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2023年2月26日号:ニュースに一言
2023-02-26 07:00102pt●皆さんこんにちは、“人気”YouTuberの百田尚樹です。
最近でこそ週刊誌連載の仕事が入り執筆に追われていますが、ここしばらくは書くよりしゃべる時間の方が長くなり「作家」を名乗るのが憚られ、すっかりYouTuberになってしまいました。そんなYouTuberは動画のジャンルよって分類されます。主に内政、外交についての「政治系」、パチンコ、パチスロや競馬などに特化した「ギャンブル系」、ネコやイヌのかわいらしい姿が満載の「ペット系」など、中には「炎上系」「迷惑系」など困ったものもあります。わたしはといえばコロナワクチンについてしゃべったと思ったら、そのすぐ後に大谷選手の話題、さらには漢字についてと思いつくまま気の向くまま何でもありですから、さしずめ「雑食系」といったところでしょうか。
チャンネル登録者数100万人を超える「料理系」YouTuberの男性料理研究家が謝罪に追い込まれたという話題です。彼がいったい何を謝らなければならないようなことをしたのかというと、ツイッターでカレーのレシピを紹介した際に、その分量を「男性なら1人前、女性なら2人前分あります」と記したからと聞いて呆れてしまいました。批判者は「女性が少食とばかり思うな」「男女で飯の量勝手に決めないでくれ」と憤っているようですが、相手が料理研究家だからといってなんでも「食いついて」いいわけではありません。
“一般”的に女性は男性に比べて体格が小さく、そのため食べる量も少なくなりがちです。もちろん例外的に大食いの女性もいます。しかし今回、彼が言ったのはあくまでも“一般”論であって、それがダメと言うのならもう何も言えなくなります。我こそが正義とばかりに因縁にも似た言葉狩りが蔓延する社会は窮屈で仕方がありません。
分量といえば市販薬のパッケージに書かれている用法ほど不思議なものはありません。多くが大人は3錠、子供は2錠など大人と子供でその服用する量をわけているのです。大人は大きく、子供は小さいからというのはわかりますが、ともに20歳の大人で体重40㎏の小柄な女性と160㎏の力士が同じ3錠とはどう考えても不自然です。そういえば多くの人が副反応に悩まされたコロナワクチンも女性の方がその程度が重かったと聞きます。多分、男性と同じ接種量だったのでより強く反応したのでしょう。
おっと、こんなことを言ったらまた「身体の大きな女性もいる」と噛みつかれかねません。くわばらくわばら。
●全国で相次いでいる強盗事件の捜査で犯人特定の有力な手がかりとなっているほか、犯罪の抑止力としても効果が期待できる防犯カメラですが、青森県で警察と住宅メーカーがその設置を進める協定を全国で初めて結んだというニュースがありました。これは青森県警察本部と大手住宅メーカーの大和ハウス工業北東北支社が締結したもので、今後1年間で大和ハウス工業が手掛ける青森県内の約100棟の住宅に防犯カメラを設置することとしており、手始めに青森市桜川地区で7月末までに着工する分譲住宅4棟に取り付けるそうです。分譲住宅には無条件で、注文住宅は購入者が希望した場合のみ設置するとのことですが、1台あたり10万円ほどの費用をメーカーが負担することもあり「いらない」という人はいないでしょう。
防犯カメラのついた家は、その所有者の家族の生命財産を守るだけでなく、その地域の治安維持にも貢献できますのでこの取り組みはいいことだらけです。こんな前向きに市民や地域の安全安心のために官民がタッグを組むところがあると思えば、神奈川県川崎市は東京都に次いで新築住宅への太陽光パネル設置を義務付けたといいますから開いた口がふさがりません。
電気代高騰の折、「太陽光発電で家計の節約が出来る」と喜ぶ人がいるかもしれませんが、それは大間違いです。太陽光は文字通り「太陽」がなければ発電できません。すなわち曇りの日や夜間は用を成さないのです。しかし電気は24時間必要です。そのため電力会社は莫大な費用をかけて予備電力を作らなければなりません。その費用はもちろん電気代に上乗せされます。ですから太陽光発電が増えれば増えるほど電気代は高くなるのです。政府が推し進めたこともあり「太陽光パネル」設置住宅は随分と増えました。そのたびに電気代の請求書の中の「再エネ発電賦課金」がアップしている事実から目を背けてはいけません。
●水道料金の値上げを議会に提案している松山市が、市内の全世帯およそ24万3000戸に配布した市民へ水道管の老朽化対策を訴えるための広報資料に掲載した水漏れ状態を示す写真が、老朽化とは全然関係ない交通事故によるものだったことが分かりました。その写真は路上に水が盛大に噴き出す様子を捉えたもので、それを見たほとんどの人は「こんなことになったら大変だ」と感じたことでしょう。間違いの指摘を受けた担当者は「これはあくまでもイメージ写真なので問題はなく訂正の予定はない」と見事なまでに開き直っていますが市民もなめられたものです。
