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記事 4件
  • 2023年8月27日号:ニュースに一言

    2023-08-27 07:00  
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    ●今年の甲子園は神奈川県代表・慶応義塾高校の107年ぶり2回目の優勝で幕を閉じました。選手の頑張りは当然だとして、大会前の下馬評では優勝候補の二番手三番手だった慶応の躍進を後押ししたのは毎試合アルプススタンドいっぱいに陣取った応援団にほかなりません。
    今大会は4年ぶりに応援に関する規制が全廃されたため賑やかな応援風景が戻ってきましたが、慶応のそれは義塾高校だけでなく系列校や幼稚舎から大学まで「慶応」と名の付くすべての関係者が全国にちらばったOBを含めて終結するのですからまさに大応援団そのものです。そんな慶応高校が勝ち進むにつれマスコミは「『慶応ブランド』は注目を集められる」とばかりに飛びつき“慶応上げ”のオンパレードとなりました。
    長髪の選手が出場するのは今大会が初めてではないにもかかわらず、やたらと「慶応は長髪、さらさらヘアでさわやか」だと強調します。さらに「慶応は野球だけでなく文武両道」だとも。たしかに慶応高校は全国屈指の高偏差値校ですが、一般入試とは別に「推薦枠」があり運動や芸術で顕著な実績があれば英国数の試験なしで入学できます。実際、野球部にも全国からその制度を利用してやってきた生徒がいますが、他の強豪校のように「全国から優秀な選手を集めている」との批判は受けません。
    慶應が持ち上げられれば上げられるほど下ろそうとする者が現れるのは世の常ですが「慶応の応援がうるさすぎて試合に集中できない」「アルプススタンドでの吹奏楽を規制しろ」には呆れます。高校野球の選手は観客のために試合をしているのではありません。選手は学生生活の一部として自分のために、学校のために、そして応援してくれる人たちのために頑張っているのです。そして吹奏楽部はその「応援する人」の中核として、自分のため、学校のため、そして選手のために頑張っています。そんな生徒たちの頑張りを否定するのなら、それこそ「嫌なら見なきゃいい」のです。いずれにせよマスコミが試合結果を伝えるのならまだしも、個別に選手やチームに焦点を当てるのはいかがなものでしょう。
    「高校野球はこうあるべき」なんて言うつもりはありませんが、日本学生野球憲章第二条四項に「学生野球は、学生野球、野球部または部員を政治的あるいは商業的に利用しない」とあるにもかかわらず、スポンサー獲得のために視聴率に一喜一憂する商業主義丸出しの民放が嬉々として放送するのは明らかな憲章違反です。もっともいくら言ったところで、主催が高野連と朝日新聞ですから自分の都合のいいように拡大解釈し聞く耳を持たないのでしょうが。
     
     
    ●盆を過ぎ、道端にセミの死骸を見ることが多くなりました。地中で7年間を過ごし、ようやく地上に出てきたと思ったらたったの1週間で死んでしまうセミをかわいそうと言う人がいますが、「地中が苦しくて地上は素晴らしい」なんて人間が勝手に決めていることで、その同情はセミからしたら「大きなお世話」かもしれません。
    そんな「大きなお世話」みたいな事件がありました。千葉県九十九里町にある「いわし資料館」が動物保護活動を行うNPO法人からクレームをつけられたというニュースがありました。この施設には地元の名物・イワシに関する様々な展示があり、中でも目玉となっているのがおよそ3000匹のイワシが泳ぐ縦1.6メートル、横4.5メートル、奥行き1.9メートルの楕円形の水槽です。保護団体はそれに対し「イワシが密だ」と廃止を求めるのですからわけがわかりません。
    さかな偏に“弱”と書くイワシは外敵から身を守るため群れで泳ぐ習性があります。この資料館の展示はその様子を再現しており、キラキラと鱗を輝かせながら泳ぐ大群は見るものを圧倒します。そんな自然界において当たり前に起こりうる状態を、魚が「窮屈でかなわん」と言ったわけでもないのに、その見た目だけで「魚がかわいそう」と勝手に決め付け廃止を迫るなんて動物愛護を盾にしたただの言いがかりとしか思えません。
    自分の考えこそが正解で周囲にもそれを強要することほど迷惑なものはなく、「いわし資料館」もとんでもない連中に目をつけられてしまったものです。資料館によりますとイワシは年間で500匹程度が死んでいるそうですが、これは3~4年程度とされているイワシの平均寿命を考えると決して多い数字ではありません。クレームを受け、町は実際の水槽での展示をやめて映像に切り替えることも視野に入れているそうですが、そんなことをすれば“虐待”を認めることになります。いわれのないクレームは科学的根拠を示した上で、毅然として跳ね付ければいいのです。
    そして保護団体もそんなに過密が許せないと言うのならイワシの心配をする前に、先ず泳ぐことはおろか身動きひとつできない正真正銘「密」の中央線や東西線で通うサラリーマンを毎日の殺人ラッシュから救い出すべきでしょう。
     
