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記事 367件
  • 2023年6月2日号:ニュースに一言

    2023-06-02 07:00  
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    ●アメリカの空港で客の女性が荷物の重量計にのせられたというニュースがありました。
    飛行機を利用する際、機内の貨物室に預ける荷物は必ずカウンターでその重量をチェックされます。それは荷物を飛行機の前後左右にバランスよく配置し安全に運航するためです。バランスが必要なのは客室の搭乗客も同じです。現代ではインターネットで座席予約することがほとんどですが、もし右側席ばかりに予約が集中した場合、航空会社は空席であっても残りの右側席を予約不可として左側を優先的に埋めるようにします。それほど飛行機にとってバランスは重要なのです。
    今回の女性はチェックインする際、係員から体重を尋ねられ「130ポンド(約59キロ)」と答えました。この記事には秤にのる女性の姿が添付されていますが、そこには100キロは優に超えているであろうと思われる大柄な女性がいました。
    100人以上が乗る大きな飛行機なら人間1人の重さなんてたいして問題にはなりませんが、残念ながら彼女の搭乗機は小型機でしたからその影響は大です。係員は女性が大柄だからといって搭乗を拒否したのではありません。ただ、安全に座る位置を決めるために正確な体重を知りたかっただけです。どう見ても130ポンドに見えない女性に対し係員は「本当の体重を教えてください」と再三お願いしましたが、女性は「130ポンドよ」と頑としてゆずりません。そこで仕方なく「それでは、この重量計に乗ってください」となったのですが、そんな女性の姿を周囲の人たちは、気を遣って見ないようにしていたといいます。
    一連の様子を撮影した動画を見た人たちからは「これは屈辱的すぎる」、「プラスサイズの乗客に対する差別」など航空会社の対応を批判する声があったようですが、航空会社にとっての最優先事項は安全運航ですから、一切の責任がない“外野”の言う差別なんて気にすることはありません。妙に“人権意識”を尊重するあまり130ポンド(ウソにきまっている)を鵜呑みにしてバランスの崩れた飛行機に乗せられる同乗者は堪ったものではありません。
    それにしても、命よりも自身の本当の体重を秘密にすることを優先する“女ごころ”の重さには恐れ入ります。
     
     
    ●兵庫県姫路市が、本来は1割引きとするところを誤って無料と表記した姫路セントラルパークの入園割引券を配っていたというニュースがありました。姫路セントラルパークは車に乗ったまま放し飼いの野生動物を見ることができる「サファリーゾーン」や若者が大喜びの絶叫マシン満載の「遊園地ゾーン」、そして夏場には全長100メートルのウォータースライダーを含む3つの巨大プール、さらに冬場にはアイススケートリンクが開設されるなど、まさに老若男女が楽しめる巨大娯楽施設です。
    そんな施設の入場料が1割引きから10割引きになってしまったのですから大変です。この割引券は2020年度に、市の魅力を発信するふるさと大使や姫路検定の合格者へ姫路城の入城券などとともに渡されたもので、そのうち誤った記載のものは723枚でした。同パークは元々の1割引分を負担することになっていましたが、まさか全額を被らされることになるなんてさぞかし慌てたことでしょう。セントラルパークの通常入場料は基本3600円ですから最大260万円以上の高額負担となります。
    そして今年3月、その割引券(無料券)の有効期間が終わりました。果たしてその結果は・・・。63人が無料で入場していました。ミスをした市が本来の1割引きとの差額、約20万円をセントラルパークに支払うことで一件落着となりましたが、それにしても券をもらった人の1割以下しかタダでも来場しなかったなんて、負担額が予測を大幅に下回ったのはいいとして、この結末は喜ぶべきか悲しむべきか。
     
     
    ●自身の事務所の賃料を政務活動費から支払っていたことを指摘され、全額を返還した78歳の愛知県会議員が愛知県を提訴したというニュースがありました。
    この県議は妻が経営する会社から事務所を借り、2017~21年度の5年間にわたってその賃料およそ370万円を政務活動費から支払っていました。今年2月、これを問題視した住民から監査請求が出され、愛知県の監査委員が「親族の法人に事務所の賃料を計上することは認められない」と県に返還を求めるよう勧告したことで全額を返還していました。それを今になって「返還には法的理由がなかった」として返金した全額の支払いを求めるのですからわけがわかりません。
    県議の言い分は「親族の経営する会社から事務所を借りてはいけないなんて決まりはない」「愛知県は当初、政活費からの支払いについて問題ないとしていながら、勧告が出た途端に急に返還を命じた。だから自分には非がない」それにもかかわらず返還したとなれば「悪を認めたことになる」というものですが、一度返還したというのは自身が間違っていたことを“認めた”からではないのですか。
    さらに「返還を拒んだらどうなるのかなと考えた。4月の県議選の前だったし、立ち止まって考える時間がなかった」となると、「返還拒否は選挙に不利になる、当選さえしたらこっちのもの」と言っているのと同じで愛知県の有権者もなめられたものです。こんな人物が13期、78歳になるまで議員を続けていたなんて呆れてものが言えません。
    彼は「悪を認めた形になってしまったことがとても心外で不名誉なことだった。名誉を回復したい」と言っていますが、悪を認めて償う(今回の場合は全額返還)ことは決して不名誉なことでなく、悪を認めず悪あがきすることこそ最も不名誉なことだと気付いていないようです。
    「名誉を回復したい」・・・。そもそも、真っ当な考えを持たないこんな厚顔無恥な県議に回復するような名誉は端からありません。
     
     
    ●公共交通機関で最も大事なことは乗客を安全に目的地まで運ぶことです。JR大阪駅でドアが開いたままの電車が10メートルほど移動したというニュースがありました。これは午後4時53分といいますから帰宅ラッシュの少し前です。京都発西明石行きの7両編成の普通電車がホームに停車していた際に、列車のホーム側のドアを全て開けたまま動き出したものです。列車には約350人が乗車していましたが、駅に設置されているホームドアが閉まっていた、またごく遅い速度だったためけが人が出なかったことは幸いでした。
    大阪駅といえば西日本最大級の駅で1日の乗降客も多く、また駅員も多く配置されています。そんな駅でのあってはならない出来事の原因が、本来ドアが閉まったことを確認して運転士に「出発合図」を送るべきところをそうしなかった車掌のミス。さらにドアが閉まったことを示すランプを確認してからブレーキを解除すべきところをそうしなかった運転士のミス、と2つの人為的ミスだったとはお粗末なことこの上ありません。
    JR西日本によりますと、電車はドアが開いていると車のアクセルにあたる運転動作が出来ない仕組みになっているそうですが、大阪駅の線路には東から西へわずかに傾斜があったため運転士がブレーキを緩めたとたん神戸側へとゆっくり移動を始めてしまったということです。今回の事故で、“アクセルが作動しない”ではなく“ブレーキが解除されない”ものでなければ列車が動かないという安全装置の目的が達せられないことがわかりました。JRは再発防止のために指導を徹底するとしていますが、どれだけ注意しても「人間は必ずミスをする」ならば、もはや機械にすべてを任せるしかないのかもしれません。
    地上を走る電車でも扉が開いたままだと怖いものですが、それが空の上だったとしたら・・・。韓国・済州空港を出発して大邱空港に向かっていたアシアナ航空の旅客機の扉が飛行中に突然開くというトラブルが発生しました。間もなく目的地の大邱空港に着陸するというとき、非常口横に座っていた30代の男がいきなり開閉レバーを引いて扉を開けたのですから強風が吹き込んだ機内は大パニックになりました。通常、空の高い位置を飛ぶ旅客機の扉は気圧の関係で開くことはありません。しかし、今回は着陸準備が整い高度も200メートルほどに下がっていましたので大した圧力もかかっていなかったのでしょう。同機は扉が開いたままの状態で滑走路に降り立ちましたが、幸いにも着陸直前ということで全員がシートベルトをしていたこともあり194人の乗客誰ひとり機外に放り出されることもなく全員が無事だったのはなによりでした。
    男がどういう意図で扉を開けたのかは明らかになっていませんが、ものが“非常口”だけに機械的にロックを施し誰でも簡単に開けることができないようにしたら本当の非常時に用を成しませんので、根本的な解決策はなかなか見つかりません。
    わたしたちは普段、安全が当たり前のように交通機関を利用していますが、悪意のあるなしに関わらず危険はすぐそこにあることに気付かされたふたつのニュースでした。
     
     
    ●大分市の中学校で昼食の時間中、生徒3人が校内放送で国歌『君が代』を流したことに対し、教師が「ふさわしくない」と指導したというニュースがありました。この学校では普段の昼食時に生徒が選んだポップ系の音楽を流していましたが、その日は放送時間が余ったため、生徒の判断で『君が代』を使用したということです。気づいた教師が放送室に駆け込み「ふさわしくない」と指導しましたが、3人のうち一年の男子生徒1人がその場で膝をついてうずくまり体調不良を訴えたことからも、それは“指導”という名の“叱責”だったことは明らかです。
    学校側は「生徒が悪ふざけで『君が代』を流したわけではないと思われるが、昼食の時間はふさわしくない。教師の指導も適切だった」と説明していますが意味が分かりません。「国歌に敬意をはらわずふざけていたから叱った」のなら理解できますが、そうでないのなら何を咎めることがあるのでしょう。たとえ流したのがアメリカ国歌、フランス国歌だったとしても何ら問題はありません。ましてや“日本”の学校の“日本”の生徒が“日本”の国歌を流すことをふさわしくないと言う方がよほど間違っています。これでは海上自衛隊の艦船の旭日旗に対しいちゃもんをつける反日国となんら変わりません。生徒より学校の方こそ“指導”を受けるべきです。
    わたしの学生時代には校内放送から流れてくる曲といえば、クラッシックやフォークソングなど音楽の授業で習うものばかりでしたが、ポップ系など生徒の好きなものをかけられるなんて素晴らしい時代になりました。それだけ生徒の自主性、多様性が認められている中での今回のニュースは残念でなりません。国家が国民に対して行なう教育の第一歩は愛国心を育むことから始まります。ですから、その芽を踏み潰すような反日教師は“日本”の学校にいてもらっては困るのです。非常に不愉快で納得のいかないニュースでしたが、唯一放送室の生徒の手の届く位置に『君が代』の音源があったことだけは日本人として嬉しく思いました。

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  • 2023年5月27日号:ニュースに一言

    2023-05-27 15:11  
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    ●女装して浜松市の銭湯の女性用脱衣所に侵入した愛知県春日井市に住む42歳の無職の男が逮捕されたというニュースがありました。この男は長髪のカツラにスカートをはいて午後2時から午後9時ごろまでといいますから、なんと7時間もの長時間にわたってスーパー銭湯の女性用脱衣所にへばりつき訪れた女性客の裸を見つめ続けていたのです。
    昔ながらの普通の風呂屋なら脱衣場もさほど広くなく、さらに番台のおばちゃんの目が届いていますのでいつまでも洗い場に向かわなければすぐに入浴が目的ではないと見破られてしまいます。しかし、スーパー銭湯は脱衣所も広く利用客も多いので受付さえ通過できればよほど目立った動きをしない限り不審者とはわかりません。それで7時間もバレずに居続けられたのですがさすがに長すぎました。
    脱衣所で服を脱ぎ、浴場に進み洗い場からジェットバス、サウナに露天風呂、打たせ湯から最後に電気風呂まで楽しんで出てくると、相も変わらずきっちりと服を着たままの“女”がキョロキョロあたりを見回していたら、いくらなんでも「なんだ、あの女は」となります。女装男も本当は浴場に入りたかったのでしょうが、いかに完璧な女装だったとしてもチンチンは隠せませんので脱衣所に留まっていたのでしょう。それで銭湯の関係者が警察に通報して事件が発覚したのです。本来、男子禁制の女湯に正当な理由もなく忍び込んだ男は建造物侵入の疑いで逮捕され一件落着となりました。
    ところがです!自民党は同じニュースを
    【愛知県春日井市に住む42歳の無職の男が女装して浜松市の銭湯の女性脱衣所に侵入したというニュースがありました。この男はカツラとスカートを着用してスーパー銭湯の女性用脱衣所に陣取り、7時間も他の女性入浴客の裸を見ていました。男じゃないかと不審に感じた従業員が警察に通報したところ、カツラをかぶった男は「わたしの心は女よ、女湯に入って何が悪いの」と叫び出しました。駆け付けた警官は“彼女”の言い分には非がないとして、通報した従業員をLGBT理解増進法違反で逮捕しました。その後、国家からお墨付きを得た“彼女”はチンチンをブラブラさせながらゆっくりと入浴を楽しみました。】
    という報道になるようにしているのです。なんとおぞましいことでしょう。
    こんなものはLGBTへの理解を増進するどころか、嫌悪感を増大させるものにしかなりません。いったいこの法律の目的は何なのか・・・。
     
