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記事 4件
  • 2023年11月24日号:ニュースに一言

    2023-11-24 15:32  
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    ●近い将来に発生するといわれている南海トラフ巨大地震において甚大な被害が予想される和歌山県で、その際の迂回路として使われる予定だったトンネルの工事がやり直されることになったというニュースがありました。
    このトンネルは和歌山県南部の那智勝浦町と串本町を結ぶ県道にある全長711メートルの「八郎山トンネル」で、地震などの災害時には海側を走る国道42号の迂回路として使われるものです。このトンネルは2020年7月に実施された一般競争入札により、地元の共同企業体(JV)が落札したもので、同年9月に着工し2022年9月に完成していました。ところが、別の業者が同年12月に行った照明設置工事で上部のコンクリートに穴を開けた際、天井との間に空洞が見つかったのですから大変です。
    県が調査したところ、空洞は全体の約7割の範囲に及んでいたそうで、ほとんどが“スカスカ”だったということです。さらに日本道路協会の基準では、トンネルのコンクリートの厚さは30センチを確保する必要があるとしているにもかかわらず、このトンネルの最も薄いところではその10分の1の3センチしかなかったといいますから驚きです。このままでは大地震が来るまでもなく、ただの経年劣化だけでひび割れや落下する恐れがあるそうです。
    原因は県が必要な検査を怠りコンクリートの厚さ不足を見逃していたこととされましたが、県の怠慢は責められるとして実際の施工者はどういう思いで打設していたのでしょう。アルバイトがわけもわからずコンクリートを言われるままに流し込んでいたとしても、そこには現場監督が必ずいたはずです。「どうせ見えない箇所だから」「検査されないからバレるわけがない」と高をくくっていたとしたら、そこには「われわれは誰にも後ろ指されることのないモノを自信をもって造る」という建設のプロとしてもプライドは微塵もありません。日本人は本来、「見られてなくてもちゃんとする」民族でしたが、それが「見られているからちゃんとする」になり、挙句の果てに「見られていないからどうでもいい」になっていたとしたら残念なことです。
    自然災害は避けて通ることが出来ません。肝心なことはその時に備え、万全の準備を怠らないことです。このトンネルは工事をやり直すことになり、今年12月に予定していた供用開始が半年以上遅れることとなりました。その間に災害が来ないことを願うばかりです。
     
     
    ●大阪府貝塚市で盗みを繰り返していた38歳の男が書類送検されたというニュースがありました。
    窃盗にもいろいろな種類があります。民家への空き巣やコンビニでの万引き、あるいは路上でのひったくり、男のしでかした泥棒はいったい何かと思いきや、なんと彼が狙ったのは小学生の“お小遣い”といいますから呆れるやら情けないやら。
    この男は今年7月、小学生が公園に停めた2台の自転車のハンドルにかけてあった別々のカバンから、それぞれお小遣いの現金9000円が入った財布と現金40円が入った財布を盗んでいたのです。まず驚いたのは10000円も財布にない大人も多い中、小学生がよく9000円も持っていたということです。その日は特別に買う予定のものがあったのか、あるいは日常的に財布に入れていたのかはわかりませんが、そんな大金を無造作に自転車のハンドルに引っかけたカバンに入れていたのはいただけません。盗まれたとわかったあと、さぞかし家で大目玉を食らったことでしょう。
    男の悪事はその日だけではありませんでした。その後の調べで2月下旬から9月下旬にかけて、9件の同様の盗みを繰り返していたことが分かっています。その被害者もほとんどが10代の小中学生で、男は仕事が休みの度に公園を訪れ、小中学生らが遊んでいるすきを狙っていたとみられています。
    男は「パチンコやパチスロでお金を使ってしまい、子どもから盗めば捕まらないだろうと思った。500円でも1000円でも自分の飲食代のために取った」と話しており被害額はあわせて11万円相当にのぼっているそうですが、大の大人が子供の小遣いをせしめてやろうと公園の自転車を狙う姿を想像すると虫唾が走ります。
     
     
    ●青森市が発注した新型コロナウイルスの関連業務で談合を繰り返したとして、公正取引委員会が大手旅行会社5社の青森支店を独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査したというニュースがありました。
    これは2022年4月~23年3月までの1年間に青森市が発注した、新型コロナ患者を自宅から宿泊療養先などに移送する業務の指名競争入札5件で、旅行会社があらかじめ受注業者を決める談合を繰り返していたものです。
    競争入札とは官公庁が入札情報を公示した上で不特定多数の参加者を募り、そのうち最も安価だった入札者と発注機関が契約するものですが、それを「今回はウチが落とすからオタクは遠慮して」などと言って順繰りに落札者になり、入札に参加しない業者には落札後に「再委託」する旨の約束をしていました。仮に3500万で落札したら3000万で再委託し、さらにそこから2500万で再々委託するといったようにみんなで利益を分け合っていたのです。そうなると本来は、実際に業務を行う業者が受け取る2500万円で済むところを、発注者は1000万円も余分に払わされることになるのです。
    コロナ関連の事業資金は言うまでもなく公金です。みんなの税金が不正に私企業に流れた今回の事件は徹底的に調査し、取り返すべきものはしっかりと取り返してもらいたいものです。
    コロナ関連の旅行社が関係する事件では、既にワクチン受付のコールセンター業務で人件費を大幅に割り増しして請求していたこともわかっています。2020年1月からのコロナ禍により、人々は行動制限を強いられ旅行なんてもってのほかになりました。交通機関や宿泊施設はもちろん、旅行社も大打撃を受けさぞかし大変だろうと思っていましたが、ただ黙って指を咥えることなく儲け口を探し出したのはさすが強かな日本の旅行社といったところでしょうか。しかし、そこに不正があったのではとてもほめることはできません。旅行支援で公金が注入され一気に旅行熱が沸騰したとき、それまで頑張って耐えた旅行社に「さあ、これから取り返せ」と少しでも応援したいと思った自分が情けなく感じます。
     
