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記事 49件
  • 人生エロエロ 第597回 みうらじゅん「鹿を抱く予定」

    2024-09-12 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
    “鹿と僕のエピソード”
     小学校低学年の通知表、その備考欄には毎度この言葉が記されていた。
    “落ち着きがない”
     成績も良くなかったので仕方ないが、この評価だけは間違っている。こんなことがあった。その日、先生は、奈良公園に響き渡るような大きな声で僕を怒鳴りつけたんだ。
    「落ち着きがないからそんなことになるんや!」 
  • 人生エロエロ 第596回 みうらじゅん「絵梨花のラブポエム」

    2024-09-05 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     ハロー! みなさん、お久しぶり。
     もうお忘れですか? みうらじゅん事務所で秘書をしているラブドールの絵梨花ですよ。クスン。ま、仕方ありませんよね。このところすっかり登場の回も減りましたから。
     でも、今年の初め、雑誌『ブルータス』の“人生最高のお買いもの。”という特集に出たんですよ、私。 
  • 人生エロエロ 第595回 みうらじゅん「支配から解放されテーゼ」

    2024-08-29 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
    『老いるショック・セミナー(4)“テーゼ”』
     おはようございます。
     暑い日が続きます、みなさんお変りありませんか?
    「私はこの夏、初めて股のぞきをしましてねぇ、エヘヘ」
    (教室内、少し騒つく)
     ねぇ、田中さん。いつも注意していますが、発言は手を挙げてからですよ。 
  • 人生エロエロ 第594回 みうらじゅん「タメ口な彼女」

    2024-08-28 08:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     日帰り温泉に行った帰り、ムーミンバレーパークに寄った。そこは埼玉県飯能市にあるムーミンの世界を再現した施設。
     アウト老の僕には不向きな場所と思われそうだが、「カルピスまんが劇場」を見て育った世代。当然、ムーミンは岸田今日子さんの声で今も脳裏に焼き付いている。
     僕は中学生。映画が好きになり始めた頃でリバイバル上映で安部公房原作の『砂の女』まで見ていたので、当初、ムーミン=岸田今日子さんには違和感があった。 
  • 人生エロエロ 第593回 みうらじゅん「海女に呼ばれて」

    2024-08-28 07:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
    『ひとりでできるもん!』
     とは、その昔NHK教育テレビでやっていた子供番組である。
     僕はその日、“ひとりでできるもん!”と、強く心に念じながら、スマホで映画の予約を取ろうとした。
     今までにも何度かチャレンジしたことがあったが、うまくいかず結局、当日映画館でチケットを買った。
     そもそもスマホが苦手なのだ。でも、そんな言い訳ばかりしているのもよくないと思い、今一度、友達から教わった操作法で焦らず、よく確かめながら―― 
  • 人生エロエロ 第592回 みうらじゅん「ファビュラスなメール」

    2024-08-28 07:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     長くこんな仕事を続けていると(どんな仕事? と、聞かれると困るが)、たまにびっくりするような出来事が起る。
     ある夜、こんな方からメールが送られてきたのだ。
    “こんにちは。はじめまして。叶美香と申します。叶姉妹の妹です”
     フツーならタレントの名前を騙ったいたずらと疑うべきだが、少し思い当ることがある。ドキドキしながら読み進めた。 
  • 人生エロエロ 第591回 みうらじゅん「つままれた話」

    2024-08-28 07:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     老いるショックの影響で、このところ旧友との再会が増えてきた。
     なつかし話に花が咲き、別れ際には、「次、会う時が葬式にならんよう、互いに元気でいようや」の常套句が出る。誰しもそんな切なさを感じながら余生を送っているんだなぁー。
     などと思っていたところ、先日、それには全く該当しない電話が、何年かぶり、いや、十何年かぶりに掛かってきた。発信者はS、大学時代の友人だ。僕はケータイの名前表示を見た瞬間、嬉しかったけど、何か良からぬ知らせではないかと思った。 
  • 人生エロエロ 第590回 みうらじゅん「X氏のひとり言」

    2024-08-28 07:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     今回はある裁判の模様をお届けする。
     その概要はこういったものだ。被告人X氏が車内(さほど混み合っていない)で、被害者A子さんの臀部を見て発したとされる言葉、“ええケツしとるのう”がひとり言であったか否か、そこが問われる裁判だ。
     検察側の陳述――
    「実際、その声がA子さんの耳に届いているわけで、ひとり言など、そんな言い訳は通じませんよ」 
  • 人生エロエロ 第589回 みうらじゅん「ひとりSM」

    2024-08-28 07:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     先日、仕方なくひとりSMを試みた。すなわち、僕がSとMの二役を演じたわけである。
    “そろそろもよおしてきたんじゃないのか? 我慢することはない。ここで漏していいんだぞ”
    “は、恥ずかしいです……”
     こんなプレイを自ら仕掛けなきゃならなくなったのは、そもそも僕の不注意が原因。
     年に1回、行っている人間ドックの日が、あろうことかテレビの収録日とダブルブッキング。スケジュールをちゃんと確かめないで予約を取ってしまったのだ。 
  • 人生エロエロ 第588回 みうらじゅん「しんせいえろえろ」

    2024-08-28 07:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     遂に『濁点禁止法案』が、国会に提出された。
     濁点とは、濁音であることを示すために清音のかなの右肩に打つ2つの点。それが打たれた単語には清音だけで構成されたものよりも強そう、重そうなどに加え、マイナス・イメージを持つものが多く存在する。
     例えば、法案に従い表記すると“ハカ・テフ・チヒ・ハケ”などが相当する。このように単語から濁点を排除することでダメージを軽減させるのが狙いである。法案の呼び方も“たくてんきんしほうあん”が正しい。
     今回はその審議の模様をお届けする。