     
    ●愛知県警中署に20歳の女子大生が詐欺容疑で逮捕されたというニュースがありました。オレオレ詐欺などの特殊詐欺のニュースを見ない日はありません。その実行犯とされる“受け子”には若者が利用されるケースが多々あり、自身も騙されながら詐欺の片棒を担ぐなんてこともあるようで、今回もそうかと思いきや今回の女の詐欺はそんな組織的なものではなく、昔からある自身の“女”を最大限に利用した色仕掛けのものでした。
    警察の発表によりますと女は5月上旬、マッチングアプリで知り合った知立市の43歳の会社員男性に、アダルトビデオの出演をキャンセルするのに違約金がかかる旨のメッセージを送り、現金300万円をだまし取っていました。彼女は2月頃から「ムラカミカナ」の偽名を名乗り男性とメッセージのやり取りや食事をし、しっかり男性を虜にしていたようです。偽名を使っていたことからも最初から金目当て近づいたことは明らかです。そして、相手がすっかり自分に夢中になったころを見計らって「実は困っているの・・・」ですから弱冠20歳とは思えない手練手管です。
    かわいそうなのは男性です。大好きな女性がまさか自分を騙しているとは気付かず言われるままに大金を用意してしまったのですから。少しの冷静さがあったら映画スター並の男前か大金持ち以外の40男が20歳の女子大生に好かれるなんてありえないとわかったはずなのに、それがわからないのが「恋は盲目」といわれる所以なのでしょうか。
    しかし、“してやったり”の女は最後に大逆転を食らうのです。彼女のことを本当に好きだった男性はお金を渡しただけではトラブルに巻き込まれている彼女を守れないと考え、警察に相談したのです。話を聞いた警察はすぐに男性が騙されていると気付き女を逮捕しました。金を騙し取るために好きにさせたのはいいが、あまりにも本気にさせたことで墓穴を掘ったことは痛快ですが、男性の心情を察するとなんともせつない事件でした。
     
     
    ●明日の生活にも困った人が、「刑務所に入れば雨風がしのげるだけでなく三食が保障される」と考え罪を犯すことは聞いたことがありますが、その過程をすっ飛ばしいきなり物理的に入り込むというとんでもない男が現れました。
    京都拘置所に侵入したとして、京都府警伏見署が建造物侵入の疑いで、京都市東山区に住む28歳の無職の男を逮捕したというニュースがありました。この男は「仕事を辞めてやけになっていた」とそそり立つ拘置所の塀を乗り越えるのですからわけがわかりません。どうやら彼は「もう何もかも終わりや」と思ったものの「死ぬのもイヤ、生きていればお腹もすく」と最も手っ取り早く面倒をみてくれる国の施設として拘置所を選んだようです。
    ちなみに刑務所が刑の確定した受刑者が収監されるのに対し、拘置所は主として刑事裁判が確定していない未決拘禁者を収容する施設です。ですから懲役刑として刑務所に入ればなんらかの仕事をさせられるのに対し、刑が確定していない拘置所の収容者には刑務作業はありません。彼が作業をしたくないから刑務所ではなく拘置所を選らんだのかどうかは定かでありませんが、あまりにも短絡的に犯罪者収容施設に逃げ込もうとする性根には呆れるばかりです。
    やけになるほどの仕事を辞めた理由はわかりませんが、身体も動かなければ頭もぼけた老い先短い身じゃあるまいし、28歳の若さという絶対的な武器を持っているのですから、これからいくらでも自身の力で未来を切り拓いていけたはずです。それなのに一時の感情で前科者となり自ら未来を狭めてしまったのは残念でなりません。それにしてもこのニュースで一番心配に思うのは拘置所の警備が大丈夫なのかということです。これほどまでに簡単に侵入を許すということは、逆も真なりで簡単に脱出できるとしたら困ったものです。
     
     
    ●兵庫県芦屋市消防本部が、30歳の男性消防士長と25歳の女性消防士を停職2ヶ月の懲戒処分にしたというニュースがありました。この2人は2022年7月から11月にかけて、月に1~3回、あろうことか夜間の仮眠時間中に消防署内の仮眠室やトレーニングルーム、会議室など複数箇所で性行為を行っていたといいますから呆れます。仮眠時間中にもかかわらず寝る間も惜しんで“ホース”を握って真夜中の消火訓練をしていたとはなんと素晴らしい・・・なんてことはもちろんなく、火を消すプロが自身の中に灯った小さな炎を消すどころか逆に燃え上がらせるのですから困ったものです。
    この2人は人事異動で同じ係りになりそれから親しくなったそうですが、その行為が一度や二度でなく夜勤のたびに毎回となればもう紛れもなく恋人同士といってもいいでしょう。好き同士がどんなプレイをしようが自由ですが、仮眠時間とはいえ勤務中だということを忘れては困ります。万一119番通報があったらどうするつもりだったのでしょうか。まさか真っ裸の上に消防服を着て出動するつもりだったのでしょうか。
    発覚は今年2月の職員からの通報によるものですが、その4日後にこの女性消防士が上司の部屋に入るとそこに自身の性行為を告発するメモ書きを見つけたそうです。すぐさま否定するとともに、そのメモをスマホで撮影し相手男性に送信したそうですが、その際に今回処分された男性以外の2人の同僚にも同時送信したといいますからわけが分かりません。まさか、女性は3人と付き合っていてメモの示す相手が誰だかわからなかったので、とりあえず心当たり全員に送ったのかも。
    消防本部の発表ではプライバシー保護のため消防署の特定はしておりませんが、2ヶ月も出勤しなければ同じ職場の人たちにバレることは間違いないでしょう。次に出勤するときにいったいどんな顔をして出てくることやら、彼らが純粋な恋人同士だとしたらなんだかかわいそうな気もします。もっとも、停職で消防服を着ることもないこれからの2ヶ月間を彼らが存分に楽しむとしたら、果たしてこれは懲戒なのかという疑問は残りますが。
     
     
    ●カラオケパブのオーナー女性を殺害した罪に問われ、懲役20年の有罪判決を受けた男の控訴審が始まり、弁護側が改めて無罪を主張したというニュースがありました。
    この事件は57歳の被告が2021年6月、大阪・天満のカラオケパブを経営していた当時25歳の女性オーナーの顔や胸などを10カ所以上も刃物で刺し殺害したものです。一審の審理の過程で被告は、被害者が以前に勤めていた飲食店の常連客で、その後に独立してオープンした店にも頻繁に出入りし、嫌がる被害者に異常なまでの執着をみせ執拗に追いかけたうえでの犯行が明らかになりました。一分の落ち度もない被害者を一方的に殺害した絶対に許せない犯行の裁判で、この被告は一貫して黙秘を続けるなどまったく反省の色を見せない一方で「判決は死刑をお願いします」と異例の主張をするなど被害者遺族の神経を逆なでするかのような行動をとっていました。わたしからしたら検察が求刑した無期懲役でも軽すぎだと思います。検察は「被害者は1人だけだから」なのでしょうが、人数なんて関係なしに被告のやったことが万死に値すると考える市民は少なくないはずです。それが懲役20年とさらに軽減されたのに「懲役20年は重すぎる」なんていったいどの口が言うのでしょう。
    さらに弁護士が主張する無罪には耳を疑います。被告が自ら死刑を望むほか、あらゆる証拠からこの被告が実際に被害者を殺したのは間違いありません。それを無罪(やっていない)なんてどういう神経をしているのでしょう。
    弁護士といえば一般的に市民、弱者の見方とされていますが、彼らの正義は裁判での勝ち負けだけで私たちが思う正義とは大きな隔たりがあるようです。弁護士はなにかと言うと犯罪者にも人権がある(わたしは善良な市民の命という人権の根幹を奪った殺人者に人権はないと考えますが)と主張しますが、あまりにそれが強すぎると市民の信頼を失うばかりです。白いものはあくまでも白。黒いものはどうやっても黒。それらをいかにテクニックで変えようとしても本質は絶対に変わりません。真実はひとつで十分です。

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  • 2023年5月19日号:ニュースに一言

    2023-05-19 13:15  
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    ●日本の鉄道の定時運行率(どれだけ決められた時間通り運行しているか)は90%以上と圧倒的に世界一です。電車に乗りさえすれば時刻表通りに目的地に到着できるのですからスケジュールの立てやすいことこの上ありません。逆にそれほど信頼されている定時運行がひとたび乱れたときには、当たり前のように次の予定を組んでいる多くの人に迷惑がかかります。ですからプライドある鉄道員にとって列車遅延は絶対に許せないことでしょう。ましてやその原因がたったひとりのバカ者によるものだったとしたら怒り心頭になること間違いありません。
    宮城県大崎市に住む37歳の会社員の男が偽計業務妨害容疑で逮捕されたというニュースがありました。なんとこの男はJR陸羽東線の古川駅と塚目駅の間にある踏切で「立ち往生している人がいる」、「遮断機が下りない」などの緊急事態でないにも関わらず非常停止ボタンを押したといいますからわけがわかりません。
    踏切で非常ボタンが押されると、安全のために付近を走行中の列車は一斉に緊急停止します。そしてそれは全ての安全が確認されるまで続くのです。足止めを食った乗客の中には危篤の親族の元に急ぐ人や大切な商談を抱えた人もいたことでしょう。それをこんな愚か者に邪魔されたのでは堪ったものではありません。この踏切ではここしばらく同じような事案が4回も発生しており警察が見張っていました。そこにのこのこ現れて5回目の犯行に及んだわけですが、毎回毎回緊急停止させられたJRは模倣犯を防ぐためにもしっかりと損害賠償を請求するべきです。
    警察の調べに対し男は「非常停止ボタンを押したときの音を聞きたかった」と話しているそうですが、まるでワンマンバスで“ピンポン”を聞きたいがために降車ボタンを押したがる幼稚園児並みです。子供のわがままを37歳にもなって続けている救いようのない彼には踏切での「カン・カン・カン」は「あカン・あカン・あカン」だとしっかりと教え込まなければなりません。
     
     
    ●北海道小樽市の住宅で、入浴中の60代女性が浴槽から出られなくなり消防が出動して救助されたというニュースがありました。
    消防の話では、5月16日午後6時ごろ「高齢の女性が湯船にはまり抜け出せない」と家族から通報があり隊員が駆けつけると、そこに長方形の浴槽の長辺を背にして身動きがとれない状態の大柄な女性がいたということです。意識がなくぐったりしているわけでも、酔っぱらって足腰が立たないわけでもなく本人は立ち上がって湯船から出たいにもかかわらず、びっちりはまり込んで出られない女性を消防隊員は数人がかりで引っぱり出し、ようやく救出任務完了となりました。
    危険はどこに潜んでいるか分からないとは言われますが、まさか慣れ親しんだ自宅の風呂でそんなことが起きるなんて恐怖でしかありません。多分ちょっとしたはずみできっかりと型にはまってしまったのでしょうが、偶然とは本当に恐ろしいものです。
    そして今回のニュースで気になったのは家族の通報です。女性は60代ですが“高齢の”とされました。67歳のわたしもなんらかの事件に巻き込まれたら「高齢男性が・・・」と書かれるのでしょうか。たしかに前期高齢者に間違いはありませんが、あらためて言われるといつまでも若いつもりの身としては複雑な想いがします。それにしても今回の女性はさぞかし恥ずかしかったことでしょう。なにしろ入浴中の出来事でしたからもちろん素っ裸です。それを家族以外の人、それも男性に見られるなんて。さらにその原因が太り過ぎなのですから。
    彼女は痩せる思いで救急隊の到着を待ったことでしょうが、無事救出された今、“思い”ではなく本当に痩せねばと思っていることでしょう。
     
