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記事 4件
  • 2023年3月24日号:ニュースに一言

    2023-03-24 15:17  
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    ●1点差の9回ツーアウト、バッターボックスにはアメリカの現役最強打者マイク・トラウト。そしてマウンド上には世界の二刀流、日本の至宝大谷翔平。
    WBCという舞台の最終幕でのこの千両役者の競演を誰が予想したことでしょう。さらに最後が空振り三振ときたら、もうそれは小説や漫画の世界のこととしか思えません。しかし、我々ははっきりと自分の目でその素晴らしい現実を見届けたのです。
    野球の国別世界一決定戦第5回WBCは日本の優勝で幕を閉じました。今回の優勝はすべての選手が「いま、自分がすべきこと、できること」を考え勝利に向かって一直線に突き進んだ結果、まさに日本“チーム”で勝ち取ったものです。優勝はもちろんうれしいのですが、今大会はほかにも喜ばしいことがありました。
    冒頭にWBCを演劇の舞台になぞらえましたが、登場人物がすべて善人だったのが素晴らしい。国際大会にありがちな敵意むき出しの険悪ムードがなく、試合終了後にはお互いのプレーをたたえ合う姿が見る者の心を温かくしました。ダルビッシュ選手が代表に選ばれて気負っている若手に「戦争に行くわけではない」と言ったそうですが、まさにその通りで野球はスポーツですから対戦相手は憎むべき敵ではなく、リスペクトすべきものなのです。そんなグラウンドの様子はスタンドにも伝染し、両チームの応援団も相手に惜しみない拍手を送りました。
    第1次リーグで日本を訪れた各国の選手団、応援団が口をそろえて日本への感謝の言葉を口にして帰国したのは日本人として本当に嬉しいことでした。胴上げ投手となった大谷選手の所属チーム、エンゼルスの監督はレギュラーシーズンを考慮し、当初は準決勝、決勝での登板を許していなかったそうですが、WBCの盛り上がり、そして野球が好きで好きでたまらない大谷選手の様子を見て彼もまた今後の野球界のことを考えたのでしょう、1イニングだけならと譲歩したと聞きます。
    そうです、みんな野球が大好きなのです。いやなニュースが多い中、この2週間本当に楽しかった。侍ジャパン、そしてすべての野球人と世界中の野球ファン、ありがとう。


    ●生まれた時の体の性とは違う性として生きる「トランスジェンダー」の当事者らが「『心は女だ』と言うだけで女湯に入れる」などのSNS上での差別的で不正確な発言に対し抗議したというニュースがありました。
    これは現在審議されているLGBT理解促進法案が通れば「チンチンをぶら下げた“自称”女性」が女湯に入ってくるという危惧に対してのものです。“彼女”たちは「そもそも自分は女子風呂に入れないと思って諦めています」「本当に人目を気にしながら、社会の中で自分がどういうふうに性別が見えているんだろうかと気にしながら暮らしています」と法律を盾に大手を振って女湯に侵入することはない、それなのにチンチン付きのトランスジェンダーをあたかも犯罪者のごとく言うのは許せないとしています。
    はっきり言ってわたしは、この法案が成立すればチンチン付きの“自称女”が間違いなく女湯に入ってくると思っています。しかし、それは文字通り自称だけのエセトランスジェンダーのことです。
    たしかに本物のトランスジェンダーは心が女性ですから女性の気持ちを理解しそんな行動はとらないでしょう。それに対し、心は男のままで、ただ「女の裸が見たい」だけの“自称女”は、法律で守られるとなればやりたい放題です。法案反対派が恐れているのはそんな輩のことで、決して本物のトランスジェンダーのことではありません。
    そしてもっとも不愉快なのは反対派の意見を封じ込めようと、今回のニュースのようにトランスジェンダーの人たちを担ぎ出してくるマスコミです。彼らは反対派がLGBTの人たちのことを全く理解せず荒唐無稽なことを言っているかのごとく報じ、声が上げにくくなる雰囲気を作ろうとしているのです。多くの善良なトランスジェンダーはそんな世論誘導のために自分たちが利用されることは堪らないでしょう。
    「少数意見の尊重」「弱者の救済」異論をはさみにくい耳障りの良い言葉ですが、少数派のために大多数が我慢、いや被害を強いられる社会を「差別のない社会」とはいいません。


    ●愛知県が、公立の小中高校と特別支援学校の児童生徒が保護者の休みに合わせて年3日まで平日に学校を休める「ラーケーションの日」を4月から導入すると発表しました。このラーケーションとは、ラーニング(学習)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、休み方の改革に取り組む同県のプロジェクトの一環だとしていますが、子供にとって学校より優先すべきものがあれば親が勝手に休ませればいいものを、行政がここまでお膳立てしなくてはならないものなのでしょうか。
    大村秀章知事は「コロナ禍で働き方は変わった。コロナの出口が見えた今、休み方改革を進めたい」さらに週末や長期休暇以外にも家族で出かけやすくなり、休日や観光需要の分散につなげることもできると自画自賛のようですが、労働者が休むことと子供のそれを同列にするのは強引すぎます。
    労働者には、決められた日数までは給料を減らさずに休むことができる年次有給休暇という制度があります。今回はそれの子供版といったところでしょうが、働き過ぎとされる労働者に対し、学校には土日のほかに春、夏、冬の長期休暇があります。これ以上勉強時間を減らしてどうするのでしょう。県は受けられなかった授業は自習で補うとしていますが、普段から自習で事足りる程度の授業しかしていないのでしょうか。「我慢」「忍耐」「頑張り」が軽んじられ「ゆとり」「享楽」「自然体」ばかり追い求めていたのでは日本の国力は下がる一方です。
    現在、企業には年間5日間の年次有給休暇を取得していない社員1人につき30万円の罰金が科せられることが労働基準法に定められています。年度末に未取得者に対し人事課から「今年度中に年休を消化してください」との通知がくるように、そのうち生徒会から「今年度中にラーケーションを消化してください」なんて連絡がくるようになるのかもしれません。