     
    ●名古屋市東区の路上で男性が顔などを殴られ、現金6千円などを奪われる事件が発生しました。
    被害を受けたこの41歳の派遣社員の男性は、SNSで知り合った10代とおぼしき女性と会うために公園を訪れました。そこで早速意気投合し「ホテルへ」となりましたが、そのとき女性が「その前にちょっとトイレへ」。男性がこれから起こるであろう“あんなこと”や“こんなこと”を想像してルンルン気分で待っているところに、入れ替わりに6人の若い男たちが現れたのですから驚きました。
    そのうちの1人が「何しとんじゃい。俺の兄弟なんだけど。こっち来いや」と言って男性を殴った上で現金6千円と携帯電話を奪ったのですから、これはどう見ても美人局です。顔や脇腹に軽いケガを負ったうえ、天国から地獄へ突き落された男性が通報し、警察は強盗致傷事件として逃げた男らの行方を追っていますが、いたるところに防犯カメラが設置されている今、犯人は早晩捕まるでしょう。
    それにしても6人で寄ってたかって奪えたのは6千円。1人あたり千円しかありません。たったそれだけで強盗致傷の前科もちになるのですから、この犯罪はどう考えても割に合いません。もっともそんな損得勘定ができるのなら、端から犯罪者になんかならないのでしょうが。
    そして今回は“被害者”となった男性もどうかと思います。そもそも10代の女性が会ったばかりの40男とホテルに行くことなんてあり得ません。もしあったとしたらそれは「お金目的」いわゆる売春しかありません。男性もそんなことは百も承知であったろうに、その割に所持金が6千円っていったいどういうことでしょう。まさか“食い逃げ”するつもりだったとしたら、加害者と被害者どっちもどっちの気がします。
     
     
    ●広島市が2022年度に初めて実施した火葬後の遺灰に残る銀歯などの貴金属を売って収入にする取り組みで、その売却額が約2000万円だったというニュースがありました。
    これはそれまで遺族が骨壺に入れて持ち帰えりきれなかった遺灰を、火葬場の指定管理者が年20万円程度の費用を支払って業者に処理してもらっていたものを、ただ捨てるのではなくその中に含まれている貴金属を取り出し収益化しようとしたものです。1回目の集計となる2022年4~12月に市営の火葬場4施設に残った骨や灰は全部で約27トンあり、その中から歯の治療などに使われていた貴金属を取り出したところ、なんと銀2800グラム、金1200グラムもの量となったのです。それを買い取り業者に1990万円で売り、選別作業をした別の業者への委託費約407万円を差し引いた約1580万円が市の収入となりました。それまでただの廃棄物だった灰が1500万以上の利益に変わったのですから、「はなさかじいさん」ではありませんが、まさに魔法の灰だったのです。
    現代の歯の治療はセラミック樹脂など極力目立たなく違和感のない材料を使うことが多くなっていますが、かつてはニカッと笑うと見えている歯のすべてが金歯の獅子舞のようなばあさんもいました。今なら「なんと趣味の悪い」と蔑まれるのでしょうが、当時は逆に「なんという金持ち」と崇められたものです。ちょうど食べることもままならない貧しい国では太っていることこそが富の象徴としてモテるように。
    そんなばあさんは「虎は死して皮を残す」ならぬ「ばあさん死んで金歯残す」として、火葬前に遺族がこっそり金を外すこともあったようです。今回の利益に気を良くした広島市は今後もこの取り組みを継続するようですが、このニュースを見た遺族が骨上げの際、大開拓時代のゴールドラッシュよろしく、遺骨そっちのけで貴金属を骨壺に回収しないか心配です。