     
    ●我が国の運転免許制度では違反点数により免許停止や免許取り消しの処分が下されます。少しの速度違反やシートベルト未着用などの比較的軽い違反ならそれを複数回繰り返すことにより、また飲酒運転などの重大違反にはそれ一発で免停や免取りとなります。そして免停の前歴や累積点数が上限に達すると「免許取り消し」を前提とした聴聞会が開かれるのですが、これは対象者に「取り消しの前に最後に言いたいことがあれば言え」というもので、出席者はなんとか取り消しを免れようと「免許がなくなったら仕事に困ります」「わたしには病院の送り迎えが必要な年老いた親がいます」など同情を買おうと必死になります。しかし“聴聞”会なんて名ばかりで大抵は問答無用に取り消しとなるのです。
    ただ「情けは人のためならず」のことわざ通り、人命救助に貢献した人に授与される紅綬褒章や警察からの感謝状を持参すれば「今回だけは・・・」になることもあるようです。ほかに有効なのは事故の場合の嘆願書です。これは被害者が「わたしは加害者の処罰を望みません、許してあげてください」と申し出るもので「被害者がそこまで言うなら・・・」となります。
    交通違反による処分を軽減する目的で事故の被害者の嘆願書を偽造した神奈川県厚木市に住む44歳の男性会社員が有印私文書偽造・同行使の疑いで書類送検されたというニュースがありました。この男性は2022年11月、車を運転中に原付きバイクに追突して運転者に全治3カ月の重傷を負わせました。重大人身事故です。この事故により違反行為の点数が免許取り消し処分の基準に達した男性は、本来なら被害者に慰謝料を支払い「何卒、よろしくお願いします」と書いてもらう聴聞会に提出するための嘆願書を、あろうことか自分で手書きして持参したといいますから呆れます。
    しかし、悪いことはできません。すぐさまそれが偽造だと見破られてしまいました。なぜなら彼が書いた被害者の署名の漢字が違っていたからです。どこの世界に自分の名前を間違える人がいるでしょう。浅はかな考えと漢字が書けない無教養が免許取り消しだけで済んでいたものを、3月以上5年以下の懲役という刑法犯にしてしまいました。運転免許が取り消されると、欠格期間が定められすぐには再取得できません。男性は偽造の理由を「免許がなくなったら仕事ができなくなる」としていましたが、捕まって丁度良かったのかもしれません。なぜなら欠格期間中を刑務所で過ごすことにより、免許がなくても十分に働くことができるようになったのですから。
     
     
    ●そして、免許取り消し処分になった時、「運転免許がなければ運転してはいけない」こんな当たり前のことがなぜわからないのでしょう。兵庫県警葺合署に神戸市須磨区に住む42歳の自営業の男が、有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕されたというニュースがありました。この男は2017年3月に交通違反を繰り返したため運転免許の取り消し処分を受けていたにもかかわらず車を運転し、2019年9月に歩行者妨害で捕まりました。その際、警察官が免許の提示を求めましたが当然そんなものは持っていません。そこで「家に置いてきた」と言ったうえで元同僚の名前と生年月日で署名や指印まで行ったといいますからとんでもない男です。
    そんな男の悪事が3年以上も経った今になりどうして発覚したのかというと、それは名前を使われた元同僚に免許更新の時期が訪れたからです。免許更新時には必ず運転講習が課せられますが、その時間は無事故無違反の優良ドライバーには30分だけ、軽微な違反だけなら1時間、免停を繰り返しているような悪質ドライバーには2時間というように違反状況によって異なります。この元同僚は更新を知らせるはがきに思い当たらない違反者講習の表記があったため警察に問い合わせたのです。もし彼が違反常習者だったら気付かなかったかもしれないと思うと、不携帯時に違反者の申告をそのまま信用する現行のやり方はすぐにでも改善する必要があります。いまでも警察官は無線で本部にあるホストコンピューターの免許情報を確認しているでしょうが、警察署に連行することもなく現場だけでの処理では抜け穴だらけです。
    今回の容疑者のようにその場さえごまかせばいいのなら、あと1点で免停になるときに違反をしても双子の兄弟さえいればいくらでも逃げられるでしょう。なにしろ住所はもちろん生年月日も同じ、さらに顔までもが一緒なのですから。
     
     
    ●TBSがテレビ番組の中で、実在しない「新潟県燕三条市」という地名を放送したことに対し視聴者から「燕三条市なんてありません」「ちゃんと確認してください」と指摘や批判が寄せられているというニュースがありました。
    この番組は日本の会社を紹介するもので、その際に工場の所在地を「新潟県燕三条市」とするテロップを表示していました。しかし実際にその新潟工場があるのは加茂市で、そもそも新潟県には「燕市」と「三条市」は存在しますが、「燕三条市」なんて無かったのです。担当者が平成の大合併で「燕市」と「三条市」が1つになったと思っていた、あるいはJRの駅名が「燕三条駅」ですから市の名前も同じだと思ったのかはわかりませんが、いずれにしても随分いい加減な仕事です。
    テレビ番組を作るとき放送内容に誤りがないようにするのは当たり前のことです。特にクイズ番組は慎重の上にも慎重を重ねます。放送作家が作った問題に対し、チェッカーと呼ばれる確認担当者が「その問題に不自然さはないか」「答えは間違っていないか」「答えは1つだけか」をあらゆる角度から確かめます。たとえば【自動車の仕組みでFFは「前輪駆動(ぜんりんくどう)」のことですが、では4WDとはなんのことでしょう?】という問題に対し、回答者が同じく「ぜんりんくどう」と答えたとしましょう。番組は「4輪駆動(よんりんくどう)」という答えを期待していますので判定は当然“ブー”となります。しかし彼が「ぜんりん」を全輪の意味で答えていたとしたら果たして不正解と言い切れるのでしょうか。これでこの問題はボツとなります。出場者と同じようにテレビの前で答えを考えている視聴者に絶対にツッコまれることがないよう細心の注意をはらうのです。
    それにくらべて今回の件はバラエティー番組とはいえ、あまりにも緊張感が無さ過ぎます。自信満々に講釈を垂れている人が「その根拠は」と問われて「テレビで言っていたから」と答えることは少なくありません。それほど多くの人はテレビで放送されることに間違いはないと思っているのです。それだけにテレビマンには誇りと責任を持った仕事をしてもらいたいものです。と、言ったところで現代のテレビは自分たちの都合のいい方向に視聴者を誘導するためには真実を捻じ曲げる事なんてなんとも思っていませんので、なにを言おうが「馬の耳に念仏」でしょう。
    いまやテレビに正義を求めることは自体が無理なのです。

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  • 2023年5月12日号:ニュースに一言

    2023-05-12 07:00  
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    ●ゴールデンウィーク(GW)真っ只中です。今年は5月の1、2日に有休を取り最長9連休にした方もいたようで、コロナ禍で行動を制限されたこの3年間の鬱憤を晴らそうと各地の行楽地はどこも結構な賑わいをみせています。GWはまとまった休みの取りにくい日本のサラリーマンにとって貴重な長期休暇ですから存分に楽しんでもらいたいものです。
    わたしはといえば自分の思い次第でダイヤモンドマンスにもプラチナイヤーにもできる生涯フリーランス生活ですからゴールデンウィークといっても普段となんら変わらぬ生活で、執筆(始まった週刊誌の連載やこのコラムなど)やYouTubeライブなどの仕事に励む毎日です。
    そんなGWの真っ只中に新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が共同通信のインタビューに対し「(コロナは)まだ普通の病気になっていない」と答えたというニュースがありました。まず、驚いたのは日本中が日常を取り戻しつつある現在、いまだに分科会があったということです。2020年初から日本国民を煽れるだけ煽り、結果的に全国にいる仲間の医者たちをぼろ儲けさせた分科会なんてとっくに解散したと思っていましたのに。さらにまだ儲け足りないのか、この期に及んでまだ「コロナが・・・」ですから呆れてものが言えません。
    会長は「ここにきてまた感染者が増えている」と言いますが、多くの人は「それがどうした」としか思わないでしょう。特別なリスクを抱えているひと以外、コロナを恐れなくてもいいことは周知の事実です。だからこそ人々はこぞって外出しているのです。そんな旅行者にとって会長の言葉はただの不愉快な雑音でしかありません。本当に危険を知らせる警鐘ならまだしも、自身の存在感を示すためだけにせっかくのGWに水を差すようなことはやめてもらいたいものです。
     
     
    ●兵庫県加古川市が昨年11月にJR加古川駅に設置した“ストリートピアノ”が、たったの半年間で撤去されたというニュースがありました。
    “ストリートピアノ”とは公共の場所に置かれた誰でも自由に弾くことのできるピアノで、音楽を通じて人々が繋がりあうことを目的として設置されたものです。誰でも自由にとはいっても「みんなのピアノ」ですから弾くにあたっては一定のルールがあります。人々が寝静まる時間に思い切り鍵盤を叩かれては堪りませんし、一人だけが朝から晩まで延々と占領していたのでは「みんなのピアノ」にはなりません。そこで加古川駅のピアノには弾いていいのは午前7時から午後9時までの間。また、1回の演奏は10分との決まりが定められました。
    しかし、制限時刻を過ぎても大音量の演奏を止めない、一人で1時間以上も弾き続けるなどのルール違反が頻発したため苦情が殺到し、やむなく撤去が決まったということです。中にはYouTubeにアップするため照明などの機材まで持ち込む人もいたようで、市が求めていた当初の目的とは大きく違ってしまったのですから撤去もやむを得ないところでしょう。
    ストリートピアノの弾き手にはプロのピアニストや音大生もいたはずで、彼らの演奏はそれだけで聴衆を楽しませることができますので苦情が来ることは少なかったと思われます。また、小さな子供がたどたどしい指使いで鍵盤を押さえてだす音も音楽としては未完成でも見ている者を笑顔にするに十分なものです。そんな場面を演出していた“ストリートピアノ”の撤去は残念なことです。
    音楽には二通りの楽しみ方があります。一つ目は聞いて楽しむこと、好きな歌やきれいな音色を聞くのは心地よいものです。二つ目は自らが歌ったり奏でたりして楽しむことです。「カラオケが嫌い」という人も人前で歌うのがいやなだけで、知らず知らずのうちに鼻歌をうたっていることはあるでしょう。また耳に入るリズムに合わせて手拍子をすることも演奏のひとつです。自分が楽しむために弾くのか、他人を楽しませるために弾くのか。その状況判断が的確にできる人ばかりなら今回の撤去はなかったでしょう。
     
     
    ●神奈川県警に勤務する38歳の巡査部長の男が、パチンコ店やコンビニエンスストアなどで女性への盗撮を繰り返していたとして神奈川県迷惑防止条例違反の疑いで書類送検されたというニュースがありました。
    男のスマートフォンからは、およそ30本の”盗撮”動画が見つかったといいますから完全な常習犯です。市民の安全を守るべき警察官が市民を狙うという言語道断な事件を起こしたこの巡査部長は、横浜市西区のパチンコ店でカバンの中に隠したスマホを19歳~32歳の女性従業員4人のスカートの中に差し向け、下着や太ももを盗撮したほか、コンビニでは34歳の女性客の背後から自分のスマホをスカートの中に差し向けて下着を撮影していました。
    この巡査部長の配属先は右翼団体などの動向を見張る公安二課で、犯行は非番の日に行なわれていましたが、ひょっとしたら彼は「右翼がスカートの中に潜んでいるかも」と思って独自に捜査していたのでしょうか。もちろんそんなことはあるわけもなく、調べに対し男は「きれいな女性の下着を見たい願望があった」と単純明快にその動機を話しています。しかし、この供述の解釈が実に難解です。彼はきれいな“女性”=美人な女性の下着を見たかったのか、あるいはきれいな女性の“下着”=花柄など、そのデザインが魅力的な下着を見たかったのか、はたまたまっさらの汚れていない下着(もっとも、パンツを覗き見するような変態は使用済みを好むので可能性は低いでしょうが)だったのかいまひとつわかりません。それとも、男は女性のパンツに果てしない憧れを抱いていて、それを見たいという願いに一糸の乱れもない=きれいな願望と言いたかったのか。日本語とは、まったくもって難しいものです。
     
     
    ●1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に侵入した男が散弾銃を発射し、そこにいた2人のうち当時29歳の記者が死亡し、もう1人が重傷を負うという事件が発生しました。事件後、「朝日新聞に天罰を下す」という赤報隊を名乗る犯行声明が届き、何者かが暴力によって朝日新聞の言論を封じようとしたことがわかりました。
    あれから36年、朝日新聞の紙面には毎年この日になると「テロには屈しない」との文字が躍ります。暴力によって自身の主義主張を通すことは絶対に認められません。理不尽なテロによって亡くなられた若き記者の方を想うと、さぞかし無念だったろうと同情の念を禁じ得ませんが、組織としての朝日新聞が「テロに・・・」と言うのにはいささかの違和感があります。なぜなら朝日新聞は昨年7月、選挙活動中にテロによる銃弾に倒れた安倍元総理を貶める記事を連日掲載し、多くの読者に誤った情報を流し続けていたからです。
    記事はテロそのものを責めるよりも犯人の過去に焦点を当て、その行動も安倍さんに責任があるから“仕方がない”という論調でした。彼らにとっては憎むべきテロより“安倍憎し”の思いのほうが強かったのでしょうが、仮にもマスメディアを標榜するのなら、それは絶対にしてはいけないことでした。朝日新聞のネガティブキャンペーンの際たるものは国葬儀のあった月の「朝日川柳」です。
    このコーナーは読者から投稿された川柳が7句掲載されるのですが、「銃弾が全て闇へと葬るか」「これでまたヤジの警備も強化され」など安倍氏を揶揄するものが次々と選ばれ、16日には「疑惑あった人が国葬そんな国」「死してなお税金使う野辺送り」「動機聞きゃテロじゃ無かったらしいです」など、なんと採用された7句すべてが安倍氏が銃撃されて死亡した事件や国葬を揶揄する内容でした。「いやいや、川柳は読者からの投稿です」といったところで、最終的に掲載したのは朝日新聞ですから知らないでは済みません。なによりも選者は元朝日新聞記者で在職中は朝日新聞の看板ともいえる「天声人語」を担当する等、まさに“朝日そのもの”とも言える人物でしたから、採用句は朝日新聞社自体の見解といってもいいでしょう。
    そんな新聞社に「テロは絶対に許さない」と言われてもまったく説得力はありません。
     