ライフラインと呼ばれるものの内、ガスや電気は料金が未納になるとすぐに止められてしまいますが、水だけは猶予が与えられます。それは水が人間にとって命にかかわる絶対に必要なものだからです。ですから料金がアップしたからといって「ほな、うちは結構ですわ」とならないだけでなく、水道管の老朽化が安定した供給の妨げになることはわかっていますので必要な値上げも受け入れます。しかし、その根拠を示す写真がニセモノだったのなら話は違います。さらにそれを指摘され謝罪がないのはもちろん、弁解のひとつもなく堂々と開き直られたのでは市民もさぞかし気分が悪いことだと思います。そもそも本当に老朽化して水漏れしているのだったら、それを写真に収めればいいだけでそうしないのはそんな場所が無かったのだろうと勘繰られても仕方がありません。
市の総意ではない担当者たったひとりの発言だとは思いますが、市民にしたら簡単に水に流せないだけでなく不満が写真のように噴き出していることでしょう。
●山梨県の公立高校で実施された「情報技術検定試験」で教諭が生徒に解答のヒントを伝えたため、この教諭が試験監督を務めた教室で受験した生徒28人全員の結果が無効になったというニュースがありました。
この資格試験は1月20日に行われ、同校の1年生約60人が2教室に分かれ受験しましたが、そのうちの1教室の試験監督を務めていた男性教諭が試験中に少なくとも6人の生徒に口頭でヒントを伝えていたというのです。試験は言うまでもなく自分一人の力でするものです。カンニングがダメなのはその行為をする時点で他者(物)の力を借りることになるからです。それを指導的立場にある教諭がするなんて困ったものです。
普段通っている学校で実施された資格試験ですから、受験生と監督は顔見知りです。いやそれどころか直接担任している生徒だったのかもしれません。かわいい教え子が解答に苦慮しているのを見ていたたまれなかったのか、あるいは合格率を上げて自身の評価を高めようとしたのかはわかりませんが、いずれにせよ試験という最も公正であるべきものを冒涜したことは間違いありません。
それにしても解せないのはなぜ「ヒントを伝えた」なのでしょう。どちらにせよ不正なのですから一思いに答えを教えても良かったのに。もし彼の中に「教えるのはアウトだが、ヒントだけならぎりぎりセーフ」との思いがあったとしたら、これほど愚かな教員はいません。ヒントを与えられ解答を導き出した受験生は仕方がないとして、かわいそうなのはそれまで一所懸命準備して試験に臨み合格ラインを超えていたのに、その教室にいたというだけで採点対象外とされた受験生です。校長は今回の決定を「苦渋の決断だった。生徒にはカウンセリングを実施するなど、できる限りの対応をしたい」と語っていますが“苦汁”を飲まされた生徒は堪ったものではありません。
●「二重国籍が認められないのは個人の尊重などを定めた憲法に違反する」と訴えたものの敗訴した“元日本人” 8人が納得せずに控訴していた裁判で、東京高等裁判所は1審に続いて訴えを退け二重国籍を持つことを認めなかったというニュースがありました。
この8人はスイスやリヒテンシュタインに住み現地の国籍を取得したために日本国籍を失っていました。日本の国籍法は外国の国籍を自らの希望で取得すると日本国籍を失うと規定しており、複数の国籍を持つことを認めていませんので当然の結果です。この法律の中で重要なのは“自らの希望で”というところでしょう。国はなにもしていない日本人から無理やり日本国籍を剥奪したわけではありません。“自らの希望で”他国籍を選んだ人を規定通り日本国籍から外しただけです。それを「憲法違反」だなんてどこまで個人の尊重を拡大解釈すれば気が済むのでしょう。
一方で国は他国の国籍に変更する自由も認めています。「お前が外国人になるのはまかりならん」と日本国籍に縛り付けることはありません。これ以上の「個人の尊重」があるでしょうか。わたしは国籍は1つに限定するべきだと思っています。なぜなら国家はその構成員たる国民を絶対的に守るものだからです。日常生活上での保障はもちろん、たとえば紛争地帯に勝手に赴きテロ組織に捕らえられ人質になるという非日常的な事態にも、国は「それは自己責任だから」と見放すようなことはせず救出に全力を尽くします。その代わりに国民は国家に忠誠を誓うのですが、仮に二重国籍の二国が戦闘状態になった場合そこに矛盾が生じます。権利と義務は表裏一体ですが、往々にして権利ばかりを主張する風潮が強くなっているのはいただけません。
いま国会ではLGBT法案なる珍妙な法律を作ろうとしています。これが通れば普通に考えれば認められないとすぐにわかるにもかかわらず「二重国籍を認めろ」なんて言う人たちがいるくらいですから、そのうち「ある時は男、あるときは女」という二重性別を認めないのはおかしいなんて言い出す奴が現れかねません。 -
2023年2月17日号:ニュースに一言
2023-02-17 16:11102pt2●2月14日はバレンタインデーでした。女性から男性へ愛のしるしとしてチョコレートを贈るこの日は66歳のオッサンには関係ない(と言っても全然モテなかったわたしは若い時も常に蚊帳の外でしたが)日ですが、朝からチョコレートの数を皮算用して胸躍らせた男性も多かったのではないでしょうか。
ところがそんなバレンタインデーも随分と様変わりしているようです。マーケットプレイス運営会社のアンケートによるとプレゼントする対象の第1位は「パートナー」を抑え、なんと「家族」だというのです。そして第3位には「自分」(これをプレゼントというのでしょうか、ただの買い食いのような気もしますが)、以下友人同僚と続きます。さらにその相手は男性に限らず女性や、中には「ペットへ」なんて人もいてわたしのイメージする“ワクワクドキドキ”のバレンタインと全然違います。
