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2024年9月28日号:ニュースに一言
2024-09-28 09:01102pt1●次の衆議院選挙で「日本維新の会」から京都4区で立候補予定だった弁護士の松井春樹氏が出馬を取りやめたうえで離党したというニュースがありました。自民党の総裁選挙の結果次第では早ければ10月にも行われる総選挙まで1か月の今になっての突然の辞退となった理由が、彼の選挙事務所の事務局長が偽名で他陣営の事務所に出入りしていたからと聞いて驚くやら呆れるやら恐ろしいやら。
この事務局長は松井氏の小学校の同級生で、去年12月ごろから半年間、対立候補となる予定の男性の事務所のボランティアスタッフとして街宣活動に参加したり、ポスターの貼り替えや支援者への電話などの作業をしていたということです。事務局長の潜入の目的は明らかにされていませんが、他陣営の内偵調査、いわゆる“スパイ”活動だったのは間違いないでしょう。作業内容に支援者への電話とあることから、支援者名簿も入手していた可能性があります。これは実際に選挙が始まった際に強力な武器となるものです。
選挙期間中は街宣車で他陣営とすれ違うたびに「お疲れ様です、お互いに頑張りましょう」なんて耳当たりの良いことを言いながら、裏ではこんなに汚いことをしていたなんて、それだけで国民の代表になる資格はありません。立候補辞退は賢明な判断でしょう。松井氏は今までに計3回、事務局長の潜入を止めたなど自身の関与を否定していますが、積極的に「行け!」と言っていなくても潜入の事実を知っていながら局長を解任せず黙認していたのですから陣営ぐるみのスパイ活動ともいえます。
さて、気になるのは「日本維新の会」はどこまで今回のスパイ活動を把握していたのか、あるいはまったくの寝耳に水だったのか。その答えが出ることはないでしょうが、「勝つためなら手段を選ばない」選挙とはつくづく恐ろしいものです。
日本保守党にもボランティアでお手伝いしたいという申し出が多数寄せられています。ほとんどの人は善意の希望者だと信じますが、たった1人でも悪意をもった者が紛れ込むと元も子もなくなります。間近にせまった選挙に心して臨まなければならないと、気を引き締めさせられるニュースでした。
●宮城県登米市で女性用の下着を盗んだ24歳の小学校教諭の男が逮捕されたというニュースがありました。窃盗の疑いで逮捕されたこの男は、市内に住む20代女性の家の玄関先に配達されていた下着2枚をこっそり持ち帰っていました。
かつての宅配便や小包は配達員が受取人からハンコやサインをもらう対面受け渡しが主流でしたが、最近では受領印を省略して宅配ボックスに入れておく、あるいは荷物の入った段ボールを玄関の外に置いて配達を完了する、いわゆる“置き配”も増えています。それにより荷受人は荷物の到着時刻を気にすることなく外出でき、また配達人は一時期4割を超すともいわれた再配達率を大幅に減少できるようになるなど、双方にとって大きなメリットとなっています。
しかし、置き配は良いことばかりではありません。門扉から玄関まで距離があったり、置いておく場所が道路から見えないなど配達物の存在が分かりにくければある程度の安全は担保されるのでしょうが、指定場所がマンションの通路に面した玄関前などでしたら泥棒へ「ご自由にお持ちください」と言っているのと同じで、誰かに持ち去られる確率は格段に上がります。
今回の被害女性も外出から戻った際に指定の場所に荷物がないことから盗みを疑い警察に連絡したようです。それにしても犯人の男は置き配荷物が「下着」だとわかって手を出したのでしょうか。金目のものだと思って持ち帰り、梱包を開くと中には女性用の下着、これは“あたり”だったのか“はずれ”だったのか。警察の調べに対し男は「盗んだ理由は話したくない」と言っています。ということはおそらく彼は箱の中身を知っていたのでしょう。なぜなら理由は「かぶりたかったから」なんて、とても恥ずかしくて正直に言えませんから。
●福岡県田川市の国道でパトカーに乗って警ら中の警察官が3台の原付バイクとすれ違った際、そのうちの1台が無灯火だったため停止を求めたのにもかかわらず、3台はスピードを上げて逃走しました。そこでパトカーが追跡を始めたところ、およそ500m先で右折しようとした原付バイク1台が転倒し、運転していた17歳の女子高校生が両肘と額を擦りむく軽傷を負ったというニュースがありました。取り調べに対し高校生は「声を掛けられるのが嫌だった」と話しているということです。
また、愛知県春日井市では一時停止せずに交差点に進入する原付バイクを見つけたパトカーが停止するよう呼びかけましたがバイクはそのまま逃走し、直後にバランスを崩して転倒しました。バイクを運転していたのは市内に住む16歳の男子高校生で、こちらも軽傷で済んでいます。高校生は警察に対して「ヘルメットを被っていなかったから逃げた」などと説明していますが、ノーヘルで逃走なんて今回は運がよかっただけで一歩間違えたら“あの世行き”です。交通違反で捕まっても命をとられることはありません。もうすこし自分を大切にしてもらいたいものです。
それにしてもパトカーから逃げようとする輩のなんと多いことか。アメリカのポリスならパトカーで体当たり、あるいは発砲してでも逃走車を停止させようとしますが、日本の警察は逃走車と一定の距離を保ち安全第一での追跡です。さらに「これ以上の追跡は危険だ」と判断すると途中で捕まえることをあきらめてしまうのですから犯罪者にとって優しいことこの上ありません。逃げる方もそれが分かっているから、いつまでも逃げ続けるのでしょう。
しかし警察にそうさせているのはマスメディアをはじめとした一部人権派の“偽善者”たちです。逃走中に事故が起きると「パトカーが執拗に追いかけたからだ」とまるで正当な職務遂行をしていた警察が悪いような言いがかりをつけます。そのため警察はいつも「追跡行為に問題はなかった」なんて言い訳をしなければならないのは困ったことです。現代ではいたるところに監視カメラがあり、パトカーの車載カメラの性能も格段によくなっています。そのときは逃げることができても後日必ず捕まることを警察はもっとアピールするべきです。そして法律的には逃げた瞬間に「生涯免許取り消し」や「罰金100万円」などの厳罰化が必要です。逃げ得は絶対に許されません。