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  • 2023年11月17日号:ニュースに一言

    2023-11-17 10:19  
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    ●「心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きません」これはLBGT法案が通れば「女風呂に入り込む自称女性が現れるのでは?」という問いに対し、同法案を推進する稲田朋美元防衛大臣が答えた言葉です。
    11月13日午後8時半ごろ、三重県桑名市長島町の温泉施設で女性用の浴場に侵入した43歳の無職の男が建造物侵入の疑いで逮捕されたというニュースがありました。この男は何食わぬ顔をして女湯の洗い場で身体を洗っていたところを女性客に見つかり、110番通報により駆けつけた警察官に逮捕されましたが、調べに対し女性用の浴場に入ったことは認めたうえで「私は心は女なのに、なぜ女子風呂に入ったらいけないのか全く理解できません」と話しているそうです。稲田氏が「ありえない」と言っていたことが早くも現実に起きてしまったのです。もっとも彼女が断言した根拠は「厚労省が言っているから」だったのですから端からなんの説得力もありませんでしたが。
    ここで気になるのは逮捕した男を絶対に勝てるという確信がなければ事件化しない日本の検察がLBGTへの差別(それが正当な区別であっても)を禁じる法律が可決された今、果たして起訴するのかということです。「いや、さすがにチンチン付きで女湯はダメでしょう」と言っても4年前には合憲だった性別変更要件における「生殖要件」が、今年10月には15名の最高裁判事の全員一致で違憲とされたように世の中は「少数派の言うことを聞け」という流れです。
    とりあえずは高裁差し戻しで保留となった「外観要件(チンチンがあるかないか)」も15人のうち3人が高裁に差し戻すまでもなく違憲と言っていることからも、最後の砦とも言える「チンチンがあるかないか」も今後どうなるかわかりません。そうなるともう女湯にすべての自称女性は大手を振って(下にはちがうモノも振って)入れるのです。
    今回は厚労省が今年6月に出した公衆浴場での男女の区別について「身体的特徴で判断する」という通知により、いくら彼女(彼)が「私は女よ」と言ったところでチンチンがあるので逮捕されましたが、もし股間にガムテープを貼って「身体的特徴」を女性に寄せていたら、警察も迂闊に出動できなかったかもしれません。
     
     
    ●大阪市北区のエステに押し入った男が逮捕されたというニュースがありました。強盗容疑で逮捕された53歳の男は、大阪キタの繁華街にあるマンションの一室にあるエステ店で49歳の女性店主にスタンガンを見せながら「いままで写真にだまされた。金を出せ」と言って現金6万円とスマホ4台を奪って逃げていました。
    どうやら男は風俗店で写真指名したものの、実際に現れた女性が写真と全然違ったこと恨んで犯行に及んだようですが、なんという純粋な男でしょう。風俗店の指名写真が“盛られ”ているなんて大昔からの常識です。よく見える角度から撮るなんてのは序の口で、かつては本当は炭団のような肌を真っ白に塗りつぶしたり、髪の毛で隠したセロテープで目を大きく見開いたり、ありとあらゆる方法で美人に仕立て上げたものです。
    ところが時代が進み現代ではそんな苦労なしに、目の大きさを変える、鼻を高くする、あごをシャープに、挙句の果ては顔の大きさを変えることまでアプリひとつでいくらでも加工できるようになっています。むかしはどれだけ“盛られ”ていても、少しばかりの面影は残っていましたが、現代ではまったくの別人ということもあるでしょう。それだけに昔に比べて今のほうが“騙され感”は強いかもしれません。
    今回の男は事件発生から4日後、弁護士に付き添われて警察に出頭してきました。男は調べに対し「1万円を先払いしていた、支払ったもの以外は奪っていない」と言っているそうですが、それが本当なら1万円は指名料で、6万円とは過去に6回も写真指名していたということでしょうか。そうだとしたら毎回「次こそは」と期待して通っていたであろう男が何とも不憫に思えます。
     
     
    ●三重県警が20代の男性巡査を不適切な職務執行をしたとして、本部長注意処分にしたというニュースがありました。この若いおまわりさんが、一体何をしでかしたのかと思い記事を読みすすめると、そこにはまともな感覚をしていたら到底納得できないとんでもない理由が記されていました。
    8月26日未明、この巡査は「暴走族が走り回っていてうるさい」との通報を受け現場に急行しました。そこで原付バイクの後部にヘルメットも被らず二人乗りしている少年を見つけたのです。そして「これはやばい」と思った少年がバイクから飛び降り走って逃げようとしたところを勢いのまま地面に押し倒し「なに逃げとんのや」などと言って詰め寄ったことが威圧的な態度の不適切な職務執行とされたのですから言いがかりにもほどがあります。
    押さえつけられた少年の母親が当時の状況説明を求めたことでこの出来事は発覚しましたが、それに対し巡査は「熱くなってしまった、反省している」県警の担当者は「県民の信頼を損ねる行為。深くお詫びする。今後は適切な職務執行について指導を徹底し、再発防止に努める」なんて言うのですからわけがわかりません。これでは警察ともあろうものが理不尽なクレーマーに屈したのも同然です。そもそも真夜中に騒音を撒き散らす暴走行為をしなければ警察が出動することもありませんでしたし、停止を求められた際に素直に従っていたら押さえつけられることもなかったのです。
    逃げることに必死の相手を実力で阻止するのは警察官として当然の職務です。それなのにこんなことで処分されたのでは警察官のなり手なんかいなくなってしまします。百歩譲ってこどもがケガをしたことに対し親が怒るのなら分からないではありませんが、この少年は無傷で運転していた少年にいたっては逃亡したままです。「うちのバカ息子がご迷惑をおかけしました」と謝るべきところを「うちの子になんてことするのよ」ですから、まさに“この親にしてこの子あり”とはよく言ったものです。
     
