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記事 8件
  • 長谷川幸洋コラム第28回 特定秘密保護法案成立。秘密を守れない国会議員と暴けないマスコミは自省せよ

    2013-11-28 12:00  
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    特定秘密保護法案の審議がヤマ場を迎えている。みんなの党に続き、日本維新の会も自民、公明の与党と修正協議で合意し、臨時国会での法案成立が確実な見通しになった。
    この問題をどう考えるか。
    多くのジャーナリストやマスコミはこの法案に反対している。私は外交や安全保障、防衛分野で秘密があるのは当然だと思う。それでも、法案は多くの問題を抱えている。ここは時間をかけて、12月6日までの国会会期を延長するか継続審議にして、しっかり議論を尽くすべきではないか。
    会期延長または継続審議で議論を尽くすべき
    外交や安全保障、防衛にかかわる秘密保持と国民への情報公開をどうバランスさせるか、は民主主義国家にとって重要な問題だ。
    これについては、世界70カ国以上の500人以上の専門家が討議してまとめた「ツワネ原則」と呼ばれる考え方がある。いわば国際標準といってもいい。
    ツワネ原則は14回にわたる討議の末、ことし6月に南

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  • シャッター通り、限界集落を打破する「種」を、岡山県真庭市に見つけた

    2013-11-27 12:00  
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    人口減少、高齢化が進む日本で、地方が抱える問題はどんどん深刻化するといわれる。
    僕は講演で日本全国をまわっている。そこそこ大きいと思われる地方都市にも行くが、その駅前でも、いわゆる「シャッター通り」が多い。また農業従事者も、平均年齢は65歳を超えている。「限界集落」という用語も、耳にすることが増えた。
    けれど、知恵と行動力があれば、どんな不便な土地でもチャンスはあるし、可能性が広がっているはずだと僕は思っている。
    岡山県の真庭市は、鳥取県との県境に位置する。いわゆる過疎地域のひとつだ。その真庭市に、木材業を営む銘建工業株式会社はある。木材業といっても、一般的な木材ではない。「集成材」を中心に販売しているのだ。
    集成材とは、原木を加工し、貼り合わせた木材のことである。寄せ集めのようで、印象が悪いかもしれないが、そんなことはない。従来の木造建築では難しかった、大きな構造物を作ることもできる。
    銘建工業の社長、中島浩一郎さんは、「これからの木材は集成材が中心になる」と話す。斜陽産業といわれる林業において、新たな付加価値を生み出し、生き抜いているのだ。
    銘建工業のすばらしい事業が、もうひとつある。集成材を生産するにあたって、どうしても木くずが出る。その廃材を使って、発電事業を始めたのだ。いわゆる「バイオマス発電」である。 

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  • 長谷川幸洋 第27回 減反廃止もコメ値上がりの可能性!消費者に目を向けない農水省に必要な政策大転換