もっともバレンタインデー発祥の欧米では、この日は単に「愛の日」として恋人同士はもちろん、夫婦や家族など愛する人すべてを対象にしていますので、ようやく本来の姿に近付いただけなのかもしれません。そもそも「この日だけは女性から告白できる」なんて「女が告白なんて、はしたない」という時代だからこそ貴重なのであって、女性からのアプローチも当たり前の現代にはそぐわないものです。そしてチョコレートを贈るというのも神戸の洋菓子店「モロゾフ」の創業者が1936年に売上アップを目論み、新聞に「バレンタインデーにはチョコを!」と掲載した広告にイベント好きの女性たちが飛びついたものですからロマンチックでも何でもない起源です。
外国から持ち込まれすっかり定着したイベントはバレンタインデーのほかにもあります。しかし、いずれも本来のものとかけ離れた日本独自のものに変わっています。キリストの生誕を静かに祝う“クリスマス”は三角帽子を被ってクラッカーを鳴らし、から揚げとケーキを食べる日。秋の収穫を祝い先祖の霊をお迎えするとともに悪霊を追い払う“ハロウィン”は若者が仮装して街に繰り出しバカ騒ぎをする日など元々の意味はどこかに行ってしまいました。
そんな光景を見た外国人たちは「日本には変わった祭りがあるな」と思うだけで、それがクリスマスやハロウィンだと気付いていないかもしれません。
●高齢ドライバーによる事故の増加を受け、一定の違反を犯した75歳以上の高齢者に「運転技能検査」が課されるようになりましたが、その実施状況が警視庁から発表されました。それによりますと昨年5月13日から12月末までの7ヵ月半にのべ7万7083人が受け、合格者は6万9041人だったそうです。この数字を見て「高齢者の10人に9人はしっかり運転しているんだ、思ったより多いな」と思うのは早計でしょう。なぜならこの検査は不合格になっても何度でも受け直すことができるからです。極端な話、受検者全員が1回目は不合格で複数回受検していた可能性もあるのです。ですから延べ人数とその中での合格者の数ではまったく本質を表すことが出来ないのです。本当なら“のべ”ではない総受検者数、1回での合格者、2回目での合格者・・・、最後までダメだった人の公表でないといけないのです。そして恐ろしいのは初回から9回連続信号を見落とし不合格になっていた受検者が10回目にちょうど対面の信号が“青”だったため停止の必要がなく完走すれば合格になってしまうことです。この人はもし11回目を行なえばまた信号無視で失格するのに、11回目の必要がないため晴れて免許更新となるのです。
こんな人が「お墨付きをもらった」と大手を振って公道に出てくるのですから危ないことこの上ありません。本当に安全を担保するための検査なら受検回数に制限を設けるか、あるいは3回連続の合格のみ可とするなどしないといけないでしょう。福岡県では高齢者講習を受けていた妻を迎えに運転免許試験場を訪れた81歳の男性がバックで駐車しようとした際にアクセルとブレーキを踏み間違えて試験場玄関に突っ込む事故が起きています。どう考えても講習を受けるべきは妻より夫の方ですが、この男性もれっきとした免許保有者なのです。
現代では衝突を避ける自動ブレーキや車線外れの修正、ブレーキとアクセルの踏み間違いへの対応など運転ミスを補う装置の付いた安全運転サポート車(サポカー)も販売されています。彼がもしサポカーに乗っていたら今回の事故はありませんでした。「運転技能検査」も結構ですが、能力の衰えが不可避の高齢者にはもっと積極的にサポカーへの乗り換えを促すべきでは。「運転技能検査」と同じく昨年5月13日に新設されたサポカー限定免許へ2022年中に切り替えたのは全国でたったの14人です。
●窃盗の疑いで兵庫県姫路市に住む31歳のブラジル国籍の女が逮捕されたというニュースがありました。窃盗犯とはどろぼうのことですが、彼女が盗んだものはなんとパトカーといいますから驚きです。
この女は、滋賀県に住む姉に自宅のある姫路まで送ってもらっている途中、なにが気に入らないのか突然わめきだし、さらに注意した姉の肩を殴るなどしたそうです。とても手に負えないと思った姉は「妹とけんかをした」と110番通報しました。ほどなくして車を止めていた加東市山口の国道372号沿いに、警官1人がミニパトに乗って到着しました。女は抵抗することなく素直にミニパトの後部座席に座りましたが、ここからがいけません。警察官が署に連行しようとミニパトの車外で無線連絡していたところ、女はするするとパトカーの車内を移動して運転席に座り発車してしまったのです。そして女は赤色灯を付けたまま国道372号線を丹波篠山市方面に約10キロも逃走しました。
ミニパトを盗られた署員は110番する(警官も困ったときには110番するんだ)とともに、姉の運転する車に乗り大急ぎで追いかけました。かくして、赤色灯を灯した妹のミニパトカーを一姉の一般車両が追跡するという、なんとも奇妙な光景が展開されたのです。そして約12分後に渋滞に巻き込まれ停止したところでようやく捕まえましたが、パトカーを乗り逃げされたこの警察官は大目玉を食らったことでしょう。
調べに対し女は「盗んだのではなく、借りただけ」と犯意を否認しているそうですが、なんという身勝手な言い訳でしょう。百歩譲ってブラジルではそれで済んでも日本では「貸して」に対し「いいよ」がなければ借りたことにはなりません。
●京都市右京区にある東映太秦映画村のお化け屋敷で、お化け役の演者をケガさせた男性が映画村の運営会社を相手取り約550万円の支払いを求めて京都地裁に提訴したというニュースがありました。???
