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主張
自衛隊海外派兵法
戦争参加へ歯止めがなくなる
自民、公明両党は、安倍晋三内閣が昨年7月に強行した集団的自衛権行使容認を柱にした「閣議決定」を具体化するため、安全保障関連法案に関する与党協議を進めています。協議の大きな焦点は、自衛隊による米軍など他国軍への軍事支援です。与党協議に政府が示した案は、米国の地球規模での介入・干渉戦争や先制攻撃の戦争に日本がいち早く参戦し、自衛隊が米軍に全面的な軍事支援を行うことを可能にする極めて重大で危険な内容になっています。先制攻撃も支援対象
自衛隊による米軍など他国軍への軍事支援について、政府は20日の与党協議で、(1)「我が国の平和と安全のために活動する他国軍隊への支援活動」のため、現行の「周辺事態法」を「改正」する(2)「国際社会の平和・安定のために活動する他国軍隊への支援活動」のため、新たに「恒久法」を制定する―という提案をしました。
「周辺事態法」は、朝鮮半島有事などを想定し、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」で武力介入する米軍に対し、自衛隊が補給や輸送などの軍事支援を行うことを定めた法律です。
政府は、同法を「改正」し、▽「我が国周辺の地域」という事実上の地理的な制約をなくし、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」であれば、世界のどこで発生しても支援を可能にする▽米軍に限定している支援対象をそれ以外の軍にも拡大する▽支援内容も、現行は認められていない武器・弾薬の提供などを可能にする―ことを狙っています。
「恒久法」は、米国のアフガニスタン報復戦争でのテロ特措法やイラク侵略戦争でのイラク特措法のように、事態に応じてその都度、法律を作る手間を省き、米軍など他国軍への軍事支援のため、自衛隊をいつでもどこでも派兵することを可能にする新法です。政府は、国連安全保障理事会の決議を自衛隊派兵の条件にせず、武器・弾薬の提供なども可能にしようとしています。
イラク侵略戦争のような違法な先制攻撃の戦争でも、米軍中心の「有志連合軍」に軍事支援を速やかに行えるようにするのが狙いです。「我が国の平和と安全」「国際社会の平和・安定」のためという口実さえつければ、自衛隊を世界中どこでも派兵し、米軍が行うあらゆる戦争を支援できるようにする仕組みづくりに他なりません。
重大なのは、「周辺事態法」の「後方地域」やテロ特措法、イラク特措法の「非戦闘地域」といった自衛隊の活動場所の制約が取り払われることです。自衛隊の支援対象である他国軍が「現に戦闘行為を行っている現場」以外ならどこでも活動できるようにします。これほど危険なことはありません。
応戦の危険が現実に
政府は、状況の変化により、自衛隊の活動場所が「戦闘現場」になる可能性を認め、その場合は活動を休止・中断するとしていますが、軍事専門家は「不足した弾薬を補給している最中に戦闘が始まったからといってやめることなどあり得ない」と指摘します。首相は、自衛隊が攻撃を受ければ応戦することも認めています。
海外の戦争で日本の若者が血を流す事態を許さない運動と世論づくりを一層強める時です。