    ●シンガポール航空が機内で差別を受けたオーストラリア国籍の23歳の女性に謝罪したというニュースがありました。
    機内での差別とはいったいどんなものだったのでしょう。搭乗時に靴を脱いで入るように言われたのか、ファーストクラスのチケットを持っていたのに身なりを見てエコノミーに案内されたのか、はたまたひとりだけ飲み物のサービスを受けられなかったのか・・・。それが彼女が当初予約していた座席を移動させられたことと聞いて考えさせられました。
    なぜなら、この女性が座っていたのは緊急脱出用の非常口の前で、なおかつ彼女は左腕の肘から下がない障碍者だったからです。非常口の前は前方に座席がないため足を伸ばしてゆっくり座れるのでひそかに人気がある席ですが、その代わり緊急脱出などの非常時には「扉を開ける」「ほかの乗客の脱出を補助する」などの“義務”があります。そのためシンガポール航空は非常口付近の座席に座ることができない乗客として、「妊婦や15歳未満、乳児、この他に特別な支援が必要な乗客」と規定しています。
    彼女はこの“特別な支援が必要な乗客”と判断されたのです。それに対し女性は「自分はいかなる助けも必要ではない」と話していますが、それは自身がそう思っているだけで間違っています。この席に座ることができるのは前述のように、緊急時にほかの乗客を助けなければならないのに、片腕がない彼女がその使命を全うできるとはとても思えません。
    航空会社が最も重要視するのは安全運航です。いつもニコニコ優しく接客してくれるCAさんも、ひとたび緊急事態に陥れば保安要員として乗客の安全確保に徹します。それまでの優しい口調から一転して「止まって」「伏せて」等の命令調になり笑顔は一切ありません。ちなみにCAの化粧が一般的に濃いのも緊急時に薄暗くなってもCAだとはっきりと認識してもらうためです。そんな具合に常にいざというときを想定しているのですから、座席移動を強制するのも何を置いても優先される安全運航のための措置として当然です。
    女性は後部の座席に移動するよう求めたことが屈辱的に感じられたと話していますが、その代替席がビジネスクラスだったとしても同じようにクレームをつけたのでしょうか。彼女の中に「障碍者の自分は優遇されて当然」との思いがあったとしたら残念なことです。記事の中に彼女は欧州旅行を終えた後の帰り便でも同じ経験をしたとありましたが、ひょっとしたら彼女は毎回その席を確保して、“何か”を求めているのでは。


    ●2019年6月、大阪府吹田市で発生した警察官襲撃事件で強盗殺人未遂などの罪に問われた男性被告の控訴審で、大阪高等裁判所は1審判決を破棄し無罪判決を言い渡したというニュースがありました。
    この事件は当時33歳の被告が早朝、吹田市の千里山交番で警察官を包丁で刺し拳銃を奪って逃走したものです。襲われた警察官は胸や足、腕などを負傷し、特に胸の刺し傷は肺を貫通し心臓まで達していました。意識不明の状態で運び込まれた病院では5日間も目覚めず、復職までは7ヶ月を要しました。また、拳銃が奪われたとあって付近の学校や施設が休みを余儀なくされるなど、その影響は広範囲に及びました。そんな凶悪事件の犯人が無罪とは・・・。
    その理由が「被告は事件当時心神喪失の状態だった」からというのですから困ったものです。刑法39条には「心神喪失者の行為は罰しない」とあります。これは善悪の判断ができないほど精神に異常をきたした行為者には責任能力がないので罪に問えないとするものです。要するに高裁はこの被告は自分が何をやっているのか分かっていなかったと言っているのです。
    しかし、被告は交番に行く前にウソの通報をして3人体制の交番勤務から2人を誘い出し、襲いやすいように警察官を1人にしています。また、追っ手を撒くために山の中に逃げ込むなど一連の行為は極めて計画的であり、かつ冷静に行われています。とても“自分が何をやっているのか分かっていない”人間の所業ではありません。
    1審の一般人が参加する裁判員裁判では「犯行前後に合理的な行動を取っていて、全く責任能力を欠いていたとは言えない」として懲役12年の実刑判決が言い渡されていました。すこぶる妥当な判断です。それを“プロ”のみの裁判で「意見の相違点のみを切り出して分断的に判断している」と批判し、さらに「意見の分岐点や違いの理由、根拠を明らかにし、これを共通認識として評議、判断を行うべきだった」とまで言及して全否定するのですから呆れます。
    裁判員裁判は“プロ”裁判官の世間の常識と乖離した感覚や、前例にとらわれるあまり市民感覚にそぐわない判決を出すことを是正するために作られたものです。それを上級審で一蹴するならそんな制度は即刻やめてしまうべきです。そもそも刑法39条ってなんでしょう。法律は弱者のためにあるべきなのに、これでは被害者はやられ損です。そこまで心神喪失者を守りたいのなら、善良な市民に危害を加えることのないようどこかに閉じ込めておいてもらいたいものです。こんなことを言うとまた「百田は人権侵害者だ」と非難されるのでしょうが、これが被害者の人権保護こそ最優先されるべきだと考えるわたしの偽らざる想いです。