加害者が「金払え」と訴えるなんていったいどういうことでしょう。この49歳の男性は2011年9月(当時37歳)、社員旅行で映画村を訪れ「史上最恐」を謳うお化け屋敷に入りました。映画村のお化け屋敷は「史上最恐」というだけあってその怖さは折り紙付きです。なにしろ日頃本物そっくりに映画のセットを作っている職人が屋敷を作り、お化けもアルバイト学生ではない本物の役者が扮して脅かしにかかるのですから。
そこにやってきたのが今回の男性です。プロのお化けの迫真の演技で恐怖におののいた男性はパニック状態になり、思わずお化けのあごを蹴ってしまいました。いきなり反撃されたお化けもさぞかし驚いたでしょうが、なにしろ相手が悪かった。なんとこの男性は空手5段の強者で、お化けは一撃で骨折などの重傷を負ってしまいました。それにしても、いくら「史上最恐」とはいえ所詮は作り物です。それに対し本気で反撃するなんて、どうやら彼は鍛錬により屈強な肉体を作ることはできても、お化けを恐れないたくましい精神を作ることはできていなかったようです。男性は、警察から事情聴取を受けましたが刑事処分はなく、男性演者に謝罪し治療費などを支払うことで一件落着しました。
ところが大ケガをした演者側はその後の15年3月に男性相手に損害賠償請求を起こしたものですから大変です。自身が空手の達人で素人にケガをさせたことを悔いていた男性は解決金約1千万円を支払うことで16年3月に和解したそうですが、彼にしたら「なんで自分だけが1000万も払わなければならないの」と、ずっと腹の虫がおさまらなかったのでしょう。事故から12年も経っていくらかでも取り戻そうと今回提訴したようです。
訴状で男性は「双方の安全のため客とお化け役の間に十分な距離や仕切りを確保する必要があった」「恐怖に陥った観客がどのような反応をするかは予想できず、とっさに手を出すことは十分あり得るのでお化けに注意喚起が必要だった」と運営会社の安全配慮義務を主張しています。しかし、サバンナのライオンの前には怖くて立てなくても動物園のライオンの前は平気なのと同じで、しきりは明らかに恐怖を取り除くものです。そんなものがあっては「お化け屋敷」なりません。さらに客を警戒してオドオドしているお化けなんて怖くも何ともありません。
男性の主張は恐ければ怖いほど値打ちがあるお化け屋敷を真っ向から否定するものです。もし、男性が勝訴すれば各地のお化け屋敷にはこんな注意書きが掲げられることでしょう。『当お化け屋敷のお化けの中身は人間ですから怖がる必要はありません。けっして怖がって殴らないでください』と。こんな「史上最低」のお化け屋敷にはだれも行きません。
●1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾は一瞬で多くの人々の命を奪いましたが、悲劇はそれだけでは終わりませんでした。九死に一生を得たと思った人もその後、長きにわたって原爆症に悩まされることとなったのです。国は被爆者援護法に基づき、原爆が投下された際に爆心地にいたり、後になって爆心地に入り放射線を直接浴びた人に対し、がん検診などの健康診断を無料で実施するほか各種手当の交付などの援護をしています。その人数は戦後77年を経た今もまだ11万人以上を数えるなど、いかに原爆の威力が大きく恐ろしいものだったのかがわかります。
そんな中、被爆者の子供、いわゆる広島原爆2世の28人が「被爆2世が親の遺伝的影響を受けることは否定できない」のに被爆2世を被爆者と区別して援護対象としていないのは、平等権を保障する憲法14条に違反するとし、国に原告1人あたり10万円の支払いを求めて起こした裁判に対し、広島地裁が国の賠償責任を認めず原告側の請求を棄却したというニュースがありました。
放射線被曝が悪性腫瘍(がん)や白血病の発病に大きく関与することは知られています。被爆2世の中には、その病気により親(被爆者)を見送った人も多いことでしょう。そんな2世が「親の血を引いている自分もいつか発症するのでは」と不安になる気持ちはわかります。彼らにしてみれば身体の中に時限爆弾を抱えているのと同じでしょう。しかし、今回の判決は国側の「親の被爆による次世代への遺伝性影響は確認されていない」を支持しました。では、2世の中にがんや白血病になった人はいないのでしょうか。もちろんそんなことはなく単に「影響は確認されていない」すなわち「因果関係が明確でない」と言っているだけです。それで死ぬまで不安が続く被爆2世が、長崎投下分を含めてまだ全国に20万から30万人もいるのですから改めて原爆がいかに非道な兵器だったのかがわかります。
「因果関係が明確でない」・・・全国で超過死亡数が大幅に増加している最近よく聞く言葉です。専門家の中にもその原因がコロナワクチンにあると指摘する声がありますが、国は頑として「因果関係が明確でない」と突っぱねます。しかし、ワクチン接種後、突然亡くなったり原因不明の不調に悩まされる人がいるのは事実です。さらに厄介なのはそれがいつまで続くのかわからないことです。アメリカに落とされた原爆で被爆2世を強いられた人と、自ら進んで接種して異変に見舞われた人とを同列にはできませんが、彼らもまた不安を抱えて生きていかなければなりません。数年後、あるいは数十年後原爆同様に「国が保障しろ」との訴訟が各地で起こらないか心配です。もっともそれでもそれは「因果関係が明確でない」で片付けられるのでしょうが。いまはこの心配が杞憂に終わることを願うばかりです。 -