     
    ●オーストラリアのニューサウスウェールズに住む男性が仲間数人とハイキングに出かけたところ、道端にヘビを見つけました。「これを留守番している子供たちに見せたら喜ぶにちがいない」と考えた彼はヘビを拾い上げようとしました。
    そのときです。ヘビも黙って捕まるわけにはいきません。一瞬の隙を突き、男性の腕に噛み付いたのです。「あ痛っ」とは感じたもののヘビが無毒のダイアモンドニシキヘビだったため格闘を続け、なんとか家に持ち帰ることができました。「おーい、帰ったよ。お土産のヘビ・・・」と言おうとしましたが言葉が続きません。なんと、それから3時間にわたって激しい嘔吐がとまらず、さらにヘビが噛んだ部分が大きく腫れ上がってきたため病院に救急搬送されることになってしまいました。
    そうです。彼が無毒だと思ったヘビは有毒で、本来ならすぐに解毒処置をしなければならなかったのです。専門家によりますと数時間も何もせず放っておいて、たったの6時間の入院だけで済んだのは奇跡だそうです。この男性は子供たちに自然の神秘、素晴らしさを教えようとしたのでしょうが、どうやら野生動物を舐めすぎたようです。金輪際ヘビを持ち帰ろうなんて考えないでしょう。
    そしてパパの一大事を目の当たりにした子供たちは自然の素晴らしさよりも野生動物の怖さをしっかりと、心に刻んだことは間違いありません。
     
     
    ●春先のWBCにはじまり、公式戦では投げては10勝、打っては44本の本塁打で日本人初のホームラン王に輝いたアメリカ大リーグの大谷翔平選手が、どの球団とも契約できるフリーエージェント(FA)となりました。人気と実力を兼ね備えた当代一のスーパースターを全球団が狙っており、その契約金は一説によると750億円以上とも言われています。
    ひとくちに750億円といいますが、これは2・5億円とされる日本の平均的サラリーマンの生涯年収の300倍です。大谷選手を平均的サラリーマンと比べるわけにはいかないとして、平均の倍を稼ぐ超エリートの5億円と比べても150倍です。すなわち超エリートサラリーマンが先祖代々150代続かなければ生み出せない金額を大谷選手はたった1人で稼ぐのです。
    徳川・江戸時代は15代で260年ですから単純にそれに当てはめると2600年かかることになります。2600年の間に子孫150人が全員超エリートサラリーマンであり続けなければならないなんて、ああ、もうわけがわかりません。さらにそんなに1人の選手に大金を支払っても十分に元が取れるアメリカのスポーツビジネスにも驚きです。
    とにかくすごいとしか言いようのない大谷選手が日本の子供たちのために日本国内にある約20000校の小学校に各3つのジュニア用グローブ合計60000個を寄贈するというニュースがありました。スタジアムの大谷選手は野球が好きでたまらないといった風情でいつも楽しそうです。そんな彼が「野球を通じて元気に楽しく日々を過ごしてもらえたら嬉しいです。このグローブを使っていた子供達と将来一緒に野球ができることを楽しみにしています!」とグローブをくれるのですから子供たちは大喜びでしょう。いや、子供たちだけでなく校長先生をはじめ学校職員の方たちもさぞかし嬉しいことだと思います。
    そこでお願いしたいのは“貴重な”グローブだからといってガラスケースにしまいこんで見るだけにするのは絶対にやめてもらいたいものです。子供のことですから汚したり壊したりすることもあるでしょう。しかし、それも含めて子供たちが思う存分野球をすることこそが大谷選手への感謝になるのではと思います。それにしても大谷さん、あなたの放つホームラン同様スケールが大きすぎます。そんなにカッコいい姿を見せられたのでは「あこがれることをやめられません。

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  • 2023年11月11日号:ニュースに一言

    2023-11-11 07:00  
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    ●今年のプロ野球は阪神タイガースの38年ぶり日本一で幕を閉じました。そのNo.1を決める日本シリーズは相手がオリックスという関西球団同士の対戦となり、さらに第7戦までもつれ込む接戦で、最終戦の瞬間視聴率が50パーセントを記録するなど大阪は大いに盛り上がりました。
    視聴率50パーセントとはテレビを見ている人の半分という意味ではなく、電源が入っていないものも含め全テレビの半分がそれを見ているということです。ですからその瞬間の関西はまさに点いている全画面が同じのヨドバシカメラのテレビ売り場状態だったのです。
    そんな久しぶりの優勝にファンの皆さんが喜ぶのはわかりますが、あまりにも羽目を外し過ぎるのはいただけません。繁華街のミナミには警察官が1300名も動員され警戒に当たりましたが、そのすきを見て相も変わらず道頓堀川に飛び込む者が40名近くもいたのですから呆れます。この川は底が見えないほど濁っており、水質も極めて悪い、とても泳げるような場所ではありません。そんなところによく平気で飛び込めるものです。上がってきたら悪臭ぷんぷんでしょうし、なによりバイキンだらけの水に顔をつけるなんてとても正気の沙汰ではありません。本人たちは「注目されてる」と有頂天なのでしょうが、全国の人が「阪神ファンってバカだな」と思っているのに早く気付くべきです。
    ちなみに道頓堀川に飛び込むのは阪神ファンの専売特許のように思われていますが、実は1985年、学校で好調に首位を走るタイガースを応援する阪神ファンの同級生が「今年は優勝や」と言うのを聞いた巨人ファンの高校生が悔し紛れに「阪神が優勝したら道頓堀に飛び込んだるわ!」と宣言し、本当に阪神が優勝してしまったため仕方なく飛び込んだのが最初でしたから、彼さえいなければこんな悪しき風習も定着しなかったのかもしれません。
    行政は事あるごとに飛び込む者が後を絶たない道頓堀川での事故を防ごうと、「今日は飛び込むかも」という日には川底への衝突を防ぐために水門を開け水量増やし水深を50センチほど上げているそうです。しかし、そんなことをすればバカな連中は逆に「安全だ」と思い、さらに飛び込む者が増えてしまうのではないでしょうか。危険極まりない行動は絶対にやめさせたいものですが、マスコミも毎回「今日は○○人飛び込んだ」と煽りにも似た報道しかしていません。もはや絶対に飛び込ませないためには逆に水門を閉めて水深0センチにするしかないのかも。
     