     
    ●4月14日、東京・新宿に超高層複合施設「東急歌舞伎町タワー」がオープンしました。このビルは高さ約225メートルの威容を誇る地上48階、地下5階の建物で、中には映画館や劇場、ライブホール、飲食店などが集まっており、戻りつつある外国人観光客などで連日にぎわっているそうです。ところがこの新人気スポットのトイレをめぐり、SNSなどで不安の声が相次いでいるというニュースがありました。
    普通のトイレは“男性用”と“女性用”の2ヶ所あるものですが、なんとこの「東急歌舞伎町タワー」の2階部分には“男性用”(小用のみ)”と性別に関係なく利用できる“ジェンダーレストイレ”しかないというのです。この階のトイレは入り口が左右に分かれており左側は男性の小便用トイレ、右側の入り口から進むとジェンダーレストイレ=5基、女性用トイレ=5基、男性用トイレ=2基、多目的トイレ=1基の4種類のトイレが同じ空間内に設置されています。計13基の個室は上下に隙間がなく密閉された構造となっており、それぞれのトイレの種類ごとに洗面台は共用となっているそうです。すなわちおしっこだけの男性以外は老若男女全員が右側に進むことになるのです。安全確保のために防犯カメラによるトイレ共用部の常時監視、高頻度の清掃、警備員による立哨警備(不審者がいないか立ったまま監視する警備)などを行なうとしていますが、場所が場所だけに「常に見られている」というのも気持ちのいいものではありません。
    トイレという最もプライベートな空間が女性にとって寸分も気の抜けない、また恐怖に感じる場所になることに誰も反対しなかったのが不思議でなりません。施設側は設置の理由を「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念でもある『誰一人取り残さない』ことに配慮したと言っていますが、そもそもSDGsの目的は人類がこれから先も『幸せに暮らしていく』ために定めた目標だったはずです。それを1%未満の人たちのために50%を占める人たちの安全を脅かそうとするのですから困ったものです。
    ただSDGsという言葉に酔っているだけで本質を完全に見失っています。こんな“ジェンダーレストイレ”は女性にとっては同じフロアにいながら使うことの出来ないなんとも“不便”な“便所”でしかありません。“男性用”“女性用”でなくどうしても“ジェンダーレストイレ”を作らなければならないのなら“女性用”と“ジェンダーレストイレ”にするべきでした。なぜなら女性は男性より間違いなく弱いので優先して守られるべきだからです。この考えを「女性蔑視」と批難するならすればいい。わたしはそんなことより全女性の安全安心を優先したいのです。

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  • 2023年5月7日号:ニュースに一言

    2023-05-07 07:00  
    102pt
    1
    ●ゴールデンウィーク(GW)真っ只中です。今年は5月の1、2日に有休を取り最長9連休にした方もいたようで、コロナ禍で行動を制限されたこの3年間の鬱憤を晴らそうと各地の行楽地はどこも結構な賑わいをみせています。GWはまとまった休みの取りにくい日本のサラリーマンにとって貴重な長期休暇ですから存分に楽しんでもらいたいものです。
    わたしはといえば自分の思い次第でダイヤモンドマンスにもプラチナイヤーにもできる生涯フリーランス生活ですからゴールデンウィークといっても普段となんら変わらぬ生活で、執筆(始まった週刊誌の連載やこのコラムなど)やYouTubeライブなどの仕事に励む毎日です。
    そんなGWの真っ只中に新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が共同通信のインタビューに対し「(コロナは)まだ普通の病気になっていない」と答えたというニュースがありました。まず、驚いたのは日本中が日常を取り戻しつつある現在、いまだに分科会があったということです。2020年初から日本国民を煽れるだけ煽り、結果的に全国にいる仲間の医者たちをぼろ儲けさせた分科会なんてとっくに解散したと思っていましたのに。さらにまだ儲け足りないのか、この期に及んでまだ「コロナが・・・」ですから呆れてものが言えません。
    会長は「ここにきてまた感染者が増えている」と言いますが、多くの人は「それがどうした」としか思わないでしょう。特別なリスクを抱えているひと以外、コロナを恐れなくてもいいことは周知の事実です。だからこそ人々はこぞって外出しているのです。そんな旅行者にとって会長の言葉はただの不愉快な雑音でしかありません。本当に危険を知らせる警鐘ならまだしも、自身の存在感を示すためだけにせっかくのGWに水を差すようなことはやめてもらいたいものです。
     
     
    ●兵庫県加古川市が昨年11月にJR加古川駅に設置した“ストリートピアノ”が、たったの半年間で撤去されたというニュースがありました。
    “ストリートピアノ”とは公共の場所に置かれた誰でも自由に弾くことのできるピアノで、音楽を通じて人々が繋がりあうことを目的として設置されたものです。誰でも自由にとはいっても「みんなのピアノ」ですから弾くにあたっては一定のルールがあります。人々が寝静まる時間に思い切り鍵盤を叩かれては堪りませんし、一人だけが朝から晩まで延々と占領していたのでは「みんなのピアノ」にはなりません。そこで加古川駅のピアノには弾いていいのは午前7時から午後9時までの間。また、1回の演奏は10分との決まりが定められました。
    しかし、制限時刻を過ぎても大音量の演奏を止めない、一人で1時間以上も弾き続けるなどのルール違反が頻発したため苦情が殺到し、やむなく撤去が決まったということです。中にはYouTubeにアップするため照明などの機材まで持ち込む人もいたようで、市が求めていた当初の目的とは大きく違ってしまったのですから撤去もやむを得ないところでしょう。
    ストリートピアノの弾き手にはプロのピアニストや音大生もいたはずで、彼らの演奏はそれだけで聴衆を楽しませることができますので苦情が来ることは少なかったと思われます。また、小さな子供がたどたどしい指使いで鍵盤を押さえてだす音も音楽としては未完成でも見ている者を笑顔にするに十分なものです。そんな場面を演出していた“ストリートピアノ”の撤去は残念なことです。
    音楽には二通りの楽しみ方があります。一つ目は聞いて楽しむこと、好きな歌やきれいな音色を聞くのは心地よいものです。二つ目は自らが歌ったり奏でたりして楽しむことです。「カラオケが嫌い」という人も人前で歌うのがいやなだけで、知らず知らずのうちに鼻歌をうたっていることはあるでしょう。また耳に入るリズムに合わせて手拍子をすることも演奏のひとつです。自分が楽しむために弾くのか、他人を楽しませるために弾くのか。その状況判断が的確にできる人ばかりなら今回の撤去はなかったでしょう。
     
     
    ●神奈川県警に勤務する38歳の巡査部長の男が、パチンコ店やコンビニエンスストアなどで女性への盗撮を繰り返していたとして神奈川県迷惑防止条例違反の疑いで書類送検されたというニュースがありました。
    男のスマートフォンからは、およそ30本の”盗撮”動画が見つかったといいますから完全な常習犯です。市民の安全を守るべき警察官が市民を狙うという言語道断な事件を起こしたこの巡査部長は、横浜市西区のパチンコ店でカバンの中に隠したスマホを19歳~32歳の女性従業員4人のスカートの中に差し向け、下着や太ももを盗撮したほか、コンビニでは34歳の女性客の背後から自分のスマホをスカートの中に差し向けて下着を撮影していました。
    この巡査部長の配属先は右翼団体などの動向を見張る公安二課で、犯行は非番の日に行なわれていましたが、ひょっとしたら彼は「右翼がスカートの中に潜んでいるかも」と思って独自に捜査していたのでしょうか。もちろんそんなことはあるわけもなく、調べに対し男は「きれいな女性の下着を見たい願望があった」と単純明快にその動機を話しています。しかし、この供述の解釈が実に難解です。彼はきれいな“女性”=美人な女性の下着を見たかったのか、あるいはきれいな女性の“下着”=花柄など、そのデザインが魅力的な下着を見たかったのか、はたまたまっさらの汚れていない下着(もっとも、パンツを覗き見するような変態は使用済みを好むので可能性は低いでしょうが)だったのかいまひとつわかりません。それとも、男は女性のパンツに果てしない憧れを抱いていて、それを見たいという願いに一糸の乱れもない=きれいな願望と言いたかったのか。日本語とは、まったくもって難しいものです。
     
     
    ●1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に侵入した男が散弾銃を発射し、そこにいた2人のうち当時29歳の記者が死亡し、もう1人が重傷を負うという事件が発生しました。事件後、「朝日新聞に天罰を下す」という赤報隊を名乗る犯行声明が届き、何者かが暴力によって朝日新聞の言論を封じようとしたことがわかりました。
    あれから36年、朝日新聞の紙面には毎年この日になると「テロには屈しない」との文字が躍ります。暴力によって自身の主義主張を通すことは絶対に認められません。理不尽なテロによって亡くなられた若き記者の方を想うと、さぞかし無念だったろうと同情の念を禁じ得ませんが、組織としての朝日新聞が「テロに・・・」と言うのにはいささかの違和感があります。なぜなら朝日新聞は昨年7月、選挙活動中にテロによる銃弾に倒れた安倍元総理を貶める記事を連日掲載し、多くの読者に誤った情報を流し続けていたからです。
    記事はテロそのものを責めるよりも犯人の過去に焦点を当て、その行動も安倍さんに責任があるから“仕方がない”という論調でした。彼らにとっては憎むべきテロより“安倍憎し”の思いのほうが強かったのでしょうが、仮にもマスメディアを標榜するのなら、それは絶対にしてはいけないことでした。朝日新聞のネガティブキャンペーンの際たるものは国葬儀のあった月の「朝日川柳」です。
    このコーナーは読者から投稿された川柳が7句掲載されるのですが、「銃弾が全て闇へと葬るか」「これでまたヤジの警備も強化され」など安倍氏を揶揄するものが次々と選ばれ、16日には「疑惑あった人が国葬そんな国」「死してなお税金使う野辺送り」「動機聞きゃテロじゃ無かったらしいです」など、なんと採用された7句すべてが安倍氏が銃撃されて死亡した事件や国葬を揶揄する内容でした。「いやいや、川柳は読者からの投稿です」といったところで、最終的に掲載したのは朝日新聞ですから知らないでは済みません。なによりも選者は元朝日新聞記者で在職中は朝日新聞の看板ともいえる「天声人語」を担当する等、まさに“朝日そのもの”とも言える人物でしたから、採用句は朝日新聞社自体の見解といってもいいでしょう。
    そんな新聞社に「テロは絶対に許さない」と言われてもまったく説得力はありません。
     
     
    ●4月14日、東京・新宿に超高層複合施設「東急歌舞伎町タワー」がオープンしました。このビルは高さ約225メートルの威容を誇る地上48階、地下5階の建物で、中には映画館や劇場、ライブホール、飲食店などが集まっており、戻りつつある外国人観光客などで連日にぎわっているそうです。ところがこの新人気スポットのトイレをめぐり、SNSなどで不安の声が相次いでいるというニュースがありました。
    普通のトイレは“男性用”と“女性用”の2ヶ所あるものですが、なんとこの「東急歌舞伎町タワー」の2階部分には“男性用”(小用のみ)”と性別に関係なく利用できる“ジェンダーレストイレ”しかないというのです。この階のトイレは入り口が左右に分かれており左側は男性の小便用トイレ、右側の入り口から進むとジェンダーレストイレ=5基、女性用トイレ=5基、男性用トイレ=2基、多目的トイレ=1基の4種類のトイレが同じ空間内に設置されています。計13基の個室は上下に隙間がなく密閉された構造となっており、それぞれのトイレの種類ごとに洗面台は共用となっているそうです。すなわちおしっこだけの男性以外は老若男女全員が右側に進むことになるのです。安全確保のために防犯カメラによるトイレ共用部の常時監視、高頻度の清掃、警備員による立哨警備(不審者がいないか立ったまま監視する警備)などを行なうとしていますが、場所が場所だけに「常に見られている」というのも気持ちのいいものではありません。
    トイレという最もプライベートな空間が女性にとって寸分も気の抜けない、また恐怖に感じる場所になることに誰も反対しなかったのが不思議でなりません。施設側は設置の理由を「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念でもある『誰一人取り残さない』ことに配慮したと言っていますが、そもそもSDGsの目的は人類がこれから先も『幸せに暮らしていく』ために定めた目標だったはずです。それを1%未満の人たちのために50%を占める人たちの安全を脅かそうとするのですから困ったものです。
    ただSDGsという言葉に酔っているだけで本質を完全に見失っています。こんな“ジェンダーレストイレ”は女性にとっては同じフロアにいながら使うことの出来ないなんとも“不便”な“便所”でしかありません。“男性用”“女性用”でなくどうしても“ジェンダーレストイレ”を作らなければならないのなら“女性用”と“ジェンダーレストイレ”にするべきでした。なぜなら女性は男性より間違いなく弱いので優先して守られるべきだからです。この考えを「女性蔑視」と批難するならすればいい。わたしはそんなことより全女性の安全安心を優先したいのです。