2023年2月12日号:ニュースに一言
2023-02-12 08:36102pt6●救急車の窓ガラスをたたくなどして救急搬送を妨害した48歳の会社役員の男が公務執行妨害の疑いで逮捕されたというニュースがありました。
この男が息子と自宅付近でキャッチボールをしていたところに、急病の男児の搬送要請を受けた救急車がやってきました。そしていざ病院に向けて出発しようと隊員が男の息子に救急車から離れるように言うと、男は激昂して救急車に近寄り「うちの息子に何言ったんや」「いつまで止めてるんや。赤いライト付けたままやったら近所迷惑になるやろ」などと怒鳴り散らすのですから、わけがわかりません。
まともな大人ならパトライトを点けた緊急車両を見た場合、その作業を邪魔しないよう子供を促し、そっとその場から離れるものです。それを大人がすすんで邪魔しにかかるなんて頭がおかしいとしか思えません。そもそも赤いライトは緊急事態を周囲に知らせるためのもので、それなくしての作業の方がよほど迷惑です。男はさらに助手席側の窓から手を差し入れるなどして出発を妨害したといいますからとんでもない男です。
彼がひとりで騒いでいる間、一刻も早く病院で治療を受けたいのにいつまでも出発できない救急車の中で男児とその家族はさぞかし不安だったことでしょう。結局、救急隊員が本部に応援要請をかけ、到着した別の救急車に男児を乗せ換えて出発するまで約20分も余計な時間がかかってしまいました。
男は調べに対し「故意に救急搬送を遅らせるためにしたわけじゃない」「病人が乗っていることは後から知った」などと話しているそうですが、これほど愚かな言い訳があるでしょうか。赤色灯を灯している救急車が緊急搬送中なことは子供でも分かります。たとえその車内を覗かなくても、ほんの少しの想像力で「早く病院に」と祈る姿を思い浮かべることができます。同様に街中で後ろから近づく救急車に道を譲らず、ちんたら走る車を見ると「お前らには想像力がないのか」と腹立たしさを覚えます。
幸いにも今回搬送された男児は命に別条なかったそうですが、もしものことがあったらと考えると男の罪は重大です。もっとも男にはそれを想像する力もないのでしょうが。
●法制審議会の戸籍法部会が、いままで戸籍に記載されていなかった氏名の「読み仮名」を必須とすると共に、読み方の基準を定める戸籍法改正の要綱案をまとめたというニュースがありました。
現状では名前の読み方に決まりはなく「尚樹」も(なおき)(しょうき)(しょうじゅ)いずれもOKです。さらにこれは(たろう)だ、と言い張ればそれも認められるのです。しかし、昨今「どう読んだらいいの」という、いわゆる「キラキラネーム」が増えてきて、このままでは収拾がつかなくなると考え今回の改正が行われるようです。
実在する「キラキラネーム」では、美気意(みっきー)や美似意(みにー)はまだなんとか読めますし、核(あとむ)や海(まりん)も頑張ればたどり着けるかもしれません。しかし、光宙(ぴかちゅう)泡姫(ありえる)今鹿(なうしか)となるともうお手上げです。
今回の改正案では「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」と読み方を認める範囲に一定のルールを設けることにしており、具体的には「高(ヒクシ)」など本来の意味にそぐわない、「太郎(ジロウ、サブロウ)」など一般慣習とかけ離れている、「太郎(ジョージ、マイケル)」など意味不明のものは許容されない見込みです。
「キラキラネーム」が“音”を重視しているのに対し、かつての名前は“意味”重視でした。子だくさんでもうこれ以上はいらないとしての「トメ」や「末吉」。そして時代が昭和になるとそれを祝し「昭夫」や「和子」。憧れの人の名前をそのまま自分の子供につけることもありました。「荒木大輔」選手が甲子園で大フィーバーを巻き起こした年に生まれた子供の多くが「大輔」と名付けられました。その中の一人が18年後、甲子園に現れた「松坂大輔」選手です。彼もまた大活躍で高校野球史に大きな足跡を残したことで、高校野球ファンの親の多くは我が子の名を「大輔」としました。その結果、18年周期で甲子園に「大輔」が帰ってくるのは愉快なことです。
子供の健やかな成長と明るい未来を願わない親はいないでしょう。どんな名前でも大きな愛情が詰まっていますが、出来ることなら平凡でも親しみがもて、かつ周囲が覚えやすいものがいいのでは。なぜなら名前は一生ものですから。
●大東亜戦争末期、日本各地を空襲が見舞うようになると動物園の猛獣が逃げ出し市民を襲うことを防ぐため、軍部から動物たちを処分する命が下されました。殺す方法は主に毒殺でした。日頃世話をしている飼育員は全員が「どうか食べないでくれ」と祈るような気持ちでエサに毒薬を忍ばせ与えるのですが、腹を減らしたライオンや虎は一口で飲み込み絶命しました。
そのなかでゾウのトンキーは毒入りエサを見抜き食べません。飼育員は安どするのですが命令は絶対です。「早く処分を」とせかされた動物園は毒を注射しようとしますが、ゾウの厚い皮膚がそれも阻みます。そこで仕方なく餓死を待つことになるのですが、日に日に痩せていくトンキーは片足を上げる芸をしてなんとか食べ物をもらおうとします。その姿に飼育員は涙を流し戦争を恨みました。
