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記事 4件
  • 長谷川幸洋コラム第36回 東京都知事選の隠れた争点「天下り利権」の規制に取り組む候補者は誰だ?

    2014-02-13 20:00  
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    東京都知事選が2月9日、投開票される。課題として脱原発や防災対策、東京五輪への取り組みなどが注目される一方、東京都の天下り問題はあまり注目されなかった。国に比べて地方自治体の天下り問題は陰に隠れがちだが、納税者にとって重要課題であることに変わりはない。
    政府の監視を目的にする特定非営利活動(NPO)法人「万年野党」(会長・田原総一朗)は4人の都知事選立候補者に天下り問題についてアンケート調査し、結果を公表している(こちら)。その内容を紹介するとともに、地方公務員の天下り問題について考えてみる。
    NPO調査「都職員の天下り249人」は氷山の一角
    万年野党は舛添要一、細川護煕、宇都宮健児、田母神俊雄の4氏に公開質問状を送り、うち田母神を除く3氏から回答を得た。まず東京都の「天下り利権」について「重要課題と考えるか」、続いて「問題に具体的に取り組むか」と質問した。回答は「はい」と「いいえ」の二択で求めた。
    回答した舛添、細川、宇都宮の3氏は上記2つの質問に、いずれも「はい」と答えている。具体的にどう取り組むかについては、それぞれ記述式で次のように回答した。
    舛添は「求められる役職・職責を全うするのに、最適な人材が配置されることがその組織のパフォーマンスを最大化する上で重要なことであると考えています。また、都民の税金を有効に活用していくためにも、極力無駄を排除していくことが必要であると考えます。天下りの問題については、各外郭団体や関連財団において求められる人材要件に対して、最適な人材を個別具体的な人事を通して配置していくことを推進していくことが必要であると考えます」と答えた。
    細川は「就任後に、皆様のご意見も参考にしながら、検討し、判断してまいります」という。
    そして、宇都宮は「北海道ニセコ町などに学んで、都予算の財源・積算、また入札・コンペの評価などを市民が分かりやすい形で公開します。都の出資25%未満の監理団体も監査の対象とし、天下りや利権による都費の流出を防ぎます。監査委員(知事指名2)の人選を公開で拡げ、計数だけでなく仕事内容にもメスを入れてもらいます。天下りの受け皿を生むような、湾岸地域などの巨大開発予算を抑制します。特別会計で借金を作りながら巨大開発が進められており、都財政のあり方を歪めていると考えられます」と答えた。
    簡単なアンケート調査だけで候補者の問題意識を評価するのは早計だ。それを認めたうえで、回答にはなんとなく各候補者の考え方がにじんでいる。
    万年野党は、東京都にどんな天下り利権があるかについても独自に調査している。それによれば、課長級以上の東京都職員が再就職した先は、たとえば臨海地区の施設を束ねた臨海ホールディングスグループに25人、東京都公園協会に16人、東京都下水道サービスに14人など、合計249人という結果が明らかになった(こちら)。
    これらは氷山の一角ではないか。というのは、私自身が人事監察委員会委員として天下り問題に取り組んだ大阪市の例と比べても、人数が少ないように思えるからだ。
     

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  • 長谷川幸洋コラム第34回 脱原発だけが争点?権限の及ばぬ問題で「運動論」競う都知事選への違和感

    2014-01-23 20:00  
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    東京都知事選は自民党が支援する舛添要一元厚生労働相と小泉純一郎元首相が支援する細川護煕元首相を軸に戦われる構図が決まった。焦点は小泉・細川連合が掲げた「脱原発」である。私も原発は止めたほうがいいと思っているので、原発への対応が議論になるのは歓迎したい。ただ、それが都知事選の焦点となると、正直言って戸惑ってしまう。都知事に原発を止める権限はないし、実質的に意味がある脱原発政策を都知事が展開できるとは思えないからだ。再稼働、最終処分、核燃料サイクル。都知事にできることはない
    脱原発にはとりあえず、乗り越えねばならない3つのハードルがある。まず原発再稼働をどうするか。再稼働するかどうかは、原子力規制委員会がチェックしたうえで政府が決める。このプロセスで都知事に権限はない。それから使用済み核燃料、いわゆる核のゴミ問題である。政府は最終処分場を探しているが、これといった候補は見つかっていない。そもそ

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  • 長谷川幸洋コラム第31回 自民党の都知事選候補選びのカギは「政権との距離感」

