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  • 町山智浩の言霊USA 第738回「Every single job was taken - about 107 percent - was taken by illegal immigrants!(すべての仕事の107%は不法移民に奪われている!)by ドナルド・トランプ前大統領」

    2024-09-12 05:00  
     11月のアメリカ大統領選の投票日まで2カ月。カマラ・ハリス副大統領の支持率は絶好調。このままならトランプに圧勝する。
     この不利な状況にトランプは焦りに焦っており、「カマラ・ハリスがアフリカ系だとは知らなかった」を超えるデタラメな言動をエスカレートさせている。
     8月27日、NBCテレビに出演したトランプは2020年の大統領選挙で「自分はカリフォルニア州で本当は勝っていた」と言い出した。
    「今度の選挙でももしイエス・キリストが投票集計係をしてくれたら、私はカリフォルニアで勝つだろう」
     キリストが票を数えるの? 
  • 町山智浩の言霊USA 第737回「Trump is a weak man pretending to be strong, a small man pretending to be big.(トランプは強がる弱虫、大物ぶった小物)by アダム・キンジンガー下院議員」

    2024-09-05 05:00  
     カマラメンタム、といっても軟膏じゃなくて、カマラ+モメンタム、つまりカマラ・ハリス大統領候補の勢いがそう呼ばれている。出馬表明以来、支持率は伸び続け、接戦州の大半で既にトランプを超え、共和党の牙城テキサス州でもトランプに迫っている。
     彼女を正式に大統領候補として指名する民主党全国大会が8月19日からシカゴで開かれた。「後戻りしない」「前進」をテーマにした、まったく新しい大会だった。
     まず異例だったのはロール・コール。州ごとに候補者を読み上げる定例の手続きだが、DJが各州のご当地ソングを次々とかける。ミネソタならミネアポリスで生まれ育ったプリンスの「キッス」、カンザスならそのものズバリのプログレ・バンド、カンサスの「伝承」を。みんな歌ったり踊ったりノリノリ。7月の共和党全国大会の葬式のようなロール・コールとは正反対だ。 
  • 町山智浩の言霊USA 第736回「Weird(変。気持ち悪い)」

    2024-08-29 05:00  
     カマラ・ハリスの快進撃が止まらない。
     ハリス副大統領が大統領選に出馬するとなってから、全米で彼女の支持率が伸び続けてトランプを追い抜き、現在は世論調査でも5ポイント前後リードしている。トランプは銃撃された直後に上昇した支持率をあっという間に失ってしまった。
     ただ2016年の選挙でも全米レベルの支持率はヒラリー・クリントンがトランプをずっとリードしていた。だが、本選ではラストベルト(五大湖工業地帯)とサンベルト(南部)の接戦州をトランプに取られてまさかの敗北。
     ところが今回、ハリスはラストベルトのミシガン、ウィスコンシン、ペンシルヴェニアでも既にリード。サンベルトのジョージア、アリゾナ、ネヴァダ、ノースカロライナでもぐんぐん差を縮め、勝利の可能性が日々高まっている。 
  • 町山智浩の言霊USA 第735回「Young, Gifted and Black(若くて才能にあふれた黒人)」

    2024-08-28 08:00  
     カマラ・ハリス副大統領が大統領選に出馬すると決まってから、ドナルド・トランプは支持者集会で「カマラは笑い方が変だ」「彼女はクレイジーだ」と陰口を叩きながら、討論会から逃げ続けており、ハリスから「面と向かって言いなさいよ」と突っ込まれている。
     7月31日、トランプはシカゴの「全米黒人ジャーナリスト協会」の会合に参加し、黒人だからといってカマラには投票しないほうがいいぞ、と言い出した。
    「だって、彼女は最近、突然、黒人になったからな。若い頃は自分はインド系だと言ってたのに」
     カマラ・ハリスの母はインド出身、父はジャマイカ出身のアフリカ系で、カリフォルニア大学バークレー校に留学していた時に出会って結婚した。 
  • 町山智浩の言霊USA 第734回「Cat lady(猫おばさん)」

    2024-08-28 07:00  
     バイデンがついに降りた。再選はあきらめて、大統領の執務に専念し、次期大統領候補にカマラ・ハリス副大統領(59歳)を推薦すると言って。
     これでDembargoが解除された。Democrats(民主党員)とEmbargo(輸出禁止令)の合成語で、ジョージ・クルーニーやアビゲイル・ディズニー(ウォルト・ディズニーの兄の孫)など民主党の大口寄付者たちは「バイデンが降りるまで民主党に寄付しない」と宣言してプレッシャーをかけていた。
     水門が開いたようにカマラ・ハリス候補に寄付が流れ込み、バイデン降板から24時間で8100万ドルの寄付が集まった。そして、さっそく共和党のカマラ・ハリス叩きが始まった。 
  • 町山智浩の言霊USA 第733回「“We Become Totally Unhinged”(トランプが負けたら、我々は何をするかわからない)by ウェスト・ヴァージニア州知事ジム・ジャスティス」

