安倍晋三首相は看板政策の「地方創生」と「女性活躍」で、「地方の意見をうかがいながら」「女性ならではの目線で」と繰り返します。しかし現実は国民多数の声に耳を傾けず、「異論を切り捨てる強権体質」(日本共産党の志位和夫委員長)が際立っています。
■米軍新基地
沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設が争点になった沖縄いっせい地方選挙(7日投票)。地元・名護市議選で新基地反対派が過半数議席を占めました。琉球新報9日付によると、県全体当選者382人のうち、告示前のアンケートで「辺野古移設反対」と回答したのは過半数の208人(54%)、「移設容認」は46人(12%)。「新基地ノー」の審判は明白です。
ところが、沖縄基地負担軽減担当相の菅義偉官房長官は「仲井真弘多知事が埋め立てを承認し粛々と工事を進めている。もう過去の問題だ」(10日)と民意を切り捨てました。菅氏は17日に11月の県知事選の地ならしで沖縄を訪問し、「安全確保のうえ粛々と進める」と、住民の抵抗を暴力的に排除しながら知事選前に工事を推進する強権姿勢をあらわにしています。
■集団的自衛権
集団的自衛権行使容認の「閣議決定」をめぐっては、どの世論調査でも5~6割が「反対」。「説明不足」は8~9割近くです。
安倍首相は8月、「私たちは納得していません」と訴えた長崎の被爆者に、「見解の相違」と冷たく突き放しました。一方、「閣議決定」に基づく安保関連法案の国会提出を来年の通常国会に先送りしつつ、批判をかわそうとするずるがしこさです。
■原発再稼働
九州電力川内原発(1、2号機)の再稼働について新基準への「適合」を認めた原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「安全神話の復活になるのでは」との記者の質問に「答える必要はなさそうだ」と無視。菅官房長官は、住民・国民の不安と怒りに背を向けたまま、再稼働の許可書を交付しました。
■秘密保護法
米国と共同での戦争準備の情報を国民にも国会にも秘密にする秘密保護法。その運用基準案に対し政府に2万3820件にのぼるパブリックコメント(意見公募)が寄せられました。ところが安倍政権は「廃止」を求める意見に対し「何ら問題はない」と切り捨てています。
国民的基盤薄く
神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)の話 安倍首相は内閣支持率が一定の高さを維持していることを背景に暴走しています。しかし主要政策のほとんどすべてで国民世論は反対多数です。内閣支持は消極的なもので国民的基盤は薄い。国民との矛盾は激しく、多くの国民が声を上げています。早晩、内閣支持率も大きく崩れることは避けられません。