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  • 2023年3月18日号:ニュースに一言

    2023-03-18 15:33  
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    ●京都府京丹後市が、昨年8月に地域の自治会を通じて約2万400の全戸に「生活保護の申請は、国民の権利です」と記したチラシを配りましたが、今年2月末から2回目の配布を始めたというニュースがありました。
    これは長引くコロナ禍や物価の高騰により生活に困る世帯が増えていることを考慮したものですが、役所も随分と変わったなというのが率直な印象です。かつての役所は市民が得をすることの告知には極めて消極的でした。申請さえすればもらえる手当が新設されても誰も見ないような広報の片隅にちょこっとだけ載せ、あとは役所内の掲示板に貼りだして終わりですからとても周知とはいきません。そんな具合ですから所用で役所に行った際に掲示板を見て「あれ、こんなのがあるなら教えてよ」なんてこともしょっちゅうでした。それが、全戸に「権利です」の大見出しとは・・・、まさに隔世の感があります。
    チラシには「新型コロナで収入が減った」「小さい子どもがいるので働ける時間が短い」「年金では暮らせない」など、申請しうる具体的な状況を列挙するだけでなく、制度を理解できず申請をあきらめる人を出さないために「持ち家があると受けられない?」「関係が悪い親族にも連絡がいく?」など誤解されがちなポイントをQ&A形式で解説する念の入れようです。さらに2回目のチラシには生活保護で生活苦を乗り切って就職を果たした人の体験談なども加え、まるで生活保護を推奨するかのようなチラシに仕上げています。
    なるほど生活保護は国民の権利で間違いありません。しかし、今回のこの“生活保護推進キャンペーン”にも似た市の動きにはいささかの違和感があります。なぜなら公助の生活保護は自分で何とかする自助、周囲の世話になる共助、そしてそれでもダメな時に頼る最後の手段であるべきだと思うからです。それなのになんの努力もせず「すぐに生活保護に頼れ」では予算がいくらあっても足りません。わたしは弱者を切り捨てろと言うつもりは毛頭ありませんが、日本人が勤勉で誠実な恥を知る民族(端からそんな文化を持ち合わせていない外国人の受給者も多数いますが)だったのは過去の話で、現在では自分が楽をするためにはウソも平気、他人に何と思われても気にしない人が多くいます。残念なことですが、いまの日本は性善説の通用しない国に成り下がってしまったのです。
    働きたくても“働けない”人は弱者ですが、働けるのに“働かない”人まで弱者となっている現状は明らかに間違っています。現在、生活保護を受けている人は200万人を超えており、ざっと60人に1人の割合です。そして、その原資はすべて税金です。


    ●大阪で、ほぼ2カ月にわたり毎日コインパーキングの料金を踏み倒していた住居・職業不詳の26歳の男が逮捕されたというニュースがありました。この男は大阪市東淀川区のコインパーキングで、昨年7月13日から9月20日までの70日間のうち54回、車の後輪を駐車板の上に乗せ板が上がらず課金できないようにして総額約6万円の駐車料金を逃れていました。
    車を走らせていると街中のいたるところにPの文字を見ることができます。かつては人間が常駐してキーと共に車を預かっていた駐車場も、現在では無人のコインパーキングが主流となりました。出口を塞ぐバーを料金を払って上げて出庫するものや、今回の事件の駐車場のように車が動かせないように上がった駐車板を料金支払いにより下げ出庫するものなどいろいろあります。さらに最新のパーキングには出口のバーなし、駐車板なしの月極駐車場のようなものもあります。こちらは場内のいたるところに設置されたカメラとセンサーで入ってきた車を捕捉するものですが、いずれの方式にせよ支払いなしでの出庫はご法度です。
    今回の容疑者は毎日夜間に駐車していることから、どうやら自宅の駐車場代わりにしていたようです。そりゃそうでしょう、なにしろ住居が不詳なのですから駐車場なんて借りてるわけがありません。とりあえずは連日駐車板の同じ位置に寸分たがわず停車するテクニックがあるほどの駐車の達人ですから、まずは一日も早く職業不詳の肩書を外してもらいましょう。