1999年12月2日、愛媛県のとべ動物園で生まれたシロクマの「ピース」は母親の飼育放棄で生命の危機に陥りました。そこで動物園は人工保育を試みますが、それまで人工保育での国内生存記録は104日間でありとても長生きは望めません。しかし保育を任された飼育員はあきらめませんでした。昼間はもちろん、夜間も自宅に連れ帰り文字通り24時間体制で面倒をみたのです。子グマといっても鋭い爪と牙で部屋の畳はズタズタ、柱はボロボロになりましたが、その甲斐あってピースはすくすくと成長し、生後10か月には70キロを超えるまで大きくなりました。そして104日を遥かに超える2023年の今も動物園で元気に愛嬌を振りまいています。このように「ペット」でない動物園の展示用動物でも飼育員は深い愛情をもって世話をします。
メキシコ南部ゲレロ州の動物園で、飼育している動物の一部を食肉目的で殺したとして動物園の元責任者が告発されたというニュースがありました。州の環境省にいる野生動物の担当者が、チルパンシンゴにある動物園のピグミーゴート(小型のヤギ)の飼育頭数が正確でないことに気付きました。不審に思い調べてみると、なんと雌と雄が5頭ずついたピグミーゴートのうち雄4頭が大晦日の夕食に職員たちに食べられていたといいますから驚きです。
ピグミーゴートは園内で殺され調理されたそうで、この施設は動物園というより「ジビエ料理屋」と言ったほうがいいようです。かつては日本でも家で飼っているブタやニワトリを晴れの日につぶして食べることはありましたが、それはあくまで食用として育てているもので、ペットやましてや動物園の展示用動物をたべるなんてあり得ません。自然界では肉食獣に、そして動物園では人間に食べられるピグミーゴートのなんと哀れなことか。動物園は動物にとって自由を奪われる代わり食べ物の心配のない安住の地のはずでしたが、こんなことがあるのではうかうか昼寝もしていられません。
●岡山県浅口市の寺院「円珠院」に保存されている「人魚のミイラ」が本物ではない「作り物」だったことを倉敷芸術科学大学の研究チームが解明したというニュースがありました。
このミイラは体長約30センチで、5本指の両手が顔を覆っているように見える霊長類のような上半身と、魚類のような下半身からなっており木箱に入れて保存されていました。ご丁寧に一緒に残された書き付けには「元文年間に高知沖で漁網に掛かった」と、さも「天然もの」のように記されていましたから、多くの人が“本物”だと信じていたのです。それを今回、研究チームがエックス線などを用いて科学的に分析した結果、頭には哺乳類の体毛を、口は魚の上下のあごを使い、上半身の内部には綿や布を入れて厚みをもたした上で表面にフグの皮や和紙と石膏を混ぜたとみられる紙を重ねて貼っていることがわかりました。そして人魚たる所以の下半身は、中身をくりぬいたニベ科の魚で全体が砂や墨で黒く塗られていたと結論付けたのです。
作られた時期は1800年代後半とみられ、書き付けににあった元文年間との記述はどうやら「100年ほど前に見つかった体」にしたかったようです。今回の発表でいままで「人魚伝説」で参拝客を集めていた寺は痛手でしょうが、1800年代に作られた200年もバレないほど精巧な「作り物」を見に行くのも一興かもしれません。
日本全国に「河童のミイラ」「つちのこのミイラ」がありますが、そのうち本物はいかほどか。近代技術を駆使すればそれらの真偽を確かめることは可能でしょうが、果たしてそれをするのが正解かどうかは意見のわかれるところでしょう。
●これほどまでにおぞましい事件があったでしょうか。勤務する葬儀社の安置所で女性の遺体を触っていた元職員に対し、東京地裁が懲役2年6か月執行猶予4年の有罪判決を言い渡したというニュースがありました。
この42歳の元職員は、2021年から2022年にかけ勤務していた都内の葬儀場で、18歳の女子高生を含む3人の女性遺体の胸を揉んだり陰部に指を入れたりする目的で遺体安置室や冷蔵室に侵入したり、葬儀場の女子トイレに携帯電話を置き女性25人を撮影したりしていたのです。この男は遺体にわいせつな行為をする様子を自身の携帯電話で撮影し、保存していたことからもそれが男の性癖に由来するものであったことは明らかです。
『屍姦』とは死体を姦する(性的に犯す)。あるいは死体に欲情する性的嗜好のことで、まさにこの男そのものです。抵抗されることがないのはもちろん、「死人に口なし」何をしようと絶対に訴えられることのない相手を狙う卑怯極まりないこの犯罪は絶対に許せません。なによりこの世に未練を残しながら若くして黄泉の国へと旅立った女性たちは、死してなお凌辱を受けるなんて微塵も思っていなかったはずです。こんなことをされたのでは、あまりに悔しく残念でそれこそ「死んでも死にきれない」ことでしょう。
さらに大切な人を亡くし、悲しみに暮れていた遺族がこの事件を知ったときの心境を想うと言葉がありません。安置室から棺に納められ、告別式のあと霊柩車で出発するまでの一連の儀式を好色な目で見届けていたであろう男の目には虫唾が走ります。鬼畜にも劣るこれだけの行為をしておきながら、男の罪名は「建造物侵入罪」です。なぜなら現行の法律において遺体は“ヒト”ではなく“モノ” として扱われるため、それへのわいせつ行為は罪にならないからです。
