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未来の給与の形が見えてきた?
2015-10-16 23:4531pt「奨学金、当社が代わりに返します」 素晴らしい取り組みだと思いました。 誰でも大学にいける時代になり、従って大学に行ったからといって、高い給料がもらえるというわけでもなくなりました。 一方で日本は大学の費用が国際的にも高いそうです。 しかも、教育の費用対効果というのは小さいほど高く、従って、純粋に国力をあげようと思うなら、大学なんかより、幼児教育に回したほうがはるかに効率的です。 国が出そうが個人が出そうがお金のかかる大学で教育を施そうとも、それにみあった便益が得られるかというのは甚だ疑問があると、今考えられています。 ですから、規模の縮小による痛みを全く無視するならば、大学は基本的には大学院に進みたい人が行くべきところで、それ以外は、高等専門学校など、もっと実利のある組織に行ったほうが費用対効果が高いことでしょう。それは教養を軽んじていると思われるかもしれませんが、たとえばそれは大学から高等専門学校に出張講義する程度の頻度でもまかなえることでしょう。 と、そうはいっても今この瞬間、普通に進路を選んでいれば大学になってしまいます。しかし、奨学金しかも有利子のものを借りてしまっては、将来返しきれないという現実が訪れてしまっているわけです。 この問題は繰り返し持ち上げられながら、国はちっとも動きません。国は頼れない、そんなときに、民間がこうやって対策を打つというのは、素晴らしいことではないでしょうか。 どんどん追随する企業が出ると思います。 でもその一方でその記事の中でも述べられていますが、 この制度では、同じ新入社員でも額面上は奨学金を受けていた人の方が給与が多くなる。返済に充てるとはいえ、社員同士に不公平感が生まれることはないのか。
と、これが気になってきます。 でも、ちゃんと答えが書かれています。その懸念に対する、田中社長の回答は明快だ。「そもそも、新入社員だからみんな同じ給料だという方がおかしい」。
なんというか、眼からウロコといいますか、未来はこれが給料の形になっていくのではないでしょうか。 今同一労働同一賃金が叫ばれていて、一見それに矛盾しているようにも見えます。 しかし、ふと日本のかつての年功序列の賃金形態や -
[S] 大きく変貌するアフリカ 最新報告
2015-10-16 00:3031pt昨日[S]でしたが、先週[S]なかったので、気楽に書き始める[S]です。 NHK NEWS WEB 大きく変貌するアフリカ 最新報告 最近の平均の経済成長率はおよそ5%と際立った成長を続けるアフリカ。
アフリカが順調に経済発展をしているようで、なによりです。 でも気になることもあります。経済成長著しいアフリカ。しかし、その陰で顕在化したのが、富める者と貧しい者の格差です。
いつも経済成長の陰には格差拡大の問題がつきまとうのでしょうか。 そのレポートでは「最新ビジネス成功の鍵は携帯電話」と題して、携帯電話を活用したインターネットでのTシャツ販売が紹介されていました。 とても象徴的に思えるのは、今時経済発展の先鞭を切っていくのは、そういう軽い事業ではないかと思います。昔の日本のような国家で一大産業を興していくというのではないのです。 しかし、そういう動きについていけるのは、新しいものにすばやく適応していく、身の軽い人たちです。そういう人たちでどんどん経済を盛り上げてくれるのは良いことでしょうが、一方でその流れに乗り切れずに置いていかれる人が出てしまいます。その辺は国が起こす事業より容赦ありません。ちょっと古すぎますけど、きっとピラミッド建設なんかは、すべての人を経済活動に巻き込むような事業だったことでしょう。 昔の経済の興し方は、格差が広がりにくかったけど、今のやり方は広がりやすいということでしょうか。 そんな中こんな記事を見かけました。「ネットビジネスは一見目新しくはあるが、誰かの代わりに面倒なことを引き受けるという、昔からある商売の一面をもっているのだと感じた。なかでも1軒1軒訪ね歩き丁寧に説明を繰り返していたアキッパの菅田さんの誠実な働きぶりが印象的だった。」
個人宅の駐車場を貸し出す新サービスも 日本に「シェアリング・エコノミー」の波が来た 個人宅の駐車場を貸し出すサービスを IT を活用して実現している話なのですが、ネットビジネスは一見目新しくはあるが、誰かの代わりに面倒なことを引き受けるという、昔からある商売の一面をもっているのだと感じた。なかでも1軒1軒訪ね歩き丁寧に説明を繰り返していたアキッパの菅田さんの誠実な働きぶりが印象的だった。
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P: 金属でできた超軽量クッション!
