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派兵恒久法案 赤嶺議員が追及
湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、過激組織ISへの空爆…。戦争法案の一角をなす海外派兵恒久法(国際平和支援法)によって1990年代以降に米国が主導してきたすべての大規模戦争で自衛隊派兵が可能になることが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の5日の質疑から浮き彫りになりました。 (池田晋)赤嶺氏が追及したのは、恒久法第3条で派兵要件として定めている、戦争の国際的正当性の問題です。
同法3条は、国連総会もしくは安全保障理事会が(1)武力行使を決定・要請・勧告・許可した場合(2)事態を平和に対する「脅威」または「破壊」と認め、加盟国に「取組」を求める決議をした場合―のいずれかを満たせば自衛隊の派兵が可能としています。
(1)の要件は国連が軍事的措置の履行に同意したものとみなせますが、赤嶺氏がとりわけ問題にしたのは(2)の要件です。
中谷元・防衛相は(2)の要件にあてはまり得る決議として、2001年の米同時多発テロ事件を非難した安保理決議1368や、過激組織IS対策への国際連携を求めた安保理決議2170、2199にまで言及しました。
これらの決議はいずれも軍事的措置の履行を求めたものではありません。政府も赤嶺氏の質問に対して、軍事的措置を求めていない国連決議であっても(2)の要件を満たすことを認めました。(国家安全保障局・土本英樹審議官の答弁)
つまり、決議が特定の国や事態を平和への「脅威」や「破壊」とみなし、軍事・非軍事に関わりなく「取組」を求めていれば、その国に対する米国の武力行使に自衛隊が「後方支援」できるという仕組みです。
恒久法ができれば、ISに対して米軍主導の有志連合が実施している空爆への「後方支援」も可能になります。しかし中谷防衛相は参加するかしないかの判断根拠を問われても、「首相が最終的に決断することだ」と具体的な基準をなんら示しませんでした。
しかも、政府は米国のシリア領内の空爆について、「イラクの攻撃要請」と米国自身の「自衛権」が法的根拠だと答弁。米国はイラクの要請を根拠に、その隣国まで攻撃していることになります。
米国が戦争に踏み切れば、国際社会の合意や正当性があろうがなかろうが「後方支援」する―。国連決議を口実に、どんな国際法上の根拠でも米軍支援を可能にする二重の要件の仕掛けが明らかになりました。