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消費税上がれば 経済 奈落の底
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消費税上がれば 経済 奈落の底

2013-08-13 11:47

     12日発表された4~6月期の国内総生産(GDP)が実質0・6%の経済成長を示したことで、安倍晋三内閣は消費税増税を予定通り進めようとしています。しかし、庶民の暮らしの実態は、消費税増税によって日本経済が奈落の底に突き落とされることを示しています。(清水渡、矢守一英)

    個人消費

    押し上げた駆け込み需要

    3f8274810c229398eb3eb1d645b7055411e0224d 個人消費を示す家計最終消費支出は1~3月期並みの同0・8%増にとどまりました。しかも増加した中身が問題です。4~6月期の家計調査によると、総世帯(2人以上の世帯と単身世帯の合計)で最も消費支出が増えたのは保健医療費です。また食料費も増大しました。節約しづらい費目が伸びているのです。一方、7月の消費動向調査では半年後の暮らしの明るさを示す消費者態度指数は2カ月連続で悪化しました。

     来年4月からの消費税増税を見越した駆け込み需要も個人消費を押し上げました。家計調査では洗濯機や掃除機の購入が増えました。7月の景気ウオッチャー調査には「消費税増税前の駆け込みもあり、受注量は安定している」(東北・住宅販売)などの声が寄せられています。ただ、駆け込み需要も力強さを欠き、民間住宅は同0・2%減でした。

    設備投資

    減少6期連続 海外2桁伸び

     経済活動をけん引する設備投資(民間企業設備)は同0・1%減。減少は6期連続です。今後、国内で生産を増やしても、それに見合うだけの需要が生まれないと企業が判断していることになります。一方で日本企業による海外への設備投資は急増しています。日本政策投資銀行の設備投資計画調査によると、2012年度の海外設備投資実績は全産業で27・0%と3年連続で2桁増でした。13年度も25・9%を計画しており、国内より海外の設備投資を重視する傾向はますます強まっています。

    円安進行

    原材料値上げ国民に悪影響

     輸出の増加がGDPを押し上げました。名目値で4・7%増です。ただ、実質値では3・0%にとどまり、輸出量はそれほど増えていません。輸出量が増えなければ国内での仕事は増えません。

     輸入は実質で1・5%増でしたが、名目は2・6%増です。輸入量はそれほど増えなかったのに、輸入額が増大したことを示しています。

     輸出入で実質値と名目値の差が目立つのは、「異次元の金融緩和」などにより急速に円安が進行しているからです。円安の進行は、輸出大企業には有利に働きますが、輸入原材料の価格を引き上げ、中小企業や国民生活には悪影響を与えます。

     6月の消費者物価指数は生鮮食品を除く総合値で前年同月比0・4%増となりました。一方で食料品とエネルギーを除く総合値では逆に0・2%減です。円安などの影響で電気代やガソリン、輸入食料品などの価格が上がったためです。

    経済指標

    14年度成長率0.5%減試算

     個人消費が伸び悩んでいるのは、雇用が安定せず、所得が伸びていないからです。

     6月の労働力調査では完全失業率が3・9%に下がりました。12年4~6月期と比較すると完全失業率は0・7ポイントの下落です。就業者の増減を雇用形態別にみると、今年6月は昨年4~6月期に比べ、正規雇用労働者が44万人も減少する一方で非正規雇用労働者は215万人も増大しました。

     12年度の名目雇用者報酬は前年度0・3%の減です。4~6月期も実質0・4%増にとどまりました。増えたのはボーナスなど臨時収入ばかりです。6月の毎月勤労統計によると、労働者の基本給などを示す所定内給与は13カ月連続で前年同月を下回りました。

     明治安田生命の「経済ウオッチ」8月2週号は、消費税増税によって14年度の経済成長率は0・5%減になると試算しました。景気悪化によって所得税や法人税が減収となり、財政も悪化します。経済指標が求めているのは、消費税増税を中止する判断です。

    商店街で聞く 東京・杉並

    景気いいのは大企業だけ 生き残れるか瀬戸際

     国民の中に「景気回復」の実感はあるでしょうか―。東京・杉並区の商店街で聞きました。

     青果店を営む男性(80)は「景気が良くなったのは大きな企業だけ。庶民のフトコロは寂しい限りだ。給料が上がらないまま消費税率が上がったら、デフレ不況が一層ひどくなる」と憤ります。

     日用品販売店の50代の女性は「景気のどこが良くなったのか。長期的には売り上げも減っている。電気・ガス料金の値上げも相次いでおり、消費税は上げてほしくない」と指摘します。

     貸店舗で福島県の新鮮な野菜などを販売する男性は「いま消費税が上がるのはきついね。価格に転嫁することも難しい。毎日の生活に必要なものから税金を取るなんて何とかならないか」と話します。

     同店に買い物に来ていた70歳代の女性も「いまやるべきことは増税ではなく国民の家計など暮らしの土台をしっかりすることだ」ときっぱりいいます。

     雑貨店の店主(58)は「消費税増税で個人経営の商店は生き残れるかどうかの瀬戸際に立たされる。駅前から個性的な店がどんどんなくなり街の魅力も失われかねない」と心配の声をあげました。

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