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記事 48件
  • いまなんつった? 第812回 宮藤官九郎「忘れた頃に生まれた子で」

    2024-12-19 05:00  
    「今日、東北放送のラジオカーが家に来て、お母さんが生出演しました」
     姉からのメール。母は決して出たがりではないけど、断ることを知らない人で、これまでもローカルなTV番組なんかに「あらら~」とか言いながら控えめに出演している。地元で活動しているパンクバンドのCDの推薦コメントまで書いていた。「元気があってよい」とかなんとか。さすがに断れよ。
    「こちら、栗原市の文具センタークドウさんにお邪魔していま~す」
     radikoで聞くと雑音がないからにわかに信じがたいが、本当に実家から生中継していたようだ。
    「官九郎の母ですぅ」 
  • いまなんつった? 第811回 宮藤官九郎「お願いしますよ宮藤さん!」

    2024-12-12 05:00  
     下北沢ザ・スズナリという小劇場の楽屋にいます。畳敷きの6畳間に勝地涼くん、皆川猿時さんと3人で約1ヶ月半。
     もう、喋ることがない。
     開演までの約2時間。演技論、俳優論、実のある話は最初の1週間で尽きた。スケベな話も2周くらいして2人の性癖もだいたい分かった。ラーメン屋情報も交換した。どうする? いよいよ話題がない。
    「なんかテンションぶち上がる曲、お願いしますよ宮藤さん」
     勝地くんのリクエストでApple Musicを立ち上げる。 
  • いまなんつった? 第810回 宮藤官九郎「これがほしい」

    2024-12-05 05:00  
    「紅白の出場者、知らない人ばっかり」「流行語大賞、知らないのばっかり」そんな声が聞こえて来ると年末だな~って思います。
     歳を取ると1年があっという間に過ぎるもんですが今年は長かった。気づいたのですが、1月期のドラマを書いた年は正月気分が皆無なので境目が無いのです。『不適切にもほどがある!』を書き始めた2023年夏から気分はもう2024年だった。いや、正月が無いまま『新宿野戦病院』に突入したということは2023年がまだ続いてるのか? とにかく長かった。
     そして私事で恐縮ですが、先日30回目の結婚記念日を迎えました。 
  • いまなんつった? 第809回 宮藤官九郎「弱者男性って……」

    2024-11-28 05:00  
    『弱者男性』というネットスラング、みなさんご存知でしょうか。僕は最近知りました。
     ウィキペディアによると「貧困・独身・障害・不細工など弱者になる要素を備えた男性」のことらしい。「年収が低く、友達も少なく、容姿に自信がないから女性にモテない、全てにおいて詰んでる独身男性」という定義もあった。なんと身も蓋もない表現なんだ。
     で、調べたら2015年くらいに生まれた、全く別の言葉が起源らしい。 
  • いまなんつった? 第808回 宮藤官九郎「こういう風に歳とりたいよねえ」

    2024-11-21 05:00  
     友達の家で好きなバンドのライブ映像をYouTubeでたれ流しながらお酒を飲んでました。
    「お、ルースターズ」
    「フジロックだね」
    「渋いねえ、こういう風に歳とりたいよねえ」
    「待って、これ何年前?」
    「2004年だから20年前」
    「てことはメンバー何歳?」
    「43~45だね」
    「歳下じゃん!」 
  • いまなんつった? 第807回 宮藤官九郎「思ってたのと違った」

    2024-11-14 05:00  
     人間の記憶なんていい加減なものだ。
     夏頃から公開を待ち望んでいた『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。前作『ジョーカー』は劇場で4回観てブルーレイも買った。特定の作品に肩入れする観かたは、クリエイターの端くれとしてよろしくないけど、好きなんだからしょうがない。
     長い長い階段をホアキン・フェニックスが闊歩する名場面。ニューヨークのブロンクスにあるその階段は“ジョーカーステアーズ”と呼ばれ聖地巡礼の対象だそうです。予告編を観たら今回はレディー・ガガ同伴で踊りながら降りて来るじゃないか! 
  • いまなんつった? 第806回 宮藤官九郎「なんですか? それ」

    2024-11-07 05:00  
     54歳という年齢について日々考えさせられる。
     年下の政治家は珍しくない。幹事長や大臣などの要職に就く者がいる一方、早期退職し悠々自適な50代もいる。ライブハウスに出演すれば最年少だったりもする50代。稽古場で一発ギャグを真剣に考えている皆川猿時くんも53歳。
    「2日前のが面白かったんだけどな。ぶりぶりぃ、ぶりぶりぃ、ブリトニー・スピアーズってヤツ」
    「なんですか? それ」
     ギャグは思いつくのに、それを記憶していられない。それが50代。 
  • いまなんつった? 第805回 宮藤官九郎「いつも素晴らしいホンを有り難うございます」

    2024-10-31 05:00  
    『タイガー&ドラゴン』を観返しています。
     19年前かぁ。
     過去の自作を観ると非常に疲れます。若気の至りに苦笑したり、今の自分には絶対書けない才気走ったセリフと情報量に圧倒されたり、とにかく感情が忙しい。だから滅多に観ない。中でも34歳、父親になる直前に書いた本作は相当の覚悟を持って挑んだ記憶があり、Netflixのサムネイルの長瀬智也くんに睨まれただけで萎縮してしまう。ごめん、まだ無理。
     そりゃそうです。 
  • いまなんつった? 第804回 宮藤官九郎「ない方が僕は好き」

    2024-10-24 05:00  
     話題の映画『侍タイムスリッパー』を観ました。
     幕末の会津藩士が現代にタイムスリップして時代劇の斬られ役になる。ありそうで無かった設定。観る前からちょっと悔しい。劇場はほぼ満席。口コミで話題になり館数も増えているそうだ。かなり悔しい。斜に構えての鑑賞でした。
     でも引っくり返った。面白かったです。あ、ネタバレ回避したい人は鑑賞後に読んで下さい。 
  • いまなんつった? 第803回 宮藤官九郎「スズナリでやりたいんだよ!」

    2024-10-17 05:00  
    『主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本』
     どんなお芝居ですか? と訊かれずに済むよう、こんな長ったらしいタイトルを付けたのですが、それでも「どんなお芝居ですか?」と訊かれます。アップするのはお客さんの免疫力? それとも米田時江の免疫力? そもそも米田時江って誰なの? インフルエンサーかなにか?
     下北沢にザ・スズナリという、200人ほどしか入らない劇場があります。