     
    ●埼玉県で高速道路を走るトラックにペットボトルを投げつけてフロントガラスを破損させた35歳の男が高速自動車国道法違反(自動車破壊など)の疑いで逮捕されたというニュースがありました。
    この男は8月15日午前5時頃、関越道にかかる橋の上から高速道路を走るトラックに向けてペットボトルを投げつけていたのです。この現場では、7月にも同じ時間帯に橋から物が投げ入れられていたため警察官が警戒しており、そこにのこのことペットボトルを持った容疑者が現れたのですからまさに「飛んで火に入る夏の虫」です。
    この男が本気で走行中の車を壊してやろうと考えていたことは、ペットボトルの中に重量を増して破壊力を大きくするためか液体のほかにおしぼりのような布も入れていたことからもわかります。高速道路を走行中の車は小石が飛んできただけでもフロントガラスが割れてしまうほどの衝撃を受けます。それを小石よりはるかに大きく重たいペットボトルを投げつけるのですから男のしたことは「殺人行為」と言ってもいいでしょう。それをただの「破壊」でしか罪を問えないなんてとても被害者は納得できません。そもそも車の修理費用はちゃんと回収できるのでしょうか。こんな事件を起こすようなバカ者ですから、うやむやのまま支払わないなんてことにもなりかねません。もし支払わないような事かあるなら刑務所内で刑務作業を行った受刑者に対して支給される「作業報奨金」を充てればいいのです。もちろん完済するまではずっと“塀の中”です。
    ちなみにこの「作業報奨金」は1ヶ月で5000円ほどですから、修理費用が20万円だとしたら40ヶ月。そして車の修理は今話題の“あの会社”にお願いしましょう。そうすれば20万円の修理費用が30万にも40万にもなるのですからさらに出所を遅くすることができます。
    取り調べに対し男は「スリルを味わいたかった」と話していますが、この言葉は味わいたくもないスリルを強制された運転者たちの感情を逆なでするのに十分なものです。法定刑を無視して「ずっと刑務所にいれておけ」なんて滅茶苦茶なようですが、これくらいしなければ男の求めたスリルよりはるかに怖い目に合わされた被害者たちは収まらないでしょう。
     
     
    ●百田尚樹チャンネル会員のみなさんの中にも愛犬家の方は多いと思いますが、散歩で他の犬とすれ違う時、愛犬が相手の犬のお尻の匂いを嗅ぎに行くことはありませんか。これは犬同士のあいさつで相手のことをよく知るために行うものです。匂いを嗅ぐことで過去に会ったことがあるのか、自分と仲良く出来る犬なのかを判断しています。もちろんお尻以外の部分でも相手の匂いを感じることは出来ますが、口や耳などよりもお尻の方がより本能的な匂いをダイレクトに感じることが出来るそうで、あえてお尻を嗅いているのです。
    犬ならご愛敬で済む話ですが、人間だとそうはいきません。女性のお尻に顔をうずめて匂いをかごうとしたとした神戸市に住む69歳の自動車販売業の男が、県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたというニュースがありました。
    この男は神戸一の繁華街、三宮の商業施設内で上りエスカレーターに乗っていた23歳の女性の後ろにかがみ女性の尻に顔を近づけていたのです。お尻に何かが当たったと感じた女性がエスカレーターを降りてすぐに男にスマートフォンを向けると、男は急いでその場を立ち去ったそうです。相手を特定するためにとっさにスマホを向けるとはなかなか冷静かつ勇気のある女性です。それに対し男は「えらいこっちゃ、写真を撮られてしもた。ここは先手を打っておこう」とばかりに翌日に警察に「傘が女性のかばんに当たって不審がられた」と相談に来るのですからとんでもない小心者です。
    しかし、警察も男の言い分を鵜呑みにするほどバカではありません。すぐに防犯カメラを確認すると、そこには女性の後ろに立ち、おもむろにお尻に顔を近づける様子が映っていたのですからもう言い逃れはできません。さらに男は昨年7月にも同じ商業施設内で女性2人の尻に顔を近づけたとして、昨年9月に逮捕されていたとなると完全な常習犯で問答無用に逮捕となりました。
    男は調べに対し「女性のお尻に顔を近づけただけで、鼻で匂いを嗅いでいない」と容疑を否定していますが、街中でうら若き女性のお尻に鼻が当たるほど顔を近づけるだけで立派な犯罪です。それにしても自分のお尻に当たっていたのがオッサンの顔だったと知った女性はさぞかし虫唾が走ったことでしょう。最近では安全のために「エスカレーターは歩かずに立ち止まって乗りましょう」といわれていますが、今後はさらに「立ち止まってもかがまずに乗りましょう」が必要になるのかもしれません。
     
     
    ●世界水泳連盟は10月6日から8日まで開かれる2023W杯シリーズ・ベルリン大会でトランスジェンダーが出場する「オープン部門」を新設すると発表しました。
    水泳では男子チームで活動していた“男性”大学生がホルモン補充療法により“女性”となり、女子チームに移ってから次々に記録を塗り替え遂に全米大学No.1となるなど、元男性の女子選手の活躍が続いていました。そんな“彼女”らの姿は水の中で推進力を得るために重要な手先から肩への筋肉は大きく盛り上がり、どう見ても女性のそれではありません。それもそのはず“彼女”たちが“女性”になったのは全員が青年期を越えてからなのですから。
    人間は子供の頃は男も女も同じような体型をしています。なんなら成長の早い女の子の方が大きかったり力が強かったりします。しかし第二次性徴期を迎えると、女の子の身体が丸みを帯びてくるのに対し男の子は筋肉が発達したくましい体つきになります。それと同時に男女の「力の差」が確定するのです。格闘技はもちろん、陸上競技、水泳、球技などあらゆる競技が男女別で行われるのはスポーツで最も重要な公平性を担保するためです。それを自身で「わたしは女性よ」と言うだけでずかずかと入って来られたら生来の女子選手に勝ち目はありません。
    そこで水連は昨年、女子カテゴリーへのトランスジェンダー選手の参加を制限しましたが、今回の決定はその穴埋めとして考え出されたものです。ベルリン大会では自由形、平泳ぎ、背泳、バタフライなど各泳法の50メートルと100メートルにトランスジェンダーが出場します。トランスジェンダーは男→女だけでなく女→男もいますので、今後のプールでは女性用水着と海水パンツの選手が入り乱れてもいいようなものですが、多分海水パンツの選手は出てこないでしょう。なぜなら元女性の男子選手は元男性の女子選手に絶対に勝てないのがわかっているからです。今回の水連の決定で来年のパリオリンピックにもトランスジェンダーが出場する可能性は大きくなりました。
    それにしても“金”を捨てておきながら“金”メダルを欲しがるなんて、人間はつくづく不思議な生き物です。