ご遺体という最も神聖なものを身勝手な薄汚れた欲望で汚した男の罪が「建造物侵入」なんていう軽いものでしかないのはどう考えても納得できません。 -
2023年2月4日号:ニュースに一言
2023-02-04 07:00102pt4●国土交通省が高速道路無償化の期限を現在の2065年から50年延長し、2115年にするための法改正案を国会に提出するというニュースがありました。本来“道”は誰のものでもなくアメリカのハイウェイのようにすべての人がタダで自由に往来できるもののはずですが、日本では高速道路など多額の建設費用がかかる道を作る場合、それを利用することによって得(目的地に早く到着するなど)をする人に『受益者負担』として、その費用が償却されるまでという条件付きで通行料金を負担してもらうことになっています。
しかし、1962年12月の首都高速、翌63年7月の名神高速道路開通から半世紀以上が経過しましたが、無償化された道路はほとんどありません。それどころか値上げを繰り返し、首都高は当初の50円から現在は最高で1950円となんと39倍にもなっています。もちろん当時より道そのものが延伸していますので一概に比べることはできませんが、それでも「早くタダにならないかな」と待っている人たちの期待を裏切り続けていることは間違いありません。
無償化しない理由を「道路を維持するのに金がかかる」「新しい道路を作る費用が必要」としていますが、それは最初からわかっていたことです。それでいて「建設費用が償却できたらタダにする」としたのですから、吐いた言葉の責任をいったいどう考えているのでしょう。数少ないタダになった道路に、大阪と奈良の境にある生駒山を通る「阪奈道路」があります。この道はそれまで片道100円だか150円だかを徴収していましたが1981年に無償化されました。そのときわたしは「本当にタダになるんだ」と驚いたことを覚えています。
でも、驚きはそれっきりでその後は皆無です。いまや誰も高速道路が無償になるなんて思っていないでしょう。2065年だとしてもわたしを含め今生きている人の多くはいないだろうし、さらに2115年ならこれから生まれる人も大部分が死んでいます。それでもなお「延期」でお茶を濁す神経には呆れます。どうせできないのだから、いつまでも期待させるようなことを言わずにさっさと白旗を上げるべきでは。それは非常に残念で、そして情けないことですが。
●相も変わらず「本日の感染者は○○人」と大々的に伝えられる新型コロナの2類相当から5類への移行がゴールデンウィーク明けの5月8日になるという報道がありました。2類相当にとどまる事で様々な得をしてきた人たちにとっては、せっかくの儲け口がなくなりさぞかし残念なことでしょうが、意味のない規制で数々の制限を強いられていた身としては喜ばしい限りです。ようやく一歩前進することになりましたが、それでもまだ3ヶ月もかかるのが辛いところです。
2月に入り寒さが厳しくなるにつれ、福岡県で小中学校の76クラスが学級閉鎖となるなど全国でインフルエンザが久しぶりに猛威を振るっています。病院によってはコロナ患者よりインフル患者が多いところもあるようで、いま注意が必要なのは明らかにコロナよりインフルです。
インフルがこの3年間流行しなかった理由は「コロナでみんなマスクをしているから」とされていましたが、現在でも街でノーマスクの人を見ることがないことを考えるとその真偽は微妙です。
わたしは医者ではありませんので専門的なことはわかりませんが、インフルエンザの症状は「発熱」「咳」「喉の痛み」などでほぼコロナと同じことからも、いままで「コロナ」と過剰に警戒していたものもインフルの一種でこの3年間も例年通り流行していたと考えると合点がいきます。「コロナなんて普通の風邪と変わらない」はあながち間違っていなかったのかも。そしてそのインフルエンザは5月まで待つこともなく今も昔も5類なのです。
●なんでもかんでもすぐに訴訟になるアメリカですが、中には「なんだそれは」という判決も少なくありません。2017年4月にマサチューセッツ州キングストンのゴルフ場に隣接する家を75万ドルで購入した夫婦は住み始めてすぐに後悔したそうです。なぜなら、この家は15番ホールのドッグレッグのちょうど曲がり角にあり、ゴルファーの打球が絶え間なく自宅の壁を直撃したからです。その数、4年間で660回以上といいますから驚きです。
ゴルフボールといえば当たり所が悪ければ死亡事故にもなりかねない硬さですから、夫婦は毎日気が気ではなかったでしょう。苦情を受けたゴルフ場は家の近くに植栽し、カップの位置を変更するなど直撃事故を防ごうとしましたが、夫妻が望んでいた保護ネットの設置には応じませんでした。そこで業を煮やした夫婦は訴えを起こしたところ、陪審員はゴルフ場の過失を認め2021年12月に493万ドル(約6億5000万円)の賠償金の支払いを命じる評決を勝ち取りました。75万ドルの家が493万ドルに化けたのですから万々歳でしょう。