     
    ●北九州市小倉北区の福岡県営公園で開催された、市が後援する「ワンヘルスフェスタ2023in北九州」でクイズラリーへの参加賞として配った非常時に食べる防災パンの賞味期限が半年以上切れていたというニュースがありました。これは北九州市がこのイベントに提供した1300個の防災パンのうち、少なくとも50個の賞味期限が今年3月で切れていたというものです。
    フェスタに参加した人から「頂いたパンの賞味期限が切れていた」とSNSで実行委員会にメッセージが届いたことにより発覚し、すぐさま市は期限切れパンの廃棄を呼びかけるとともに「再発防止の徹底、強化に真摯に取り組む」と謝罪しましたが、「そんなに目くじらを立てるほどのものではないのに」というのが率直な感想です。
    自治体は地震や台風などの災害に対応するため一定数の「非常食」を備蓄しています。もちろん食べ物ですからある程度の期間が経過すると入替になりますが、今回も「そろそろだな」というものを出してきたのでしょう。その中に“たまたま”賞味期限切れが混ざっていただけです。賞(味)期限とは「おいしく食べられる期限」であって、「これ以上は食べてはいけない期限」を示す消(費)期限とは違います。一般的に非常用乾パンの保存期間は5年ほどありますので、たかだか半年ほど賞(味)期限が過ぎたところでどうってことはないでしょう。実際、フェスタ終了後に「具合が悪くなった」という報告は1件も寄せられていません。
    市としては期限を見落とした落ち度を認めて謝るしかなかったのかもしれませんが「市が賞味期限切れを配った」と責める論調の報道には違和感しかありません。そもそも他に食べるものがない非常時では、多少味は落ちても口に入るだけで御の字なのですから。
     
     
    ●千葉西署が偽計業務妨害の疑いでインドネシア国籍の職業不詳31歳の男を逮捕したというニュースがありました。この男は千葉運転免許センターで大型自動車第2種免許の筆記試験中、問題用紙をスマートフォンで撮影してアプリで画像を仲間に送信し解答を返信させていたのです。いわゆるカンニングです。
    同署によりますと、同センター職員が容疑者の不自然な動きに気付き、試験中に声をかけてスマホのやり取りを見つけたそうですが、全95問の設問のうち50問以上の解答を仲間から返信してもらっており、もはやこの男は自分の頭で考える受験者というより、単に答えを写す書記でしかなかったようです。
    カンニングといえば以前はテキストのコピーを、あるいは数値を書き込んだ消しゴムを持ち込むなどアナログなものばかりでしたが、最近は今回のスマホのように機器を使うものが増えているそうです。持ち込み禁止のものならいざ知らず、一見では分からないメガネ型のカメラなんて持ち込まれたら、なかなか不正を見つけることも難しいでしょう。
    今後は一切の電波が通じない「鉛の箱」の中でしか試験ができなるかもしれません。ところで男は調べに対し「どうしても合格したかった。漢字がよく分からなかった」と供述しているそうですが、大型自動車第2種免許の試験に来たということは、すでに普通自動車免許は持っていたということです。私としては、もしかして普通免許もカンニングで合格したのではないかと疑ってしまします。
    いずれにしても、漢字が読めないとなれば道路標識もよくわからないはずです。こんな奴が平気な顔をして道路を走っていると思うと恐怖でしかありません。外国人が免許試験を受けるときには、とくに標識をよく理解しているかを念入りにチェックしてもらいたいものです。
     