●フィンランドのアフタリ動物園にいる2頭のパンダが中国に帰ることになったというニュースがありました。
このジン・バオバオとフア・バオの2頭は2018年に中国からフィンランドにやってきました。やってきたといっても永住ではありません。世界中にいるすべてのパンダは「中国のもの」で、レンタルという形で各国に送り出されているのです。この2頭も15年間の期限付きでレンタルされたものですが、なんと予定より8年以上も早く返還となりました。
その理由はやっぱりお金です。ジャイアントパンダの飼育はほかの動物に比べて莫大な費用が掛かります。フィンランドのパンダも獣舎の費用が850万ユーロ(約13億7000万円)、食費を含めた年間の維持費は150万ユーロ(約2億4000万円)もかかっているそうです。にもかかわらず新型コロナウイルスのパンデミックによる来園者数の減少や、ロシアによるウクライナ侵攻後の金利上昇とインフレが、動物園の財務に打撃を与えたため費用の捻出が不可能となったのです。
金の切れ目がパンダの切れ目となったわけですが、フィンランドは良い選択をしたと思います。交通の発達ですぐどこにでも行け、またインターネットで行かずとも情報を仕入れられる21世紀の現代において、高い金を払ってまでパンダを飼う必要はありません。
日本でも1972年9月の日中国交正常化を記念して中国からカンカンとランランが上野恩賜動物園にやってきてから50年以上が経ちました。それ以来1頭につき1億円以上といわれるレンタル料を毎年支払い続けていますが、もうそろそろ止めてもいいのではと思います。せっかく繁殖に成功しても生まれた子供の所有権は中国ですからいつまでたっても日本のものにならないだけでなく、貸与中に死亡しようものなら賠償金まで請求されかねません。こんな不平等な契約条件をのんでまでパンダが必要とは到底思えません。そもそも日中友好のシンボル的存在だったパンダですが、今の中国はとても日本を友好国としていません。パンダは遠目に見るとたれ目で愛らしく見えますが、実際の眼光は鋭くクマそのものです。触らぬ神に祟りなし、付き合う相手は慎重に選びたいものです。
●埼玉県警捜査2課と草加署が新型コロナウイルスに関する特例措置を利用して国の雇用調整助成金を不正受給していた、東京都豊島区に住む35歳の会社役員の男を詐欺の疑いで逮捕したというニュースがありました。この男は個人事業主として開業した危機管理コンサルタント業の事業所において、雇用実績がない従業員7人に休業手当を支払ったように装い、2020年10月8~13日の間に5回にわたって自身の預金口座に現金計1288万円を入金させていました。
この男の犯罪はこれだけではありません。さらに同様の手口で何回も申請し合計7千万円以上もの雇用調整助成金を不正受給していたほか休業支援給付金も不正受給しており、まさに新型コロナウイルスで「濡れ手に粟」のボロ儲けをしていたのです。
新型コロナでは個人や法人に向け、様々な補助金・助成金・給付金が配られました。緊急事態宣言下では休業を余儀なくされた飲食店には1日当たり6万円の協力金が支給されましたが、日売り収入がなくなり家賃が払えず倒産の危機にある店ならまだしも、年寄り夫婦が自宅で営む1日の売り上げが2万円にも満たない店にまで同額が支給されたものですから“コロナバブル”なんて言葉まで作られてしまいました。なにしろ緊急事態ですからひとつひとつを精査できなかったこともあり「無駄金」も随分あったことでしょう。いまさら返せとも言えないし、正規の手続きを経ての支給は認めざるを得ませんが、絶対に許していけないのは虚偽の申請をして税金が原資のお金をだまし取った詐欺犯罪者です。
日本中にまだ捕まっていない不正受給者はたくさんいると思いますが、警察や税務署には粘り強く捜査、調査をしていただき一人でも多く悪党を摘発してもらいたいものです。今回の会社役員の男も「どうせバレやしないだろう」と高をくくっていたのでしょうが、天網恢恢疎にして漏らさず、まさに「ざまあみろ」です。4年後の自身の状況を予測もできないで、危機管理コンサルタントが聞いて呆れます。 -
2024年9月20日号:ニュースに一言
2024-09-20 23:02102pt●来年4月に始まる大阪・関西万博で、海外パビリオンの建設遅れや工事中に爆発事故を引き起こしたメタンガス対策により最大で98億円の費用が追加になるというニュースがありました。
この万博では既に建設費が当初予算の1・9倍にあたる2350億円に、運営費が1・4倍の1160億円に大幅アップすることが報告されていますので、ここにきての98億円なんて「ああ、またか」と大して驚きもしませんが、次から次へと出てくる見込み違いには呆れるばかりです。
そして上振ればかりで膨れ上がった費用をまかなう肝心の入場料収入は逆に下振れ必至といいますから困ったものです。協会は期間中に2820万人の来場者を見込んでいますが、現在売れている前売り入場券は目標の35%に過ぎない500万枚にとどまっています。しかもそのほとんどが企業によるまとめ買い(購入を積極的に希望したわけではなく、実質的には押し付けられた会社の分も含めて)といいますから、一般市民の関心はすこぶる低いようです。
“まとめ買い”を余儀なくされた企業はその前売り券を福利厚生の一環として社員に配布するようで、わたしの知人の会社でも希望者募集が始まりましたが、関西圏ならまだしも、そのほかの地域ではなかなか手を上げる人もおらず「おい、この大量の前売り券どうしよう」と担当者が頭を抱えているそうです。
ところで企業はなぜそんな無理をしてまで万博に協力するのでしょうか。万博開催により自社の製品をPRでき、それによる売り上げ増を期待してという会社もあるでしょうが、ほとんどの企業は実質的な主催者である国や強力に推進している“維新”に「恩を売る」ことを目的としているのでしょう。営利の追求を目的とする企業や業界団体が、以降に商売上の便宜を図ってもらうことを期待せずに見学者のあてのない50000や100000枚もの前売り券を買うわけがありません。これは出席する気もないのに言われるままに購入する“政治資金パーティー券”とまったく同じ構図です。そう思うと本来輝き帯びて開催される万国博覧会がくすんで見え、ますます興味が失せてしまいます。