2015-10-14 23:0010pt -
[S] ついに来るか、「警策」ロボット。
2015-10-14 22:0031ptいつもとちょっと違う水曜、今回は短い記事[S]です。 おお、こんなクラウドファンディングがきました。 「落ち着け」と警告してくれるウェアラブル端末:WellBe ブレスレットで、怒りに我を忘れそうなときに「落ち着け」と教えてくれるというのです。 怒りのコントロールってよく話題になりますよね。とりあえず深呼吸しようとか。実はここミラフツでも、昔決定打を出したことがあります。 [S][未来脳]ボカロ好きは長生きするぞ? 世紀の大発明「しねばいいのに」 怒りに我を忘れそうになったら、ボカロの名曲「しねばいいのに」を心の中で歌えば、あら不思議怒るどころか楽しくなってきます。 しかし、残念かな、ボカロを知っている人しか使えません。これは。 ということで、これを知らない海外では、ウェアラブルデバイスで教えようというのです。横から、「トントン、怒りが爆発しそうですよ」と。 すごい。こういうの人間にとってとても役立つようになると思っています。 同じではないのですが、ここミラフツでは 2013 年にこんな形で予想していました。とはいえ、 【馬】人間が人間を超えそうだ(追記アリ) の後半、会員向けのとこですね。公開部分に書いておくべきでした……。 「警策」とは座禅してて心が乱れたら、後ろからパシッってやってくれるアレです。人間は自分を観るのが苦手ですから、座禅しててもいつの間にか乱れてしまっているのにそれになかなか気づかないわけです。 -
「日本だけ、ずっと日本」自慢するでもなく否定するでもなく、生かす
2015-10-13 23:5931pt昔ブログで紹介した年表がまたバズってるみたいで。 日本だけ、ずっと日本。この事の凄さを、学校では教えないんですよね・・・ 世界史の年表を見ると、日本だけ建国から国の名前が変わっていないことを見ることができます。そう他の国は、歴史の中で何回か「リセット」して今日から僕たちは新しい僕たちをやってるんですけど、日本だけは一度もやってません。(2015/10/14 追記) 「それが?」という人が多いようなので補足します。日本も室町時代とか江戸時代とかあるし。 日本が国の名前を変えていないというのと、天皇が続いているというのはほとんど同じ意味です。日本もいろんな政治体制を経ていますが、ずっと天皇制は続いています。 他の国はトップから変わっていて、そういう時は、たいてい国の名前が変わるのです。「リセット」です。 日本も一時期「大日本国帝国」も使ってたけど、「日本国」も使ってたようですし、もちろん天皇は続いていましたし、戦後一時期、連合国軍の占領下にありましたが、結局天皇は続いているので、実質的に「日本国」は建国以来天皇制が続き、国号も変わっていないという、世界に類を見ない歴史を持っています。
で、今回バズってるの見てたら、たまたま批判的な意見をいくつか見ることができました。 一つはこういうこと言って喜んでるの日本自身だけだよ、恥ずかしい、というものですが、日本という名前が変わってないというのは、確かに外国の人で知る人は少ないはずです。だって、外国から見た日本の呼び名はたまに変わっているので。しかし、天皇がものすごく続いているというのは知られてないわけではないですし、日本が歴史のある国と思われるのは普通のことではないでしょうか。 それを強く自慢するわけでもなく強く否定するのでもなく、あるがままに受け入れるのがいいとおもいます。なぜなら、そのことは「日本が変化を嫌う」傾向の元にもなっているからです。持続的な営みに慣れた国ですから、逆に急な変化は嫌います。日米はとても対照的な国だと思いますが、アメリカは歴史が浅い分大きな変化を起こしやすいですが、日本はアフガニスタンの緑化事業で成果をあげるとか、日本の得意なところで成果をあげればいいのです。日本とアメリカを比べてアメリカがすごいと思うのはアメリカのすごいところで比較するからで、日本のすごいところで比べれば日本の方がすごいわけで。 他にあったのは、「日本は一度リセットした方がいいのでは」というのもありました。他の国はなにかとリセットしてますから、なんかそう言いたくなるのもわからないでもないですが、これだけ続いた日本の場合、「リセット」とは、どんな感じでしょう。 たとえば、政府がなっとらんということで、自衛隊が国民の人気を背景にクーデターでとかでしょうか。一旦軍事政権を樹立して、憲法制定、新しい議会を作って、新しい社会を作るみたいな感じでしょうか。そうすると天皇はどうなるのでしょう。別に悪いことしてないので、そのままいてもらって、軍事政権、その後の民主政権共にむしろお墨付きをもらいたいのではないでしょうか。 それって、結局今までの日本と同じです。 -