     
    ●毎年2月に愛知県稲沢市の国府宮神社で開催される奇祭「はだか祭」の神事「儺追(なおい)笹奉納」に、次回から地元の女性団体も参加する見通しになったというニュースがありました。
    この「はだか祭」は日本三大奇祭にも数えられる1200年以上続く祭りで、神男(しんおとこ)に触れて厄を落とそうと数千人の下帯姿の裸男たちが参道いっぱいに広がり激しくぶつかり合うものです。そんな雄々しい祭りに、いかに男女平等、ジェンダーレスといえど女性が、それも下帯だけのオッパイ丸出しで参加とは、と思いきや「女性は着衣で」、さらに「けがのおそれのある“もみ合い”には参加しない」と聞いてわけがわかりません。
    この祭りは“はだか”での“激しいもみ合い”が大きな特徴の祭りです。そのどちらにも対応せず、果たして「参加した」ことになるのでしょうか。地元の約30人の女性団体が来年の祭りへの参加を希望したことから対応を検討していたそうですが、彼女たちの意図はいったいなんだったのでしょうか。「男だけが参加できるのは不平等」、「時代とともに変化が必要」と考えてのことだとしたら、これほど愚かなことはありません。どれだけ男と女に差をつけてはいけないと言ったところですべてが同じにというわけにはいきません。「女性は着衣で」というのもそのためでしょう。
    百歩譲ってどうしても参加するというのなら、いままでのしきたりを丸ごと踏襲しなければならないのに、女性が参加するためにむりやり長年の伝統を変えてしまうなんて言語道断です。たしかに時代とともに社会生活を送る上での不都合、不合理を修正することは必要ですが、それは日常生活においてのことで、「祭り」という非日常にそれを持ち込むべきではありません。「気に入らないことはなんでも変えてしまえ」ましてやそれがほんの少数者によるものだとしたら恐ろしいことです。そんなものにいちいち対応していたらとても文化なんて育ちません。
     
     
    ●2025年に開催される大阪・関西万博の会場建設費が2350億円になる見通しだというニュースがありました。万博の運営主体の日本国際博覧会協会は、2017年に建設費を1250億円で計画していましたが、2020年12月に1850億円に増額し、それから3年後の今月になってさらに500億円も増やして当初予算の1・9倍の2350億円としたのです。いったいどういう見積りをしたら、これほどまでの誤差が生じるのでしょう。
    協会は増額の理由を資材価格や人件費の高騰などとしていますが、2017年から6年間で物価や賃金など何もかもが2倍になっているならともかく、建設費だけが異常なアップだなんて到底納得できません。会場建設費は国と大阪府・大阪市と経済界の3者で3分の1ずつ負担することになっていますが3者ともすんなり了承したそうで、なんとも物わかりの良いことです。
    万博に協賛する会社はほとんどが大企業で、円安の影響もあり過去最高の利益を計上したところも多く、税金で取られるくらいなら“万博協賛”で国に恩を売ったほうが得策と考えたのかもしれませんが、国と大阪府市の原資は税金です。経済界負担分を除く前回からアップした332億円、当初予算からは733億円を国民が、大阪府民が市民が、そして大儲けしている一部の大企業ではない多くの中小企業がかぶることになるのです。
    それなのに「仕方がない」で簡単に片づけられたのでは堪ったものではありません。今回2350億円に膨れ上がった建設費ですが、わたしはまだまだ増えると思っています。なぜなら現在の会場予定地はほとんどが更地状態だからです。何もないところから2025年3月と決まっている開幕に間に合わすには昼夜問わずの突貫工事が必要です。そのための職人を集めるには破格の賃金を提示しなければなりません。人件費のさらなる高騰は必至で再度の増額となるのは明白です。
    問題はそれだけではありません。万博に多くの職人を取られた全国の建設現場は工事がストップしてしまいます。物件の引き渡しの遅延や、場合によっては建設計画の見直しなども発生するでしょう。そうなると今以上の経済停滞は避けられません。万博とは本来、明るく輝かしい未来を見せるものだったはずですが、残念ながらこの万博が見せているのは暗く厳しい現実だけです。
     