出展を取り止めた国の建設予定だった場所は“休憩所”として活用するとしていますが、この調子ではわざわざ休憩所を作るまでもなくどこでもゆっくり過ごせる、なんとものどかな万博になりそうです。
●9月から兵庫県神戸市で全国初となる高校生の通学定期代無料化制度が始まりました。これは隣の大阪府で高校の授業料無償化がスタートしたことにより、神戸市内の高校を志願する受験生が減少したことに対応するためで、授業料はかかるが交通費は不要なので“ぜひ、神戸の学校へ”というものです。
子供を高校に通わす親にとっては経済的負担が減る朗報のようですが、対象者が極めて限られるこの制度にいったいどれほどの効果があるのやら。なにしろ無償化の対象は市に住民登録し、市内の高校や高等専門学校などに通う満16歳~18歳。すなわち市内在住であっても大阪や京都はもちろん、近隣の芦屋市や快速で2駅の西宮市の学校への通学では対象外。また、神戸市内の学校に通学して来るのであっても芦屋や西宮からならダメというのですから。そもそも無料にするといっても市内から市内の学校に通うのにはさほど交通費もかからないでしょう。なんならほとんどが自転車でOKかもしれません。
この程度のことで神戸市の言う「若年・子育て世帯に選ばれるまち」になれるとはとても思えません。それどころか同じ教室にいる神戸市在住の生徒と明石市から、西宮市から、尼崎市からの生徒との分断を誘いかねないこんな愚策をよく誰も反対しなかったものです。地域のみんなが同じ小学校、中学校に通う義務教育と違い高校は個々の能力や希望により進学先が決まります。そして中には勉強する気なんてさらさらないのに「とりあえず高校だけは」と進学する者もいます。
自治体は人口を確保するために「住みやすい街」を謳い、なにかにつけて“無償化”をアピールします。大阪府の高校授業料無償化もそうですが、無償化といってもその費用を受益者から自治体が肩代わりしているだけで、その費用は高校なり交通機関に支払われています。そして、その原資はその地域の住人が納めている税金です。まじめに勉強せず遊んでばかりの高校生の3年間に自分の納めた税金が使われる、そんな自治体に私なら住みたくありません。
●鹿児島地方裁判所で現住建造物等放火の罪に問われた74歳で無職の女の裁判員裁判が始まったというニュースがありました。この女は昨年8月、鹿児島市にある自身とほかに5人が居住するアパートの自室で、衣類や丸めたチラシ、空き箱などにライターで火を付け、天井や壁に燃え移らせて83・9平方メートルを焼損させていました。
検察官の調べに対し女は「生活費などに困窮し、刑務所に入れば困らないと考えた」と答えていますが、そんな理由で巻き添えを食い住むところを失ったほかの5人の住人は怒り心頭のことでしょう。「生活が苦しいから刑務所に入りたい」・・・年末など物入りの時期になると決まってこんな犯罪者が現れるのは困ったことです。本来なら「入れられるくらいなら死んだほうがマシや」とされなければならない刑務所が安全を保障するシェルターのごとく思われているのはどう考えてもいただけません。
しかし、現代の刑務所は昭和の映画で描かれていた極寒の中、粗末な食事だけで人間扱いされない劣悪な環境と違い、冷暖房完備の3食付き、場合によっては個室(独房)まで与えられ、労働は土日休みの完全週休2日で残業なし。さらに、最近では“人権”に配慮して「さん付け」で呼ばれるなど、ますます居心地の良い場所になっています。こんな体たらくだから今回のばあさんのように「刑務所に入りたーい」と考える輩が出てくるのです。当然のことですが、犯罪には被害者がいます。本人は刑務所に入りたいだけかもしれませんが、そんな理由で今回の5人のアパート住人のように害を被ったのでは堪ったものではありません。
ところで公判で弁護側は「死傷者が出ていないことや、警察に自首している」ことを考慮するよう求めましたが、これって“刑務所に入りたい”依頼者の利益に反するのでは。ここは減刑でなく「ぜひ、無期懲役でお願いします」と言うべきでしょう。
●滋賀県彦根市で、女性を脅迫して監禁した上でわいせつ行為をした28歳の会社員の男が監禁や強盗、不同意わいせつなどの疑いで逮捕されました。この男は午後9時半頃、同僚の20代女性に対し包丁を見せながら「殺されたくなかったら、車に乗れ」などと脅し車内に監禁したのです。昼間は会社で顔を合わせていた男にいきなり包丁を突き付けられ、さぞかし女性は驚くとともに怖かったことでしょう。さらに、そのあとに繰り広げられるおぞましい行為にも。
調べに対し男は「女性とトラブルがあってわいせつなことをしてやろうと思った」と説明し容疑を認めていますが、どんなトラブルがあったにせよ、普通の感覚ならその腹いせに“痛い目に合わせてやろう”はあっても“わいせつなことをしてやろう”とはなりません。仕返しというより完全に自身の趣味に走っています。そう“趣味”、いや性癖と言った方がいいかもしれません。
さて、彼の行ったわいせつ行為とは……。なんと男は抵抗できない状態の女性からはいていた靴下1足を奪ったうえで、自らの鼻をなめさせるなどしたのです。女性にしてみれば、強姦など直接的なわいせつ行為が最悪なのは当然だとして、そうでなくても好きでもない男の鼻をなめさせられるのも、それに匹敵するぐらい虫唾が走ったことでしょう。
その後、女性は車を降りて逃げ出し警察に届けましたが、行きずりの犯行ではなく容疑者の身元がはっきりしているのですから逮捕まで時間はかかりませんでした。そして男は自らしでかしたことの代償として、これからの人生を“犯罪者”だけでなく“変態”というレッテルも貼られて生きていくことになります。
●日本私立学校振興・共済事業団が今春の入学状況について全国の私立大学598校を調査したところ、なんと59・2%にもあたる354校が定員割れしていたという驚くべきニュースがありました。
これは前年の53・3%から5・9ポイント(34校)悪化したものでデータの確認できる1989年度以降、過去最悪だそうです。その理由は言うまでもなく少子化ですが、それだけではありません。なんと18歳人口が前年から3万3965人も減少したのもかかわらず、短大から4年制への転換や学部・学科の新設などで入学定員を逆に1239人増やしたというのですから呆れます。