日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その5)
2015-10-09 22:3031pt日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その4) の続きです。 ということで、「日本のGDPが増えなかった真の理由」がおぼろげながらに見えてきたのではないでしょうか。 一番直接的だったのは、グローバルな大企業が賃金をあげなかった(むしろ下がった)ことでしょう。価格競争に負けないためです。それに合わせてその他のグローバルでない企業もあげませんでしたから、国内消費は当然それにあわせて上がらず、つまりGDPは上がりませんでした。 そしてその状況に私たちは死に物狂いで対応しました。物やサービスの値段はあげないが、常に進化するというやり方です。私たちは20年間立ち止まっていたわけではまったくなく、その間も死に物狂いに新しい商品を生み出し続けました。私たちが本当に進化をやめていたら、iPhone の最新型など、世界最先端のプロダクトは、特権階級しか手に入れられなくなっていたことでしょう。 私たち日本人は、進化しながらも、GDPをあげない戦略で、再び国際競争力を手に入れたのです。 それはさらに様々なメリットを生んでいます。 私たちは20年間GDP0成長したことでたくさんのデータがたまり、将来の見通しが立てやすくなってきました。 たとえば、新国立競技場を2560億円で建てようとしたら「は?高過ぎ! そんなん回収できないよ」と即座に総ツッコミが入ったことなど象徴的ではないでしょうか。各地の公共事業にしても、 たとえば、大学にただ行ったからといって後で元が取れるほど給料に差がつくわけではないといったこともわかってきました。 こういった長期的な展望が必要な問題に対し、高度成長期の頃はどれだけ成長するとか良くわかりませんでしたから、まあいいやいっちゃえとなり、過剰な公共投資で私たちはそれはそれは痛い目にあったわけです。しかし、今なら成長しないとして、長期の収支を考えれられますから、まともな判断ができるようになってきたのです。 このような長期的視野が持てるようになったことで、貧困問題、財政問題など様々な問題を直視できます。今までは将来成長すればなんとかなんじゃね? とどうしても先送りしがちです。いえ違います。もう今真剣に取り組まなくてはいけない問題なのです。 しかも私たちは、この状況を受け入れることで、新たな発展を始められます。 上にも書いたように、給料の上がらない一番の理由はグローバルな大企業のせいです。彼らは「コモディティ」と呼ばれるものを作り売っています。世界中が同じような製品を作っており、今日は売れていても、明日は他の企業が同じような製品をより安く出すことで、すぐにシェアを失うような世界です。 Android はその典型です。 スマホの利益、米アップルが92%占める :日本経済新聞 という衝撃的な記事が話題になりましたが、 Android は価格競争が激しくほとんど利益があがりません。人件費は世界より多いなんてことにならないようきびしくコントロールしなければなりません。 経済学でもこの現象は良く説明されています。障害がなく、純粋に競争が行われれば利益は0に近づくと。グローバル化とIT化のおかげで理論どおりのことが起こっています。 しかし、それらはじつは景気を良くしません。昔の物々交換の世界と一緒です。去年のここでさんざんやりましたが、リンゴ農家のAさんは、リンゴはたくさんあるけど、みかんは珍しいのでリンゴ2個とみかん1個を交換する、みかん農家はその逆をする、その価値観の差から余剰が生まれ、景気が生まれます。 