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  • 2023年11月5日号:ニュースに一言

    2023-11-05 21:07  
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    ●北海道から東北・北陸にかけ野生のクマの出没が増えており、特に秋田県では50名以上が襲われケガをしています。それもけっして人里離れた山奥に分け入っての被害ではなく、農作業や草刈り、散歩など日常生活を送るなかで襲われているのですから、当該地域に住んでいる人たちはとても他人事とは思えず、さぞかし不安な毎日でしょう。
    それを受け秋田県は11月からクマの狩猟期間に入ることを踏まえ、駆除を担う猟友会が使用する弾丸の購入費用を県が負担する考えを表明するなど、住民の安全を確保するために積極的なクマ駆除の方針を示しています。わたしの住む地域でも野生動物を見かけることはありますが、それらはイタチやタヌキ、キジなどで、ほぼ襲われる心配はありません。しかし、もしそれらの動物の中にクマが含まれていたら怖くて散歩も出来ないでしょう。
    ですから秋田県の姿勢は住民サービスとしていたって当然のものですが、なんにでもいちゃもんをつける人がいるのは困ったものです。10月4日に美郷町で野生のツキノワグマ3頭が作業小屋に立てこもり、地元の猟友会が駆除したと報じられると秋田県庁や美郷町役場に「クマがかわいそう」「なぜ殺すんだ」と抗議の電話が殺到したというのです。それもほとんどが自身を名乗らず一方的に喚き散らすばかりというのですから質の悪いことこの上ありません。
    知事はそんな無礼な電話に対しては「『ガチャン』とすぐに切れ」と指示しているようですが、現場の担当者は「役所にかかってきた電話だけに一方的に切るわけにはいかない」と頭をかかえているそうです。実際にクマに襲われて九死に一生を得た人が言うのならまだ説得力もありますが、自身は安全な場所にいて「クマがかわいそう」なんてよく言えるものです。そんな人たちはもし、目の前にクマが現れ今まさに跳びかからんとしていても「クマを殺さないで」と言えるのでしょうか。きっと「早く撃って」と叫ぶに違いありません。
    そもそも行政も喜んでクマを殺しているのではありません。ひとたび人里で食料を得た野生動物はその場所を覚えており、またいつやって来るかわかりません。そのたびに住民は危険にさらされるのです。人間とクマ、どちらの生活を優先すべきかは言うまでもありません。こんなことは少しばかりの想像力があればすぐにわかるはずですが、それを理解できない人が電話をかけているのです。
    この苦情が殺到し、その対応で役所の業務が停滞していることが報じられると、今度は逆に「頑張ってください」や「気にしなくて大丈夫ですよ」といった電話がかかってくるというのですから“何か一言”言いたい人のなんと多いことか。こちらはいたずら電話にも似た苦情よりは随分マシですが、この電話もまたあまりに多いと業務に支障をきたします。
    「わたしは動物愛護精神にあふれた優しい人」、「わたしは役所の職員を慮ることの出来る優しい人」と、どちらも当の本人は正義のつもりでやっているのでしょうが、周囲の迷惑となるその行為はただの自己満足でしかありません。
     
     
    ●右折のため青信号で交差点に進入して一時停止し、再発進した際に直進してきたバイクと衝突して運転手に足を折るなどのケガを負わせたとして自動車運転処罰法(過失致傷)違反の罪に問われた乗用車を運転していた男性に対し、福岡地方裁判所が無罪判決を下したというニュースがありました。
    この裁判では検察はバイク側を「被害者」として起訴していましたが、裁判所は「この事故はバイク側の一方的な過失によって生じた」と、乗用車の方こそが「被害者」だと判断したのです。すなわち、事故の原因のすべてはバイクの運転手にあり、ケガをしたのは自業自得だと言ったのです。それはそうでしょう。なぜならバイクは赤信号を無視して交差点に突っ込んできたのですから。
    こんな普通の感覚さえ持っていれば誰が悪いか一目瞭然の事故を、検察は「乗用車の運転手は赤信号で安全に止まれないと判断して直進する車両を予見する義務があった」と主張するのですからわけがわかりません。検察が言うように常に「赤信号でも突っ込んでくる奴がいる」と考えストップしないといけないのなら、車両が途切れることのない都市部の道路ではその場から1ミリたりとも進めなくなってしまいます。
    事故が起きた場合、一般的には乗用車とバイクなら乗用車、バイクと自転車ならバイク、自転車と歩行者なら自転車というように力の強い方の責任割合が大きくなります。これは相手に危害を加える可能性が高いほうがより注意すべきだということで、ある意味合理的に思えますが弱者保護も時と場合によります。一方通行を逆走する自転車、赤信号でもお構いなしに道路に飛び出す自転車や歩行者。車を運転しているとヒヤッとすることの連続です。そんな輩まで過剰に保護していたのでは、「俺たちは守られてるから大丈夫」と彼らの違反を増長させかねません。その意味で今回の判決は有意義なものでした。守られるべきは“善良”な弱者だけで十分です。
     
     
    ●静岡県浜松市で50歳のホテル従業員の男が住居侵入の疑いで逮捕されたというニュースがありました。市内のアパートに住む28歳の女性が帰宅すると、なにやら強烈な違和感があります。「なにかがおかしい」そう思い部屋の中を見回すと、なんと外出前にはなかった、自分が洗濯した覚えのない服や下着が洗濯された状態で室内に干されていたのですからビックリです。
    女性が慌てて交番に「外出中に勝手に誰かに入られた」と届け出をしたところ、同じアパートに住む男が別の住人に連れられ同じ交番に出頭してきたのですから2度目のビックリです。
    警察によりますと、この男は鍵のかかっていなかった女性の部屋に入り込み、自分で女性の衣類を洗濯していたということです。男の行為が犯罪なのは言うまでもありませんが、鍵をかけずに外出する女性も大概なものです。山奥の一軒家じゃあるまいし、浜松市といえば人口80万人近い大都市です。そんな場所で無施錠とはあまりにも無防備過ぎます。
    それにしてもこの男はなぜ洗濯をしてご丁寧にも干して帰ったのでしょう。下着泥棒ならそのまま持ち帰るでしょうし、金目の物を狙う盗っ人なら用事が済めば素早く退散するでしょうし。ひょっとしたら男は筋金入りの「きれい好き」で汚れたままほったらかしにされたパンツに我慢ができなかったのかもしれません。もしそうだとしたら乾いた頃にアイロンをかけに戻ってきたことでしょうが、逮捕されてしまったいま、それも出来なくなりました。
    女性もこれに懲りたら今後はしっかりと鍵をかけることです。また、男も今後は大きなお世話はやめましょう。言っておきますが、留守中に勝手に部屋に入って洗濯していいのは田舎から出て来た「おかあちゃん」だけです。
     