    ●岐阜県美濃加茂市の市長が市議会定例会で市議からの一般質問に対し謝罪したというニュースがありました。市長が謝罪とはまた失言か公私混同、あるいは公金の使い込みかと思いきや、名古屋市の河村市長と一緒に写る写真の笑顔が理由と聞いて驚きました。
    この市長は今年1月に「堂上蜂屋柿」という美濃加茂市特産の高級干し柿をPRするため河村市長を訪問しました。差し出された柿を河村市長はガブリと一口、そしてにっこり笑う両市長のツーショット写真が翌日の新聞に掲載されました。それをこの市議は「堂上蜂屋柿は1000年の歴史のある尊い干し柿。この柿は、へたを取って8つに割いて食べるのがおいしい食べ方なのに河村市長はそのままガブリ。それを横で笑って見ているだけとは何事か」と言うのですからわけがわかりません。
    河村市長もわざわざ訪ねてくれたことへのサービスでかじったのに、無知な無礼者のごとくに言われるとは夢にも思わなかったことでしょう。そもそも、食べ物をどのように食べようと自由なはずです。「こうすればもっとおいしいよ」ならまだしも「こう食べなければダメだ」なんて、そんな傲慢な生産者の作ったものなど食べたくありません。さらにこの市議は「この柿は(生産者にとって)本当に金メダルみたいなもの。生産者の中には侮辱されたと感じた人もいます」と、河村市長が2021年に東京五輪ソフトボール選手の金メダルをかじって批判を受けたことを引き合いに出すのですから、河村市長もとんだとばっちりです。
    市長は「撮影時に食べ方を改めてお伝えしきれなかった私の落ち度です」と謝罪しましたが「お前こそ何にでも噛みつくな」とでも言ってやればよかったのです。今回の騒動で「堂上蜂屋柿」の名前は全国に知れ渡り、PRという当初の目的は達せられましたが「そんな面倒な柿なんていらない」と思ったのはわたしだけではないでしょう。


    ●学校の先生は教育系学部を卒業、あるいは教職課程を修了するなど「教員免許」を持っている人しかなれないものですが、山口県教育委員会が新年度の教員採用試験で新たに「教職チャレンジサポート特別選考」を始めるというニュースがありました。
    これは大学は卒業しているが教員免許を持っていない54歳以下の人を対象にしたもので、合格者には2026年度の採用を確約した上で、年間最大26万円の補助を受けながら2年間のうちに通信制大学などで教員免許を取得してもらうというものです。タクシーやバスの運転手募集には「二種免許がなくてもOK」「大型免許なしでも応募可」と書かれているものがあります。これは「入社後に会社が免許取得をサポートしますから安心して応募してください」という意味ですが、今回の山口県教委の取り組みはまさにその“教員版”といったところでしょうか。さらに過去10年以内に本採用の教員として勤務した経験のある人には一次試験が一部免除されるなど、応募しやすい工夫を凝らしています。
    その背景には言うまでもなく教員不足で現場が疲弊する中、なんとしても一定数を確保しなければならない現状があります。65歳まで働く人が増える一方で少子化によりクラスが減少しているのにもかかわらず教員不足とは不思議にも思えますが、その要因の一番は求職者にとって教員が魅力のない職業になっていることが挙げられます。土日にクラブ活動の指導で出勤する、長時間労働でありながら残業手当がつかないなど、その環境が決して恵まれたものではないことは知られています。「教職チャレンジサポート特別選考」も結構ですが、まずそこを改善しなければあの手この手で応募者を増やしたところで退職者も増えますので何も変わらないのでは・・・。
    過去10年間の「小学生がなりたい職業ランキング」で教員は男子で4回、女子は毎年トップ10入りする子供たちにとってあこがれの仕事です。それが大人になり労働条件を気にするようになると一気に不人気になるなんて残念なことです。子供たちの純粋な気持ちを奪わないためにも早急に労働環境を整備することが必要です。学校の先生には何を置いても子供が大好きな「なりたい人」になってもらいたいものですから。


    ●ベルリンの壁は本来1つの国であったドイツを西側と東側に隔てる東西冷戦下における象徴でしたが、1989年の東欧革命による東ドイツ国内の混乱に乗じ撤去されました。いわゆる「ベルリンの壁崩壊」です。そして今回またベルリンでひとつの「壁」が崩壊しました。ベルリン市内の市民プールを女性が男性と同じようにトップレスで泳ぐことが認められたというニュースがありました。
    これは2022年12月、女性水泳選手が胸を隠さずに市民プールで泳ごうとして止められたことをきっかけに市当局が既存のルールを見直したもので、ジェンダーの平等に向け一歩前進したとして歓迎されているそうです。
    オリンピックを見てもわかるように女性スイマーの身体は例外なく胸から股間にかけ水着で覆われています。それがこれからは海パン一丁の女性スイマーが現れるというのです。この“男女の壁崩壊”を「なんと素晴らしいことでしょう。どんどんさらけ出してください」と多くの男性は歓迎するでしょうが、公序良俗的観点から見ると喜んでばかりもいられません。彼女らの言い分は「男性は胸を出しているのに女性が出せないのは差別だ」というものですが、男性の乳首と女性のそれは明らかに異質のものです。女性の胸は間違いなく性の対象であり、人口の半分を占める男性を惑わすものだからです。
    不意にオッパイが露な女性が目の前に現れて平然としていられる男性がどれほどいるでしょう。ある調査によれば全裸の女性の前に突然男性が現れた場合、半数以上の女性はとっさに股間より胸を隠すそうです。言うならば女性の胸は男のチンチンと同じようなもので、強烈な破壊力があるのです。
    海外にはヌーディストビーチという上だけでなく下までも丸出しの場所があるのに今さら騒ぎ立てることはないと思う人がいるかもしれませんが、そこが愛好者という限られた人のみが集まる閉鎖された場所なのに対し、今回は“市民”プールという誰もが入れるまったくのオープンな空間だという明らかな違いがあります。裸になるなとは言いませんが、子供も集うそんな場所でのそれはいかがなものでしょう。なにごともTPOが大切です。「差別はダメだ」ですべてを片付けるのは簡単なようですが、実はなにも片付いていないのです。なにはともあれ、今年の夏はベルリンのプールで監視員のアルバイトでもするとしますか。へへへ