希望者すべてが“大学生”になれる現在の日本ですが、益々それに拍車をかけるなんて意味がわかりません。大学の定員は学校が勝手に決められるものではありません。文部科学省がその数が適正かどうか審査してはじめて認可されるのです。すなわち今年の定員増も国がOKを出したものなのです。受験生が減っているのに定員を増やしたのでは、そりゃ定員割れにもなるでしょう。普通の感覚なら「これからは志願者が減るから学生の水準を維持するためにも定員を減らそう」と考えるのが当たり前なのに、「よりアホでも入りやすいようにする」なんてもってのほかです。
訳知り顔の人権大好き派は「学びたい人が学べないのはまかりならん」と宣いますが、現実には高校を卒業しておきながら「アルファベットが書けない、分数の計算ができない」など、どうみても“学びたい”とは思えない大学生が大勢います。彼らは勉強したいのではなく“大学生”という肩書きが欲しいだけなのです。最高学府は高度な学問を究めるところで、その素養のない者は無理して行く必要はありません。
いま、国がすべきことは「だれでも平等に大学へ」ではなく「大学に進学しなくても、頑張れば「豊かに幸せな暮らし」が送れる社会の仕組み作りです。中央教育審議会の特別部会は8月に「急速な少子化で大学の統合や縮小などを進め、規模の適正化を図るべきだ」とする中間まとめを公表しましたが、何年も前から少子高齢化が進んでいるのに今ごろ何を言っているのやら。 -
2024年9月13日号:ニュースに一言
2024-09-13 14:01102pt1●札幌市北区の交差点で、24歳の介護士の女性が運転するデイサービスに向かう途中のワゴン車と中国国籍の34歳の女が運転する乗用車が出合い頭に衝突し、ワゴン車に乗っていた91歳の女性1人が死亡、他に2人の女性がけがをする交通事故が発生しました。乗用車側に一時停止の標識があったため、警察が通訳を介して“初心者マーク”を付けたクルマを運転していた中国人女性を取り調べると「(中国語で)間違いありません。私の不注意で相手の方に大きなけがをさせてしまい、申し訳ないと思っています。反省しています」などと話し容疑を認めたそうです。
この中国人女性は“初心者マーク”を付けていたなど、日本の交通ルールをあるていど理解していたようですが、気になるのは取り調べに“通訳”が必要、すなわち日本語が分かっていないところです。
警視庁によりますと現在、運転免許の学科試験は英語、ドイツ語、中国語など20か国に及ぶ外国語で対応しており、中にはクメール語、シンハラ語など「それ、どこにある国やねん?」と思うようなものまであるそうです。今回の女性もおそらく中国語で試験を受けたのでしょうが、日本語が話せない、読めない、そんな彼女が果たして一時停止の標識『止まれ』を瞬時に確認できるのでしょうか。
今回の事故は起きるべくして起きた事故なのかもしれません。なんのために運転免許制度があるのか。それは交通における秩序を維持し安全を守るためです。外国人も日本で運転するには免許が必要で試験を受けさせなければなりません。だからといって日本語が分からない外国人に便宜を図るあまり安全が脅かされたのでは本末転倒です。
もっとも「雨の日は気を付けて運転しなければならない」という問いに、雨の日は視界が悪いから注意が必要だと思い“〇”を選択するとこれが不正解。その理由は「雨の日だけでなく晴れの日の運転も注意が必要だから」だなんて日本人でも戸惑う問題を外国人に解けというのは到底無理なことでしょうが。
●わたしの住む兵庫県の斎藤元彦知事が“パワハラ”や“おねだり”などの疑惑を告発された問題により、ついに86人いる兵庫県議会の全議員から辞任要求される事態となりました。さらに知事選のときに推薦を受けた自民党、維新の会からも辞職勧告を受け、もはや味方は誰もいない状況にもかかわらず、当の本人は「(県民から)批判の声を直接聞くことはあまりない」「7月以降、(県民から)頑張ってという声をいただくことが多い」とまったく意に介していないのですから、どれだけ面の皮が厚いのやら。
パワハラも最初は「ふせんを投げつけられた」「暴言を浴びせられた」など、業務上のヒートアップが原因とも思われるものが主だったのが、日がたつにつれ「エレベーターに乗れなくて怒った」「公用車を降りてから入口まで歩かされた」など人間性自体に問題があるものになり、挙句の果てには「おにぎりの具は昆布か梅かおかかで、これがないと激怒する」なんてちっぽけなものまで暴露される始末です。また、おねだりもカニ、革ジャンにはじまり玉ねぎやおもちゃのレゴブロックまで出るわ出るわ、尽きることがありません。
連日報道される内容に「もう、やめてくれー」とならないのが不思議です。自分のやったことは自分が一番よくわかっているのですから、ここまで世にさらされる前にさっさと幕引きを図ればまだ、再起の余地もあったでしょうにここまで来たら政界はもちろん、ほかの社会でも彼の居場所は皆無でしょう。前任の井戸知事といい、この斎藤知事といいこんな知事を選んだことを兵庫県民として恥ずかしく感じます。川勝県政を選び続けた静岡県民を「アホばっかし」と言っていたわたしはいま穴があったら入りたい心境です。
●「富士は日本一の山」・・・誰もが一度は富士山に登ってみたいと思うものですが、それには万全の準備が必要で、おいそれとというわけにはいきません。
富士登山を楽しんだ女性が下山できなくなり救助されたというニュースがありました。大阪府に住むこの73歳の女性は、9月8日午前10時半ごろ富士宮口の9合5勺付近を下山していましたが疲労で歩けなくなってしまいました。そこで同行していた息子が9合目の山小屋まで下り、常駐している静岡県警の山岳遭難救助隊に助けを求めることにしました。そして息子から要請を受けた隊員が大急ぎで現場へと向かい、登山道わきにうずくまっていた女性を背負って歩き始めました。いかに山に慣れている隊員とはいえ、生身の人間を背負っての下山はさぞかし危険を伴うものだったことでしょう。
そして、途中でようやく5合目から登ってきた富士宮署の山岳遭難救助隊と合流し、彼らが持ってきた担架に移し替え5合目まで運んだということです。女性にけがはなく車が乗り入れられる5合目からは普通に帰宅したそうですが、急病や骨折などのけがで動けなくなったのではなく、ただ“疲れた”だけで多くの人の手を煩わせるなんてなんとも人騒がせな登山客です。