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  • 2023年8月18日号:ニュースに一言

    2023-08-18 15:28  
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    ●お盆休みの真っただ中に台風7号が近畿地方を直撃しました。非常に遅い速度で進行する今回の台風に対しは連日警戒が呼びかけられていました。わたしは毎週月曜日に上京していますが、14日の月曜日には関東東海が暴風雨圏に入り交通機関がマヒするかもしれないと考え13日の日曜日に前倒しで東京入りしました。結果的に新幹線は14日は通常通りのダイヤで運行しましたが、それは結果論であって万全の準備での行動は間違っていなかったと思っています。
    そして翌15日の新幹線は早々に終日計画運休が発表されました。計画運休に関しては「そんなに早くからあきらめるなよ」との声もあるようですが、早くから方針を明確にしてもらえるのはありがたいことです。そのおかげでわたしは15日の帰阪をあきらめ東京での仕事を入れることができたのですから。
    もし計画運休でなく、当日いきなりの運休だったら一日中手持ち無沙汰になっていました。なにより迷うことなくホテルを手配できただけでも大助かりです。そしてJRは15日夕方に16日は始発から通常ダイヤで運行すると発表しました。しかし日が変わり運転再開はしたものの静岡地方の大雨の影響で午前8時半には東京大阪間ですべての列車がストップしてしまいました。そのため再開を待ちわびようやく乗車した客の多くは新幹線の車内で缶詰状態となってしまったのです。いつ動くともわからない車内で乗客はさぞかし不安だったことでしょう。この突然の運転見合わせは図らずも「計画運休なんて乗客のことを全然考えていない」という苦情に対する答えとなりました。
    徳島県では台風7号が接近する中、真夏の風物詩「阿波踊り」が市長の中止要請があったのにもかかわらず強行開催されました。今年の阿波踊りは最高20万円の桟敷席など、ほとんどの有料観覧席が前売りで完売していました。中止となればそれらすべてを払い戻ししなければなりませんので、なかなか「はい、やめます」とはいかなかったのでしょうが、それでも安全をないがしろにした感は否めません。
    災害は無いに越したことはありませんが、非常時には普段見えないことがあぶりだされるのは面白いところです。強行された阿波踊りの様子を伝える記事には土砂降りの中、全身びしょ濡れの踊り子と傘を手に豪雨に耐えながら笑顔なくそれらを眺める観客の写真がありました。「踊る阿呆に見る阿呆」とはよく言ったものです。
     
     
    ●教科書出版大手・東京書籍の高校生向け地図教科書「新高等地図」が2025年度をもって廃刊になるというニュースがありました。その理由はなんとこの教科書の中に1200ヶ所もの訂正箇所があったからといいますからお粗末なことこの上ありません。
    教科書が子供たちの手元に届くまでには「教科書検定」という関門があります。これは民間が著作・編集する教科書の中身が教科書として適切か否かを国が判断するもので、この「新高等地図」ももちろん合格しています。それなのにこれほどの訂正とはいったいなにを審査していたのでしょう。もっとも、今回は地理の教科書でしたが「歴史」の教科書には日本人の子供が使う日本の教科書でありながら「いったいどこの国の教科書なんだ」と思う記述がいっぱいですから、それに比べたら1200のミスくらいどうってことはないのかもしれませんが。
    韓国や中国の教科書には日本を貶めるための明らかに捏造された“歴史”があふれています。わたしは何もそれらに対抗してウソを子供たちに教えろと言っているのではありません。「他国を気にして真実を隠すようなことはやめろ」と言っているだけです。特に日本が建国以来一番大きく動いた近現代史を知ることは「1192作ろう鎌倉幕府」と年号を暗記することよりもよほど重要です。(ちなみに拙著「日本国紀」は全13000年のうち最後の100年に下巻すべてを充てています。)
    日本人の子供が使う日本の教科書で日本を嫌いになるなんて絶対にあってはいけないのです。WGIPに洗脳された、あるいは他国の顔色ばかりうかがっているような検定員にはさっさと退場いただき、本当に日本国を愛する人が作る教科書で子供たちを健全に育てたいものです。出版物を刊行するにあたっては二重三重のチェックがなされます。しかし所詮人間のすることですからミス0というわけにはいきません。それにしても1200ヶ所って、どれだけいい加減なチェックだったのでしょう。そしてそれだけの間違いを見つけたほうも見つけたほうです。
    この教科書は全国シェア8%で約3万6千冊が配布されていましたが、全国の高校生が「あっ、ここにもあった」次から次へと間違いを見つけていったのでしょう。いずれにしてもこの教科書の誤りを見つけ出すことは雑誌の「間違いさがし」より簡単だったことは間違いありません。
     