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  • 2023年4月28日号:ニュースに一言

    2023-04-28 11:19  
    102pt
    2

    ●コロナが一段落し、全国の観光地に旅行客が戻って来ているようです。京都にも外国人観光客が多数訪れ賑わいをみせています。いまのところアメリカやオーストラリア、香港などからの来日が多いようでみなさん穏やかに日本を楽しんでいますが、5月8日の水際対策撤廃により、また中国人観光客が大挙して押し寄せ、街が騒がしく汚くなくなると思うと憂鬱な気分になります。
    旅行者は外国人だけではありません。日本人も巣ごもりをやめ各地に繰り出すようになりました。その後押しとなっているのが国の推し進める「全国旅行支援」ですが、一方でお金が足りないから社会保険料を上げると言っておきながら、すべての国民でなく一部の個人旅行に国が援助金を出すという極めて不公平なものに税金を使う施策には違和感しかありません。
    コロナ禍で時短や休業を要請した飲食店には協力金という名の多額の“税金”が注ぎ込まれ、中には通常営業より利益増となったところもあったようです。それに対し、旅館や土産物屋には何の支援もなく開店休業状態で赤字が膨らむばかりでした。百歩譲って今度は旅行者を増やして観光業者を助けるためと言うのならまだ我慢もしますが、割引条件に未だに“ワクチン3回接種”とあるのだけはどう考えても納得できません。ワクチンで感染が予防できないことは「全国旅行支援」を企画したときから分かっていました。さらに3月にはWHO(世界保健機関)までがワクチンの効果に疑問を呈し、3回以上の接種を推奨しないと打ち出しているのにです。
    ワクチンを大量に買い込んでおりなんとかさばかなくてはならない、あるいは製薬会社にこれからも継続購入すると約束しているからやめるわけにはいかないのかは知りませんが、メリットよりデメリットの方が大きい代物を国民に強いる政府にはうんざりです。今日もテレビからは「ワクチン打て、打て」のCMが流れてきます。これはどうみても「旅行支援」ではなく「ワクチン支援」です。


    ●兵庫県警加古川署が署内に安置していた男性の遺体を取り違え、別の遺族に引き渡していたというニュースがありました。これは霊安室の上下2段構造の冷蔵庫に安置されていた66歳と69歳の2人の男性うち、上段の66歳の男性のお迎えが来たのにもかかわらず下段の遺体を引き渡してしまったものです。
    いったいどんな管理をしていたらこんな間違いが起きるのかと思ったところ、なんとこの2人は偶然同じ名字だったというのです。遺体が納められた袋には氏名が記載されていましたが、係員は名字だけを見て「これだ」と判断したようです。我々一般人が接触する“遺体”はほとんどが親族ですので、他人のそれには少なからず緊張が伴うものです。しかし、日常的に遺体を目にする霊安室の職員にはそれが欠けていたのかもしれません。仕事にはミスがつきものとはいっても、対象が「ご遺体」だけに慎重の上にも慎重を重ねてもらいたかったものです。
    1週間後に捜査員が霊安室に入った際、下段の冷蔵庫が空になっているのを不審に思い確認したことで取り違えが発覚しましたが、その時には引き渡した遺体は既に火葬されていたそうです。ここで解せないのは、違う人間を引き取った遺族が顔を見たら一目瞭然なのになぜ間違いに気付かず荼毘に付してしまったのかということです。まさか納体袋を開けることなくそのまま火葬場に運んだのか、あるいは引き取り手は顔さえはっきり分からないほど疎遠な親戚だったのか、いずれにせよ故人が深い悲しみに包まれた葬儀で見送られることはなかったでしょう。さらにもう1人の方は引き取り手さえ現れず。
    今回の60代男性は2人とも自宅で死亡しているところを見つかりました。どちらも病死と判断されています。人生最後の瞬間を誰にも看取られずたった1人で、そして葬儀さえ満足に執り行われず。彼らの人生を考えると、なんともやるせない想いでいっぱいになるニュースでした。


    ●バスやタクシーの車内に設置されている運転者の名札がなくなるというニュースがありました。国土交通省は現在、バスやタクシーの車内に運転者の名前を掲示することを道路運送法により事業者に義務付けていますが、今夏をめどにそれをやめるというのです。
    わたしは移動に際し、いつも自家用車を自ら運転していますが、新幹線で東京に行ったときはもっぱらタクシー移動です。たしかに料金メーターの横には運転手さんの名前と顔写真が掲示されていますが、それはタクシー会社がサービスの一環で独自にやっているものとばかり思っており、法律で定められたものだったとは知りませんでした。
    もし、わたしが運転手だったとして、後ろにいる乗客に自分の名前を知られているのとそうでないのとでは緊張の度合いが違います。プロドライバーとして常に安全運転を心がけていても、少しでも変な運転をすれば「百田っちゅう運転手はとんでもない走りをする」なんて通報されかねないと思うからです。その意味では名札の掲示は運転手の自戒を促すのに有効ですが、それよりもデメリットの方が大きいというのです。
    現在では女性の運転手も増えており、氏名が特定されることによりストーキングされることがあるだけでなく、乗車態度を注意された客が逆恨みしてあることないことを運転手の実名入りでネットにあげるなんてこともあるようです。残念なことに乗客の安全安心のための措置が逆に運転手を危険にさらすことになっているのです。
    改正後は車両の識別番号などで乗客が利用した車両を把握できるようにするそうで、お互いの安心のためには仕方のない妥協点なのかもしれません。名札の廃止といえば、販売店や飲食店でも同様の理由から廃止が進んでいるそうです。接客業でありながらマスクで顔の半分を隠したうえで匿名希望にしなくてはならないとは、世知辛い世の中になったものです。


    ●犯罪に“良い”も“悪い”もなくすべて憎むべきものですが、職業柄特に不愉快なのは本の万引きです。書店の利益率は一般的に3~5%ほどといわれています。ですから1冊の本が万引きされると、その損失を埋めるためには20~30冊売らなくてはならないのです。活字離れが進む中、書店員さんのご苦労を想うと万引きした本を懐にほくそ笑む輩は絶対に許せません。
    哲学書1冊を盗んだとして兵庫県警尼崎東署が、窃盗の疑いで32歳の無職の男を現行犯逮捕したというニュースがありました。この男は書棚から取り出した本をリュックサックに入れるとことを店長に見つかり通報されたのですが、哲学書を盗むとはさぞかしインテリ男かと思いきや「本を売った金をパチンコで使おうと思っていた」などと供述していると聞いて呆れました。この男は自分で読むためではなく転売して現金化するために盗みを働いていたのです。哲学書が定価3520円ということで「これなら半値でも1500円以上になる」と、安価な雑誌や文庫本を避けて狙いをつけたのでしょう。書店中を本の中身ではなく裏表紙の価格を確認しながらうろつく姿を想像すると、滑稽さを通り越して哀れささえ感じます。
    32歳の若者が仕事もせずにパチンコ代を稼ぐために万引きとはなんと情けないことでしょう。5000円稼ぐのにいったい何冊の本が必要なのか。毎回毎回店員に見つかる危険を冒しながら盗むことと、1日バイトすることのどちらが精神の安定のためにいいのかは考えるまでもなくわかるはずです。もっともそれさえも分からないのが32歳無職の無職たる所以かもしれませんが。肩書の無かった無職の彼に、今回「前科者」という不名誉な称号が付いてしまいました。本当に自分の人生はこれでいいのか。自身に問うために彼には哲学書を売るのではなく読むことをお勧めします。


    ●外部からの苦情で企業や団体が謝罪に追い込まれる事案が相次ぐ昨今ですが、今度は滋賀県が開催する競艇場「ボートレースびわこ」がターゲットになったというニュースです。
    謝罪理由は公式YouTubeチャンネルの番組内で不適切な発言があったというものですが、その内容が出演者の「この番組を盛り上げるために全力で金を賭けてやってるんです」と聞いてわけがわからなくなりました。ボートレースはいうまでもなくギャンブル(金を賭けるもの)です。その公式チャンネルの出演者が番組を盛り上げるために「金を賭ける」と言うことのどこが悪いのでしょう。批判者は「依存症対策に配慮できていない」と怒り心頭のようですが、番組の視聴者はそのほとんどが競艇ファンです。そんな人たちは出演者が言おうが言うまいが放っておいても舟券を買うでしょう。それともビールメーカーが浴びるほど飲ませて売り上げ増につなげたいのに「飲み過ぎに注意」、消費者金融がじゃぶじゃぶ貸し付けたいのに「ご利用は計画的に」と申し訳程度の小さな字で書くように、今回も小さな声ででも「掛け金はお小遣いの範囲で」などと言えばよかったのでしょうか。
    謝罪の最後には「今後は管理体制を強化し、出演者、運営一同、『ボートレースの楽しさを伝える』という本来の趣旨に則った番組作りに精進して参ります」と綴っていますが、いったい何を言っているのやら。
    ボートレースファンの一番の楽しみは舟券が当たることにほかならず、ただ水面をぐるぐる回るだけのボートのどこに“楽しさ”があるのでしょう。「射幸心を煽って申し訳ない」とそこまで平身低頭謝るのなら、そもそも射幸心を煽ることで成り立つギャンブル(ボートレース)なんて開催しなければいいのです。苦情が来たから「とりあえず謝ってほとぼりが冷めるのを待とう」なんて安直な解決策は感心できません。
    そして苦情を申し立てた人たちにも言いたい。今回の番組は一部の愛好家が自ら選択して視聴するYouTubeチャンネルのものでしたが、マニアだけでなく老若男女すべての国民が見るテレビからは毎週「今度の日曜は○○賞」とGⅠレースを告知するCMが流れてきます。あなたたちは全視聴者を煽る中央競馬会と、それを嬉々として放送するテレビ局にも文句を言っているのですか、と。

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  • 2023年4月21日号:ニュースに一言

    2023-04-21 12:42  
    102pt
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    ●コロナが一段落し、全国の観光地に旅行客が戻って来ているようです。京都にも外国人観光客が多数訪れ賑わいをみせています。いまのところアメリカやオーストラリア、香港などからの来日が多いようでみなさん穏やかに日本を楽しんでいますが、5月8日の水際対策撤廃により、また中国人観光客が大挙して押し寄せ、街が騒がしく汚くなくなると思うと憂鬱な気分になります。
    旅行者は外国人だけではありません。日本人も巣ごもりをやめ各地に繰り出すようになりました。その後押しとなっているのが国の推し進める「全国旅行支援」ですが、一方でお金が足りないから社会保険料を上げると言っておきながら、すべての国民でなく一部の個人旅行に国が援助金を出すという極めて不公平なものに税金を使う施策には違和感しかありません。
    コロナ禍で時短や休業を要請した飲食店には協力金という名の多額の“税金”が注ぎ込まれ、中には通常営業より利益増となったところもあったようです。それに対し、旅館や土産物屋には何の支援もなく開店休業状態で赤字が膨らむばかりでした。百歩譲って今度は旅行者を増やして観光業者を助けるためと言うのならまだ我慢もしますが、割引条件に未だに“ワクチン3回接種”とあるのだけはどう考えても納得できません。ワクチンで感染が予防できないことは「全国旅行支援」を企画したときから分かっていました。さらに3月にはWHO(世界保健機関)までがワクチンの効果に疑問を呈し、3回以上の接種を推奨しないと打ち出しているのにです。
    ワクチンを大量に買い込んでおりなんとかさばかなくてはならない、あるいは製薬会社にこれからも継続購入すると約束しているからやめるわけにはいかないのかは知りませんが、メリットよりデメリットの方が大きい代物を国民に強いる政府にはうんざりです。今日もテレビからは「ワクチン打て、打て」のCMが流れてきます。これはどうみても「旅行支援」ではなく「ワクチン支援」です。


