主張
参院選と雇用
働く不安なくして景気回復を
今回の参議院選挙は、安倍晋三政権が選挙後にすすめようとしている「成長戦略」による雇用破壊攻撃に反対し、人間らしく働けるルールを確立する方向へと政治を切りかえる重要な機会です。日本経済が「デフレ不況」から抜け出せないのは、大企業にとって安上がりな非正規社員が雇用者全体の36・3%(1891万人)に増えるなど、労働法制改悪による雇用破壊の政治が続いたのが原因です。日本共産党は、いまこそ大企業がため込んでいる260兆円の内部留保の一部を賃上げと安定した雇用の拡大のために活用し、景気回復をはかることを訴えています。
内部留保活用に道理
安倍政権の「成長戦略」は、大企業がいま以上に自由勝手に労働者を「使い捨て」できるひどい内容です。職務や勤務地を限定して低賃金で雇い、職場がなくなれば解雇できるようにする「限定正社員」の制度づくり、派遣労働の歯止めなき拡大、残業代を払わずに無制限に働かせる労働時間規制の緩和、金さえ払えば解雇できる仕組みづくり、リストラで労働者を追い出す企業には助成金を出すなど、財界・大企業への驚くばかりの大盤振る舞いです。
これらを許したら、労働者は、賃金が下がる生活不安、解雇される不安、健康破壊・過労死の不安と、毎日が不安だらけの働き方になってしまいます。自民、公明両党連立の安倍政権の暴走を絶対にくい止めなければなりません。
「第三極」といわれる「維新の会」や「みんなの党」も解雇規制の緩和、解雇の金銭解決制度の整備などを公約にかかげています。安倍政権の「成長戦略」は生ぬるいとけしかける補完勢力ぶりは鮮明です。
これらの政党は「大企業がもうかれば、いずれ賃金が上がり、雇用も増える」「雇用を流動化、多様化すれば、雇用が増え、失業が減る」と宣伝します。しかし、そうはなりません。小泉純一郎政権のとき、製造業務への派遣解禁など雇用の「多様化」で大企業は利益を増やしたのに、労働者の賃金は上がらず、若者の貧困と失業が増えた事実をみても明らかです。
日本共産党は、こうした大企業だけがうるおう政治の転換を求めています。日本の労働者の賃金は1997年をピークに年収が70万円も減っています。大企業がもつ260兆円の内部留保の1%を活用しただけで8割の大企業で月1万円の賃上げが可能です。
内部留保は、労働者が汗を流し、長時間労働に耐えて働いて生み出した利益を、労働者に還元せず、使い道もないまま滞留させている資金です。その資金を、賃上げや非正規社員の正社員化など待遇改善に使うのは道理があり、麻生太郎財務相も「条件がある」とのべているほどです
働く人とスクラム組んで
賃上げと安定した雇用の拡大は、働く人の所得を増やし、消費を活発にし、企業活動も活発にするという好循環をもたらします。これこそが「景気を回復してほしい」という国民の願いにこたえるもっとも効果的な経済対策です。
日本共産党は、退職強要やロックアウト解雇、過労死をうむ長時間労働、サービス残業など企業の横暴とたたかう労働者とスクラムを組み、安心して働ける職場づくりのために全力をつくします。