     
    ●名古屋市熱田区に住む74歳の女性のもとに「あなたは老人ホームの入居権の名義貸しをしていて犯罪です。解決のために現金205万円が必要」という電話がかかってきました。身に覚えのない女性はすぐに詐欺だと気づき警察に相談しました。オレオレ詐欺の被害が連日報道される中でよく冷静に判断したものです。
    相談を受けた警察は女性に対し「だまされたふり作戦」を提案しました。これは犯人の言うまま205万円の現金を用意して受け渡し場所に赴き、そこで待ち構えていた警察が犯人を捕まえるというものです。女性は警察に言われるままに偽札の現金を持ち指定された受け渡し場所に向かいました。あとは現金(偽札ですが)を渡す瞬間に一斉に飛び出した警官が犯人を取り押さえるだけとなったとき事態は急展開しました。なんと警察官を名乗る男からかかってきた電話に仲間の警察官だと思った女性が作戦の一部を明かしてしまったのです。「だまされたふり作戦」に気付いた犯人グループは、すぐに現金受け取り役に逃げるように指示をしました。
    作戦がバレてしまい犯人逮捕は無理だと思われたところですが、警察は現場付近で不審な動きをする17歳の少女を発見し問い詰めると現金受け取り役を見張る担当だったことがわかり架空請求詐欺未遂の疑いで逮捕しました。それにしても現金受け取り役だけでなく、さらにその見張り役までいたとは詐欺軍団の用意周到ぶりには恐れ入ります。
    最近の詐欺電話には今回の警察官だけでなく、弁護士や市役所職員などのいかにも信用できそうな人物が登場するそうです。残念なことですが無条件に他人を信じることは出来ない時代になりました。自分を守る唯一の方法は「知らない番号の電話にはでない」これしかありません。
     
     
    ●8月11日は「山の日」でした。日本の象徴ともいえる富士山は世界遺産にも登録され、また5合目まで車で行けることもあり訪日外国人にも人気の観光スポットとなっています。8月12日正午ごろ、富士山7合目で動けなくなった20歳のベトナム人男性が静岡県警山岳遭難救助隊によって救助されたというニュースがありました。この男性は前日の夜7時ごろから友人ら3人で5合目を出発し頂上を目指して登り始めましたが、9合目付近で疲れてしまい登頂をあきらめ引き返すことにしました。しかし、前日からの強行軍がたたってか7合目まで下りてきたところで遂に力尽き座り込んでしまったということです。
    警察によりますと、この男性は山小屋に宿泊せずに山頂を目指す「弾丸登山」だっただけでなく、服装もスニーカーに長袖シャツという軽装だったそうですが、あまりにも3776メートルを軽く見すぎです。そこまでの高さに一気に登れば気圧の関係で具合が悪くなるのは当たり前です。彼は「疲れたから」と言っていますが、動けなくなったのはそれだけでなく高山病も発症していたからだと思います。
    さらに麓は30度でも山頂付近になれば10度以下となる気温も彼の体力を奪っていたのでしょう。動けなくなるべくして動けなくなった男性を救ったのは通りがかったほかの登山者からの110番通報でした。こんな自業自得な遭難者でも通報があれば放っておくわけにいかないのが何ともつらいところです。
    このニュースがあってからも「弾丸登山」が後を絶たないといいます。そんな人たちはその理由を口をそろえて「山小屋が予約でいっぱいだったから」といいますが、それなら予定を変更するか中止すればいいものを「なんとかなるやろ」と強行するのですから困ったものです。彼らは「いざとなれば助けてもらえる」と高をくくっているようですが、そんな自分勝手な登山客のために毎回救助活動を強いられる警察や消防は堪ったものではありません。
    かつて日本は「水と空気と安全はタダ」と言われていました。しかし、家にウォーターサーバーがある家庭も増えましたし、そうでなくても当たり前のようにペットボトルのミネラルウォーターを買って飲みます。また空気清浄機や加湿器で室内の空気環境を調えることも普通になっています。そんな中で相も変わらず安全だけがタダであるのもおかしな話です。ましてやそれが個人の身勝手な行動に起因したものだとしたら。ここまで非常識な登山者が増えたのなら、登頂には専任ガイドの同行を義務付けるなどの具体的措置が必要でしょう。もちろんその費用は登山者負担で。なにしろ今や安全はタダではないのですから。
     