また北海道・利尻富士町の利尻山でも、9月7日午後7時半ごろ、登山をしていた愛媛県の男女2人から警察に救助要請がありました。山岳遭難救助隊などが出動したところ1時間ほどして暗闇の中にいる2人を発見し救助しましたが、こちらも2人にけがはなく自分で歩ける状態だったといいます。なんと彼らの救助要請の理由は「ヘッドランプ(両手を自由にするために頭に括り付ける懐中電灯)の明かりが消え、暗くて下山できなかったから」というのですから「何とか無事でいてくれ」と現場に急行した救助隊も一気に気が抜けたことでしょう。
救助後に警察が調べたところ、2人のヘッドランプは電池が切れていただけだそうでこんなお粗末なことはありません。標高1721mの利尻山に、それも夜間に登るとなれば灯りの確保は絶対条件です。それにもかかわらず予備の電池も持たずに入山とは山をなめるのにもほどがあります。
近年、準備不足のまま登山を開始し救助隊のお世話になるケースが増えています。良識ある登山者と救助隊の安全を守るためにも「緊急でもないのに救急車を呼ぶ人が多いから有料にする」と同じように、救助要請の有料化を考える必要があります。
●落とし物を拾ってもそれが即時に自分のものになることはありません。警察が一定期間保管し、落とし主が現れない場合にはじめて拾った人のものになるのです。ですから落とし物を拾って「ラッキー」とばかりに持ち帰り自分のものとするのは犯罪です。
ごみ置き場で1億円の大金が見つかったなどのニュースが報道されると、毎回のように「歩いているうちに落としたのかもしれない(そんな大金落としたらすぐわかるやろ)」「家に置いてあったものがなくなった(札束が勝手に出ていったのか)」とツッコミどころ満載の申し出があるのは見つけた人がネコババせずに正直に届け出るからです。
仙台市内の公園に置き去りにされていた自転車を警察に届けず持ち去ったとして、住所不定、無職の41歳の男が占有離脱物横領の疑いで逮捕されたというニュースがありました。警察の調べによりますと、この男は仙台市太白区内の公園で置き去りにされていた時価1万円相当の自転車1台を警察に届け出ずに持ち去ったということです。登録番号からこの自転車は市内に住む10代の男性のものだったことがわかり、男性が警察に出した被害届から、2023年の8月に盗まれた後、この公園に放置されたことが判明しました。なんと1年の時を経てこの住所不定、無職の男の前に現れたのです。
警察の調べに対し男は「盗んではいないし届け出るつもりだった」という趣旨の供述をし、容疑を否認しているということですが、さあここで問題です。拾ったものをそのまま自宅に持ち帰ったのなら「盗んだ」と判断できますが、住所不定・・・家がない場合、どの段階で「盗んだ」が確定するのでしょう。ましてやこの男は無職ですので職場に持ち込むこともありません。永遠に「届けに行く途中」なんてことにならないのでしょうか。それとも男は公園を根城にしていたと判断され、そこから一歩出た瞬間に「盗んだ」となったのでしょうか。疑問は尽きません。
●法務省が、転移性肝がんと大腸がんを患い拘置所内の病棟で緩和治療を受けていた73歳の男性死刑囚が死亡したと発表しました。
この死刑囚は刑務所内で知り合った男と共謀し2002年8月、千葉県松戸市の会社社長宅に押し入り現金と貴金属合わせて1000万円ほどを奪い、妻と長女を絞殺したうえで放火し(マブチモーター事件)、翌9月には東京都目黒区で歯科医師の男性を、さらに11月には千葉県我孫子市で金券ショップ社長の妻を殺害するなど3事件で計4人を殺害した罪で死刑判決を下されたとんでもない悪党でした。
この男の死亡により現在収容中の確定死刑囚は107人になるそうですが、裁判で死刑が確定したら6か月以内に執行しなければならないのにもかかわらず、ほとんど守られていない現状ではこの数は増えることはあっても大きく減少することはないでしょう。死刑執行は「法務大臣」の命令により行われますが、過去には堂々と執行命令書への署名拒否をした大臣もいたように多くはその職務に積極的ではありません。職務を遂行できないのなら「法務大臣」になんかならなければいいのに、“死刑執行は嫌だが閣僚にはなりたい”連中ばかりなのですから困ったものです。
死刑執行については「犯罪者にも人権が」と反対の声もありますが、わたしは死刑囚にはそれを認めたくありません。なぜなら死刑囚は例外なく殺人者だからです。他人の命を奪っておいて己の人権を主張するなんて言語道断です。仇討ちが許されていないわが国で大切な人を殺された遺族が唯一よりどころとするのは司法です。そこでようやく死刑判決を勝ち取ったところで執行されなければいつまでたっても無念が晴れることはないでしょう。
今回の死刑囚の病死を被害者遺族がどのように感じるかを想うといたたまれません。ちなみに共犯の男も刑が執行されることなく2017年に拘置所内で食道がんにより74歳で病死していますので一連の事件における「死刑判決」なんてまったく意味がなかったことなります。しかも2人ともガンの痛みをとる緩和ケアを国費で受けてですから、この国の正義は誰のためのものなのでしょうか。
今回死亡した死刑囚が共犯者とのは知り合った宮城刑務所に服役したのは殺人・窃盗の罪により懲役12年の刑に処せられたからです。なんと男は死刑になる前にも殺人を犯していたのです。その時点で死刑になっていたら、せめて終身刑で刑務所に入れておけば後の4人は命を失わずに済んだと思うと現在の刑罰制度に疑問を覚えざるを得ません。まもなく新しい内閣が発足します。次の法務大臣には我が国の正義を維持するために毅然と職務を遂行してもらいたいものです。 -
2024年9月8日号:ニュースに一言
2024-09-08 21:31102pt1
百田尚樹チャンネル会員のみなさま、令和6年6月8日のドワンゴ社に対するサイバー攻撃により配信不能となっていましたメルマガがようやく復旧いたしました。会員のみなさまには長期間にわたってご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。本日から“ニュースに一言”も再開します。今後ともよろしくお願いいたします。
そして今回は再会記念として、特別にいつもの倍の量でお届けします!