    2013-11-21 20:00  
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    〔PHOTO〕[Photo] Bloomberg via Getty Images
    コメの「減反を廃止する」というニュースが先週、大きく報じられた。
    家計や消費者にしてみれば、この政策がコメの価格低下につながるなら結構な話である。
    だが、肝心の農業関係者に話を聞くと、マスコミは「政策の大転換」と伝えているにもかかわらず「コメの価格は下がる場合も上がる場合もある」というのだ。これはいったい、どうしたわけか。
    単純な原理から確認しよう。
    供給↑で需要↓なら価格↓はコメも同じのはずなのだが
    ある生産物の供給が増えて需要が減れば、価格は下がる。これはコメも同じだ。
    減反とはコメの生産量を減らす政策であるはずだから、減反を廃止すれば、ヤル気のある農家が元気になって生産量は減らず、むしろ増える可能性がある。需要は趨勢的に減っているのだから、価格は間違いなく下がるはずだ。
    そこで今回の政策をみると、どうなっているか。
    まず、国が毎年の生産目標を決めて都道府県に配分していた生産調整を5年後の2018年度に廃止する。10アール当たり1万5千円支払っていた補助金も14年産米から段階的に削減し、18年産米からは廃止する。
    この補助金は民主党政権時代に「戸別所得補償」として導入された。自民党政権になって「コメの直接支払交付金」と名を変えているが、同じものだ。自民党は「戸別所得補償を止める」と公約していたので、段階的廃止は既定路線だった。
    マスコミはこの生産調整と直接支払交付金(=戸別所得補償)の廃止をとらえて「減反廃止」と大見出しを掲げたのだ。
    ところが、実は今回の新政策はこれだけではない。同時に飼料用米への補助金は逆に拡充、増額する。
    ふたつの直接支払交付金と日本型直接支払制度
    こちらの補助金は「水田活用の直接支払交付金」と呼ばれ、10アール当たり8万円支払われている。この金額を増やしたり、支払う条件を拡充するのである。
    これ以外にも「農地や水路、農道など多面的機能を維持するために必要な活動を支援する」という名目で、日本型直接支払制度という新しい補助金も14年度から創設する。
    舌を噛みそうな補助金の名前がいくつも出てきてややこしいが、ようするに「右手の補助金はなくすけれども、左手の補助金は拡充ないし新設する」という話である。
    そうだとすると、これで本当にコメの価格低下につながるのだろうか。
    私は11月13日、委員を務めている規制改革会議の農業ワーキンググループの会合で、出席していた全国農業協同組合(JA全中)の冨士重夫専務理事に今回の「減反廃止」をどう受け止めているか、聞いてみた。
    すると、専務理事からは「農家は冷静に受け止めている」と拍子抜けするような答えが返ってきた。
    減反廃止でコメの値段が下がって農家の収入が減るなら「猛反発するはずだ」と思っていたのだ。
    そこで「コメの価格は下がらないのか」と聞いてみた。消費者にとっては、ここが一番の関心事である。
    答えは冒頭に紹介したように「値段は下がる場合も上がる場合もある」というものだった。「戸別所得補償を止めたところで、必ずしも米価が下がることはない」とも言った。
    これはどうしてか。
    大きな理由の一つは2つ目の補助金、すなわち飼料用米への補助金を拡充するからだ。この政策が何を目指しているかといえば、主食用のコメ作りから飼料用のコメ作りに転換する農家の増加を狙っている。
    主食のコメ生産が減ることを減反廃止というのか
    すると何が起きるか。主食用のコメ生産が減って、飼料用のコメ生産が増える。そうだとすると、主食のコメ生産が減るのに、これで減反廃止と言えるのか。コメの供給が減れば、需要が変わらない限り、コメの価格は下がるどころか上がってしまう。
    だから、専務理事は「上がる場合もある」と答えたのだ。
    別のJA全中担当者は「コメの需要は趨勢的に減っている」という点も指摘した。
    そこで、私は念のために「需要が減っているのはたしかだろう。今回の政策は減っている需要に合わせて、供給サイドも減らしていく政策と理解していいか」と聞いてみた。
    すると、出席していた農協関係者は「当たり前のことを聞くな」と言わんばかりの表情で「それはそうだ。政府の政策はずっと、そういう方針でやっている」と異口同音に答えた。
    これを聞いて「農家は冷静だ」という謎が解けた。
    つまり、今回の「減反廃止」と伝えられた政策は「供給を増やす=価格を下げる」のを狙っているのではなく、逆に「供給を絞る=価格を維持する」ことを狙っているのだ。
    それなら、農家は困らない。コメの価格が維持できるからだ。
    それだけでなく、農地や水路など農村の大事な基盤も新しい補助金で維持できる。だから反対の大合唱が起きないのである。
    農協の最高幹部が審議会の正式な場でこう言うくらいだから、コメの価格は必ず下がるわけではないとみて間違いないだろう。
    そうだとすると、今回の「減反廃止」は消費者にとっては、ほとんど何の意味もない話になりかねない。
    消費者にとって肝心なのは「高い品質のコメが安く手に入るようになる」ことだ。そのためには減反ではなく、逆に生産を拡大する必要がある。 
  • 改めて言う!特定秘密保護法案をめぐる「危ない空気」とは?

    2013-11-20 15:00  
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    11月11日、僕は鳥越俊太郎さん、岸井成格さん、田勢康弘さんら、テレビキャスターの仲間たちと記者会見を開いた。特定秘密保護法案への反対を表明したのだ。10月25日号のメルマガでも特定秘密保護法案について一度書いたのだが、改めてその危険性を訴えたい。正直、僕はこんなアブナい法案は、通らないのではないかと思っていた。ところが野党の反対もほとんどない。このままいけば、可決することになってしまうだろう。だが、僕が何より怖いと思っていることがある。重苦しい空気が、日本中に蔓延し始めているということだ。今回、記者会見を開くに当たり、僕たちは多くのジャーナリストに声をかけた。ところが、10人以上から、「まったく同意見だし、加わりたいのだが、自分の名前を出すことは勘弁してくれ」という返事がきたのだ。誰もが自由に発言し議論を戦わせ、そのうえで物事を決めていく。これが民主主義の根幹であろう。ところが、特定秘密