     
    ●カリフォルニア州サンフランシスコで自動運転による「完全無人タクシー」の24時間営業が始まるというニュースがありました。サンフランシスコの一部地域では既に昨年6月から深夜~早朝限定で完全無人タクシーが走っていましたが、今回それが昼夜を問わず24時間走れるようになるということです。
    わたしもよくタクシーを利用しますが、乗った車の運転手が高齢で「渋谷へ」と言っても「ひびや?」、「渋谷です」「ああ、いりや(ね)」、「ちがいます、し-・ぶ-・や」「ギーニーア」なんてアフリカに連れて行かれそうになるのなら運転手のいない自動運転の方がよほどいいとも思います。
    しかしその前提には100%の安全が保証されていることが必要なのは言うまでもありません。記事の乗車体験記によりますと、アプリで配車依頼をした無人タクシーは7分ほどでやって来たそうです。そして、後部座席に乗り込みシートベルトをして「運転開始」のボタンを押すとゆっくりと走り出します。目的地はアプリでタクシーを呼ぶ際に事前に登録してありますので、車内ではもう何もすることはありません。あとは誰もいないのにくるくる回るハンドルを見るだけですが、やはりぶつかりやしないか不安でゆっくり乗っていられなかったそうです。
    車は時速20マイル(約32キロ)ほどで走りほどなくして無事目的地に到着しましたが、20マイルとはずいぶんゆっくりしたスピードです。深夜の車が少ない時間帯ならいいのでしょうが、これから24時間営業となってこのスピードしか出せないならさぞかし周りの車は迷惑なことでしょう。かといって40マイルや50マイルとなると今度は事故が心配です。
    幸いにも営業運転開始から今まで大きな事故は起きていないようですが、事故とはいかないまでも自動運転車がいきなり止まってしまう事例は120件以上あったようです。これはたぶん自動車は動かなければぶつかることはありませんので「不安があれば止まれ」とプログラミングされているのだと思われます。しかし安全第一とはいえ街中で突然止まられては乗客はもちろん周囲を走る車も大迷惑です。このように課題はまだまだあるようですが無人化への流れは止まりません。今回の24時間営業の結果次第では無人運転は一気に全世界に広がっていくことでしょう。さあ、そのときに日本のタクシーは「どうする?」

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  • 2023年8月12日号:ニュースに一言

    2023-08-12 14:09  
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    ●スシローぺろぺろ事件が調停成立により決着しました。これは回転ずしチェーン「スシロー」の店舗で当時17歳の男子高校生がしょうゆ差しをなめたり、回っている寿司に唾液をつける様子を撮影した動画が拡散したことに対し、運営会社「あきんどスシロー」が約6700万円の損害賠償を少年側に求めていたものです。
    一般的な飲食店が決まった客ごとに食べ物を提供するので対し、回転ずしはその場の誰もが手を伸ばせばすぐに取れる場所に寿司が回ります。それは「自分の食べるもの以外はさわらない」という暗黙の了解の上に成り立つ商売形態で、全面的にお客を信用しなければできません。今回の少年の行為はそれを根底から覆すもので、日本が世界に誇る「安全安心の回転ずし文化」を地に落としたといってもいいでしょう。これは決して「若気の至り」で片付けられるものではありません。
    スシローが6700万の訴訟を起こした時には賛否両論がありました。「模倣犯を防ぐためにも遠慮せずしっかり争うべき」「スシローの被害額はこんなもんじゃない、もっと請求すべき」という提訴を肯定するもの。一方で「6700万もの借金を17歳の少年に背負わすのは可哀そう」「十分反省しているだろうから許してあげて」というやり過ぎを指摘するもの。それだけにどういう決着をみるのか注目を集めていました。スシロー側は和解の理由を「具体的な内容の公表は控えるが、責任は(少年側に)認めていただき、当社としても納得できる相応の内容だった」としていますが、提訴したことで世間に対し「犯罪行為は絶対に許さない」という企業姿勢のアピールもできたし、これ以上裁判を長引かせることにメリットはないと判断したようです。
    いったいいくらで和解したのかは定かではありませんが、6700万から大幅に減額されたのは間違いありません。少年はSNS上に身元を晒されたことで高校退学を余儀なくされ、失ったものの大きさを自業自得とはいえ今さらながら身にしみていることでしょうが、問題は巷にあふれるバカッター予備軍です。今回の報道で「なんだかんだ言いながら、やっぱり許してもらえるんだ」とまたマネをする輩が現れかねません。スシローの和解が正解だったのかどうか、その答はこれからです。
     
     
    ●寺を訪れた女性に対しわいせつ行為をはたらいた83歳の僧侶が逮捕されたというニュースがありました。この事件は寺の付近を散歩中の30代女性に「お寺に御朱印とかあるので見に来ませんか」と言葉巧みに声を掛け寺の本堂に連れ込んだ僧侶が女性のお尻を撫でまわしたものです。
    二人きりになった男は「せっかくだから座禅の修行をしませんか」と言って女性に四つん這いのポーズをとらせたそうです。座禅とは姿勢を正して座った状態で精神統一を行なうことなのに、なぜ四つん這いなのかわけがわかりませんが女性は相手が老僧侶だけに信じ切っていたようです。座禅では集中がきれると背後の僧侶が姿勢の崩れた者の肩を警策で打ち警告を与えますが、今回も警告が発せられました。しかしそれは肩ではなく“尻”だったのです。なにしろ四つん這いですからどうしても不安定になります。身体が揺れたその瞬間、あろうことかこのエロ坊主は女性のズボンを一気におろすと手に持った警策で女性の尻をパンティーの上から「パーン」「パーン」「パーン」と3回叩いたのです。
    百歩譲って警策で叩くのは尻とはいえまだ“修行”と言えなくもありません。しかしわざわざズボンを脱がす必要がどこにあるのでしょう。さらに坊主はその尻を撫でまわしたとなるともう完全にアウトです。女性が自宅に帰りこの奇妙な“修行”を夫に話したことで事件が発覚しましたが、袈裟姿の僧侶に女性は最後まで“修行”を疑わなかったようです。
    調べに対し容疑者は「ズボンをおろして3回ぐらい木製の棒で叩いたが、手ではなでていない」と容疑を否認したうえで尻を叩いた行為については「修行だ」と主張しているそうですが、人の道を説く立場でありながら俗にまみれたこの坊主。「お前こそ修行をやり直せ」と多くの人が思っていることでしょう。
     