百田尚樹
●2022年の総出生数約77万のうち体外受精によって生まれた子供は過去最高の7万7206人だったというニュースがありました。なんと10人に1人が体外受精児だというのですから驚きです。
体外受精とは男性がパートナーに密着して女性の体内にある卵子に向け直接精子を注ぎ込む自然受精と違い、精子と卵子を体の外で人工的に受精させる主に不妊治療の1つとして行われるものです。近年、結婚して子供を望んでも妊娠しない女性が多く不妊治療をする女性が増えていますが、それには多くの時間と労力、そして結構な費用が必要なため途中で挫折する夫婦も少なくありません。しかし、2022年4月から公的な保険が適用されるようになり費用面でのハードルが下がったことで、2022年は前年から4万5000件余り増えた延べ54万3630件の体外受精が行われました。
少子高齢化傾向が続く日本では出生数の増加が喫緊の課題となっています。子供の数が増えない理由は多岐にわたりますが、女性の高学歴化や、それに伴う男女雇用機会均等法による社会進出が進んだことによる晩婚化がその中の大きな要因になっているのは間違いないでしょう。現在の女性の平均初婚年齢はほぼ30歳となっています。これはあくまで平均であり、わたしの周りの大学を卒業してお勤めをする女性で、20代での結婚はほとんど聞かず大多数は30代半ばです。
健康な夫婦が妊娠活動を開始し1年以内に自然妊娠する確率が20代ではほぼ100%なのに対し、30代後半になると60%台にまで低下するそうですので、その時点で彼女らは子作りに関してはハンデを負うことになります。“結婚する、しない”“子供をもつ、もたない”は個人の価値観で他人がとやかく言うことではありませんが、日本人はとかくまわりの雰囲気に流されがちです。本心では「早く結婚して子育てをする専業主婦になりたい」と思っていても、「現代女性は社会進出が当然」に押されて、進学や就職を決める女性がいるかもしれません。
幸せの種類は1つではありません。そんな彼女たちには本当に自分の望む幸せをぜひ見つけ出し、それを信じて進んでもらいたいものです。また、社会もそれを温かく見守りたいものです。「まだ結婚しないの?」「好きな人はいないの?」など若い女性に聞くことは老婆心からでも“セクハラ”と非難される時代となり“結婚適齢期”はなくなりましたが“妊娠適齢期”は人間が動物である限り未来永劫なくなることはありません。
●NHKが2024年8月19日にラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で、沖縄県の尖閣諸島について「中国の領土である」という放送をしたと発表しました。これはNHKが外部委託している関連団体に属する中国籍の外部スタッフがニュースを伝える際、原稿のどこにもそんな記述がないにもかかわらず、いきなり前述の発言をしたものです。
尖閣諸島は言うまでもなく日本国固有の領土であり、それを日本国の公共放送が否定するなど絶対にあってはならないことです。この大不祥事(国賊的犯罪と言った方が良いかもしれません)に対し、当のNHKは「ニュースとは無関係の発言が放送されたことは不適切であり、深くお詫び申し上げます。再発防止策を徹底します」とコメントした上で業務委託契約を結んでいる関連団体を通じて本人に厳重に抗議するとともに、関連団体が本人との契約を解除するとしていますが、今回の件は謝ったから終わり、クビにしたから終わりとなるような簡単なものではありません。
NHKは“ニュースとは無関係の発言”が不適切だったと謝罪していますが、ニュースに関係が有る無しに関わらず「尖閣諸島が中国の領土である」というまったく虚偽の、それもわが国の国益を損なう内容を伝えたことが問題なのですから、そもそも謝るべきポイントが違います。そして、なによりも真実を伝える報道機関として通り一遍の謝罪より、先ずしなければならないのは「先日、放送された『尖閣が中国の領土である』は間違いであり、正しくは日本の領土です」という訂正放送を全世界に向けて発信することです。
日本中が怒りに震えるこの期に及んでまだ「尖閣は日本のものだ」と声高に叫べないとしたら、NHK(日本放送協会)はいったいどこの放送局なのでしょう。
●9月になりましたが、連日猛暑日が続いています。屋外やクーラーのない場所で仕事をしている方たちには、くれぐれも体調に留意してもらいたいものです。そんな中、宅急便で知られる物流大手のヤマト運輸でたった1人でストライキを決行した社員がいたそうです。
この社員は兵庫県内の倉庫で仕分け作業を担当する55歳の男性で、彼の要求は「倉庫内が暑すぎるから対策して欲しい」というものでした。男性の話では倉庫内の気温は温度計が振り切れる40度にもなり、その中でヘルメットをかぶり、最大30キロもの荷物を抱えることもあるといいます。そんな環境で一日中作業をしていたら身体を壊してしまいます。
「とてもじゃないがやってられない」と意を決した彼は労働環境の改善を求め会社に団体交渉を申し入れましたが、しばらくして彼はとんでもない光景を目の当たりにすることになります。なんと毎日確認していた倉庫内の温度計が撤去されてしまったのです。これでは気温のチェックができません。まさか会社側が温度計さえなければ20度も40度もないと考えたのか。これでは事故を起こした車両を埋めてしまい“何もなかったことにする”どこかの国と同じです。
あまりにも会社の宝である人材を軽んじる対応に驚きます。その後、扇風機とスポットクーラーを設置するなどの措置がとられたそうですが、じっと一箇所での作業ならともかく倉庫内を動くこの男性社員には満足な効果がありませんでした。男性は引き続きファン付きの作業服や首に巻く扇風機の支給を求めていくそうです。たったそれだけの物なら会社も買ってやればいいのにとは思いますが、大会社であればあるほど1人の要求をきけば他の社員にも波及し、莫大な経費となりますので簡単にいかないのでしょう。
しかし、近年の猛暑は命にもかかわります。ぜひとも安全な環境で仕事ができるようにしてもらいたいものです。そしてまたそれらを可能にするために利用者も過度な値引きを求めず正当な対価を支払う必要があるのは言うまでもありません。本来“送料無料”なんてあってはならないのです。
●三重県松阪市で6月から救急車が一部有料になったというニュースがありました。これは松阪市内の3基幹病院に救急搬送された患者が、医師に入院の必要がないなど軽症と判断されれば料金が発生するというものです。救急車や消防車など行政が管轄し市民サービスに使う車両は今まで「無料」が原則でした。それが1回につき7700円(税込み)の徴収となるのですから市民の間に不安が広がっているようです。