ところが、2022年の12月末になりマサチューセッツ州最高司法裁判所が「前の判事の明らかな間違いがあったため、評決を取り消すものとする」としたのですから大変です。評決を覆した裁判官は「ゴルフにおける誤打球は野球のフォアボールやエラーのようなもの。最高レベルの選手でさえゴルフというスポーツの難しさに挑戦している。練習し技術の改善を繰り返しても当然のことながらゴルフショットはうまくいかない」、すなわちゴルファーがボールを誤って意図しない場所に打ち込むことは仕方がなく責められるものではないと言うのですからわけがわかりません。
夫婦は故意か過失かは関係なく、ボールが飛んでくることがかなわんと言っているのに呆れた論点ずらしです。こんな裁判官が上級裁判所にいたのではマサチューセッツ州の裁判は差し戻しだらけになってしまいます。493万ドルは確かに高額過ぎるとは思いますが、ゴルフ場と夫婦ではどうみても夫婦側の言い分に分があります。納得できない夫婦の弁護士は新たな訴訟を提起するそうですが当然でしょう。
●合理的根拠が無いのに「飲むと胸が大きくなる」とインタグラムに投稿しサプリメントを売ったのは景品表示法に違反するとして、消費者庁が販売元の会社に1億1716万円の課徴金納付を命じたというニュースがありました。この会社はカプセルタイプと粉末タイプの2種類の豊胸サプリを販売するにあたって、少なくとも15人のインスタグラマーにサンプルを無償提供する代わりに、商品写真とともに「#バストアップ」や「#胸大きく」などをインスタグラムに表示するよう指示していたのです。
「あの店のラーメンは旨い」「あそこの八百屋の野菜は新鮮だ」「あの先生はヤブ医者だ」良いことも悪いこともかつては人から人への“クチコミ”で広がっていたものが、現代ではインターネットがそれに取って代わりました。レストランを予約するときにグルメサイトの点数を、買い物するときに通販サイトの購入者レビューを見て決める人も多いでしょう。それだけに売る方はそこに良い“クチコミ”が集まることを期待します。
今回の会社も自社の商品をネット上で多くの人の目に付くようにし、効果抜群と思わせることで購入させようとしていました。そしてその結果の販売量は課徴金が1億超ということからも十分なものだったことがわかります。会社は商品が売れたことで「しめしめ、うまくいったわい」とご満悦でしょうが、大きなバストを夢見た購入者は堪ったものではありません。消費者庁が「そのサプリは効果がない」と決めつけた今回のニュースを知った、インスタグラムを見て同社の商品を購入した女性たちはさぞかし落胆、そして憤慨していることでしょう。なぜなら彼女たちが胸が大きくなったと信じたインスタの書き手はグラマーはグラマーでもただのインスタ“グラマー”だったのですから。
●イランで21歳の男性とその婚約者の22歳の女性が街中でダンスしている動画をソーシャルメディアにあげたことで禁錮10年半の有罪判決を受けたというニュースがありました。
この2人は首都テヘランのアザディタワーの前で踊っている映像をインスタグラムに投稿していました。TikTokやInstagramなどSNS上は老若男女のダンス映像であふれています。プロ並みのキレキレダンスもあれば、踊っているのかもがいているのかわからないものまでいろいろですが、共通しているのは誰もがみんな楽し気で、見ているこちらも愉快になります。
今回のカップルもきっと楽しく踊ったのでしょうが、その結果が禁錮10年半とは。2人の罪状は「腐敗と売春の促進、国家の安全に反する共謀、反体制的プロパガンダ」ということですが、街中で踊ることのどこが「腐敗」「反体制的」なのでしょう。厳しい戒律で知られるイスラム教徒の国だとしても、われわれ日本人には到底理解できない決まりです。
まだ言葉を話せない幼児でも楽しい音楽が流れてくると自然と身体が動くようにダンスは人間の本能といってもいいでしょう。それを否定されたカップルが不憫でなりません。このような厳しい国に比べて日本のなんと自由なことか。
しかし自由だからといってなんでも許されるわけではありません。回転すし店の業務を妨害する映像をSNSに投稿する若者が相次いでいます。彼らはレーン上を流れる寿司に「わさびを乗せる」「指でツバをつける」、さらには醤油ボトルや湯呑みを舌でなめ回すなどのとんでもない行為をしていました。動画がアップされるとすぐに批判の声が上がりましたが当然です。回転すしは子供の好きな外食レストランで常に上位です。家族そろって出掛けるその場所の「安全・安心」を崩壊させた罪は軽いものではありません。店舗側は警察に被害届を提出し刑事と民事の両方で犯人を追及していくようですが、大いにやってもらいたいものです。
刑事では警察が犯人を捕まえ未成年であってもきっちり罪を償わせる。民事ではしっかり損害賠償を請求することが同様の事件の抑止力になります。決して謝ったからといって許すことのないように。どれだけ厳しくやったとことでやり過ぎにはなりません。なぜなら、こんな「腐敗」した「反社会的」な行為はイランなら間違いなく『死刑』でしょうから。 -
「百田塾」オープンのお知らせ
2023-02-03 12:009平素、「百田尚樹チャンネル」をご利用くださり誠にありがとうございます。本日、「百田塾」開設いたしました。
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