プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回のテーマは秋山準vs男色ディーノです!
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――今日のテーマは小佐野さんが中継の解説を務めたDDTの秋山準vs男色ディーノKO-D無差別級選手権です。男色ディーノ選手は試合中にコスチュームのTバックやアンダータイツを脱ぎ、そのタイツを股間に挟むかたちで“何か”が見えないように戦いましたが、最後は秋山選手の股間クラッチ式エクスプロイダーの前に敗れました。
――ディーノ選手は2018年10月のDDT両国大会で佐々木大輔戦でも、ほぼ全裸になりましたけど。あのときは放送事故を防ぐためか、引きのカメラでリングを捉える工夫もされて(笑)。
小佐野 あの試合は現場では見てないんだけどね。『週刊プロレス』で天龍(源一郎)さんが大激怒したでしょ。
――あのときはコンプライアンス的にああいうキャラクターは厳しいから、封印するために最後に大花火をぶち上げた印象があったんですけど。いまでもディーノ選手は普通に活躍してるんですよね(笑)。
小佐野 昨日のシチュエーションからすればディーノも中途半端なことはできないし、振り切るところまでやったんだろうね。そうしないと“vs秋山準”というテーマがボヤケてしまうから。
――“王道”の秋山準相手にギリギリまで男色ディーノらしさを出したと。
小佐野 そこは秋山も覚悟のうえで試合をしたんだろうと思うし。でもね、タイツを脱いじゃうのはダメですよ!
――全裸はダメですか!
小佐野 ダメだよ。 両国のときに天龍さんが怒ったのは大きな理由がある。両国国技館って相撲協会の持ち物で、大相撲にとって神聖な場所でしょ。そんなことをやって他のプロレス団体が借りられなくなったらどうするの!? ふざけるな!ってことで天龍さんはすごく怒ってた。
――たしかに公然わいせつ罪ではあるんですよね。
小佐野 法律以前に今回の試合で脱ぐ必要があったのかどうかっていう話でもあるんだけど。 脱ぐことがDDTらしさではないからね。
――いまはこういうこと自体に慣れてるというか、選手やファンからそこまで拒否反応がないことに小佐野さんは疑問を感じたりするんですか?
小佐野 だって必要ないことだから。最後の最後までディーノがタイツを股間に挟んで見えないようにしていたことは、すごいんだけど(笑)。
――そこは男色ディーノであっても。
小佐野 脱ぐことがキャラクターではないでしょう。
――秋山選手はKO-Dの王者だけど、今回は“ディーノの部屋”に足を踏み入れたわけですね。
小佐野 そこで秋山が拒絶していたら DDT所属の選手としては、いつまでたっても外様というか、特別扱いになっちゃうでしょ。 DDT所属となりチャンピオンになった時点でディーノとの試合は避けては通れない。それこそ天龍さんが『ハッスル』に出たとき、はじめは坂田亘なんかとガチガチの試合をしてたんだけど、いずれはHGやRGと戦うことでファイティング・オペラに浸かったわけだから。それと一緒だと思う。じゃないと、そこにいる意味がないよね。
――交わることで、あらためて異物であることが浮き彫りになるわけですし。
小佐野 そうそう。何もできなかったと泣くんだったらわかるんだけどね。 たとえば今回ディーノはDDTの映像班を仲間に引き入れた。それで試合中に場内が暗転して、用意していた映像を流して試合の流れを変えたでしょ。やることはやったうえでの勝ち負けでしょう。
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