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  • 2023年3月11日号:ニュースに一言

    2023-03-11 12:35  
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    ●皆さんこんにちは、“人気”YouTuberの百田尚樹です。
    最近でこそ週刊誌連載の仕事が入り執筆に追われていますが、ここしばらくは書くよりしゃべる時間の方が長くなり「作家」を名乗るのが憚られ、すっかりYouTuberになってしまいました。そんなYouTuberは動画のジャンルよって分類されます。主に内政、外交についての「政治系」、パチンコ、パチスロや競馬などに特化した「ギャンブル系」、ネコやイヌのかわいらしい姿が満載の「ペット系」など、中には「炎上系」「迷惑系」など困ったものもあります。わたしはといえばコロナワクチンについてしゃべったと思ったら、そのすぐ後に大谷選手の話題、さらには漢字についてと思いつくまま気の向くまま何でもありですから、さしずめ「雑食系」といったところでしょうか。
    チャンネル登録者数100万人を超える「料理系」YouTuberの男性料理研究家が謝罪に追い込まれたという話題です。彼がいったい何を謝らなければならないようなことをしたのかというと、ツイッターでカレーのレシピを紹介した際に、その分量を「男性なら1人前、女性なら2人前分あります」と記したからと聞いて呆れてしまいました。批判者は「女性が少食とばかり思うな」「男女で飯の量勝手に決めないでくれ」と憤っているようですが、相手が料理研究家だからといってなんでも「食いついて」いいわけではありません。
    “一般”的に女性は男性に比べて体格が小さく、そのため食べる量も少なくなりがちです。もちろん例外的に大食いの女性もいます。しかし今回、彼が言ったのはあくまでも“一般”論であって、それがダメと言うのならもう何も言えなくなります。我こそが正義とばかりに因縁にも似た言葉狩りが蔓延する社会は窮屈で仕方がありません。
    分量といえば市販薬のパッケージに書かれている用法ほど不思議なものはありません。多くが大人は3錠、子供は2錠など大人と子供でその服用する量をわけているのです。大人は大きく、子供は小さいからというのはわかりますが、ともに20歳の大人で体重40㎏の小柄な女性と160㎏の力士が同じ3錠とはどう考えても不自然です。そういえば多くの人が副反応に悩まされたコロナワクチンも女性の方がその程度が重かったと聞きます。多分、男性と同じ接種量だったのでより強く反応したのでしょう。
    おっと、こんなことを言ったらまた「身体の大きな女性もいる」と噛みつかれかねません。くわばらくわばら。
     
     
    ●全国で相次いでいる強盗事件の捜査で犯人特定の有力な手がかりとなっているほか、犯罪の抑止力としても効果が期待できる防犯カメラですが、青森県で警察と住宅メーカーがその設置を進める協定を全国で初めて結んだというニュースがありました。これは青森県警察本部と大手住宅メーカーの大和ハウス工業北東北支社が締結したもので、今後1年間で大和ハウス工業が手掛ける青森県内の約100棟の住宅に防犯カメラを設置することとしており、手始めに青森市桜川地区で7月末までに着工する分譲住宅4棟に取り付けるそうです。分譲住宅には無条件で、注文住宅は購入者が希望した場合のみ設置するとのことですが、1台あたり10万円ほどの費用をメーカーが負担することもあり「いらない」という人はいないでしょう。
    防犯カメラのついた家は、その所有者の家族の生命財産を守るだけでなく、その地域の治安維持にも貢献できますのでこの取り組みはいいことだらけです。こんな前向きに市民や地域の安全安心のために官民がタッグを組むところがあると思えば、神奈川県川崎市は東京都に次いで新築住宅への太陽光パネル設置を義務付けたといいますから開いた口がふさがりません。
    電気代高騰の折、「太陽光発電で家計の節約が出来る」と喜ぶ人がいるかもしれませんが、それは大間違いです。太陽光は文字通り「太陽」がなければ発電できません。すなわち曇りの日や夜間は用を成さないのです。しかし電気は24時間必要です。そのため電力会社は莫大な費用をかけて予備電力を作らなければなりません。その費用はもちろん電気代に上乗せされます。ですから太陽光発電が増えれば増えるほど電気代は高くなるのです。政府が推し進めたこともあり「太陽光パネル」設置住宅は随分と増えました。そのたびに電気代の請求書の中の「再エネ発電賦課金」がアップしている事実から目を背けてはいけません。
     