経済にとって、純粋価格競争しているグローバル大企業など水や空気のようなもの、あるいは社会の歯車でしかないのです。 このままGDP0成長が受け止められ、グローバル大企業で賃金が上がらないとわかると何が起こるでしょうか。優秀な人は、グローバルでない企業に活路を見出します。「コモディティ」なんか売るからそうなるのです。この商品は欲しい人はいくらお金出してもほしいという商品を作った方がよほど利益が出るのです。 そういう企業なら、それに見合った高い給料も出せます。 実際2011年ですがこんな記事もあります。 ◆実は多い“大手以上に儲かっている”中小企業 そこにあるグラフで、「大企業の平均賃金38.3万円/月を上回っている中小企業の社員、19.5%」と出ています。とりあえず2012年のデータをもとに計算すると、大企業の平均賃金を上回る人は、大企業の50%として、858万人×50% = 429万人、中小企業の 19.5% として 2856万人×19.5% = 557万人となんと中小企業の方が多いのです。 現状でそうですから、この社会情勢が認知されるにつれ、一発あてて給料たくさんほしい!という人が中小を目指す割合はどんどん増えるでしょう。 そして、そういった企業から、コモディティでない付加価値の高い商品が生まれ、経済活性化が進むことでしょう。それらは世界にも輸出されるでしょう。相変わらず世界の誰にでも得るコモディティ商品ではありません。世界のごく一部の人が欲しがる商品としてです。きっと惜しみない金額で買ってくれることでしょう。経済活性化はもはや社会の歯車であるグローバル企業が起こすものではなくなるのです。 -
日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その4)
2015-10-09 01:1531pt日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その3) の続きです。 これまでの考察を踏まえて、GDP0成長の世界はどんな世界なのか、改めて想像してみようと思います。 孫の代まで物価が変わらない世界
望んだわけではありませんが、日本のGDPは20年ほとんど増えていません。物価も安定しています(参考:比較グラフ)。GDP0成長とは、物価があまり変わらないということです。これがこれからずっと続くとしましょう。 私の祖父の時代はまだ銭があって、1円でいろいろ変える時代でしたが、私の孫の時代では、うまか棒は相変わらず10円の世界です。 それは進化がないということではありません。例えばランチは相変わらずワンコイン 500円で食べられますが、たとえば食品の安全性は格段に上がっているでしょう。出てくる食事の材料がどこで作られたかがスマホ(のような未来のなにか)でその場でわかるようになっているのです。 家賃も今と同じような額。でも、地方への分散が進み、みんなの家の大きさは大きくなっているかもしれません。家の設備も進化していることでしょぅ。 車も今と同じような値段で自動運転が実現しています。 個別に見ていくと上下するものもあります。でもGPD0成長の世界は全体としての物価は変わらないのです。 孫の代まで給料が変わらない世界
我々の生活でもう一つ重要なのは給料です。これも変わりません。大卒初任給が今も昔も同じような水準なのです。 誤解してはいけないのは、個人個人の給料が変わらないという話ではありません。20代で働き始め実力があがれば当然それに見合った額に上がることでしょう。でも同じような仕事であれば同じような給料が続きます。 ものと同じように、同じ仕事であっても内容は変わります。医者で言えば、診断などについては人工知能がより正確な診断を分担する代わりに、医者は高いコミュニケーション能力で、患者が今よりずっとすくない不安で診察が受けられるような能力を求められるといったことです。 なくなる仕事もあるでしょうし、新しくできる仕事もあるでしょう。でもGDP0成長の世界は、全体としてこれまでと同じような給与水準が保たれるということです。 (ただし、GDP0成長では労働人口が増えると平均給料は減少し(今の状態)、減ると増えます。今後は少しずつ減っていくので、とりあえずは一定と考えても問題ないはずです) 貧困問題などの問題と真面目に向き合える