     
    ●千葉市動物公園にいるレッサーパンダの風太くん、古くは砂漠を疾走するエリマキトカゲ。ふだんは四つんばいの動物が二足で立ち上がると人間はなぜか親近感を抱くものです。40度を超す日が続く中国・杭州動物園で二本足で立つマレーグマが注目を集めているというニュースがありました。
    その姿は少しも前傾することなくまっすぐに背筋を伸ばし見事にすっくと二本足で直立しています。彼が注目されているのはその立ちっぷりだけでなく、お尻の辺りに確認できるシワなどから「クマの着ぐるみに人間が入っているのでは」との疑惑があるからというのはなんとも中国らしいところです。
    動物園は疑惑をすぐに否定しましたが、中国ではかつてチベタン・マスティフという大型犬をアフリカライオンとして展示していたこともありそのまま信用する人は少ないようです。このクマは大型犬ほどの大きさで、後ろ足で立った時の身長は約1.3メートルといいますからちょうど小学生くらいです。このクマが本当のマレーグマなのか、中に小学生が入っているのか、はたまた池乃めだかさんが入っているのかわかりませんが、いずれにせよこの猛暑の中で平気な顔をして着ぐるみをかぶっていられるなんて、それだけでマレーグマよりよほど希少な生物であることは間違いありません。
     
     
    ●「借りたものは返す」こんな当たり前のことがなぜできないのでしょう。
    新型コロナウイルス流行時に自治体が自宅療養者に対し貸し出していたパルスオキシオメーター(血液中の酸素濃度測定器)の多くが返却されないままになっているというニュースがありました。全都道府県に確認したところ45都道府県から回答があり(二県は返却の調査状況の確認すらしていなかった)、それによると確保した約176万5300個のうち、なんと約30万個も未返却だそうです。
    パルスオキシオメーターは1個5000円ほどで約15億円が行方不明になっている計算になります。未返却数が最も多かったのは東京都で、貸し出した43万個のうち7万個も戻ってきていません。また“未返却率”でいえば沖縄県では44%と半分近くが戻されていないという惨状です。
    貸し出しは都道府県以外に市や区なども独自に行っていましたから、実際の被害額はさらに多いことでしょう。係員が電話で返却を促しても「なくしました」「壊れました」「忘れました」なんて呆れた答えの続出だといいます。借りたものを失くしたり壊したりなんてあってはならないことですが、それでもそうなってしまったら“弁償”という方法があります。それもせずして知らんふりを決め込むなんて、日本も随分と情けない国になったものです。さらにひどいのはインターネット上のフリーマーケットに出品されているケースまであったようで、“借りパク”したうえで儲けようとは道徳心のかけらもありません。
    ほとんどの自治体は回収にかかるコストが割に合わないと督促をあきらめているそうですが、貸出先がはっきりしているのにもかかわらず回収できないなんてこれ以上のもどかしさはありません。貸し出しは2020年4月に始まった国の新型コロナ感染症緊急包括支援事業の対象で同支援交付金が充てられており、いわばその費用は税金です。こんな無駄遣いをしていては税金がいくらあっても足りません。現政府がちらつかせる増税に対し国民は怒り心頭ですが未返却者はそれに文句を言う資格はありません。
     
     
    ●2025年大阪万博を盛り上げるために「スペシャルサポーター」として任命した船舶、ポリマ号がインド・ムンバイ沖で座礁して損傷し、当初予定していた世界各地でのPR活動ができなくなったというニュースがありました。
    ポリマ号は日本が誇る人気キャラクター、ポケットモンスターとともに協会公式の盛り上げ役として世界一周する予定でしたが、今後は代わりの船を用意して日本でのPR活動に切り替えるそうです。万博とは万国博覧会=「世界の国からこんにちは」ですが、海外諸国にPRできないとなると集客にも影響がでるでしょう。それを危惧してかなんと前売り入場券を1400万枚も経済界と自治体に割り当てるようです。割り当てといえば一見優先のようですが、実質これは押し売りによる財源確保にほかなりません。
    1970年大阪千里丘陵で「人類の進歩と調和」を掲げて開催された日本万国博覧会は半年で6400万人以上を動員しましたが、容易に未来が予測できる現代において万博に目新しさはありません。協会は2300万人の動員を目論んでいますが、これはかなり高いハードルでしょう。そんな大阪万博では、ペットのイヌが飼い主と一緒に入場できるようになりそうです。これは過去の万博にはなかった試みで、計画によりますと大人1人の入場者につきペットのイヌ1頭の入場を認める方向で調整しているということです。一見これはどこへでも一緒に出掛けたい愛犬家にとって朗報のようですが、果たしてそれが人間とペット双方にとって本当に幸せかは疑問です。
    なぜなら万博には多くの見学者が訪れます。いくら飼い主と一緒だとはいえ、そんな人込みに連れていかれたイヌはさぞかし落ち着かないことでしょう。入場には事前予約やワクチン接種証明書の提出が必要なうえ「噛まない」「吠えない」ことが条件とするようですが、普段はおとなしいイヌもそんな条件下ではとても冷静ではいられません。そもそもどれだけ訓練されたイヌも“本能”を失うことはありません。
    イヌが噛みつく場合は①相手を攻撃するとき、②攻撃されて自身を守るときの2つがあり、これは訓練である程度制御できますが問題は3つ目の状況です。これはとっさの場合“思わず”というもので、いきなり足を踏まれた、いきなり驚かされたなど彼らは“本能”で反射的に動いてしまいます。イヌは『「噛まない」「吠えない」ことが条件』なんて押し付けられても迷惑としか思わないでしょう。万博協会はまさか「イヌも動員数に勘定して入場者数を増やそう」と同伴を認めたわけではないでしょうが、あまりにも浅はかな考えです。大阪万博はここにきてパビリオン建設の遅れなど問題山積みです。このままだとポリマ号だけでなく万博自体が座礁しかねません。