    ●兵庫県警加古川署が署内に安置していた男性の遺体を取り違え、別の遺族に引き渡していたというニュースがありました。これは霊安室の上下2段構造の冷蔵庫に安置されていた66歳と69歳の2人の男性うち、上段の66歳の男性のお迎えが来たのにもかかわらず下段の遺体を引き渡してしまったものです。
    いったいどんな管理をしていたらこんな間違いが起きるのかと思ったところ、なんとこの2人は偶然同じ名字だったというのです。遺体が納められた袋には氏名が記載されていましたが、係員は名字だけを見て「これだ」と判断したようです。我々一般人が接触する“遺体”はほとんどが親族ですので、他人のそれには少なからず緊張が伴うものです。しかし、日常的に遺体を目にする霊安室の職員にはそれが欠けていたのかもしれません。仕事にはミスがつきものとはいっても、対象が「ご遺体」だけに慎重の上にも慎重を重ねてもらいたかったものです。
    1週間後に捜査員が霊安室に入った際、下段の冷蔵庫が空になっているのを不審に思い確認したことで取り違えが発覚しましたが、その時には引き渡した遺体は既に火葬されていたそうです。ここで解せないのは、違う人間を引き取った遺族が顔を見たら一目瞭然なのになぜ間違いに気付かず荼毘に付してしまったのかということです。まさか納体袋を開けることなくそのまま火葬場に運んだのか、あるいは引き取り手は顔さえはっきり分からないほど疎遠な親戚だったのか、いずれにせよ故人が深い悲しみに包まれた葬儀で見送られることはなかったでしょう。さらにもう1人の方は引き取り手さえ現れず。
    今回の60代男性は2人とも自宅で死亡しているところを見つかりました。どちらも病死と判断されています。人生最後の瞬間を誰にも看取られずたった1人で、そして葬儀さえ満足に執り行われず。彼らの人生を考えると、なんともやるせない想いでいっぱいになるニュースでした。


    ●バスやタクシーの車内に設置されている運転者の名札がなくなるというニュースがありました。国土交通省は現在、バスやタクシーの車内に運転者の名前を掲示することを道路運送法により事業者に義務付けていますが、今夏をめどにそれをやめるというのです。
    わたしは移動に際し、いつも自家用車を自ら運転していますが、新幹線で東京に行ったときはもっぱらタクシー移動です。たしかに料金メーターの横には運転手さんの名前と顔写真が掲示されていますが、それはタクシー会社がサービスの一環で独自にやっているものとばかり思っており、法律で定められたものだったとは知りませんでした。
    もし、わたしが運転手だったとして、後ろにいる乗客に自分の名前を知られているのとそうでないのとでは緊張の度合いが違います。プロドライバーとして常に安全運転を心がけていても、少しでも変な運転をすれば「百田っちゅう運転手はとんでもない走りをする」なんて通報されかねないと思うからです。その意味では名札の掲示は運転手の自戒を促すのに有効ですが、それよりもデメリットの方が大きいというのです。
    現在では女性の運転手も増えており、氏名が特定されることによりストーキングされることがあるだけでなく、乗車態度を注意された客が逆恨みしてあることないことを運転手の実名入りでネットにあげるなんてこともあるようです。残念なことに乗客の安全安心のための措置が逆に運転手を危険にさらすことになっているのです。
    改正後は車両の識別番号などで乗客が利用した車両を把握できるようにするそうで、お互いの安心のためには仕方のない妥協点なのかもしれません。名札の廃止といえば、販売店や飲食店でも同様の理由から廃止が進んでいるそうです。接客業でありながらマスクで顔の半分を隠したうえで匿名希望にしなくてはならないとは、世知辛い世の中になったものです。


    ●犯罪に“良い”も“悪い”もなくすべて憎むべきものですが、職業柄特に不愉快なのは本の万引きです。書店の利益率は一般的に3~5%ほどといわれています。ですから1冊の本が万引きされると、その損失を埋めるためには20~30冊売らなくてはならないのです。活字離れが進む中、書店員さんのご苦労を想うと万引きした本を懐にほくそ笑む輩は絶対に許せません。
    哲学書1冊を盗んだとして兵庫県警尼崎東署が、窃盗の疑いで32歳の無職の男を現行犯逮捕したというニュースがありました。この男は書棚から取り出した本をリュックサックに入れるとことを店長に見つかり通報されたのですが、哲学書を盗むとはさぞかしインテリ男かと思いきや「本を売った金をパチンコで使おうと思っていた」などと供述していると聞いて呆れました。この男は自分で読むためではなく転売して現金化するために盗みを働いていたのです。哲学書が定価3520円ということで「これなら半値でも1500円以上になる」と、安価な雑誌や文庫本を避けて狙いをつけたのでしょう。書店中を本の中身ではなく裏表紙の価格を確認しながらうろつく姿を想像すると、滑稽さを通り越して哀れささえ感じます。
    32歳の若者が仕事もせずにパチンコ代を稼ぐために万引きとはなんと情けないことでしょう。5000円稼ぐのにいったい何冊の本が必要なのか。毎回毎回店員に見つかる危険を冒しながら盗むことと、1日バイトすることのどちらが精神の安定のためにいいのかは考えるまでもなくわかるはずです。もっともそれさえも分からないのが32歳無職の無職たる所以かもしれませんが。肩書の無かった無職の彼に、今回「前科者」という不名誉な称号が付いてしまいました。本当に自分の人生はこれでいいのか。自身に問うために彼には哲学書を売るのではなく読むことをお勧めします。


    ●外部からの苦情で企業や団体が謝罪に追い込まれる事案が相次ぐ昨今ですが、今度は滋賀県が開催する競艇場「ボートレースびわこ」がターゲットになったというニュースです。
    謝罪理由は公式YouTubeチャンネルの番組内で不適切な発言があったというものですが、その内容が出演者の「この番組を盛り上げるために全力で金を賭けてやってるんです」と聞いてわけがわからなくなりました。ボートレースはいうまでもなくギャンブル(金を賭けるもの)です。その公式チャンネルの出演者が番組を盛り上げるために「金を賭ける」と言うことのどこが悪いのでしょう。批判者は「依存症対策に配慮できていない」と怒り心頭のようですが、番組の視聴者はそのほとんどが競艇ファンです。そんな人たちは出演者が言おうが言うまいが放っておいても舟券を買うでしょう。それともビールメーカーが浴びるほど飲ませて売り上げ増につなげたいのに「飲み過ぎに注意」、消費者金融がじゃぶじゃぶ貸し付けたいのに「ご利用は計画的に」と申し訳程度の小さな字で書くように、今回も小さな声ででも「掛け金はお小遣いの範囲で」などと言えばよかったのでしょうか。
    謝罪の最後には「今後は管理体制を強化し、出演者、運営一同、『ボートレースの楽しさを伝える』という本来の趣旨に則った番組作りに精進して参ります」と綴っていますが、いったい何を言っているのやら。
    ボートレースファンの一番の楽しみは舟券が当たることにほかならず、ただ水面をぐるぐる回るだけのボートのどこに“楽しさ”があるのでしょう。「射幸心を煽って申し訳ない」とそこまで平身低頭謝るのなら、そもそも射幸心を煽ることで成り立つギャンブル(ボートレース)なんて開催しなければいいのです。苦情が来たから「とりあえず謝ってほとぼりが冷めるのを待とう」なんて安直な解決策は感心できません。
    そして苦情を申し立てた人たちにも言いたい。今回の番組は一部の愛好家が自ら選択して視聴するYouTubeチャンネルのものでしたが、マニアだけでなく老若男女すべての国民が見るテレビからは毎週「今度の日曜は○○賞」とGⅠレースを告知するCMが流れてきます。あなたたちは全視聴者を煽る中央競馬会と、それを嬉々として放送するテレビ局にも文句を言っているのですか、と。

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  • 2023年4月15日号:ニュースに一言

    2023-04-15 14:14  
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    ●チャットGPTとはユーザーの質問に対し、AIがまるで人間のように自然な対話形式で答えるサービスです。たとえば「蜘蛛の糸の作者は?」には「芥川龍之介です」のように。さらに「芥川龍之介とはどんな人?」との問いには「東京大学を卒業した明治から大正、昭和にかけての日本の小説家で、主な作品に羅生門や鼻、河童などがあります。35歳の時に自殺しましたが、芥川賞というその名を冠した短編あるいは中編作品に与えられる文学賞があります」など非常に事細かく丁寧に教えてくれますので、これさえあればもう百科事典なんていらないでしょう。
    そしてこのチャットGPT のすごいのは“質問”だけでなく“依頼”にも応えてくれるところです。琉球大学の卒業式で、卒業生代表がチャットGPTの書いた答辞を読み上げたというニュースがありました。大学院生の代表は中国にルーツがある学生でした。彼は「外国人である私が日本語の文章を書く場合、数日かかるかもしれません」と前置きした後「今ではAIがわずか数分で書き上げることができます。そうです、この答辞の初稿もチャットGPTが私の代わりに書いてくれたものです」と言い出したのですから式の参列者は驚きました。
    送辞、答辞に指名された学生はその原稿を作ることに苦労します。過去のものを参考にし過ぎるとありきたりのものになってしまうし、自分の言葉にこだわり過ぎると重みがなくなるなどなかなかまとまりません。それがチャットGPTだと「卒業式の答辞を作って」とさえ入力すれば、コーヒーを飲んで待っている間に感動的な文章が出来上がるのですからこんな楽なことはありません。
    チャットGPTの特徴はいかにも生身の人間が書くような自然な文体ですから、今回も総代が自ら種明かしをしなければわからなかったことでしょう。電卓の発明で九九が言えなくても計算できるようになり、ワープロができて漢字を知らない人も文字を書け、遂には「てにをは」がわからなくても文章を作れるようになりました。便利になるのはいいのですが、技術の進歩により人間がここまで甘やかされると逆に怖いものがあります。
    近い将来、チャットGPTが書いた小説の読書感想文を宿題にされた小学生が、チャットGPTが作った感想文を自信満々に提出するようになるのかもしれません。


    ●北海道小樽市の路上で、駐車中の車の運転席にいた40代女性の顔をドア越しに何度も殴るなどした37歳の男が逮捕されたというニュースがありました。暴行の疑いで逮捕されたこの男は被害女性が勤める保険会社の客で、滞納していた掛け金の支払いを催促されたことに腹を立てたようです。事件現場が男の自宅近くの路上ということですから、女性は郵便や電話では埒があかないと直談判に及んだのでしょう。
    保険は掛け金を支払う代わりにいざという時に保険金を受けとれます。ですから掛け金を払わない客は「即契約解除、その代わりなんの補償もしない」でいいのですが、保険の外交員はその多くを契約社員が担っており、掛け金の回収までがその責任となります。いくら契約を取ったところで一銭にもならず、入金があって初めて報酬が発生するのですから未回収は死活問題です。ですから今回の女性も危険を承知で単身乗り込んだのでしょう。
    男は開いていた窓から座席の女性の胸ぐらをつかんで揺さぶったり、拳で顔を何度も殴ったりしておきながら取り調べに対し「殴るつもりはありませんでした。手が顔に当たったかもしれません」なんてとぼけたことを言っていますが、彼は大の男が敵意をもって女性の顔に手を当てることを世間では「殴る」と言うのを知らないようです。真摯に仕事に向き合う女性に対し、理不尽な暴力を振るう男にはぜひとも厳罰を与えてもらいたいものです。
    ところで被害女性は傷害保険に入っていたのでしょうか。いつ何が起こるかわかりません。やはり保険は大事です。


    ●「青天の霹靂」いや「天国から地獄」と言った方がいいのでしょうか。楽しい思い出が一瞬にして悪夢に変わってしまった中国人男性のニュースです。この男性は恋人と“お泊りデート”をすることになり、奮発して浙江省杭州にある5星高級ホテル「コンラッド杭州」を予約しました。それも41階にあるデラックスルームです。
    タワーマンションもそうですが、高層ビルは一般的に上層階ほど値段が高くなります。その理由はいうまでもなく低層階に比べ格段に恵まれた眺望が得られるからです。夢のような一夜を過ごしたカップルは朝になりその素晴らしい景色を見ようと勢いよくカーテンを開けました。その瞬間、彼らの目に飛び込んできたのはホテルが誇る「スカイビュー」ではなく、ワイヤーに支えられて窓ガラスを拭いている清掃員の姿でしたから大変です。なぜなら寝起きの彼らは一糸まとわぬ素っ裸だったのですから。
    人間は突然の出来事に遭遇すると一瞬思考回路が停止し身動きが取れなくなるものです。微動だにせず見つめ合うカップルと作業員。部屋の中には、ただ彼女の「キャー」という悲鳴がむなしく響くだけでした。
    カップルも災難でしたが、それよりも可哀そうなのは窓ふきの作業員です。なにしろ部屋にいるカップルはバスルームに逃げ込む、あるいは家具の陰に隠れる、なによりカーテンを閉めるなどの行動を自由に選択できましたが、地上100メートル以上の高さに吊り下げられている彼には逃げ場はないのはもちろん、後ろ向きになる余地さえ与えられてなかったのですから。
    一流ホテルの客室内といえば、最もプライベートな空間が約束された場所です。そこでのアンビリーバブルな出来事に怒り心頭のカップルは、ホテル側に窓の清掃時間を事前に知らせなかった点を指摘して公式謝罪と宿泊費の払い戻し、精神的被害に対する補償を要求しました。日本のホテルなら真っ先に「申し訳ありません」ですが、このホテルの広報担当者は「天気のような、予測できない要因や宿泊客によって就寝時間も違うため正確な清掃時間を前もってお知らせすることは難しい」などと、いかにも中国らしい自己中心的な言い訳に終始するのですから呆れます。いかに世界的一流ホテルといえど、中国では「郷に入れば郷に従え」なのでしょう。そういえば「郷に入れば郷に従え」は「且道入鄉隨俗一句作麼生道」という中国由来のことわざでした。やはり本家はすごいわ。