そのような定常的な社会を前提にすることの大きな利点は、今ある貧困問題などの社会問題などに真面目に向き合えるということです。 そのような定常な社会を前提にするとは、それら社会問題の解決を諦めるように聞こえませんか? 違います。むしろ逆なのです。 今は貧困問題などをむしろ先送りしがちです。だって、GDPが増えないことで経済成長していないと思い込んでますから。国民一人一人にしても、貧困問題は問題だけど、今はGDPが増えなくて、それどころじゃない、自分たちがまず楽になるように、まずは GDP が上がるようになってからだと考えてしまいませんか? それではいつまでも解決しません。 GDP0成長を考えるということは、これからは、GDPは上がる時もあれば下がる時もあると考えることで、それでも貧困問題を解決していかなければならないということです。 上に書いたように、GDPは上がらなくても、私たちの生活はどんどん便利になっています。上がってないからといって、日本人全体が飢えているわけではありません。 結果として、これからGDPが上がることもあるかもしれません。そうなったらラッキーくらいで、でも私たちはGDP0成長を仮定して経済や社会を考えるべきなのです。 財政再建にも向き合える
さらに、私たちに大きくのしかかっている赤字国債の問題にも向き合えます。 だって勘違いしませんか? GDPが上がるようになれば、税収もあがって財政再建もできると。 -
日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その3)
2015-10-07 21:0031pt日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その2) の続きです。 日本のGDPは20年増えませんでしたが、それでも私たちの暮らしは便利になっています。たとえばiPhone がモデルチェンジしても値段はそれほど変わらず、また買うことができます。 それはあたかも、やがて地球に到来する人口均衡社会における、新たな経済活動の仕組みに挑戦しているようにも見えます。 でも、GDP が上がらないことに不都合はないのでしょうか。いえ、とりあえず困るように思えることがあります。 預金が増えないのは問題?
GDPが増えないということは、大雑把にいって利子がつかなくなります。つまり預金をしても、増えていってくれません。実際、銀行の預金に利子がほとんど付かなくなってもう随分になります。株も長期的には10000円と20000円を行ったり来たりしているだけですから、ただ投資しているだけでは増えません。 もし、そこそこの利子や投資益を期待するなら、GDPが増えていかなければなりません。昔のように貯蓄していれば複利で利子に利子がついて、いつの間にかこんなに増えてたなんて時代を楽しみたいなら、毎年GDPが上がっていくような経済でなくてはいけないのです。 でも、よく考えるとそれに意味があるでしょうか。GDPが増えれば物価もあがります。高度成長期の時はなんかどさくさで貯蓄もどんどん増えましたが、現在のように低い成長率しか見込めない社会では、物価も金利も同じ程度に変動して、結局金利と給料が増えても、それに合わせて物価も上昇して相殺されてしまいます。 私たちにとっては、GDPが増えることと、暮らしが豊かになることとは表裏一体の関係ではないのです。 GDPが本当に増えてほしい人々
それではなぜこんなにGDPあがれあがれと叫ばれるのでしょうか。それはGDPが上がってほしくてたまらない人々がいるからです。 それは資産家や金融業界の人です。 彼らは、お金でお金を増やすことを生業にしています。ですからGDPにも増えてもらいたいのです。 でも、ちょっと待て、金利があがっても、物価も上がるから相殺すると上で書いたばかりです。私たちのレベルだとそうです。 一方資産家たちはお金を増やすプロです。もしそこにお金が増えるトレンドがあるなら、彼らは、それをテコにしてはるかに効率良くお金を増やせるのです。いわゆるレバレッジというやつです。たとえば証拠金取引すれば、上昇トレンドで通常の何倍もの利益をあげることができます。 サブプライムローンにしても、不動産価格の上昇トレンドを利用して、もっと稼げる商品を作り、お金でお金を増やしていたのです。 しかし、たとえば、株価が長期的にはあがらない、まさに日本の株価のような動きをする場合、ただ投資しても増えません。そこで増やすには、低い時に買って、高い時に売るという技術が必要です。 でも、上昇していくと信頼できるものがあれば、それをテコにもっと稼ぐ仕組みを作るのははるかに楽なのです。 この人たちが GDP が増え続けることで大きく得をする人たちなのです。 0成長で資産家たちに汗をかかせる