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  • 2023年8月4日号:ニュースに一言

    2023-08-04 18:31  
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    ●スシローぺろぺろ事件が調停成立により決着しました。これは回転ずしチェーン「スシロー」の店舗で当時17歳の男子高校生がしょうゆ差しをなめたり、回っている寿司に唾液をつける様子を撮影した動画が拡散したことに対し、運営会社「あきんどスシロー」が約6700万円の損害賠償を少年側に求めていたものです。
    一般的な飲食店が決まった客ごとに食べ物を提供するので対し、回転ずしはその場の誰もが手を伸ばせばすぐに取れる場所に寿司が回ります。それは「自分の食べるもの以外はさわらない」という暗黙の了解の上に成り立つ商売形態で、全面的にお客を信用しなければできません。今回の少年の行為はそれを根底から覆すもので、日本が世界に誇る「安全安心の回転ずし文化」を地に落としたといってもいいでしょう。これは決して「若気の至り」で片付けられるものではありません。
    スシローが6700万の訴訟を起こした時には賛否両論がありました。「模倣犯を防ぐためにも遠慮せずしっかり争うべき」「スシローの被害額はこんなもんじゃない、もっと請求すべき」という提訴を肯定するもの。一方で「6700万もの借金を17歳の少年に背負わすのは可哀そう」「十分反省しているだろうから許してあげて」というやり過ぎを指摘するもの。それだけにどういう決着をみるのか注目を集めていました。スシロー側は和解の理由を「具体的な内容の公表は控えるが、責任は(少年側に)認めていただき、当社としても納得できる相応の内容だった」としていますが、提訴したことで世間に対し「犯罪行為は絶対に許さない」という企業姿勢のアピールもできたし、これ以上裁判を長引かせることにメリットはないと判断したようです。
    いったいいくらで和解したのかは定かではありませんが、6700万から大幅に減額されたのは間違いありません。少年はSNS上に身元を晒されたことで高校退学を余儀なくされ、失ったものの大きさを自業自得とはいえ今さらながら身にしみていることでしょうが、問題は巷にあふれるバカッター予備軍です。今回の報道で「なんだかんだ言いながら、やっぱり許してもらえるんだ」とまたマネをする輩が現れかねません。スシローの和解が正解だったのかどうか、その答はこれからです。
     
     
    ●寺を訪れた女性に対しわいせつ行為をはたらいた83歳の僧侶が逮捕されたというニュースがありました。この事件は寺の付近を散歩中の30代女性に「お寺に御朱印とかあるので見に来ませんか」と言葉巧みに声を掛け寺の本堂に連れ込んだ僧侶が女性のお尻を撫でまわしたものです。
    二人きりになった男は「せっかくだから座禅の修行をしませんか」と言って女性に四つん這いのポーズをとらせたそうです。座禅とは姿勢を正して座った状態で精神統一を行なうことなのに、なぜ四つん這いなのかわけがわかりませんが女性は相手が老僧侶だけに信じ切っていたようです。座禅では集中がきれると背後の僧侶が姿勢の崩れた者の肩を警策で打ち警告を与えますが、今回も警告が発せられました。しかしそれは肩ではなく“尻”だったのです。なにしろ四つん這いですからどうしても不安定になります。身体が揺れたその瞬間、あろうことかこのエロ坊主は女性のズボンを一気におろすと手に持った警策で女性の尻をパンティーの上から「パーン」「パーン」「パーン」と3回叩いたのです。
    百歩譲って警策で叩くのは尻とはいえまだ“修行”と言えなくもありません。しかしわざわざズボンを脱がす必要がどこにあるのでしょう。さらに坊主はその尻を撫でまわしたとなるともう完全にアウトです。女性が自宅に帰りこの奇妙な“修行”を夫に話したことで事件が発覚しましたが、袈裟姿の僧侶に女性は最後まで“修行”を疑わなかったようです。
    調べに対し容疑者は「ズボンをおろして3回ぐらい木製の棒で叩いたが、手ではなでていない」と容疑を否認したうえで尻を叩いた行為については「修行だ」と主張しているそうですが、人の道を説く立場でありながら俗にまみれたこの坊主。「お前こそ修行をやり直せ」と多くの人が思っていることでしょう。
     