    ●素っ裸といえば、500年以上も全裸で立ち続けている男の話です。アメリカ・フロリダ州の小学校で、16世紀のミケランジェロの作品「ダビデ像」の写真を6年生の児童に見せたとして校長が解雇されたというニュースがありました。ダビデ像はルネサンスを代表する彫刻作品で、旧約聖書においてイスラエル王国の二代目統治者とされる「ダビデ」が巨人ゴリアテとの戦いに臨み、岩石を投げつけようと狙いを定めているその姿は全裸で一切どこも隠していません。もちろん“あそこ”もです。
    天才ミケランジェロの作品ですから筋骨隆々とした肉体や巻き毛の頭髪など、いまにも動きそうな精緻な造りです。もちろん“あそこ”もです。それを一部の親が「ダビデ像はポルノだ。子どもに見せるべきではない」と訴えるのですからわけがわかりません。校長によりますと、ダビデ像のような古典芸術作品を見せる時には、通常は事前に手紙で親に伝えていたそうですが、今回は伝達ミスが生じて6年生の保護者に届かなかったようです。それで何人かの親が苦情を申し立てたといいますが、なにより芸術作品を鑑賞するのに親の許可が必要なことに驚きました。
    同じヌード写真でも分厚い写真集に掲載されていれば「芸術作品」ですが、コンビニのビニールに包まれた大衆誌に載っていれば「エロ写真」となるようにその線引きは曖昧です。それにしてもダビデのチンチンを見てそのまま性に結び付けるなんて俗っぽいにもほどがあります。裸の写真をポルノと見るのか、芸術と見るかは人それぞれですが、ひとつだけ間違いないのは優れた芸術作品は見る者の心を豊かにするということです。そしてその礎は幼いころから優れた作品に触れることで培われます。自身の貧相な感性で子供たちのその機会を奪う親たちには困ったものです。
    きっと子供の頃に画集には目もくれずエロ本ばかり読んでいたにちがいありません。


    ●ポテトチップスやじゃがりこなどのスナック菓子でおなじみの食品メーカー、カルビーの2023年入社式に俳優の川口春奈さん、福原遥さんがサプライズゲストとして登場したというニュースがありました。これは2人が同社のCMに出演していることから実現したものですが、突然目の前に現れた人気女優に新入社員たちは大喜びだったそうです。
    企業が新入社員を迎えて最初にすることは彼らに「愛社精神」を植え付けることです。誰しも経験したことがある「好きな人のためなら頑張れる」のように、仕事に行き詰ったときのよりどころを「会社のために頑張ろう」に求めてもらうためです。今回のサプライズを新入社員の皆さんはどう感じたのでしょうか。きっと全員が「おおっー、すごい会社に入った」と思ったことでしょう。その意味では彼らが「カルビー」を大好きになるのに十分な演出でした。
    今年の新入社員の初任給は軒並みアップしていると聞きます。少子化の影響で労働人口が減る中、各社がどこよりも優秀な人材を確保しようとするものです。それは求職者にとってありがたいことですが、会社は大幅な賃金アップやテレビコマーシャルに多額の宣伝費を投入できる大企業ばかりではありません。そんな会社に入れるのは一部であって、ほとんどの新入社員は中小企業で働くことになります。
    よく「俺は会社の歯車に過ぎない」なんて自嘲気味に言うサラリーマンがいます。生涯フリーランスのわたしが言うのもなんですが、「歯車」大いに結構じゃないですか。どんな機械(組織)もその部品である歯車が正常に動かないと機能しません。さらにすべての職業が人間社会に必要なように、その歯車の役割はその会社だけとどまらず国の維持にも及んでいるのです。学生時代と違いこれからは税金を納め、社会保険料を支払う文字通りの「社会人」です。ひとりひとりが「この国を動かしているんだ」という気概だけは忘れないでいてもらいたいものです。そんなすべての新社会人に幸多かれと願わずにはいられません。

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  • 2023年3月24日号:ニュースに一言

    2023-03-24 15:17  
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    ●1点差の9回ツーアウト、バッターボックスにはアメリカの現役最強打者マイク・トラウト。そしてマウンド上には世界の二刀流、日本の至宝大谷翔平。
    WBCという舞台の最終幕でのこの千両役者の競演を誰が予想したことでしょう。さらに最後が空振り三振ときたら、もうそれは小説や漫画の世界のこととしか思えません。しかし、我々ははっきりと自分の目でその素晴らしい現実を見届けたのです。
    野球の国別世界一決定戦第5回WBCは日本の優勝で幕を閉じました。今回の優勝はすべての選手が「いま、自分がすべきこと、できること」を考え勝利に向かって一直線に突き進んだ結果、まさに日本“チーム”で勝ち取ったものです。優勝はもちろんうれしいのですが、今大会はほかにも喜ばしいことがありました。
    冒頭にWBCを演劇の舞台になぞらえましたが、登場人物がすべて善人だったのが素晴らしい。国際大会にありがちな敵意むき出しの険悪ムードがなく、試合終了後にはお互いのプレーをたたえ合う姿が見る者の心を温かくしました。ダルビッシュ選手が代表に選ばれて気負っている若手に「戦争に行くわけではない」と言ったそうですが、まさにその通りで野球はスポーツですから対戦相手は憎むべき敵ではなく、リスペクトすべきものなのです。そんなグラウンドの様子はスタンドにも伝染し、両チームの応援団も相手に惜しみない拍手を送りました。
    第1次リーグで日本を訪れた各国の選手団、応援団が口をそろえて日本への感謝の言葉を口にして帰国したのは日本人として本当に嬉しいことでした。胴上げ投手となった大谷選手の所属チーム、エンゼルスの監督はレギュラーシーズンを考慮し、当初は準決勝、決勝での登板を許していなかったそうですが、WBCの盛り上がり、そして野球が好きで好きでたまらない大谷選手の様子を見て彼もまた今後の野球界のことを考えたのでしょう、1イニングだけならと譲歩したと聞きます。
    そうです、みんな野球が大好きなのです。いやなニュースが多い中、この2週間本当に楽しかった。侍ジャパン、そしてすべての野球人と世界中の野球ファン、ありがとう。


    ●生まれた時の体の性とは違う性として生きる「トランスジェンダー」の当事者らが「『心は女だ』と言うだけで女湯に入れる」などのSNS上での差別的で不正確な発言に対し抗議したというニュースがありました。
    これは現在審議されているLGBT理解促進法案が通れば「チンチンをぶら下げた“自称”女性」が女湯に入ってくるという危惧に対してのものです。“彼女”たちは「そもそも自分は女子風呂に入れないと思って諦めています」「本当に人目を気にしながら、社会の中で自分がどういうふうに性別が見えているんだろうかと気にしながら暮らしています」と法律を盾に大手を振って女湯に侵入することはない、それなのにチンチン付きのトランスジェンダーをあたかも犯罪者のごとく言うのは許せないとしています。
    はっきり言ってわたしは、この法案が成立すればチンチン付きの“自称女”が間違いなく女湯に入ってくると思っています。しかし、それは文字通り自称だけのエセトランスジェンダーのことです。
    たしかに本物のトランスジェンダーは心が女性ですから女性の気持ちを理解しそんな行動はとらないでしょう。それに対し、心は男のままで、ただ「女の裸が見たい」だけの“自称女”は、法律で守られるとなればやりたい放題です。法案反対派が恐れているのはそんな輩のことで、決して本物のトランスジェンダーのことではありません。
    そしてもっとも不愉快なのは反対派の意見を封じ込めようと、今回のニュースのようにトランスジェンダーの人たちを担ぎ出してくるマスコミです。彼らは反対派がLGBTの人たちのことを全く理解せず荒唐無稽なことを言っているかのごとく報じ、声が上げにくくなる雰囲気を作ろうとしているのです。多くの善良なトランスジェンダーはそんな世論誘導のために自分たちが利用されることは堪らないでしょう。
    「少数意見の尊重」「弱者の救済」異論をはさみにくい耳障りの良い言葉ですが、少数派のために大多数が我慢、いや被害を強いられる社会を「差別のない社会」とはいいません。


    ●愛知県が、公立の小中高校と特別支援学校の児童生徒が保護者の休みに合わせて年3日まで平日に学校を休める「ラーケーションの日」を4月から導入すると発表しました。このラーケーションとは、ラーニング(学習)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、休み方の改革に取り組む同県のプロジェクトの一環だとしていますが、子供にとって学校より優先すべきものがあれば親が勝手に休ませればいいものを、行政がここまでお膳立てしなくてはならないものなのでしょうか。
    大村秀章知事は「コロナ禍で働き方は変わった。コロナの出口が見えた今、休み方改革を進めたい」さらに週末や長期休暇以外にも家族で出かけやすくなり、休日や観光需要の分散につなげることもできると自画自賛のようですが、労働者が休むことと子供のそれを同列にするのは強引すぎます。
    労働者には、決められた日数までは給料を減らさずに休むことができる年次有給休暇という制度があります。今回はそれの子供版といったところでしょうが、働き過ぎとされる労働者に対し、学校には土日のほかに春、夏、冬の長期休暇があります。これ以上勉強時間を減らしてどうするのでしょう。県は受けられなかった授業は自習で補うとしていますが、普段から自習で事足りる程度の授業しかしていないのでしょうか。「我慢」「忍耐」「頑張り」が軽んじられ「ゆとり」「享楽」「自然体」ばかり追い求めていたのでは日本の国力は下がる一方です。
    現在、企業には年間5日間の年次有給休暇を取得していない社員1人につき30万円の罰金が科せられることが労働基準法に定められています。年度末に未取得者に対し人事課から「今年度中に年休を消化してください」との通知がくるように、そのうち生徒会から「今年度中にラーケーションを消化してください」なんて連絡がくるようになるのかもしれません。


    ●シンガポール航空が機内で差別を受けたオーストラリア国籍の23歳の女性に謝罪したというニュースがありました。
    機内での差別とはいったいどんなものだったのでしょう。搭乗時に靴を脱いで入るように言われたのか、ファーストクラスのチケットを持っていたのに身なりを見てエコノミーに案内されたのか、はたまたひとりだけ飲み物のサービスを受けられなかったのか・・・。それが彼女が当初予約していた座席を移動させられたことと聞いて考えさせられました。
    なぜなら、この女性が座っていたのは緊急脱出用の非常口の前で、なおかつ彼女は左腕の肘から下がない障碍者だったからです。非常口の前は前方に座席がないため足を伸ばしてゆっくり座れるのでひそかに人気がある席ですが、その代わり緊急脱出などの非常時には「扉を開ける」「ほかの乗客の脱出を補助する」などの“義務”があります。そのためシンガポール航空は非常口付近の座席に座ることができない乗客として、「妊婦や15歳未満、乳児、この他に特別な支援が必要な乗客」と規定しています。
    彼女はこの“特別な支援が必要な乗客”と判断されたのです。それに対し女性は「自分はいかなる助けも必要ではない」と話していますが、それは自身がそう思っているだけで間違っています。この席に座ることができるのは前述のように、緊急時にほかの乗客を助けなければならないのに、片腕がない彼女がその使命を全うできるとはとても思えません。
    航空会社が最も重要視するのは安全運航です。いつもニコニコ優しく接客してくれるCAさんも、ひとたび緊急事態に陥れば保安要員として乗客の安全確保に徹します。それまでの優しい口調から一転して「止まって」「伏せて」等の命令調になり笑顔は一切ありません。ちなみにCAの化粧が一般的に濃いのも緊急時に薄暗くなってもCAだとはっきりと認識してもらうためです。そんな具合に常にいざというときを想定しているのですから、座席移動を強制するのも何を置いても優先される安全運航のための措置として当然です。
    女性は後部の座席に移動するよう求めたことが屈辱的に感じられたと話していますが、その代替席がビジネスクラスだったとしても同じようにクレームをつけたのでしょうか。彼女の中に「障碍者の自分は優遇されて当然」との思いがあったとしたら残念なことです。記事の中に彼女は欧州旅行を終えた後の帰り便でも同じ経験をしたとありましたが、ひょっとしたら彼女は毎回その席を確保して、“何か”を求めているのでは。