今回の措置は対象の松阪地区での救急車の出動件数が2023年に1万6180件と過去最高を記録し、このままでは救急車が足りなくなり、救える命が救えなくなることへの憂慮が理由とされています。もし本当に救急車が足りないのなら何を置いても有料化より台数を増やすことのほうが先だとも思いますが、実態はどうも違うようなのです。なんと1万6180件のうち、半数以上が救急搬送の必要がなかったというのです。中には「平熱より1度上がったから」、「爪がはがれたから」など家庭薬でも十分対応できるものや、もっとひどいのになると「酒を飲んだのでクルマを運転できなかったから救急車を呼んだ」なんてタクシー代わりにしていたものもあったのです。こんなことでは救急車がいくらあっても足りず、無駄な出動抑止のための有料化もやむを得ないでしょう。
国は地域の医療体制を守るため、2016年に健康保険法を改正し、初期の診療は地域の病院で受け、そこで手に負えない高度な専門的医療のみを町医者からの紹介状をもとに大病院で行なうこととしました。しかし、それでもなお「いや、わしは絶対に大病院じゃないと嫌だ」と紹介状なしで200床以上の地域医療支援病院を訪れる患者に対しては“選定療養費”として7700円を徴収することにしており、今回も必要のない救急車=選定療養としたのです。
この7700円に対し「いざというときに救急車と呼ぶのをためらってしまう」なんて否定的な声もあるようですが、救急車は文字通りためらう間もない救急のときに呼ぶものです。「お金がかかるからやめておこう」で済むのなら、それは救急ではありません。
それにしても救急車まで有料になるとは随分と世知辛い世の中になったものです。それもこれも不届き者が増えたせいです。人殺しがいなければ“殺人罪”は、泥棒がいなければ“窃盗罪”は、ペテン師がいなければ“詐欺罪”は必要ありません。本来、善良な人間だけなら何にも縛られずのんびりと暮らせるものが、一部のそうでない人たちのためにどんどん窮屈になるのは困ったものです。
●男女別学の県立高校の在り方を検討していた埼玉県教育委員会が「主体的に共学化を推進していく」とする報告書を公表したというニュースがありました。これは一昨年に県民から寄せられた「男子高校が女子に対し、女子であることを理由に入学を拒んでいることは不適切」という苦情を受けた埼玉県の男女共同参画苦情処理委員からの「早期に共学化せよ」という勧告に応えたもので、教育委員会としてゆくゆくは全県立高校を共学にする方向で進めていくというものです。
“男女平等”“ジェンダーフリー”という言葉の下、性別によるすべての区別(差別でなくても)を無くそうとする昨今の風潮もあり、そういう報告しかできなかったのかもしれませんが、日本の未来を担う若者を育てる教育現場の方針として “長い物には巻かれろ”的な諦めはいただけません。そもそも「埼玉県の県立高校には男子校しかないため、女子は私立高校にしか進学できないのは不公平」というのなら「女子にも開放しろ」はわかりますが、現在、県内の国公立高校133校のうち別学(男子校、女子校)は12校で、残りの121校は誰でも通える共学です。すなわち公立への進学希望者は男子校、女子高、共学校いずれも自由に選択できるのです。これは共学の公立高校しかない他の都道府県の中学生からみたら「埼玉は選択肢が多くていいな」と映ることでしょう。
実際、県教委が県内の高校生にアンケート調査したところ、「男女別学校は共学化した方がよい」は7.8%「男女別学校は、共学化しない方がよい」は57.2%と、当事者は共学化に反対する意見が多かったそうです。そして、共学推進派が男女共同参画の観点から言う「高校3年間を男女が互いに協力し、学校生活を送ることに意義がある」という意見も、別学が山奥の校舎の中で24時間、365日同性だけで生活しているのならまだしも、下校後はファストフード店で、カラオケ屋で、進学塾で、さらにSNSなどインターネットを通していくらでも異性と交流できる現代ではたいした説得力をもちません。
ジェンダーレスを声高に叫ぶ人たちはなにかにつれ多様性が大事と訴えますが、全体の1割にも満たない別学すら認めないで多様性も何もあったものではないでしょう。
●大手銀行が中途採用を活発化し、それにともない年功序列給与の見直しを進めているようです。
かつての日本企業は新卒で入社すると、そこで退職金をもらう定年まで勤め上げることが一般的でした。給与も新入社員の時の安月給が年齢とともに昇給していきますので、一度社員の座を得たらそれなりに人生設計ができたものです。それをみずほフィナンシャルグループは、人事制度を刷新しポストごとに付与した等級に基づき支払う「役割給」に給与を一本化し、年齢や年次にかかわらず昇進や昇給できるようにしたのです。すなわち今まではポストによって支給される役職手当と年齢による基礎給与を合わせたものを月給としていたものを、役職手当がそのまま月給となりそれ以外がなくなるのです。これにより40代の主任より20代の課長のほうがはるかに高給取りになり、実績を上げれば20代で年収2000万円超も可能になるといいます。
仕事のできる人、仕事量の多い人の給料が高いのはある意味合理的ですが、年功(年齢)部分を一切なくしてしまうのはいかがなものでしょうか。20代で社会人となり結婚し、やがて子供ができます。そして、その子供が社会人となるまで自身の年齢が上がるとともに教育費などの子育て費用がかかるようになります。いままではそれを年功部分でカバーできていたものが、出世が遅れ新入社員の給料のままでは破綻しかありません。こんなギャンブルのような人生では、とても結婚や子育てなんてできません。
銀行は改革の理由をデジタル化などで業務が多様化する中、人材の獲得競争が激化しており能力の高い社員を高給で確保するためとしています。若い社員の中ではこの変更を歓迎する声が多いようですが、はたして10年後までその喜びは続くのかは疑問です。なぜなら、彼らは転職を重ねるたびに給料がアップするアメリカの雇用システムに自身を重ねているのでしょうが、そんな人材は限られたごく一部でしかなく、全員がなれるわけではないからです。
そもそも会社は特別優秀な社員、優秀な社員、普通の社員、どんくさい社員などいろいろな人材で成り立っているものです。三井住友銀行や三菱UFJ銀行などほかのメガバンクも同様の改革を進めていますが、いままで“全般的”に高給で社員を集めていたものが、これからは“一部の優秀な社員”だけ高給で果たして会社を維持できるのでしょうか。特別優秀な社員の生産性は高く、その仕事はその他大勢の普通の社員にはできないものでしょうが、普通の社員、どんくさい社員のしていた仕事もまた優秀な社員にはできません。「適材適所」・・・会社、社会の発展には役割に応じた人材配置が肝心であり、その役割はどれも必要なものです。