     
    ●水道料金の値上げを議会に提案している松山市が、市内の全世帯およそ24万3000戸に配布した市民へ水道管の老朽化対策を訴えるための広報資料に掲載した水漏れ状態を示す写真が、老朽化とは全然関係ない交通事故によるものだったことが分かりました。その写真は路上に水が盛大に噴き出す様子を捉えたもので、それを見たほとんどの人は「こんなことになったら大変だ」と感じたことでしょう。間違いの指摘を受けた担当者は「これはあくまでもイメージ写真なので問題はなく訂正の予定はない」と見事なまでに開き直っていますが市民もなめられたものです。
    ライフラインと呼ばれるものの内、ガスや電気は料金が未納になるとすぐに止められてしまいますが、水だけは猶予が与えられます。それは水が人間にとって命にかかわる絶対に必要なものだからです。ですから料金がアップしたからといって「ほな、うちは結構ですわ」とならないだけでなく、水道管の老朽化が安定した供給の妨げになることはわかっていますので必要な値上げも受け入れます。しかし、その根拠を示す写真がニセモノだったのなら話は違います。さらにそれを指摘され謝罪がないのはもちろん、弁解のひとつもなく堂々と開き直られたのでは市民もさぞかし気分が悪いことだと思います。そもそも本当に老朽化して水漏れしているのだったら、それを写真に収めればいいだけでそうしないのはそんな場所が無かったのだろうと勘繰られても仕方がありません。
    市の総意ではない担当者たったひとりの発言だとは思いますが、市民にしたら簡単に水に流せないだけでなく不満が写真のように噴き出していることでしょう。
     
     
    ●山梨県の公立高校で実施された「情報技術検定試験」で教諭が生徒に解答のヒントを伝えたため、この教諭が試験監督を務めた教室で受験した生徒28人全員の結果が無効になったというニュースがありました。
    この資格試験は1月20日に行われ、同校の1年生約60人が2教室に分かれ受験しましたが、そのうちの1教室の試験監督を務めていた男性教諭が試験中に少なくとも6人の生徒に口頭でヒントを伝えていたというのです。試験は言うまでもなく自分一人の力でするものです。カンニングがダメなのはその行為をする時点で他者(物)の力を借りることになるからです。それを指導的立場にある教諭がするなんて困ったものです。
    普段通っている学校で実施された資格試験ですから、受験生と監督は顔見知りです。いやそれどころか直接担任している生徒だったのかもしれません。かわいい教え子が解答に苦慮しているのを見ていたたまれなかったのか、あるいは合格率を上げて自身の評価を高めようとしたのかはわかりませんが、いずれにせよ試験という最も公正であるべきものを冒涜したことは間違いありません。
    それにしても解せないのはなぜ「ヒントを伝えた」なのでしょう。どちらにせよ不正なのですから一思いに答えを教えても良かったのに。もし彼の中に「教えるのはアウトだが、ヒントだけならぎりぎりセーフ」との思いがあったとしたら、これほど愚かな教員はいません。ヒントを与えられ解答を導き出した受験生は仕方がないとして、かわいそうなのはそれまで一所懸命準備して試験に臨み合格ラインを超えていたのに、その教室にいたというだけで採点対象外とされた受験生です。校長は今回の決定を「苦渋の決断だった。生徒にはカウンセリングを実施するなど、できる限りの対応をしたい」と語っていますが“苦汁”を飲まされた生徒は堪ったものではありません。
     
     
    ●「二重国籍が認められないのは個人の尊重などを定めた憲法に違反する」と訴えたものの敗訴した“元日本人” 8人が納得せずに控訴していた裁判で、東京高等裁判所は1審に続いて訴えを退け二重国籍を持つことを認めなかったというニュースがありました。
    この8人はスイスやリヒテンシュタインに住み現地の国籍を取得したために日本国籍を失っていました。日本の国籍法は外国の国籍を自らの希望で取得すると日本国籍を失うと規定しており、複数の国籍を持つことを認めていませんので当然の結果です。この法律の中で重要なのは“自らの希望で”というところでしょう。国はなにもしていない日本人から無理やり日本国籍を剥奪したわけではありません。“自らの希望で”他国籍を選んだ人を規定通り日本国籍から外しただけです。それを「憲法違反」だなんてどこまで個人の尊重を拡大解釈すれば気が済むのでしょう。
    一方で国は他国の国籍に変更する自由も認めています。「お前が外国人になるのはまかりならん」と日本国籍に縛り付けることはありません。これ以上の「個人の尊重」があるでしょうか。わたしは国籍は1つに限定するべきだと思っています。なぜなら国家はその構成員たる国民を絶対的に守るものだからです。日常生活上での保障はもちろん、たとえば紛争地帯に勝手に赴きテロ組織に捕らえられ人質になるという非日常的な事態にも、国は「それは自己責任だから」と見放すようなことはせず救出に全力を尽くします。その代わりに国民は国家に忠誠を誓うのですが、仮に二重国籍の二国が戦闘状態になった場合そこに矛盾が生じます。権利と義務は表裏一体ですが、往々にして権利ばかりを主張する風潮が強くなっているのはいただけません。
    いま国会ではLGBT法案なる珍妙な法律を作ろうとしています。これが通れば普通に考えれば認められないとすぐにわかるにもかかわらず「二重国籍を認めろ」なんて言う人たちがいるくらいですから、そのうち「ある時は男、あるときは女」という二重性別を認めないのはおかしいなんて言い出す奴が現れかねません。

