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記事 48件
  • いまなんつった? 第802回 宮藤官九郎「そういうもんだから」

    2024-10-10 05:00  
     期せずして大学の同級生が集まったので、近況を報告し合いました。
     30年以上前、まだ何者でもなかった時を共有し、各々が就職、結婚、からの離婚、退職などを経て、中には何者かであることを卒業した者もいる50代半ばの男女6、7人。
    「この歳になると話題はもっぱら親の介護だよねぇ」
     苦笑しながら、正直あまりピンと来ない俺。
     親の介護してないんです。 
  • いまなんつった? 第801回 宮藤官九郎「街でお見かけしたことが!」

    2024-10-03 05:00  
     仕事で関わった2.5人に1人の割合で言われます。
     俳優業で表舞台に立つこともあり面が割れている。でも精神性は裏方なので、見られている意識がない。まして吉祥寺は東京23区外。完全に素の状態。気を抜いている。ヘタすりゃ酔ってたり、怒ってたり、ニヤニヤしてたり、素以下の状態をお見せしている。
     だから後日、山手線の内側に赴き、気を張ってる打ち合わせや取材、授賞式なんかで「こないだ、吉祥寺でお見かけしました」と言われると、まるで裸を見られたような恥ずかしさに襲われ「うわ、すいません」と、卑屈に謝ってしまいます。 
  • いまなんつった? 第800回 宮藤官九郎「ドッキリか?」

    2024-09-26 05:00  
     連載800回。
     あと200回で1000回か。皆さんが読んでくれるなら楽勝で書けます。それくらい日々、いまなんつった? で溢れている。
    「すごいなあ」
     ランニングを始めて8年目。毎朝7時過ぎに家を出たかと思えば、8時ごろ汗だくで帰って来て、家にこもってドラマ書いてる貧相な中年男性。ご近所ではそう認識されています。そんな僕と日々すれ違う同年代の男性が「すごいなあ」と呟く声を聞いてしまった。別にすごくない。たった5キロだし、3キロの日もあるし。足挫いてタクシーで帰って来ることもある。 
  • いまなんつった? 第799回 宮藤官九郎「くんちゃん覚えてる?」

    2024-09-19 05:00  
     このところ月1ペースで宮城に帰っています。
     きっかけは母が90歳を迎えたこと。さらに友人のお見舞い、ライブ、取材などが重なり、片道2時間、日帰りで通っています。
     去年の夏、小中高と一緒だった友人が大病を患っていると報せを受け面会に行きました。50歳を越えたあたりから、病気とセットで同級生の名前を聞く機会が増えた。他人事じゃないよね、と胆に銘じた。 
  • いまなんつった? 第798回 宮藤官九郎「Coming Soon!」

    2024-09-12 05:00  
    『新宿野戦病院』最後までご覧頂いた皆さま、ありがとうございました。
    「社会は不平等なんだから、せめて命は平等であれ」というメッセージが届いていれば僕的には大成功です。あと、序盤にネットニュースで拡散された「英語と岡山弁が耳障りで話が入って来ない」という苦言に対しては、ヨウコさんの「男に捨てられた英語も喋れんシングルマザーに育てられたけぇ」というセリフで回収したつもりです。はい。今後もネットやSNSの印象操作と闘いながら連続ドラマを書き続けます。 
  • いまなんつった? 第797回 宮藤官九郎「来てくれてありがとう」

    2024-09-05 05:00  
    『新宿野戦病院』の第9、10、11話で集団感染、パンデミックを描くことは、だいぶ前の打ち合わせで決めていました。しかし、いざその時が迫って来たら身構えてしまった。もっとバカバカしい会話、書きたいし。結果第9話はいつも以上に緊張感のないぐだぐだエピソードからエンディングで急転直下、ラスト2話で新種のウイルスが猛威をふるう展開になりました。
     いよいよ大詰めです。 
  • いまなんつった? 第796回 宮藤官九郎「まあ悪い言葉で言うたら楽勝やなと思って」

    2024-08-29 05:00  
     もっと多くの人が観るべき! と強く感じたドキュメンタリー映画を立て続けに2本観ました。
    『アイアム・ア・コメディアン』
     ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんの3年間に密着したもの。
     最近はネットニュースでしかその名前を見かけなくなってしまいましたが、『THE MANZAI』の2013年チャンピオンだし、過去に劇場で観た漫才がすこぶる面白かったので気になる存在でした。
     彼はなぜ政治的な発言を漫才に持ち込もうとするのか。迷走してるのかな、奇をてらってるのかな、いわゆる承認欲求なのかな。違った。その答えは至ってシンプルでした。自分が今、面白いと思ってるネタでウケたい。それだけ。 
  • いまなんつった? 第795回 宮藤官九郎「呼んで欲しいなぁ」

    2024-08-28 08:00  
     ドラマ『終りに見た街』の脚本を担当しました。
     山田太一先生が1982年に書いた名作ドラマの、2度目のリメイクです。
     つーか、どうした宮藤、いくらなんでも働きすぎ。借金でもあるのか。そんな声が聞こえて来そう。1月期と7月期に連続ドラマ、なおかつ間に去年作った配信ドラマが地上波で流れ、秋にスペシャルドラマ。供給過多です。大人げないぞ、54歳。そろそろ若手に活躍の場を譲ってやれよ。
     分かってます。俺だって本当はそうしたい。けど、仕事がなくて悶々としてた若い頃のトラウマは簡単には消えない。面白そうな企画があり、僕の名前を挙げて下さる方がいる。 
  • いまなんつった? 第794回 宮藤官九郎「でーれえ悲しい」

    2024-08-28 07:00  
    『新宿野戦病院』全11話、無事脱稿しました。
     が、撮影はこれからが正念場。連日酷暑の中、理由があって後半は野外の場面が増えるんです。本当に申し訳ない。コロナもまた流行ってるようだし、気をつけて頂きたいです。
     ヨウコ・ニシ・フリーマン役の小池栄子さんの評価が、僕の周り、すなわち中央線沿線のライブハウスや居酒屋に集う孤独な中年男性の間では爆上がり中。
    「あの役は小池栄子じゃなきゃ成立しない」「キレ味がすごい」「カッコいい」「診てほしい」
     ですよね。僕も鼻が高い。 
  • いまなんつった? 第793回 宮藤官九郎「絶対行きますね!」

    2024-08-28 07:00  
     上半期が終わった。
     1年に2クールもドラマ書くもんじゃないな。娯楽をずいぶん我慢した半年でした。観た映画、舞台、ライブについて書くのはさんざんやったので、今回は観られなかったエンタメについて、その素晴らしさを想像し、こみ上げる悔しさを綴ってみようと思います。
     2月は、どこへ行っても「ふてほど観てます」「不適切、最高です」と言われるのが嬉しくて、のこのこ出かけました。だけど歌舞伎座は行けなかった。夜の部、中村勘太郎くんの『猿若江戸の初櫓』、勘九郎&長三郎親子の『連獅子』を見逃したのは悔やまれる。