レバレッジを効かせてお金でお金を高速に増やす、いわゆる金融手法は大いに発展したため、資産家たちはあっという間に莫大なお金を生めるようになりました。世界にお金が余っていると言われるのはそのためです。莫大なお金を生み出す力を持つ彼らと一般市民の差は広がる一方です。 GDPが上がるなら莫大な利益を上げられる人がいることが GDP 成長を促そうという、強いモチベーションになるのです。 上ではGDPがあがれば金利も上がると書きましたが、現在たとえばアメリカはGDPが成長していながら低金利です。低金利にすることでGDP上昇を促すという政策を取っているからです。それは言い換えれば一般市民の利子をなくしてでも GDP をあげようというわけです。資産家たちはその上昇をテコにしてさらにお金を増やすのです。日本のニュースで景気がよくなったと言われても全然実感がわかない理由もなんだかわかる気がします。 ですから、逆にGDP0成長は、そういった格差拡大を抑制することができます。GDPが上がらないという前提では、そこで簡単にお金を増やすことができません。株で投資するにしても、ちゃんと見込みのあるところに投資しなければ儲けを出すことができません。 それは資産家たちの本来社会の中で果たすべき役割です。 -
日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その2)
2015-10-07 00:3031pt日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その1) の続きです。 前回は、なんだかよくよく考えると GDP が増えなくても暮らしって豊かになってるんじゃないかということを考えました。 でも、仮にそうだったとしても、日本のGDPが増えなかったのは、増える必要がなかったからではないかと。
と言ったように頑なに増えなかった直接の理由にはなっていません。政府だって経団連だってGDPは上がってほしいわけであれこれやっていましたし、海外の主要国は上がっていたわけですから、一緒につられて上がればいいはずです。 なぜ増えなかったのか。それは、日本のグローバルな大企業が競争力をつけるためだったからなのだと思います。一時期人件費が上がってしまい、世界の中での競争力が落ちてしまいました。そのため大企業は頑なに人件費をあげませんでした。結果として周りもすべてそれに合わせて、人件費をあげる代わりにものの値段を安くすることで、そして新しいものを元の値段で出すことで、暮らしを豊かにしていったのです。 そういった外圧もありましたが、実は、もう将来を嗅ぎ分けた日本人の本能的な行動ではないかと思います。人口が増えない、つまり昔の成長モデルから、均衡モデルに移行しないといけないという本能です。 地球上に広がる自然は、私たち人類が生まれる前から、地球を埋め尽くし、ある均衡を保っています。その姿は人間が見てジリ貧ではなく、とても豊かに見えます。成長しないことと豊かに繁栄していることが両立しています。 私たち人間社会も、人口はあるところで頭うちになります。実際毎年人口が増える割合は、年々減っています。 そろそろ知らないと恥ずかしい「止まった人口爆発」 なんと私が生まれた1969年頃からそれは始まっています。もう50年近くも前です。世界はそんな昔から着々と人口の平衡へと向かっています。 私たちは、そんな人口均衡社会に向かって社会の仕組みを変えていかなければなりません。そこでGDPの増大は必要でしょうか? 過去の社会の経験では、経済成長することで景気が良くなっていましたから、社会としても経済成長させようとがんばってしまいますが、人口均衡社会で GDP が増えることが必要なのか、そんなことしなくても豊かになれるのではないかということを改めて考え直して検証するべきときがきているのです。 