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  • 2023年3月3日号:ニュースに一言

    2023-03-03 16:17  
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    ●皆さんこんにちは、“人気”YouTuberの百田尚樹です。
    最近でこそ週刊誌連載の仕事が入り執筆に追われていますが、ここしばらくは書くよりしゃべる時間の方が長くなり「作家」を名乗るのが憚られ、すっかりYouTuberになってしまいました。そんなYouTuberは動画のジャンルよって分類されます。主に内政、外交についての「政治系」、パチンコ、パチスロや競馬などに特化した「ギャンブル系」、ネコやイヌのかわいらしい姿が満載の「ペット系」など、中には「炎上系」「迷惑系」など困ったものもあります。わたしはといえばコロナワクチンについてしゃべったと思ったら、そのすぐ後に大谷選手の話題、さらには漢字についてと思いつくまま気の向くまま何でもありですから、さしずめ「雑食系」といったところでしょうか。
    チャンネル登録者数100万人を超える「料理系」YouTuberの男性料理研究家が謝罪に追い込まれたという話題です。彼がいったい何を謝らなければならないようなことをしたのかというと、ツイッターでカレーのレシピを紹介した際に、その分量を「男性なら1人前、女性なら2人前分あります」と記したからと聞いて呆れてしまいました。批判者は「女性が少食とばかり思うな」「男女で飯の量勝手に決めないでくれ」と憤っているようですが、相手が料理研究家だからといってなんでも「食いついて」いいわけではありません。
    “一般”的に女性は男性に比べて体格が小さく、そのため食べる量も少なくなりがちです。もちろん例外的に大食いの女性もいます。しかし今回、彼が言ったのはあくまでも“一般”論であって、それがダメと言うのならもう何も言えなくなります。我こそが正義とばかりに因縁にも似た言葉狩りが蔓延する社会は窮屈で仕方がありません。
    分量といえば市販薬のパッケージに書かれている用法ほど不思議なものはありません。多くが大人は3錠、子供は2錠など大人と子供でその服用する量をわけているのです。大人は大きく、子供は小さいからというのはわかりますが、ともに20歳の大人で体重40㎏の小柄な女性と160㎏の力士が同じ3錠とはどう考えても不自然です。そういえば多くの人が副反応に悩まされたコロナワクチンも女性の方がその程度が重かったと聞きます。多分、男性と同じ接種量だったのでより強く反応したのでしょう。
    おっと、こんなことを言ったらまた「身体の大きな女性もいる」と噛みつかれかねません。くわばらくわばら。
     
     
    ●全国で相次いでいる強盗事件の捜査で犯人特定の有力な手がかりとなっているほか、犯罪の抑止力としても効果が期待できる防犯カメラですが、青森県で警察と住宅メーカーがその設置を進める協定を全国で初めて結んだというニュースがありました。これは青森県警察本部と大手住宅メーカーの大和ハウス工業北東北支社が締結したもので、今後1年間で大和ハウス工業が手掛ける青森県内の約100棟の住宅に防犯カメラを設置することとしており、手始めに青森市桜川地区で7月末までに着工する分譲住宅4棟に取り付けるそうです。分譲住宅には無条件で、注文住宅は購入者が希望した場合のみ設置するとのことですが、1台あたり10万円ほどの費用をメーカーが負担することもあり「いらない」という人はいないでしょう。
    防犯カメラのついた家は、その所有者の家族の生命財産を守るだけでなく、その地域の治安維持にも貢献できますのでこの取り組みはいいことだらけです。こんな前向きに市民や地域の安全安心のために官民がタッグを組むところがあると思えば、神奈川県川崎市は東京都に次いで新築住宅への太陽光パネル設置を義務付けたといいますから開いた口がふさがりません。
    電気代高騰の折、「太陽光発電で家計の節約が出来る」と喜ぶ人がいるかもしれませんが、それは大間違いです。太陽光は文字通り「太陽」がなければ発電できません。すなわち曇りの日や夜間は用を成さないのです。しかし電気は24時間必要です。そのため電力会社は莫大な費用をかけて予備電力を作らなければなりません。その費用はもちろん電気代に上乗せされます。ですから太陽光発電が増えれば増えるほど電気代は高くなるのです。政府が推し進めたこともあり「太陽光パネル」設置住宅は随分と増えました。そのたびに電気代の請求書の中の「再エネ発電賦課金」がアップしている事実から目を背けてはいけません。
     