    2013-12-30 20:00  
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    主去り、次の「顔」は…[Photo] Bloomberg via Getty Images
    医療法人「徳洲会」グループからの5000万円献金問題で揺れた東京都の猪瀬直樹知事が辞任した。後任選びはこれからだが、来年2月上旬にも実施される都知事選は事実上、安倍晋三政権に対する信任投票になる可能性がある。 特定秘密保護法をめぐって国民の間に批判が高まり、与野党対立が激化した。その結果、安倍政権の内閣支持率は各種世論調査で軒並み10%前後、低下した。1月19日には、米軍普天間飛行場の移転問題が焦点になる沖縄の名護市長選もある。 安倍政権は沖縄と東京で国政選挙並みの注目を集めて、国民の審判を受ける形だ。こういう局面で、都知事選は「できれば避けたい」というのが政権の本音だっただろう。自民党は年内にも候補者を選ぶ方針だが、清新さはもちろん政策課題への理解、政権との距離感などが鍵になる。はたして、そんな条件を満たす候補者が見つかるだろうか。橋本「芯強い」、小池「度胸あり」、舛添「立派」…石破氏の人物評
    いまの段階で名前が挙がっているのは、与党側では小池百合子元防衛相(衆院東京10区)や都議経験がある下村博文文部科学相(同11区)、安倍と近い萩生田光一総裁特別補佐(同24区)、元五輪選手の橋本聖子前参院政審会長(参院比例代表)、さらに丸川珠代参院議員(東京都選挙区)らだ。 野党側では、参院議員を引退した舛添要一元厚生労働相や、日本維新の会を離党し衆院議員も辞職した東国原英夫元衆院議員らがとりざたされている。なかでも舛添は必ずしも野党側だけが推すとは限らない。知名度があるだけに、与党側の候補者選びが難航した場合は野党と相乗りする可能性もある。 猪瀬がカネにまつわるスキャンダルで辞めた後で、かつ東京五輪も控えているだけに、最も重要な要素は「清新さ」だ。一部報道によれば、安倍首相が周辺に「女性候補がいい」と語ったとされるが、それも同じ理由だろう。 そんな中、私は木曜日ナビゲーターを務めているJ-waveの番組「JAM THE WORLD」の収録で19日午後、自民党の石破茂幹事長にインタビューした。同夜の番組でも放送したが、主な都知事選候補と目される人物についての石破評を紹介しよう。 私の頭に真っ先に浮かんだのは橋本聖子だ。元五輪選手の橋本は「五輪を開く東京の顔」として収まりがいい。スキャンダルの話も聞かない。石破は「どんな困難も乗り越える芯の強さがある。参院政審会長も務めた。閣僚経験がない点をどうかという人もいるが、政策の理解力、ひたむきさは超一級ですね」とほめちぎった。 それから、小池百合子である。「環境相、防衛相と閣僚経験があり、語学は達者で国際的な視野も広い。花もある。兵庫から東京に選挙区を変えるなど、すごい度胸もある」 丸川珠代についても聞いた。「キャスター、アナウンサーを務めて、そういうセンスもある。厚生労働政務官を務め、いまは党の厚生労働部会長だ。ただ参院であれだけの票をとって当選したばかり。(都知事選に転身するとなると)党としてそこをどう考えるか、という問題もある」 舛添要一については自民党を離れた人なので、どうかと思ったが、意外な評価が返ってきた。「立派な人ですよ。私は福田康夫、麻生太郎の両政権で閣僚としてご一緒したし、お付き合いもある。才能と弁舌はすばらしい。知名度も都政への見識もある。ただ、我が党が下野して一番つらいときに出て行かれたので、悲しい思いをした。そこをどう考えるかですね」 最後にもう1人、東国原英夫はどうか。彼については「勘弁してくださいよ〜」の一言だった。野党はいざしらず、自民党の候補としてはあり得ない、という判断である。 
  • 高橋洋一「石原新党の旗揚げで『平時モード』は終わった。これからの政局では常識が通じないことが起きる」

    2012-10-29 20:01  
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    0月25日、石原慎太郎東京都知事が辞職を表明し、石原新党結成を表明した。石原新党はさっそく維新の会との連携協議へ話が進んでいる。橋下徹日本維新の会代表は「報道されるほどの違いはない。政策の大きな方向性は同じ」と語っている。 また、28日のフジテレビ報道2001で、渡辺喜美みんなの党代表は、石原新党との連携で「まったく妥協しないという意味ではない。基本政策や政治理念が一致すればいい」と述べた。これに対して、みんなの党が方針を一転させ、石原新党との連携に前向きと報じられている。

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