    2024-08-28 07:00  
     7月13日、ペンシルヴェニア州の支持者集会に登壇したトランプが銃撃された。8発が発射され、1発はトランプの右耳をかすめた。流れ弾は聴衆3人に当たり、1人が死亡。犯人は150メートル離れた倉庫の屋根からAR15ライフルで狙撃した。シークレットサービスがすぐに撃ち返して射殺した。
     伏せていたトランプは護衛官に囲まれて立ち上がり、右耳から血を流しながら頭上をはためく星条旗をバックにガッツポーズした。それをAP通信のカメラマン、エヴァン・ヴッチが撮影した写真は「銃撃にもひるまない英雄」の姿として完璧だった。その写真を(勝手に)使ったTシャツがすぐに売り出された。その写真をプリントしたスニーカーも299ドルで発売された。トランプの会社から。
     弾丸があと4分の1インチずれていたらトランプは死んでいた。 
  • 町山智浩の言霊USA 第732回「I Love Joe Biden. But We Need a New Nominee.(私はバイデンが好きだけど、新しい大統領候補が必要だ)by ジョージ・クルーニー」

    2024-08-28 07:00  
     6月27日のバイデン大統領とトランプ前大統領のテレビ討論は、81歳という史上最高齢の大統領になったバイデンがしばしば口を開けたまま動かなくなったり、ゴルフのスコアを自慢するという「さんまのご長寿早押しクイズ」状態に終わった。
     高齢のため、任期中に執務遂行できなくなった大統領は過去にもいる。第28代大統領ウッドロウ・ウィルソンは、2期目の1919年、重い脳卒中で倒れ(当時63歳)、その後、エディス夫人が密かに執務を代行した。今では、彼女は「実質的に史上初の女性大統領」と呼ばれている。
     ロナルド・レーガン大統領も、実は就任から3年目に認知症を発症していたが、それから5年間、家族やスタッフは症状を隠しとおした。
     そんな風に隠すことはネット時代には不可能。 
  • 町山智浩の言霊USA 第731回「“The President is now a king above the law.”(今や大統領は法を超越した存在、王になった)by ソトマイヨール連邦最高裁判事」

    2024-08-28 07:00  
     7月1日、アメリカ連邦最高裁は、トランプ前大統領が求めていた「大統領在任中の公務に関わる行為の刑事訴追からの免責」を認める判決を下した。
     トランプは選挙結果の転覆計画を含む4件の刑事犯罪で起訴されており、今回の判決でそれが無罪になる可能性が出てきた。
     9人の最高裁判事のうち、免責に賛成した判事は6人。6人とも共和党の大統領に任命された(うち3人はトランプの任命)。
     民主党の大統領に任命された判事3人は免責に反対した。 
  • 町山智浩の言霊USA 第730回「You're the sucker, you're the loser.(バカなのは君で、負け犬も君だよ)」

    2024-08-28 07:00  
     民主党がパニックを起こしている。6月27日、CNNが主催する大統領選に向けた第1回テレビ討論が行われたが、今年82歳で史上最高齢の大統領になるジョー・バイデンの頼りなさが明確になった。
     最初の質問はアメリカ人を苦しめる経済問題。バイデンは苦しそうに、しわがれた声を絞り出した。「トランプ政権末期の失業率は15%。でも、私は1万5000の新規雇用を創出したのです」
     たった1万5000?
     本当は1500万。功績を3ケタも減らしてる!
     さらにバイデンは医療制度改善の成果を挙げた。「育児、高齢者介護、医療制度の強化を継続し、ついにメディケア(高齢者の医療補助)を打ち負かしました」
     打ち負かしちゃダメ! 
  • 町山智浩の言霊USA 第729回「I can't wait to be sued(訴えられるのが待ちきれない)by ルイジアナ州知事ジェフ・ランドリー」

    2024-08-28 07:00  
     6月19日、バイデン大統領に「国民の祝日」に制定されてから4回目のジューンティーンスがやって来た。南北戦争が終了した1865年、南部テキサス州まで奴隷解放の知らせが届いたことを記念する日で、全米各地で式典やお祭りが開かれた。
    「今日、ジューンティーンスはアメリカでいちばんラチェットな祝日です!」
     ミズーリ州の州務長官選挙に出馬したヴァレンチーナ・ゴメス候補(25歳・共和党)はSNSでそう発言した。ラチェットRatchetは黒人スラングで「下品」「あばずれ」の意味。
    「黒人の被害者意識が私たちに押し付けられようとしています。彼らは奴隷制度への賠償を求めています。なんと恩知らずなことでしょう。黒人は史上最も偉大な国アメリカに生まれたことを祝福すべきです。アメリカが嫌いなら、GTFO!」