     
    ●千葉市動物公園にいるレッサーパンダの風太くん、古くは砂漠を疾走するエリマキトカゲ。ふだんは四つんばいの動物が二足で立ち上がると人間はなぜか親近感を抱くものです。40度を超す日が続く中国・杭州動物園で二本足で立つマレーグマが注目を集めているというニュースがありました。
    その姿は少しも前傾することなくまっすぐに背筋を伸ばし見事にすっくと二本足で直立しています。彼が注目されているのはその立ちっぷりだけでなく、お尻の辺りに確認できるシワなどから「クマの着ぐるみに人間が入っているのでは」との疑惑があるからというのはなんとも中国らしいところです。
    動物園は疑惑をすぐに否定しましたが、中国ではかつてチベタン・マスティフという大型犬をアフリカライオンとして展示していたこともありそのまま信用する人は少ないようです。このクマは大型犬ほどの大きさで、後ろ足で立った時の身長は約1.3メートルといいますからちょうど小学生くらいです。このクマが本当のマレーグマなのか、中に小学生が入っているのか、はたまた池乃めだかさんが入っているのかわかりませんが、いずれにせよこの猛暑の中で平気な顔をして着ぐるみをかぶっていられるなんて、それだけでマレーグマよりよほど希少な生物であることは間違いありません。
     
     
    ●「借りたものは返す」こんな当たり前のことがなぜできないのでしょう。
    新型コロナウイルス流行時に自治体が自宅療養者に対し貸し出していたパルスオキシオメーター(血液中の酸素濃度測定器)の多くが返却されないままになっているというニュースがありました。全都道府県に確認したところ45都道府県から回答があり(二県は返却の調査状況の確認すらしていなかった)、それによると確保した約176万5300個のうち、なんと約30万個も未返却だそうです。
    パルスオキシオメーターは1個5000円ほどで約15億円が行方不明になっている計算になります。未返却数が最も多かったのは東京都で、貸し出した43万個のうち7万個も戻ってきていません。また“未返却率”でいえば沖縄県では44%と半分近くが戻されていないという惨状です。
    貸し出しは都道府県以外に市や区なども独自に行っていましたから、実際の被害額はさらに多いことでしょう。係員が電話で返却を促しても「なくしました」「壊れました」「忘れました」なんて呆れた答えの続出だといいます。借りたものを失くしたり壊したりなんてあってはならないことですが、それでもそうなってしまったら“弁償”という方法があります。それもせずして知らんふりを決め込むなんて、日本も随分と情けない国になったものです。さらにひどいのはインターネット上のフリーマーケットに出品されているケースまであったようで、“借りパク”したうえで儲けようとは道徳心のかけらもありません。
    ほとんどの自治体は回収にかかるコストが割に合わないと督促をあきらめているそうですが、貸出先がはっきりしているのにもかかわらず回収できないなんてこれ以上のもどかしさはありません。貸し出しは2020年4月に始まった国の新型コロナ感染症緊急包括支援事業の対象で同支援交付金が充てられており、いわばその費用は税金です。こんな無駄遣いをしていては税金がいくらあっても足りません。現政府がちらつかせる増税に対し国民は怒り心頭ですが未返却者はそれに文句を言う資格はありません。
     
     
    ●2025年大阪万博を盛り上げるために「スペシャルサポーター」として任命した船舶、ポリマ号がインド・ムンバイ沖で座礁して損傷し、当初予定していた世界各地でのPR活動ができなくなったというニュースがありました。
    ポリマ号は日本が誇る人気キャラクター、ポケットモンスターとともに協会公式の盛り上げ役として世界一周する予定でしたが、今後は代わりの船を用意して日本でのPR活動に切り替えるそうです。万博とは万国博覧会=「世界の国からこんにちは」ですが、海外諸国にPRできないとなると集客にも影響がでるでしょう。それを危惧してかなんと前売り入場券を1400万枚も経済界と自治体に割り当てるようです。割り当てといえば一見優先のようですが、実質これは押し売りによる財源確保にほかなりません。
    1970年大阪千里丘陵で「人類の進歩と調和」を掲げて開催された日本万国博覧会は半年で6400万人以上を動員しましたが、容易に未来が予測できる現代において万博に目新しさはありません。協会は2300万人の動員を目論んでいますが、これはかなり高いハードルでしょう。そんな大阪万博では、ペットのイヌが飼い主と一緒に入場できるようになりそうです。これは過去の万博にはなかった試みで、計画によりますと大人1人の入場者につきペットのイヌ1頭の入場を認める方向で調整しているということです。一見これはどこへでも一緒に出掛けたい愛犬家にとって朗報のようですが、果たしてそれが人間とペット双方にとって本当に幸せかは疑問です。
    なぜなら万博には多くの見学者が訪れます。いくら飼い主と一緒だとはいえ、そんな人込みに連れていかれたイヌはさぞかし落ち着かないことでしょう。入場には事前予約やワクチン接種証明書の提出が必要なうえ「噛まない」「吠えない」ことが条件とするようですが、普段はおとなしいイヌもそんな条件下ではとても冷静ではいられません。そもそもどれだけ訓練されたイヌも“本能”を失うことはありません。
    イヌが噛みつく場合は①相手を攻撃するとき、②攻撃されて自身を守るときの2つがあり、これは訓練である程度制御できますが問題は3つ目の状況です。これはとっさの場合“思わず”というもので、いきなり足を踏まれた、いきなり驚かされたなど彼らは“本能”で反射的に動いてしまいます。イヌは『「噛まない」「吠えない」ことが条件』なんて押し付けられても迷惑としか思わないでしょう。万博協会はまさか「イヌも動員数に勘定して入場者数を増やそう」と同伴を認めたわけではないでしょうが、あまりにも浅はかな考えです。大阪万博はここにきてパビリオン建設の遅れなど問題山積みです。このままだとポリマ号だけでなく万博自体が座礁しかねません。

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