●今年6月までの上半期に一人暮らしの自宅で亡くなった人が全国で3万7227人に上ったというニュースがありました。そのうち85歳以上が最多の7498人で、そのあとに75~79歳の5920人、70~74歳の5635人と続き、65歳以上が76%を占めています。
しかし、孤独死は高齢者だけではありません。30歳代が512人、20歳代が431人、さらに15~19歳も42人いたということで、親元を離れた一人暮らしの若者が不慮の病に倒れたと考えると不憫でなりません。
そして家族が同居している場合は朝に起きてこなければ「どうしたんだろう」と様子を見に来てくれすぐに見つけてくれますが、一人暮らしだとそうもいきません。死亡推定から遺体発見までの経過日数は、全体の約4割にあたる1万4775人が当日~1日以内でしたが、この人たちは現役で仕事をしていて無断欠勤で心配してくれる人がいる、あるいは近所に親しく気遣ってくれる人がいたのでしょう。反対に周囲との交流が乏しかったのか1か月以上が3936人と約1割もいたのは考えさせられます。周囲に誰もおらずたった1人で死んでいくのも悲しいものですが、周囲にたくさんの人(それも顔見知りの)がいたのにもかかわらずたった1人で死ぬのはさらに寂しいものがあります。
アメリカの銀行で従業員が自分の机に伏したまま亡くなっているのにもかかわらず、誰にも気に留められず発見されるまで4日を要したというニュースがありました。この従業員は60歳の女性で、勤務中に自分の机で突然亡くなったようです。日本の会社はワンフロアに机を並べて顔を突き合わせながら仕事をするのが主流ですが、映画やドラマで見るアメリカのオフィスは1人1部屋とはいかないまでも簡易的にでも仕切りを立て、ある程度のプライバシーは保たれるようになっています。この女性の机もパーテーションで仕切られた中にあったため発見が遅れたようですが、それにしても4日間とは。そのあいだ彼女には1つの業務連絡もなかったのでしょうか。また、ランチを誘う同僚はいなかったのでしょうか。退勤後に「ちょっと一杯」の友人はいなかったのでしょうか。亡くなったことだけでなく、いろんな意味で悲しくなるニュースでした。
●愛知県瀬戸市のハローワーク(職業安定所)に無言電話などをかけ続けていた55歳の無職の男が偽計業務妨害の疑いで逮捕されたというニュースがありました。この男は2月から8月までの間、6000回以上にわたり自身の携帯電話から瀬戸市のハローワークに電話をかけ、職員らに対し「お疲れ様です」などと言うのみで通話を終了したり、無言の状態を続けるなどしていたそうです。6000回といえば月に1000回ほどになりますので、土日が休みのハローワークに対し、単純計算で毎日50回もダイヤルを回していたのですから恐れ入ります。
もちろん発信は携帯電話でしたから番号を記憶させておいてピッ!とワンプッシュだけだったのかもしれませんが、それにしても50回となれば9時から5時のハローワークの開庁時間のほとんどを電話にかかりっきりだったのは間違いありません。まともな社会人ならとても出来る芸当ではありませんが、そこは無職の強み、時間だけは十分にあったようです。
このニュースを見て誰もが「そんなことに労力を使うくらいなら働けよ」とも思うでしょうが、彼はそれなりに努力はしていたようです。なぜならこの男は職を探すため十数年間もハローワークに通っていたというのですから。それだけの期間があればハローワーク中のすべての求人票を閲覧することもできたはずですが、十数年かかっていまだに“無職”とは、人手不足で困っている企業も多い中どれだけ選り好みをしていたのでしょう。あるいはハローワークが彼の適正に応じた会社を紹介していなかったのか。次回、男が訪れたときには“テレホンコールセンター”をお勧めしてはいかがでしょうか。そこなら電話がかけ放題ですからきっと長続きするはずです。
●近年、全国各地で住民がエサを求めて人里まで下りてきたクマに襲われる事故が増えています。その地域に住む人は外出時にはクマ避けの鈴を腰にぶら下げ難に遭わないように注意しますが、なにしろ相手は野生動物ですからそれに100%の効果は望めません。それで付近でクマの目撃情報があればもう家に閉じこもるしかなくなるのです。
そんな時、出番となるのは地元の猟友会です。彼らは住民が平穏な生活を取り戻すため、恐ろしい野生のクマに敢然と立ち向かってくれるのです。そんな猟友会への出動依頼を北海道空知地方の奈井江町が断念したというニュースがありました。否、正確には猟友会が「協力できない」と拒否を示したのです。なぜなら出動1回につき、たったの8500円しか日当がでないからです。
山で無抵抗の雉や鴨を撃つのではありません。相手はいつどこから襲ってくるかわからない獰猛なクマです。噛まれることはもちろん、すこし爪が触れただけで肉が引き裂かれ瀕死の重傷を負うのです。そんな命がけの仕事でありながら報酬が学生バイト並みの8500円だなんて「やってられないよ」と言う気持ちもわかります。そして首尾よくクマを駆除したとしても鉄砲を撃った場所が人家に近ければ「(人家に近いからこそ住民の危険回避のために撃ったのにもかかわらず)銃器の不適切使用」で警察につかまり、挙句の果てに実態をなにも理解していない動物愛護団体からは「なんで殺すんだ、クマがかわいそうじゃないか」と批判されるのですからこんな割りに合わない仕事はありません。よほどのメリット(リターン)がなければ誰もやらないでしょう。
銃を扱うのは猟友会の他にも警官や自衛隊員がいますが、彼らは野生動物相手の訓練は受けていません(2015年には人を襲ったたった1匹の紀州犬を警官が射殺するのに13発もの弾数を要した事件が発生しています)。いくら命令とはいえ「クマ退治」なんて堪ったものではないでしょう。今回、猟友会との交渉決裂によるハンター不足を町はボランティアと民間業者で補うとしていますが、8500円の予算でどこまで集めることができるのやら。
そうこうしている間にもクマは人里に下りてきますので、今回の揉め事の一番の被害者は町民です。こんなときこそ国が“金太郎”にならなければならないのに、肝心の国会議員たちはクマでもないのに冬眠を決め込み知らんふりなのですからまったく頼りになりません。
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