     
    ●島根県出雲市に住む61歳の無職の男が窃盗の容疑で逮捕されたというニュースがありました。窃盗というと民家に忍び込んでコソ泥をはたらいたのか、あるいはコンビニで万引きしたのかと思いきや、なんとこの男は病院内の食堂に置いてある味付け用のマヨネーズを、持参した容器に勝手に移し替えていたというのですからなんともせこい犯罪です。
    調べによりますと、男は午前11時頃といいますからランチ営業が始まる時間、出雲市内の病院施設内の食堂の調味料コーナーで客のために設置されていたマヨネーズを手に取り、持参したプラスチック容器に1本のうち3分の2の量を移し替えて盗んだのです。その後、男が何食わぬ顔をして退店するのを目撃した病院の保安対策員が声をかけたところ逃走する素振りを見せたため、私人逮捕し駆け付けた警察官に身柄を引き渡したということです。
    男は過去にも数回この食堂に来店していましたが、食事をせずに出て行くことが数度あったことから保安対策員が警戒していたそうで、まず常習犯と言って間違いないでしょう。牛丼屋でこれでもかというくらいに紅ショウガを乗せる客、スーパーで寿司を1パックしか買っていないのに、ショーケースに置いてあるガリと醤油を両手いっぱいに持ち帰る人など「タダ」とあらばもらわにゃ損とばかりに遠慮のかけらもない人はいますが、彼らはまだメインとなる食品の代金は支払っています。しかし今回の男は代金の発生するものを一切注文することなく、タダのものだけを狙って来店するのですから困ったものです。
    それにしても何かマヨネーズが必要なものがあり、それにかけた上でついでに容器に入れるのならまだしも、食べ物が何もないところで移し替えだけをしていてバレないと思ったのが不思議です。それならまだマヨネーズチューブをそのまま持ち去るほうがよほど手っ取り早く見つかりにくいと思うのですが、3分の1だけ残すのは「全部持って行ったら後の人が困るだろう」という彼なりの良心だったのでしょうか。犯罪者の心理とはなんとも理解に苦しみます。
     
     
    ●JR鹿児島本線の広木駅で鹿児島中央発川内行き4両編成の普通列車が停止位置を間違え、最後部の車両がホームにかかっていない状態でドアを開けたため乗客が転落しケガをしたというニュースがありました。
    これは自身の運転している列車を短い2両編成と勘違いした運転士が、本来停まるべき位置より手前でストップしたため駅のホームから後部車両がはみ出し、降りようとした10代の女性が約1・7メートル下の線路上に転落したものです。一般的な列車は最後部に車掌が乗ってドアの開閉をしています。車掌も目の前にホームがなければドアを開けることはないはずですから、この列車はワンマン運行で運転士が最前部から後ろをよく見ないままドアを操作していたのでしょう。ローカル路線では収支改善のための人員削減が盛んに行なわれていますが、こういうことがあるとやはり最低限、車掌は必要なのかなと思ってしまいます。
    都市部では乗客が線路に転落しないよう、乗降時以外は閉まっているホーム柵を設置している駅も増えていますが、これは列車が必ず決められた位置に停まることが前提です。いくらホームから落ちる人がいなくなっても、列車から転落する人がいたのでは意味がありません。幸い女性は擦り傷程度の軽傷で済んだようですが、それにしてもなぜ彼女はちゃんと目の前に足場があることを確認しなかったのでしょうか。人間は、それまでとは違う場所に足を踏み出す際には「そこの広さは十分か」「そこは滑らないか」と不安になり無意識に安全を確認しているものです。にもかかわらず落ちてしまったのはなぜでしょう。
    人間の視野は180~200度といわれています。彼女も前さえ見ていれば少なくとも前方の状況変化には気が付いたでしょうから、たぶん視線を前に向けず小さなスマホ画面しか見ていなかったのかもしれません。
    現代の列車やバスの車内では8割がたの乗客はスマホとにらめっこしています。座っている人はもちろん、立っている人までつり革の代わりにスマホを握るのですから車両が揺れる度にあっちへこっちへ、見ているこちらがハラハラします。駅のホームでもスマホに夢中で行列の前が空いていてもつめようとしない人が増えています。もっともその後ろに並ぶ人の目もスマホ画面ですからそれに気付かず文句を言う人もいませんが。
    スマホはそれ1台で電話はもちろん、地図や百科事典、計算機や写真機、翻訳機などあらゆる場面に対応できる優れものです。それだけに現代人はなんでもそれに頼るようになってしまいました。観光地でも目の前に雄大なパノラマが展開されているにもかかわらず、そちらへスマホを掲げたった10センチ四方の画面しか見ないのですからなんとももったいない限りです。スマホの発明により我々は「知識の幅」「行動半径」「人脈」などを無限に広げることが出来ました。その代わり人間が本来持ち合わせている能力を引き出すための視野を極端に狭めてしまったのです。

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