     
    ●水道料金の値上げを議会に提案している松山市が、市内の全世帯およそ24万3000戸に配布した市民へ水道管の老朽化対策を訴えるための広報資料に掲載した水漏れ状態を示す写真が、老朽化とは全然関係ない交通事故によるものだったことが分かりました。その写真は路上に水が盛大に噴き出す様子を捉えたもので、それを見たほとんどの人は「こんなことになったら大変だ」と感じたことでしょう。間違いの指摘を受けた担当者は「これはあくまでもイメージ写真なので問題はなく訂正の予定はない」と見事なまでに開き直っていますが市民もなめられたものです。
    ライフラインと呼ばれるものの内、ガスや電気は料金が未納になるとすぐに止められてしまいますが、水だけは猶予が与えられます。それは水が人間にとって命にかかわる絶対に必要なものだからです。ですから料金がアップしたからといって「ほな、うちは結構ですわ」とならないだけでなく、水道管の老朽化が安定した供給の妨げになることはわかっていますので必要な値上げも受け入れます。しかし、その根拠を示す写真がニセモノだったのなら話は違います。さらにそれを指摘され謝罪がないのはもちろん、弁解のひとつもなく堂々と開き直られたのでは市民もさぞかし気分が悪いことだと思います。そもそも本当に老朽化して水漏れしているのだったら、それを写真に収めればいいだけでそうしないのはそんな場所が無かったのだろうと勘繰られても仕方がありません。
    市の総意ではない担当者たったひとりの発言だとは思いますが、市民にしたら簡単に水に流せないだけでなく不満が写真のように噴き出していることでしょう。
     
     
    ●山梨県の公立高校で実施された「情報技術検定試験」で教諭が生徒に解答のヒントを伝えたため、この教諭が試験監督を務めた教室で受験した生徒28人全員の結果が無効になったというニュースがありました。
    この資格試験は1月20日に行われ、同校の1年生約60人が2教室に分かれ受験しましたが、そのうちの1教室の試験監督を務めていた男性教諭が試験中に少なくとも6人の生徒に口頭でヒントを伝えていたというのです。試験は言うまでもなく自分一人の力でするものです。カンニングがダメなのはその行為をする時点で他者(物)の力を借りることになるからです。それを指導的立場にある教諭がするなんて困ったものです。
    普段通っている学校で実施された資格試験ですから、受験生と監督は顔見知りです。いやそれどころか直接担任している生徒だったのかもしれません。かわいい教え子が解答に苦慮しているのを見ていたたまれなかったのか、あるいは合格率を上げて自身の評価を高めようとしたのかはわかりませんが、いずれにせよ試験という最も公正であるべきものを冒涜したことは間違いありません。
    それにしても解せないのはなぜ「ヒントを伝えた」なのでしょう。どちらにせよ不正なのですから一思いに答えを教えても良かったのに。もし彼の中に「教えるのはアウトだが、ヒントだけならぎりぎりセーフ」との思いがあったとしたら、これほど愚かな教員はいません。ヒントを与えられ解答を導き出した受験生は仕方がないとして、かわいそうなのはそれまで一所懸命準備して試験に臨み合格ラインを超えていたのに、その教室にいたというだけで採点対象外とされた受験生です。校長は今回の決定を「苦渋の決断だった。生徒にはカウンセリングを実施するなど、できる限りの対応をしたい」と語っていますが“苦汁”を飲まされた生徒は堪ったものではありません。
     
     
    ●「二重国籍が認められないのは個人の尊重などを定めた憲法に違反する」と訴えたものの敗訴した“元日本人” 8人が納得せずに控訴していた裁判で、東京高等裁判所は1審に続いて訴えを退け二重国籍を持つことを認めなかったというニュースがありました。
    この8人はスイスやリヒテンシュタインに住み現地の国籍を取得したために日本国籍を失っていました。日本の国籍法は外国の国籍を自らの希望で取得すると日本国籍を失うと規定しており、複数の国籍を持つことを認めていませんので当然の結果です。この法律の中で重要なのは“自らの希望で”というところでしょう。国はなにもしていない日本人から無理やり日本国籍を剥奪したわけではありません。“自らの希望で”他国籍を選んだ人を規定通り日本国籍から外しただけです。それを「憲法違反」だなんてどこまで個人の尊重を拡大解釈すれば気が済むのでしょう。
    一方で国は他国の国籍に変更する自由も認めています。「お前が外国人になるのはまかりならん」と日本国籍に縛り付けることはありません。これ以上の「個人の尊重」があるでしょうか。わたしは国籍は1つに限定するべきだと思っています。なぜなら国家はその構成員たる国民を絶対的に守るものだからです。日常生活上での保障はもちろん、たとえば紛争地帯に勝手に赴きテロ組織に捕らえられ人質になるという非日常的な事態にも、国は「それは自己責任だから」と見放すようなことはせず救出に全力を尽くします。その代わりに国民は国家に忠誠を誓うのですが、仮に二重国籍の二国が戦闘状態になった場合そこに矛盾が生じます。権利と義務は表裏一体ですが、往々にして権利ばかりを主張する風潮が強くなっているのはいただけません。
    いま国会ではLGBT法案なる珍妙な法律を作ろうとしています。これが通れば普通に考えれば認められないとすぐにわかるにもかかわらず「二重国籍を認めろ」なんて言う人たちがいるくらいですから、そのうち「ある時は男、あるときは女」という二重性別を認めないのはおかしいなんて言い出す奴が現れかねません。

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