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記事 2件
  • 田原総一朗 安倍自民党、滋賀県知事選敗北で、秋の福島、沖縄県知事選はどうなる?

    2014-08-01 20:00  
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    7月13日、僕の故郷の滋賀県で知事選挙が行われた。三日月大造さんが、小鑓隆史さんを破って新知事となったのだ。とはいえ、三日月さんと小鑓さんの得票差はわずか1万3000票あまり。僅差であった。ともに無所属だが、小鑓さんは自公推薦、三日月さんはもともと民主党の所属。事実上、自公対民主という構図といってよいだろう。新知事になった三日月さんは、前知事の嘉田由紀子さんが応援した。いわば「後継者」である。前知事の嘉田さんは、もともと政治家ではなく、環境社会学者だった。2006年の知事選で、新幹線新駅の建設凍結、ダム建設計画の凍結見直し、廃棄物処分場の中止などを主張。「もったいない」を合言葉に初当選したのだ。これまで政治家は、選挙では道路や空港など何かを「作る」ことを打ち出すのが一般的だった。ところが嘉田さんは、「作らない」と宣言した。琵琶湖を中心とする滋賀県の環境を守る姿勢を貫いたのだ。震災後には、「脱原発」ではなく、ゆるやかになくしていこうという、「卒原発」を打ち出した。こうした「嘉田路線」継続を、滋賀県民は支持したのだろう。そして、もうひとつ三日月さんが勝利した大きな要因がある。7月1日に、集団的自衛権行使容認を閣議決定したことだ。この決定が選挙結果に大きく影響した、と僕はみている。滋賀県民の行使容認への拒否反応の表れもあるだろう。だが、それだけではないのだ。集団的自衛権行使容認に対して、公明党の支持母体である創価学会、とくに婦人部は、最後まで反対だった。そのため、今回の滋賀県知事選では、創価学会の動きが鈍かったと言われている。自民党本部は、事前調査で劣勢を伝えられていた。そこで安倍首相はじめ、菅官房長官、石破幹事長、小泉進次郎さん、野田聖子さんなど、錚々たる顔ぶれを現地に送り込み、小鑓さんを応援した。だが、「自民党カラー」を全面に出したことが仇になり、小鑓さんの票はかえって伸び悩んだようだ。対して三日月陣営は、民主党カラーを一切出さなかった。それで勝利を掴んだのだ。きわめて対照的である。 

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  • 田原総一朗 正念場の安倍政権の行方を左右する「4つの知事選」

    2014-02-19 19:25  
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    いま、各社の世論調査を見ると、安倍政権の内閣支持率は50%台である。少々不安になる数字だ。その安倍内閣だが、今年は安倍さんにとって正念場の年だ、と僕は考えている。では、どういう課題があるのか、ここで見てみよう。
    まず注目すべきは経済だろう。「アベノミクス効果」で、いまのところ経済は好調だ。だが、4月には消費税が3%アップする。その影響による落ち込みは、避けられない。政府は法人税の引き下げを検討しているが、これはあくまでも「企業向け」減税だ。企業がその減税分を社員に還元しなかったり、設備投資による収益アップを実現できなければ、「消費税を上げておいて、企業ばかり減税するのか」と、不満が噴出することになるだろう。
    そうならないためにも、アベノミクスの3本の矢のうち、第1の矢「大胆な金融政策」、第2の矢「機動的な財政政策」に続く、3本目の「民間投資を喚起する成長戦略」を思い切って実行できるか、この1点に大きくかかっているのだ。
    経済以外の問題も山積みだ。沖縄の基地移設問題は、その最たるものだろう。1月19日に行われた名護市長選挙では、自民党が推薦する候補が敗れ、移設反対の稲嶺進さんが勝利した。ただ、選挙結果にかかわらず、結果的には普天間基地は、名護市辺野古に移転することになっていくだろう。
    しかし、たとえば辺野古の埋立て工事が始まるときに、反対派が実力行使に出ることが考えられる。当然、その身体を張った姿は、日本中に報道される。反対派にとって、最大限のアピールになる。辺野古への移設が実現したとしても、政府へのマイナス感情が大きくなることは避けられないだろう。 

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