の政治家でさえ橋下氏の発言を批判しています。アメリカ国務省の報道官は「常軌を逸しており侮辱的」と異例の調子で非難しました。「維新の会」では橋下氏の発言に関連して、西村真悟衆院議員が韓国人女性を侮辱する発言をして除名や議員辞職を求められる事態になっているのに、橋下代表の責任が問題になっていないのも異常です。

     橋下氏と「維新の会」は、「慰安婦は必要だった」という発言を取り消すのではなく、戦争中に軍隊が「慰安婦」を利用するのは世界中でやったことで、日本だけが批判されるのは強制連行したという「誤解」があるためだと主張しています。まったく通用しない態度です。第2次世界大戦で軍が組織的にこうした制度を作ったのは日本とドイツだけです。現地の軍が「慰安所」のような施設を作った例がないわけではありませんが、それらは短期間に政府や軍が中止させており、軍の中枢が計画し推進した「慰安婦」は他に例を見ないというのが研究者の結論です。

     日本の場合とくに軍が方針を立てて「慰安所」を設置し、植民地や占領地から女性を集めて「慰安婦」制度を推進したことが明らかになっています。軍や官憲が関わり、女性を連行し、「慰安所」に閉じ込めて日本兵による強姦(ごうかん)や売春を行わせればそれこそ強制そのものです。強制を「誤解」だというのは「慰安婦」は「必要だった」といいはるためのごまかしです。

    安倍首相の立場問われる

     もともと日本軍「慰安婦」問題で政府や軍部の「関与」を認めた1993年の「河野洋平官房長官談話」に対し、「強制連行の証拠はない」などと言い出したのは自民党内のタカ派で鳴らした安倍晋三現首相らです。安倍氏は第1次政権時代に「強制」をあいまいにする政府答弁書まで決め、橋下氏の「誤解」発言はこれが根拠になっています。

     安倍首相は橋下氏の発言に対しては「立場が異なる」というだけです。侵略戦争を美化する発言を重ねてきたことからも首相の立場がきびしく問われるのは当然です。

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