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  • 長谷川幸洋 第26回「薬のネット販売「規制改悪」を目論む厚労省!安倍政権の成長戦略はそれでいいのか」

    2013-11-14 20:00  
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    楽天の三木谷浩史社長 [Photo] Bloomberg via Getty Images
    薬のインターネット販売をめぐって、政府の産業競争力会議で民間議員を務めている楽天の三木谷浩史社長が民間議員の「辞表」を片手に、政府を相手取って裁判に訴える構えを示している。
    これだけでも十分、大きな騒ぎだが、この話は単に「薬のネット販売」という小さな商売上の争いにとどまらない。安倍晋三政権が進める成長戦略の本質を問い質す事態になる可能性がある。
    なぜなら、インターネットを使って効率的な経済社会を目指すのか、それとも既得権益を擁護するのか、という改革路線の核心に迫る内容を含んでいるからだ。
    新たな市販薬は3年間ネット販売を認めない!?
    展開によっては、三木谷社長が代表理事を務める新経済連盟に象徴される「新しい起業家たち」を敵に回して、政権に打撃になりかねない。
    まず、事態を簡単に整理しよう。
    田村憲久
  • 田原総一朗「みずほ銀行の不正融資やホテルの食材偽装表示にある『日本の病』」

    2013-11-11 20:00  
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    2002年、僕が塾頭となって「大隈塾」を母校の早稲田大学に開設した。60代の後半くらいからだろうか、母校のために何かできないかと考えるようになったからだ。さまざまなゲストに来ていただき、学生、あるいは社会人の塾生たちに講義をしてもらっている。こうした経験は、若者たちの血となり肉となるだろう。
    時には僕も、彼らの前で話をすることがある。先日は、いま世間を騒がせている、みずほ銀行の不正融資や食材偽装表示をテーマにして話をした。テレビでは毎日のように、大企業のお偉方が謝罪会見する場面が、繰り返し放送されている。なぜこのような不祥事は、なくならないのか、と。
    僕は、ひとことでいえば、「空気」のせいだと考えている。組織内で流れる空気に、多くの人はいつしか慣れてしまう。暴力団への融資、食材の偽装表示、客観的に見ればいけないことはわかっている。だが、その空気の中にいると、誰も「やめよう」と言えなくなってしまうのである。
    彼らはまた、謝罪の仕方も下手だ。当初、みずほ銀行は、「頭取は把握してなかった」と弁明していた。阪急阪神ホールディングスの社長は、偽装ではなく「誤表示」だと説明した。彼らは、心底責任を感じていないのだ。ずっと会社がやってきたことが、「たまたま」自分が社長であるときに、発覚してしまった。「ついてない」くらいにしか、思っていないのだ。 

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  • 長谷川幸洋コラム 第25回 何でも国が負担はおかしい!株主と銀行の責任、廃炉の枠組が汚染水問題の焦点