    ●2019年6月、大阪府吹田市で発生した警察官襲撃事件で強盗殺人未遂などの罪に問われた男性被告の控訴審で、大阪高等裁判所は1審判決を破棄し無罪判決を言い渡したというニュースがありました。
    この事件は当時33歳の被告が早朝、吹田市の千里山交番で警察官を包丁で刺し拳銃を奪って逃走したものです。襲われた警察官は胸や足、腕などを負傷し、特に胸の刺し傷は肺を貫通し心臓まで達していました。意識不明の状態で運び込まれた病院では5日間も目覚めず、復職までは7ヶ月を要しました。また、拳銃が奪われたとあって付近の学校や施設が休みを余儀なくされるなど、その影響は広範囲に及びました。そんな凶悪事件の犯人が無罪とは・・・。
    その理由が「被告は事件当時心神喪失の状態だった」からというのですから困ったものです。刑法39条には「心神喪失者の行為は罰しない」とあります。これは善悪の判断ができないほど精神に異常をきたした行為者には責任能力がないので罪に問えないとするものです。要するに高裁はこの被告は自分が何をやっているのか分かっていなかったと言っているのです。
    しかし、被告は交番に行く前にウソの通報をして3人体制の交番勤務から2人を誘い出し、襲いやすいように警察官を1人にしています。また、追っ手を撒くために山の中に逃げ込むなど一連の行為は極めて計画的であり、かつ冷静に行われています。とても“自分が何をやっているのか分かっていない”人間の所業ではありません。
    1審の一般人が参加する裁判員裁判では「犯行前後に合理的な行動を取っていて、全く責任能力を欠いていたとは言えない」として懲役12年の実刑判決が言い渡されていました。すこぶる妥当な判断です。それを“プロ”のみの裁判で「意見の相違点のみを切り出して分断的に判断している」と批判し、さらに「意見の分岐点や違いの理由、根拠を明らかにし、これを共通認識として評議、判断を行うべきだった」とまで言及して全否定するのですから呆れます。
    裁判員裁判は“プロ”裁判官の世間の常識と乖離した感覚や、前例にとらわれるあまり市民感覚にそぐわない判決を出すことを是正するために作られたものです。それを上級審で一蹴するならそんな制度は即刻やめてしまうべきです。そもそも刑法39条ってなんでしょう。法律は弱者のためにあるべきなのに、これでは被害者はやられ損です。そこまで心神喪失者を守りたいのなら、善良な市民に危害を加えることのないようどこかに閉じ込めておいてもらいたいものです。こんなことを言うとまた「百田は人権侵害者だ」と非難されるのでしょうが、これが被害者の人権保護こそ最優先されるべきだと考えるわたしの偽らざる想いです。

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  • 2023年3月18日号:ニュースに一言

    2023-03-18 15:33  
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    ●京都府京丹後市が、昨年8月に地域の自治会を通じて約2万400の全戸に「生活保護の申請は、国民の権利です」と記したチラシを配りましたが、今年2月末から2回目の配布を始めたというニュースがありました。
    これは長引くコロナ禍や物価の高騰により生活に困る世帯が増えていることを考慮したものですが、役所も随分と変わったなというのが率直な印象です。かつての役所は市民が得をすることの告知には極めて消極的でした。申請さえすればもらえる手当が新設されても誰も見ないような広報の片隅にちょこっとだけ載せ、あとは役所内の掲示板に貼りだして終わりですからとても周知とはいきません。そんな具合ですから所用で役所に行った際に掲示板を見て「あれ、こんなのがあるなら教えてよ」なんてこともしょっちゅうでした。それが、全戸に「権利です」の大見出しとは・・・、まさに隔世の感があります。
    チラシには「新型コロナで収入が減った」「小さい子どもがいるので働ける時間が短い」「年金では暮らせない」など、申請しうる具体的な状況を列挙するだけでなく、制度を理解できず申請をあきらめる人を出さないために「持ち家があると受けられない?」「関係が悪い親族にも連絡がいく?」など誤解されがちなポイントをQ&A形式で解説する念の入れようです。さらに2回目のチラシには生活保護で生活苦を乗り切って就職を果たした人の体験談なども加え、まるで生活保護を推奨するかのようなチラシに仕上げています。
    なるほど生活保護は国民の権利で間違いありません。しかし、今回のこの“生活保護推進キャンペーン”にも似た市の動きにはいささかの違和感があります。なぜなら公助の生活保護は自分で何とかする自助、周囲の世話になる共助、そしてそれでもダメな時に頼る最後の手段であるべきだと思うからです。それなのになんの努力もせず「すぐに生活保護に頼れ」では予算がいくらあっても足りません。わたしは弱者を切り捨てろと言うつもりは毛頭ありませんが、日本人が勤勉で誠実な恥を知る民族(端からそんな文化を持ち合わせていない外国人の受給者も多数いますが)だったのは過去の話で、現在では自分が楽をするためにはウソも平気、他人に何と思われても気にしない人が多くいます。残念なことですが、いまの日本は性善説の通用しない国に成り下がってしまったのです。
    働きたくても“働けない”人は弱者ですが、働けるのに“働かない”人まで弱者となっている現状は明らかに間違っています。現在、生活保護を受けている人は200万人を超えており、ざっと60人に1人の割合です。そして、その原資はすべて税金です。


    ●大阪で、ほぼ2カ月にわたり毎日コインパーキングの料金を踏み倒していた住居・職業不詳の26歳の男が逮捕されたというニュースがありました。この男は大阪市東淀川区のコインパーキングで、昨年7月13日から9月20日までの70日間のうち54回、車の後輪を駐車板の上に乗せ板が上がらず課金できないようにして総額約6万円の駐車料金を逃れていました。
    車を走らせていると街中のいたるところにPの文字を見ることができます。かつては人間が常駐してキーと共に車を預かっていた駐車場も、現在では無人のコインパーキングが主流となりました。出口を塞ぐバーを料金を払って上げて出庫するものや、今回の事件の駐車場のように車が動かせないように上がった駐車板を料金支払いにより下げ出庫するものなどいろいろあります。さらに最新のパーキングには出口のバーなし、駐車板なしの月極駐車場のようなものもあります。こちらは場内のいたるところに設置されたカメラとセンサーで入ってきた車を捕捉するものですが、いずれの方式にせよ支払いなしでの出庫はご法度です。
    今回の容疑者は毎日夜間に駐車していることから、どうやら自宅の駐車場代わりにしていたようです。そりゃそうでしょう、なにしろ住居が不詳なのですから駐車場なんて借りてるわけがありません。とりあえずは連日駐車板の同じ位置に寸分たがわず停車するテクニックがあるほどの駐車の達人ですから、まずは一日も早く職業不詳の肩書を外してもらいましょう。


    ●岐阜県美濃加茂市の市長が市議会定例会で市議からの一般質問に対し謝罪したというニュースがありました。市長が謝罪とはまた失言か公私混同、あるいは公金の使い込みかと思いきや、名古屋市の河村市長と一緒に写る写真の笑顔が理由と聞いて驚きました。
    この市長は今年1月に「堂上蜂屋柿」という美濃加茂市特産の高級干し柿をPRするため河村市長を訪問しました。差し出された柿を河村市長はガブリと一口、そしてにっこり笑う両市長のツーショット写真が翌日の新聞に掲載されました。それをこの市議は「堂上蜂屋柿は1000年の歴史のある尊い干し柿。この柿は、へたを取って8つに割いて食べるのがおいしい食べ方なのに河村市長はそのままガブリ。それを横で笑って見ているだけとは何事か」と言うのですからわけがわかりません。
    河村市長もわざわざ訪ねてくれたことへのサービスでかじったのに、無知な無礼者のごとくに言われるとは夢にも思わなかったことでしょう。そもそも、食べ物をどのように食べようと自由なはずです。「こうすればもっとおいしいよ」ならまだしも「こう食べなければダメだ」なんて、そんな傲慢な生産者の作ったものなど食べたくありません。さらにこの市議は「この柿は(生産者にとって)本当に金メダルみたいなもの。生産者の中には侮辱されたと感じた人もいます」と、河村市長が2021年に東京五輪ソフトボール選手の金メダルをかじって批判を受けたことを引き合いに出すのですから、河村市長もとんだとばっちりです。
    市長は「撮影時に食べ方を改めてお伝えしきれなかった私の落ち度です」と謝罪しましたが「お前こそ何にでも噛みつくな」とでも言ってやればよかったのです。今回の騒動で「堂上蜂屋柿」の名前は全国に知れ渡り、PRという当初の目的は達せられましたが「そんな面倒な柿なんていらない」と思ったのはわたしだけではないでしょう。


    ●学校の先生は教育系学部を卒業、あるいは教職課程を修了するなど「教員免許」を持っている人しかなれないものですが、山口県教育委員会が新年度の教員採用試験で新たに「教職チャレンジサポート特別選考」を始めるというニュースがありました。
    これは大学は卒業しているが教員免許を持っていない54歳以下の人を対象にしたもので、合格者には2026年度の採用を確約した上で、年間最大26万円の補助を受けながら2年間のうちに通信制大学などで教員免許を取得してもらうというものです。タクシーやバスの運転手募集には「二種免許がなくてもOK」「大型免許なしでも応募可」と書かれているものがあります。これは「入社後に会社が免許取得をサポートしますから安心して応募してください」という意味ですが、今回の山口県教委の取り組みはまさにその“教員版”といったところでしょうか。さらに過去10年以内に本採用の教員として勤務した経験のある人には一次試験が一部免除されるなど、応募しやすい工夫を凝らしています。
    その背景には言うまでもなく教員不足で現場が疲弊する中、なんとしても一定数を確保しなければならない現状があります。65歳まで働く人が増える一方で少子化によりクラスが減少しているのにもかかわらず教員不足とは不思議にも思えますが、その要因の一番は求職者にとって教員が魅力のない職業になっていることが挙げられます。土日にクラブ活動の指導で出勤する、長時間労働でありながら残業手当がつかないなど、その環境が決して恵まれたものではないことは知られています。「教職チャレンジサポート特別選考」も結構ですが、まずそこを改善しなければあの手この手で応募者を増やしたところで退職者も増えますので何も変わらないのでは・・・。
    過去10年間の「小学生がなりたい職業ランキング」で教員は男子で4回、女子は毎年トップ10入りする子供たちにとってあこがれの仕事です。それが大人になり労働条件を気にするようになると一気に不人気になるなんて残念なことです。子供たちの純粋な気持ちを奪わないためにも早急に労働環境を整備することが必要です。学校の先生には何を置いても子供が大好きな「なりたい人」になってもらいたいものですから。


    ●ベルリンの壁は本来1つの国であったドイツを西側と東側に隔てる東西冷戦下における象徴でしたが、1989年の東欧革命による東ドイツ国内の混乱に乗じ撤去されました。いわゆる「ベルリンの壁崩壊」です。そして今回またベルリンでひとつの「壁」が崩壊しました。ベルリン市内の市民プールを女性が男性と同じようにトップレスで泳ぐことが認められたというニュースがありました。
    これは2022年12月、女性水泳選手が胸を隠さずに市民プールで泳ごうとして止められたことをきっかけに市当局が既存のルールを見直したもので、ジェンダーの平等に向け一歩前進したとして歓迎されているそうです。
    オリンピックを見てもわかるように女性スイマーの身体は例外なく胸から股間にかけ水着で覆われています。それがこれからは海パン一丁の女性スイマーが現れるというのです。この“男女の壁崩壊”を「なんと素晴らしいことでしょう。どんどんさらけ出してください」と多くの男性は歓迎するでしょうが、公序良俗的観点から見ると喜んでばかりもいられません。彼女らの言い分は「男性は胸を出しているのに女性が出せないのは差別だ」というものですが、男性の乳首と女性のそれは明らかに異質のものです。女性の胸は間違いなく性の対象であり、人口の半分を占める男性を惑わすものだからです。
    不意にオッパイが露な女性が目の前に現れて平然としていられる男性がどれほどいるでしょう。ある調査によれば全裸の女性の前に突然男性が現れた場合、半数以上の女性はとっさに股間より胸を隠すそうです。言うならば女性の胸は男のチンチンと同じようなもので、強烈な破壊力があるのです。
    海外にはヌーディストビーチという上だけでなく下までも丸出しの場所があるのに今さら騒ぎ立てることはないと思う人がいるかもしれませんが、そこが愛好者という限られた人のみが集まる閉鎖された場所なのに対し、今回は“市民”プールという誰もが入れるまったくのオープンな空間だという明らかな違いがあります。裸になるなとは言いませんが、子供も集うそんな場所でのそれはいかがなものでしょう。なにごともTPOが大切です。「差別はダメだ」ですべてを片付けるのは簡単なようですが、実はなにも片付いていないのです。なにはともあれ、今年の夏はベルリンのプールで監視員のアルバイトでもするとしますか。へへへ

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