これは机上の空論ではありません。私たちは20年間 GDP が成長しないという社会を立派に生き抜いています。 もちろん今景気いいでしょう?と強弁するつもりはありません。この状態がベストではありませんが、景気をよくするためになにをしなければいけないかという問いに、必ずしも GDP をあげる必要はないだろう、ということです。 さらには、賃金をあげようと先に物価をあげてみましたが、全く効果はありませんでした。やがて賃金に合わせて物価は戻っているのが今日です。GDPもずっとプラスなんてことはなく、4-6月期はマイナスでした。でも、売られている商品がたとえ同じ値段であれ、進化していれば私たちはより豊かになっているのです。 -
日本のGDPが増えなかった真の理由がわたしたちを豊かにする(その1)
2015-10-06 02:0031ptとあるツイートにここ20年GDPと給与総額が変わっていないというグラフがでていました。
世界で日本だけ20年間も経済成長が止まっている。こんなのは日本だけ。日本だけ何か特別なことをしているからだ。特別なこととはなにか? 答え.給与(総額)を上げなかった。 pic.twitter.com/MC5kORlA53
― 雅 羊々 (@miyabi_yoyo) 2015, 2月 26
大変印象的なグラフです。日経株価もこの間10000円と20000円くらいの間を行ったり来たりしているだけです。 なぜGDPはこんなに長い間上がらなかったのでしょう。 理由はさておき、まず、上がらないせいで日本の社会は壊滅したでしょうか。スラム街ができ、ストリートチルドレンが溢れたでしょうか。火炎瓶が国会議事堂に投げられたでしょうか。関東人と関西人の対立が深まり、日本が分裂しようとしているでしょうか。世界的に問題になっている若者の就職率。日本でも新卒の就職率が低くなり心配された時期もありましたが、少子化が進むにつれ、最近は売り手市場になりつつあります。 ごっつい好景気もありませんでしたが、世界各国ののっぴきならない状況が起きてるのを見れば、日本はのらりくらりとうまくやっているようにも見えます。 ですから、逆に考えてみればどうでしょう。 日本のGDPが増えなかったのは、増える必要がなかったからではないかと。 GDPが上がらなかった利点はあります。東京の物価は一時期世界一とまで言われたのではないかと思いますが、それはつまり人件費も高騰してたわけで、世界の中での競争力は落ちたことでしょう。でももはや物価高杉と言われることはありませんし、人件費もそれほど高くありません。海外から日本に出稼ぎしよう思う人は昔ほど多くありません。 一方私たちはみすぼしくなったでしょうか。考え方はいろいろあるかと思いますが、多くの人が世界最先端の iPhone を手にできる世の中ですから、世界的に見ればもっとも豊かな国の一つです。20年間、他の主要国がGDPを上げる中、GDPが上がらなかったにもかかわらず。 ですから、私たちは、常識に囚われず、一度考えてみる必要があります。 GDPは増える必要があるのか。物価が上がる必要があるのか。平均給与が上がる必要があるのかということです。(注:個人レベルで20代から30代へと経る過程で増えていって欲しいのは当然です。そうではなく、日本の平均給与の増減の話です。) GDPは増えなくて良い?
なぜGDPが増える必要があるのでしょう。GDPが増えない、あるいは物価が上がらないからといって、生活がジリ貧なわけではありません。 たとえば、 iPhone。5s, 6, 6s と世代交代で中身は進化しても、新製品の値段はそれほどあがりません。iPhoneの歴代価格表と、appleのホームページを見てみても、SIMフリー版の iPhone4s (2011) から iPhone6s (2015) まで最上位機種はすべて $849 で売り始められています。
つまり iPhone についてここ四年物価は上がりも下がりもしていません。仮にずっと同じ給料で暮らしていても、同じ負担で新しいiPhoneを手にいれることができるわけです。 しかし、もちろん4sと6sではその性能は雲泥の差があるわけです。
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