    2013-11-07 20:00  
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    [Photo] Bloomberg via Getty Images
    原発事故の除染費用を東京電力ではなく、国が税金で負担するという話が持ち上がった。「ついに」というか「やっぱり」というべきか。
    こうなると、いよいよ「東電本体の経営をどうするか」が避けて通れない課題になる。
    現行の枠組みがどうなっているかといえば、前回コラムを含め、これまで何度も紹介してきたように放射能汚染物質対処特別措置法の下で国が一時、除染費用を立て替えたとしても「最終的には東電が負担する」と決まっている。
    ところが、東電は昨年11月の時点で被災者への賠償、除染、中間貯蔵費用だけで10兆円程度と目される費用を「一企業のみの努力では到底対応しきれない」として事実上、ギブアップ宣言を出している。これも当時のコラムで指摘したとおりだ。
    東電は無い袖は振れぬと開き直っている
    事態はそこから一段と悪化して、汚染水問題がもはや収拾不能ではないか、と思われるほどになってしまった。
    東電は実質的に破綻しており、賠償も除染も汚染水問題を含む廃炉も東電の手に負えないのは、もはや覆い隠しようがない。
    実際、国はこれまで東電に対して404億円の費用を請求したが、東電はわずか67億円しか払っていない。法律が明確に定めているにもかかわらず、支払わないのは「ない袖は振れない」と居直ったも同然だ。
    以上は、私が指摘するまでもなく、法律の枠組みと東電の発表をそのまま素直に読めば、だれにも分かった話である。
    今回、降ってわいたかのように税金負担の話が出てきたのは、自民党の復興加速本部(大島理森本部長)が「国が一部を負担する」という提言案をまとめたからだ。裏を返せば、自民党も東電のギブアップを認めたのだ。
    それによれば、すでに計画済みの除染(約1.5兆円分)については法律が定めたとおり、東電に費用を請求する。
    だが、それ以上の除染と中間貯蔵費用は国が負担するという。東電は1.5兆円分だって払いたくないし実際、払えないと居直るつもりだろうが、自民党とすれば、まさか法律を横紙破りするわけにもいかず、得意技の「足して2で割った」形である。
    この話をどう考えるべきか。
    国費を使いたくない財務省と東電を生かしておきたい経産省
    法律が東電に全額請求する仕組みになっているのは、当時の民主党政権が「東電を存続させる」という話を最初に決めて、そのうえで一切の事故処理費用は他の電力会社の支援も仰ぎつつ、基本的には東電に長期の分割払いさせる、という方針を決めたからだ。
    これは、国費を使いたくない財務省と東電を生かしておきたい経済産業省の思惑が一致した結果である。
    だが、そもそも賠償も除染もいくらかかるか分からない。廃炉となると、もちろん費用がさらに巨額に上るのは、当時から分かっていた。
    だが、廃炉も計算に含めると「東電に全部負担させる」という話のデタラメさがバレバレになってしまうので、とぼけて先送りを決め込んでいた。
    ところが汚染水処理が大問題になってしまい、いよいよ逃げられなくなってしまった。万事休すなのだ。
    汚染水は原発事故現場では当初から問題視されていた。亡くなった吉田昌郎所長が強く懸念していたのは、よく知られている。
    最近、出版された原発作業員「ハッピー」さんによるツィート記録本、『福島第一原発収束作業日記』(河出書房新社)でも、たとえば2011年6月の段階で「2号機の汚染水、溢れそうでかなりヤバいかも」と記されている。
    ちなみに東電自身が汚染水をどう考えていたのかといえば、はっきり言って、事態をなめていた。それが証拠に、昨年11月に東電が出したギブアップ宣言である「再生への経営方針」では「汚染水」の「汚」の字も出てこない。
    現場では、とっくに問題の所在が分かっていたのに、経営陣は見て見ぬふりをしてきたのである。
    いまごろになって、自民党が「除染は国の負担で」と言い出した。
    となると当然、東電の株主や銀行の責任を追及せざるをえない。株主や銀行は自分のビジネスとして東電に投融資してきたのに、なんの関係もなくむしろ被害者である国民が税金で負担するわけにはいかないからだ。 
  • 田原総一朗「小泉純一郎の「脱原発」発言で、何がどう変わるのか?」

    2013-11-06 21:00  
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    小泉純一郎元首相の「脱原発」論が 話題を呼んでいる。小泉さんは、今年の8月にフィンランドを訪問してきた。世界初の核廃棄物の最終処理処分場、「オンカロ」を視察するためだ。オンカロとは、フィンランド語で「洞窟」「隠し場所」を意味する。
    この「オンカロ」でしていることは何かというと、いわゆる「地層処分」である。原発の使用済み核燃料を10万年の間、地中深く保管し、無害になるまで置いておくのだ。
    10万年後、どんな社会になっているのか、誰も想像つかないだろう。いま、僕たちが話をしている言葉さえも通じない可能性がある。そんな遠い未来まで放置するしかない。こんな処理方法しかないゴミを生み出していく原発を、これ以上、続けていっていいのだろうか。そう、小泉さんは考えたのだ。原発は「トイレのないマンション」と、長年、言われてきた。まさに、そのことである。
    小泉節は健在だ。あの明快さで「脱原発」を語るのだから、おおいにウケる。原発をなくせばハッピー、という気分にさせられるのだろう。
    だが、大事なことが抜け落ちている、と僕は思う。「こんな処理方法しかないゴミ」である
    使用済み核燃料は、すでに膨大な量が存在しているのだ。もし原発をやめたとしても、これらの「ゴミ」をどうするのか。小泉さんはその部分を語っていない。ただ「脱原発」を語るのみである。
    他にも、語っていないことがある。日本もフィンランドと同じく、「地層処分」を採用する方針を、1976年に決めている。ところが、建設どころか、候補地さえまだ決まっていないのだ。実は、フィンランドは地盤が安定している。一方、日本には火山がたくさんあり、地震の多い国土である。そのような場所で「地層処分」をして、果たして大丈夫なのか。そのような議論さえ、充分に尽くされていないのだ。
    小泉さんは、脱原発発言をして、さらに社民党党首と会談までして、自民党を慌てさせている。こうした小泉さんの言動が、自民党の原発に対する態度を、変える可能性があると、実は僕は思っている。